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クオリティマネジメント

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クオリティ

クオリティ(品質)とは、品物又はサービスが、顧客からの要求事項、ニーズ又は期待への適合の度合い。さらにその結果として、顧客が満足している度合い。

なぜデータ分析スキルをクオリティマネジメントで養うか

逆。元々、統計的問題解決を一番実践してきたのが、日本のエンジニア。品質管理の分野では昭和中期に、エンジニアが自ら統計手法を用いて問題解決を行えるようにするための教育制度を整備していた。この教育制度とカリキュラムは、高校や大学のカリキュラムとは異なり、何ができるようになる必要があるか、というスキル(やコンピテンシー)の組み合わせに基づいて設計されていた。

1980年にNBCが放映したIf Japan Can Why Can't We?がきっかけで、アメリカが国をあげて、また各社もクオリティマネジメントに真剣に取り組み始めた。President's Commission on Industrial Competitivenessが1985年に発行したYoung Report (Global Competition - The New Reality, 1985)も、アメリカの政策に大きな影響を与えた。その後、スキルベースのシックスシグマプログラムや、経営品質の表彰をするMalcon Boldridge賞など、様々な取り組みが進んだ。

1980年前後はSQC(統計的品質管理)からTQC(全社的品質管理)へと発展していた日本の品質管理はその後、TQM(全社的品質経営、トータルクオリティマネジメント)へと進化した。その中で、問題解決や課題達成においては、事実の把握に基づく意思決定が徹底されている。

その後、医療分野でEBM (Evidence-based Medicine)が1991年に提唱されて、定量的な根拠に基づく医療が根付いた。また行政分野でEBPM(Evidence-based policy making)も、2000年頃には提唱されていたが、我が国においては近年、政策決定に重要視されるようになった。総務省資料「EBPM(エビデンスに基づく政策立案)に関する有識者との意見交換会報告(議論の整理と課題等)」(2018)には、データの要約としての記述統計と、データを分析して知見を得る分析統計がエビデンスとして示されている。また分析手法の一つに、回帰分析が挙げられている。

意思決定のためのファクトやエビデンスをデータから導くのが、分析科目で学ぶ分析スキル群である。

クオリティマネジメント

クオリティマネジメントについてのQC検定4級という入門レベルのテキストはこちら

SQC→TQC→TQMと日本の品質管理は進化してきた。TQCはSQCを含み、TQMはTQCを含んでいる。現在は、現場を維持管理する日常管理と、全社のベクトル合わせを維持する方針管理、そして品質という軸で部門横断的に各プロセスを管理する機能別管理の組み合わせで、経営の基準をクオリティに取り、持続的に経営を発展させるTQMプログラムに繋がっている。統計的問題解決は、SQC時代から長年かけて培われてきた実践的な問題解決アプローチと言える。

問題と課題

クオリティマネジメントでは問題の大きさや解決の効果の大きさなどを、必ず定量化した数字で計測する。定量化の方法に事前に合意しておけば、議論への主観の混入を排除できる。

問題は、あるべき姿と、それに達していない現状の差異を指していう。問題の大きさは、その差の大きさである。例えば損失額など、問題の大きさは通常、損失、被害などマイナスの印象を持つ値で測られる。







problem



現状

現状



本来あるべき姿

本来あるべき姿



現状->本来あるべき姿


問題



課題は現状と、ありたい姿との差異を指していう。課題の大きさも、その差の大きさである。







problem



現状

現状



ありたい姿

ありたい姿



現状->ありたい姿


課題



不良率を低減することで、どれほどの効果が得られるか、など課題の大きさは、プラスの印象を持つ値で測られる。

いずれの場合も、問題と課題の大きさは定量的に測るし、そのための方策の候補の効果の大きさも同じ基準で測って比較する。

みなさんの分野では、アウトカムの評価指標の設定と、それに基づく問題や課題の設定になるだろう。ビジネスではアウトカムの代わりに、KPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)などを用いて良い。

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統計的問題解決法

PDCA

Abbrev. Step What You Do
P Plan 計画
D Do 実行
C Check 評価
A Act 改善

CAPD

Abbrev. Step What You Do
C Check 現状把握
A Act 改善
P Plan 計画
D Do 実行

問題解決型QCストーリー

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課題達成型QCストーリー

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PPDAC

日本のQCストーリーを、1994年にWaterloo大学における統計教育(STAT231)の中で、問題解決のアプローチに変化させたもの。

Abbrev. Step What You Do
P Problem 問題の設定
P Planning 問題への取り組みとデータ収集の計画
D Data データの収集
A Analysis 分析
C Conclusion 結論

DMAIC

シックスシグマプログラムの中で用いられている、日本のPDCAかQCストーリーを、シックスシグマ流にアレンジしたもの。

Abbrev. Step What You Do
D Define VOCから課題を明確化して定義する
M Measure 現状プロセスの測定と把握
A Analyze 現状プロセスの分析と、全体最適のための改善要因の優先順位付け
I Improve 解決策の立案、プロセスの再構築
C Control 改善策や新しいプロセスの定着を諮る

データ

ファクトやエビデンスの源泉。データはその取得のされ方によって、得られる知見が異なる。(生物統計でも学ぶ?)

  1. 介入研究(実験)
    a. 患者の条件を揃えて治療方法をランダムに割り付ける無作為化比較臨床試験(RCT)
    b. 設定やパラメータなどを積極的に変えて最適な設定を求める実験計画法(DOE)
  2. 観察研究
    a. ケース・コントロールスタディ(ある時点で疾患罹患者と疾患非罹患者を集めて、状態や履歴の差異を研究する)
    b. コホートスタディ(一定の集団を長期間に亘って追跡する)

この科目では、皆さんは自らデータを取得することまではない。