probability-theory
ここにも書いてある。
もしの期待値
がの周りで有限の値を取るなら、の関数とみなしたをモーメント母関数という。
様々な確率分布のモーメント母関数の例を掲げておく。
正規分布、ガンマ分布、ベルヌーイ分布などを用いて描いた。
モーメント母関数の名称は、この関数を回微分してと置くと、次の原点モーメントを得ることによる。
確率分布のすべての原点モーメント
が発散せずに有限の値を取るとする。そして
がの近傍で発散しなければ、に収束する。
モーメント母関数の付近の曲線としての様子が、確率分布のすべてのモーメントを定める。次の図は、上の図の拡大版である。
二つの確率分布, がいずれもモーメント母関数を持ち、それらがの近傍で等しいとする。
このとき、とは確率分布として等しい。
次の二つのモーメント母関数は、の間で完全に一致する。しかし、その外側では、異なっている。
この2つのモーメント母関数は、同じ確率分布に至る。モーメント母関数から確率密度関数を得るには、
という逆変換を経る。
二つの確率分布, に互いに独立に従う確率変数をそれぞれ, と置く。いずれもモーメント母関数, を持つとする。このとき の分布のモーメント母関数は、それぞれのモーメント母関数の積
で与えられる。
青のモーメント母関数と緑のモーメント母関数を掛けた結果のオレンジ色の曲線が、青と緑それぞれに対応する確率変数の和の分布のモーメント母関数になる。
2つの確率変数の和の分布を求めるには、次のようにが同じ値の確率や確率密度を集めて作る。
と置く。の確率分布の確率密度関数を得るには、が一定となる点の軌跡
の上で、同時密度関数を積分する。
離散確率変数であれば、その直線上の確率を集める。
これらの計算を畳み込みという。
のモーメント母関数を紐解くと、
となる。ここで、と変数変換を行った。この変換のヤコビアンはなので、省略した。更に、とが互いに独立なことを思い出すと、
に辿り着く。
確率関数の場合も同様である。
確率分布に対して
を特性関数という。
確率分布の次の原点モーメント
が発散せずに有限の値を取るとする。このとき、特性関数は階微分可能で、回微分してを掛けてと置くと、次の原点モーメントを得る。
モーメント母関数はすべての確率分布に対して存在するとは限らないが、特性関数はすべての確率分布に対して存在する。
特性関数が与えられたとき、それが積分可能なら、累積分布関数は絶対連続であり、確率密度関数が
で与えられる。
モーメント母関数の性質はすべて備える。
モーメント母関数と特性関数の対数
を、いずれもキュムラント母関数という。