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正規試行列

tags: probability-theory

正規分布

平均が

μ、分散が
σ2
の正規分布
N(μ,σ2)
のモーメント母関数は
MN(μ,σ2)(t)=exp(μt+σ2t22)

である。これより互いに独立に同一の正規分布
N(μ,σ2)
に従う
n
個の確率変数
X1,X2,,Xn
の和のモーメント母関数は
{MN(μ,σ2)(t)}n=exp(nμt+nσ2t22)

となる。このモーメント母関数を持つ確率分布は
N(nμ,nσ2)

である。この事実から、
X1,X2,,Xn
の平均を
Xn=1nSn

の従う確率分布は、
N(μ,σ2/n)

となる。

上の計算に必要なこと

正規分布

N(μ,σ2) に従う確率変数
X
を位置変換する。その変換を
Y=X+b
とする。このとき
fY(y)=fX(yb)=12πσ2exp{(ybμ)22σ2}=12πσ2exp{(y(μ+b))22σ2}

より、
Y
は平均が
μ+b
で分散が
σ2
の正規分布
N(μ+b,σ2)
に従う。

正規分布

N(μ,σ2) に従う確率変数
X
を尺度変換する。その変換を
Y=aX
とする。このとき
fY(y)=fX(y/a)=12πσ2exp{(y/aμ)22σ2}×|1a|=12πa2σ2exp{(yaμ)22a2σ2}

より、
Y
は平均が
aμ
で分散が
a2σ2
の正規分布
N(aμ,a2σ2)
に従う。

以上から、正規分布に従う任意の確率変数の線形変換は、平均や分散は線形変換に応じて変化するものの、確率分布としては正規分布に従う。

さらに平均や分散が等しい必要はない2つの正規分布

N(μ1,σ12),
N(μ2,σ22)
に互いに独立に従う確率変数を
X1
,
X2
とする。このとき
MX1+X2(t)=exp(μ1t+σ122t2)exp(μ2t+σ222t2)=exp((μ1+μ2)t+σ12+σ222t2)

より、
X1+X2
は平均が
μ1+μ2
で分散が
σ12+σ22
の正規分布に従う。

数学的帰納法を用いれば、正規分布に従う有限個の確率変数があるとき、それらの総和や平均も再び正規分布に従うことを証明できる。