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従属と独立

tags: probability-theory

二つの事象の関係

復習

  • 標本空間
    X
    は全ての事象を含む集合
    事象
    A
    は標本空間
    X
    の部分集合
    AX
  • 二つの事象
    A,B
    が互いに素ならば、
    P(AB)=P(A)+P(B)
  • 二つの事象
    A,B
    が互いに素でなければ、
    P(AB)=P(A)+P(B)+P(AB)
  • 二つの事象
    A,B
    が互いに素でなければ、
    P(A|B)=P(AB)/P(B)
  • 二つの事象
    A,B
    が互いに素ならば、
    P(A|B)=P(AB)/P(B)=0

従属性

二つの事象

A,Bの間に、
P(AB)=P(A)P(B)

が成り立たない、すなわち
P(AB)P(A)P(B)

が成り立つとき、
A
B
は互いに従属しているという。
P(AB)=P(A|B)P(B)=P(B|A)P(A)

という定義から、
P(A|B)P(A)


P(B|A)P(B)

が成り立つとき、
A
B
は互いに従属している。

独立性

二つの事象

A,Bの間に
P(AB)=P(A)P(B)

が成り立つとき、
A
B
は互いに従属ではない。このとき
A
B
は互いに独立である、という。
P(AB)=P(A|B)P(B)=P(B|A)P(A)

という定義から、
P(A|B)=P(A)


P(B|A)=P(B)

が成り立つとき、
A
B
は互いに従属している。

互いに素な二つの事象は互いに従属している

二つの事象

A,Bが互いに素
AB=

な場合、
P(AB)=P()=0

であるから、
P(AB)P(A)P(B)

なので、
A
B
は互いに従属している。

従属と独立

午前と午後の天気の組み合わせを考える。括弧の中の一つ目の要素は午前の天気、二つ目の要素は午後の天気を表すものとし、曇りなど、雨が降らないという状況を、晴の一字で表すと、標本空間は

X={(,),(,),(,),(,)}
となる。

標本空間の4つの単位事象それぞれの確率が、次の表のように与えられているとする。

表1 確率表

午前\午後
0.4 0.2
0.3 0.1

この表から、午前の天気の確率と、午後の天気の確率を求める。

Pr[午前の天気が晴]=P({(,)})+P({(,)})=0.4+0.2=0.6Pr[午前の天気が雨]=P({(,)})+P({(,)})=0.3+0.1=0.4Pr[午後の天気が晴]=P({(,)})+P({(,)})=0.4+0.3=0.7Pr[午後の天気が雨]=P({(,)})+P({(,)})=0.2+0.1=0.3

これらを表に加える。

表2 確率表

午前\午後 午前の周辺確率
0.4 0.2 0.6
0.3 0.1 0.4
午後の周辺確率 0.7 0.3

午前の天気が晴の確率は0.6、午後の天気が晴の確率は0.7なので、午後に向けて少し天気がよくなる傾向にあることが読み取れる。

このとき、

Pr[]=0.4Pr[]×Pr[]=0.6×0.7=0.42
$$

より

Pr[]Pr[]×Pr[]
が成り立つので、午前と午後の天気は互いに従属である。

逆に、次の予報が与えられているとする。

表3 天気予報

事象 確率
午前の天気が雨 0.4
午後の天気が雨 0.3

もし午前と午後の天気が互いに独立ならば、

Pr[]=(10.4)(10.3)=0.42
となる。しかし、地球上の気象現象が時間と共に変化することを考えると、隣接する時間帯が互いに独立な筈がない。天気予報は、表2に記した周辺確率のみを教えてくれていて、そこから表1の確率を復元できない。

なお、傘を持たずに出掛けて良いかを考える際に

0.6×0.7=0.42,min{0.6,0.7}=0.6,(0.6+0.7)/2=0.65
などの数字を参考にするのは、すべて誤りである。表1に記されている4つのか確率のうちの、少なくとも一つが併せて提供されていないと、雨が降らない確率は求まらない。それは乗法法則
Pr[]=Pr[|)]×Pr[]

からも分かることである。この条件付き確率を求めるために、
Pr[|)]=Pr[]Pr[]

より同時確率が必ず必要になる。

もし確率が表4で与えられていたなら、、午前と午後の天気は互いに独立となる。

表2 確率表

午前\午後 午前の周辺確率
0.42 0.18 0.6
0.28 0.12 0.4
午後の周辺確率 0.7 0.3