期待値

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確率変数の期待値

確率変数

Xがある確率分布
F
に従って分布するとき、その確率変数の期待値を次のように定める。
F
が確率密度関数
f
を持つ場合は

xXxf(x)dx

Fが確率関数
p
を持つ場合は

xXxp(x)

いずれも確率分布に照らした

Xの中の重心を意味する量である。これらを確率変数
X
の期待値といい、
E[X]
と記す。

確率変数の関数の期待値

別の確率変数

Yがある確率分布
G
に従って分布するとする。ただしこの
Y
は実は
Y=X2
であり、
X
の分布は
F
と分かっている。このとき、
F
から
G
を導いて
Y
の期待値を計算すべきだろうか。

実は

Y
X
の関数と分かっていれば、
X2
の期待値を求めれば、それが
Y
の期待値となる。

EG[Y]=EF[X2]={xXx2f(x)dxxXx2p(x)

例えば

Xの標本空間を
R
、確率分布
F
の確率密度関数を
f
とすると、
Y
が従う確率分布の標本空間は
Y=R+

また確率密度関数は
g(y)=f(y)12y+f(y)12y

となる。ここから
Y
の期待値を求めると
0y{f(y)12y+f(y)12y}dy

となり、計算が複雑になっていく。これよりは
x2f(x)dx

の方が、最悪、部分積分2回で求まるかもしれない。

このような計算の簡略化のために期待値は、確率変数のみならず、確率変数の関数についても定義されている。

モーメント

確率変数

Xのべき乗
Xk
の期待値を、原点モーメントという。

mk=E[Xk]

特に

k=1の場合を
m1=μ
と記す。

確率変数

Xの平均
μ
からの偏差のべき乗
(Xμ)k
の期待値を、中心モーメントという。

μk=E[(Xμ)k]

k=1の場合は常に
0
である。

確率の期待値による表現

引数に条件式を取り、条件が成り立つ場合に

1を、そうでない場合に
0
を返す関数を識別関数という。
I(条件)={1条件が真0条件が偽

この関数を用いると、確率は期待値として表せる。
Pr[Xa]=E[I(Xa)]

Pr[X>a]=E[I(X>a)]

これは
I(xa)f(x)
の全範囲での積分が、
から
a
までの積分に等しいことによる。
I(xa)f(x)dx=aI(xa)f(x)dx+aI(xa)f(x)dx=a1×f(x)dx+a0×f(x)dx=af(x)dx