NICER 望遠鏡のX線データ解析
最終更新 2022-06-03
NICER を中心に時間変動天体のX線データ解析に興味がある人向けのメモです。有用なリンクや情報へのポインタとしてお使い下さい。M1 レベルを想定しています。
セミナー動画
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準備 (X線データ解析の一般的な知識)
- HEASoftはインストールされているとする。Heasoft installing guideも参照。CALDB は最新のものにする。
- X線の解析の基本は、すざくファーストステップガイドなどと共通している。衛星特有でない、FITSファイルの内容、X線衛星でのファイルの種類、xselectやds9の使い方、 時間解析, などを参照するとよい。
- X線スペクトル解析の入門は、XspecによるX線スペクトル解析などにまとめた。画面で説明した録画がYouTubeにある。立教大学の山田真也さんの「初めての宇宙X線スペクトル解析ツールxspecの使い方」もわかりやすい。
- 突発天体のX線データ解析は、志達めぐみさんの「X線観測とデータ取得の方法 (主に突発天体向け)」(pdf)にいろいろな衛星の実例があって、一読をおすすめする。
- 実験データの統計解析 –博士過程のときに修士の学生さん向けに作った Xspec でのフィットのためのメモ。
- X線天文学でのレスポンス(response)とは何かを知りたい場合。
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NICER X線望遠鏡のデータ解析
公式 – 標準的な解析の手順
まず公式の情報は NICER Data Analysis のページに載っている。
- 他の衛星データの解析と同様に、HEASoft が使える環境を用意し、NICER の calibration file 一式を所定の場所に置く。NICER の解析環境のセットアップは Setting Up a NICER Analysis Environment にある。
- NICER が観測した天体は NICER archive にまとめられている。これや、HEASARC Browse で探してくる。慣れてきたら、wget で自動スクリプトを作りたくなる。
- NICER のソフトウェア一式 NICERDAS の nicerl2 コマンドに従って生成すれば、cleaned event などの標準的な生成物ができる。nicerl2 は、以下の2つを実施する。
- Calibration: energy scale, timing offsets
- Screenings: by pointing, optical light, high background
- スペクトル解析に必要なファイルは上記では出力されず、NICER Background Estimation Tools として提供されている、GSFC を中心に開発されている Space Weather background model (nicer_bkg_estimator) か MIT を中心に開発されている 3C50 background model (nibackgen3c50) のいずれかを使い、天体とバックグラウンドのスペクトルファイルを生成する。現状では、3c50 の方が精度がよい。(HEASoft で公式に組み込まれていないのが面倒) 詳しくは論文 R. A. Remillard, "An Empirical Background Model for the NICER X-ray Timing Instrument"を読んでください。
- レスポンス一式はNICER Data Analysis Thredsにある。DET_ID 14, 34 はノイズが混入することがあるので、使わない事が多い。3C50 はこの2つを除いて構築されているので、50個のFPMに対応するレスポンスを使う。
- この 2つのモジュールを除いた標準的なレスポンスを作成したものを、respに置いておいた。比較対象にしてください。
入門コース – NICER Analysis Workshop
入門コースは、NICER Analysis Workshopに動画と、発表スライド(pdf)がアップロードされている。
このうち、最初の
- K. Gendreau (NICER のリーダー)
- Z. Arzoumanian (サブリーダー、サイエンスリード)
- C. Markwardt (キャリブレーション、データプロセスのリーダー)
- T. Strohmayer (時間解析)
- R. Remillard (バックグラウンドのシミュレーター担当)
の5氏の話を確認するとよい。
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NICER の入門セミナー@2022-06-10
1. 資料をざっと眺める
入門コースは、NICER Analysis Workshopから以下のような資料を見る。
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2. コマンド実演
(1) 環境の確認
今回の実演の例は以下の環境。
HEADAS version:
NICERDAS version:
CALDB information:
(2) ダウンロード
クェーサー 3C273 (ObsID 2010100101)で実演する。HEASARC Broseで検索、ダウンロードする。
で解凍した後、
などとすると、どんなファイルがあるかわかる。ここで、
などとして、ファイルの中身のコラムを見てみる。
(3) 最初のおすすめ設定
- nicerl2 の標準的なキャリブレーション、スクリーニングでプロセスする。
- ただし、ノイズに配慮が必要なモジュール番号 14, 34 を除いておく。これで、7x6-4-2=50 個のモジュールを使っていることになる。
- ライトカーブは上記で生成したデータで描く。14, 34 を除いているので、スペクトルと同じ組み合わせ。
- スペクトルは、nibackgen3c50 で(デフォルト設定での)14,34を除いたライブラリから生成する。レスポンスは nicerarf, nicerrmf で生成する。
(4) nicerl2 を走らせる
もし詳しく知りたければ、
などとすると解説が出てくる。ウェブでも nicerl2 の解説は見れる。fstruct や fv をして、何が追加されたか?を見るとよい。
3C50 のバックグラウンドに対応するには、
とする。
なお、detlist では、nifpmselで、どのFPMモジュールが選ばれたかの情報が入っている。単独でやるときは、
(5) Light curve
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(6) NICER のバックグランドモデルを用意する
NICER Background Estimator Toolsの3C50をダウンロードする。README.txtに記載されている通りに、インストールする。
以下のバックグラウンドのファイル一式は、HEASoft とは別のフォルダに保存するのが良いかも。
たとえば、ObsID 全体でのスペクトルを作るには、
以下の2つで、Exposure が一致することを確認する。
(まだnibackgen3C50がmatureでないので、直下にファイルが作られるので)適宜、ファイルを置き直す。
(7) レスポンスを作る
Arf は以下のようにnicerarfで生成する。天体の座標をいれる必要があるので、HEASARC のCoordinate Converter (Coco)で調べて
を使う。
nicerrmfで、rmf ファイルを作成する。たとえば、以下。いくつか流儀があると思う。
(8) スペクトルフィット
grppha でビンまとめする。もしくは、fgrppha.pyで、
xspecの表示と同じなビンまとめにすることもできる。

フィット結果は以下のようになる。
このスペクトルフィットでは、光子指数が1.7程度、0.5-10 keV のフラックスが erg/s/cm2 ほどになるはずである。ちなみに、Swift のほぼ同時観測があったはずなので、興味ある人は調べ得てみるとよい。(XMMもあったかも)
(8) 特定の時間のスペクトルを作る
を参考にやってみてください。レスポンスの作り方も同様。
(8) 時間変動解析
時間変動解析の入門を参照のこと。
3. 困ったら?
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参考資料やTIPS
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NICER関係のTips
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便利な早見表ほか
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NICER 関係の発表資料ほか
:Beer: HOPPY
榎戸の自分で使っている解析用スクリプト群 HOPPY: High-energy Observatory Pipelines via PYthon。そんなによくできているわけではないが、参考になるなら勝手にハックしてもらってかまわない。突発天体の時間変動を長期モニターする際に、なるべく自動化したいという意図で作った。
コードの改訂したい箇所