probability-theory
確率の算法に、2種類のベイズの定理を掲げた。それらを少し詳しく説明する。
二つの事象, を考える。条件付き確率と周辺確率、が与えられたとき、を条件としたの条件付き確率を次のように計算できる。
条件と結果を逆にした条件付き確率を逆確率ということもある。
これは確率の乗法法則
から直ちに
と導かれる。分子は同時確率を乗法法則で計算しているので、条件付き確率の定義
そのものでもある。
ベイズの定理は、次のような状況で用いる。事前にという現象を観測すると、も観測できる、というジンクスがある。その確からしさはおよそとのことである。が観測される周辺確率はと少し稀であり、の観測に気づかずとも確率では生じる。が観測される周辺確率はで、生じない確率の方が大きい。
このとき、を観測できたという条件の下で、も生じていた確率を求めると
となる。
事象列 を標本空間の被覆とする。被覆とは、互いに素
かつ、事象列の総和集合
が標本空間に一致するような事象列である。
また、この事象列とは別の事象を考える。このとき、次の定理が成り立つ。
このベイズの定理は、分子が同時確率
であることと、分母がの周辺確率
であることを用いて、証明できる。
ベイズの定理は、例えば次のような状況で用いる。
ある検査方法は、複数の疾患に反応を見せる。
確率 | 疾患A | 疾患B | 疾患C | 疾患なし |
---|---|---|---|---|
に反応あり |
またそれぞれの疾患に罹患する確率は、次の表で与えられている。
確率 | 疾患A | 疾患B | 疾患C | 疾患なし |
---|---|---|---|---|
罹患確率 |
検査に反応があった場合に、それぞれの病気に罹患している確率は、次のように求めることができる。
他の疾患の確率も同様に
と求まる。