probability-theory
マルコフの不等式により、平均のみから非負の確率変数に関する確率の上限が得られる。平均に加えて分散も分かっていれば、マルコフの不等式より大幅に精度が向上する確率変数の確率の上限が、チェビシェフの不等式により得られる。
任意の非負の値を取る確率変数に対して
および
が成り立つ。
任意の確率変数に対して
および
が成り立つ。
の場合に
が成り立つ。またについて
が成り立つ。これらより
が成り立つ。これの両辺を整理すると、マルコフの不等式を得る。
ある国在住の人の一人あたりの平均収入が500万円のとき、
が成り立つので、上位%に入るには、
よりが十分条件となる。
任意の確率変数に対して
および
が成り立つ。ただし と置いた。
チェビシェフの不等式から
より
および
も成り立つ。
と置くと、であり、についてマルコフの不等式
が成り立つ。ここで であり、
より、をで置き換えて、チェビシェフの不等式
を得る。
ある国在住の人の一人あたりの平均収入が500万円、標準偏差が100万円のとき
が成り立つので、上位%に入るには、
より が十分条件である。さらに
が成り立つための十分条件は
である。つまり年収が916万円以上であれば、上位10%に入る。