probability-theory
凸関数とは一般には、下に凸な関数を指していう。図の緑色の曲線が関数の軌跡とする。
この関数は任意の2点を取ると、を満たす実数に対して
が成り立つ。内点の関数の値は、関数の値の等分より大きくなる。この性質を下に凸という。
下に凸な関数の、任意の点での接線を考える。
この接線を と置く。するとすべての点において
が成り立つ。等号はの点のみで成り立つ。
下に凸な関数は局所最小となる点を一つしか持たない。その点は大域的な最小値を与える。
関数が上に凸の場合はすべての不等号の向きが反対になるだけで、同様の性質を持つ。
次元ユークリッド空間の中のベクトル同士の内積は、ベクトルを直交座標系で表現すると
と計算できる
赤いベクトルと青いベクトルの内積は、からに向けておろした垂線の足の長さとの長さの積になる。
赤いベクトルと青いベクトルの外積の長さは、からに向けておろした垂線の長さとの長さの積になり、これはとが作る平行四辺形の面積に一致する。またこれは、を原点の周りにだけ回転したベクトルと、を原点の周りにだけ回転したベクトルとの内積に等しい。
下に凸な関数について
が成り立つ。
を確率変数、をの標本空間上で下に凸な関数とする。に対して、において接する直線を考える。が下に凸なので、この直線の切片と傾きは
および
を満たすように定めることができる。
の期待値が有限なとき、より
が成り立つ。さらに右辺は
なので、最初の不等式が示される。この不等式が成り立つための十分条件はが有限なことである。
なお、上に凸な関数については
が成り立つ。
Jensenの不等式において、と置くと、
を得る。また、と置くと
さらに両辺の平方根を求めて、
を得る。以上から
となる。
ところで、Jensenの不等式からではないが
が示せる。これも合わせると、
となる。
絶対値の期待値についての不等式は、の範囲でがより小さいことと、それ以外の範囲ではとなることを用いて、次のように示される。
不等式に等号が含まれてはいるが、左辺に対して右辺で
だけ加えているので、これら3項のすべてがでなければ等号は成立しない。
三つの期待値を
と定める。これらの大小関係を考える。
より、
を得る。また
より、
すなわち
を得る。
以上から
を得る。
を確率で個の点のいずれかを取る確率変数とする。すると上の3つの量はそれぞれ
のように標本平均、幾何平均、調和平均となる。これらの大小関係は例2と同じく
となる。
内積空間の中の任意の2点について
が成り立つ。ただしノルムは、内積から導かれるとする。
これがCauchy-Shwartzの不等式である。これは一般の内積空間で成り立つ。
2つの互いに直交しない要素を考える。からに向けて降ろした垂線の足は
となる。垂線をと置くと、
であり、点のノルムは以上となる。この関係から
を得る。よって
すなわち
を得る。等式はとがと平行な関係にある場合に成り立つ。
任意の2つの確率変数の相関係数はとの間の値を取る。
これは上の不等式と、相関係数の定義
から明らか。
別の証明として、の分散を考える方法もある。
最後の式を平方完成させると更に
となる。もともと分散は非負であり、初項は必ず非負なので、この第2項と第3項から
が導かれる。これを整理して
を得る。
Cauchy-Schwarzの不等式
より、