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確率分布の特徴

tags: probability-theory

確率分布の特徴としての期待値や関数値

期待値

E[] は確率変数に関する計算である。そしてその確率変数は確率分布に従っている。

  • 確率分布の平均
    μ
    は、確率分布の中心の一つの定義であり、確率変数の期待値で表す。
  • 確率分布の中央値も、確率分布の中心の一つの定義であり、標本空間上の累積確率が50{%}になる点で表す。
  • 確率分布の分散
    σ2
    は、確率分布が表現する確率変数の平均付近への集中の度合いを、2乗距離
    (Xμ)2
    の期待値で表す。
  • 確率分布の標準偏差
    σ
    は、2乗距離
    (Xμ)2
    の期待値の平方根、分散の平方根であり、確率変数の平均付近への集中の度合いを示す。
  • 確率変数の歪度
    β13/2
    は、確率分布の平均周りの対称性を、3乗距離
    (Xμ)3
    の期待値と標準偏差の3乗との比で表す。
  • 確率変数の尖度
    β2
    は、確率分布の平均から離れた裾の部分の確率の多さ(重さ)を、4乗距離
    (Xμ)4
    の期待値と標準偏差の4乗との比で表す。

確率変数の平均、分散、標準偏差

確率変数

Xが確率分布
F
に従うとする。

XF

このとき、確率変数

Xが従う確率分布
F
の平均を略して、確率変数
X
の平均と言う。同様に、確率変数
X
が従う確率分布
F
の分散と標準偏差もそれぞれ、確率変数
X
の分散、確率変数
X
の標準偏差と略すことがある。

名称 定義 確率変数目線 確率分布目線
平均
μ
E[X]
確率変数の期待値 確率分布の重心
分散
σ2,V[X]
E[(Xμ)2]
確率変数と分布の平均との 2乗距離の期待値 確率分布の平均周り への集中度
標準偏差
σ,V[X]
E[(Xμ)2]
確率変数と分布の平均との 2乗距離の期待値 確率分布の平均周り への集中度
歪度
β13/2
E[(Xμ)3]σ3
確率変数と分布の平均との 3乗距離の期待値と 標準偏差の3乗の比 確率分布の平均周り の対称度
尖度
β2
E[(Xμ)4]σ4
確率変数と分布の平均との 4乗距離の期待値と 標準偏差の4乗の比 確率分布の平均周り の対称度

例えば確率分布について講義している時に、わざわざ確率分布の分散を、確率分布に従う確率変数と平均との2乗距離の期待値と言い直さない。逆に確率変数を扱っている時に、わざわざ確率変数が従う確率分布の分散とも言い直さない。

例えば確率変数

Xが、平均が
μ
の確率分布
F
に従う時、次の3つは同じ意味である。

  • 確率分布
    F
    の平均は
    μ
    である
  • 確率変数
    X
    の期待値は
    μ
    である
  • 確率変数
    X
    の平均は
    μ
    である

期待値が確率変数に関する演算なので、「確率分布

Fの期待値は
μ
である」だけは言わない。