この2年ほど不調でしたが、ようやく安定してマラソン完走できるまで回復。
3時間25分とベストには遠いのですが、ダメージなく余裕を持ってフィニッシュできたこと、また来年以降の優先エントリーをクリアできたこと、今後のトレーニングで重視するポイントが見えて、一安心です。
2022年に腰と股関節が故障し、またコロナをきっかけにフィットネスが低下傾向となり満足に完走できない状態が続く。
昨年は春のUTMF、秋の奥三河がDNF。また、夏から風邪を繰り返し、10月には肺炎となり、ジョグでもキロ7が精一杯に。思ったより回復が遅いこと、忙しさもあり加古川マラソンは諦め、動作性の向上を優先。12月半ばにハーフマラソン、1時間42分。
年末〜年始にようやくジョグペースがキロ6に戻ったもののテンポ走の構築は間に合わず、愛媛マラソンの日となる。
正直なところ、タイムが出やすいコースではない。起伏があり、坂があり、海沿いで向かい風も強い。しかし、
・コースが広い
・運営がスムーズ
・エイド、救護、リタイア収容が厚い
・主要都市からの直行便
・空港からの良好なアクセス
・会場近くにホテルが多い
・飲食店や宿泊のキャパが大きい(家族も滞在しやすい)
・優先エントリー枠(男子3時間半・女子4時間以内)が広め
という観光都市らしいメリットが大きく、リピータも多いのではないでしょうか。
ぼくの場合は、自宅〜ホテルが3時間半と、時間的にはぜんぜん遠くなくて楽。
練習ボリュームと計画、調整といった全体の進捗は藤岡コーチに依頼し、自分では個々のワークアウト内の調整をしてました。
11月下旬から忙しくなり予定が合わず加古川マラソンは断念、今シーズンのマラソンは愛媛だけ。
夏から調子はいまいちだったのですが、10月の肺炎後はジョグのキロ7がやっと。
マラソンのセオリー通りなら、忍耐強く低強度のジョグから基礎を積み直してLTを押し上げるべきですが、藤岡コーチに無理いって高強度のヒルリピートやインターバルに振り切りました。
12月中旬のミニ大会では、ハーフ1時間42分。加古川に出てたとしたらサブ4できるかどうか。
ただ、ジョグ(Z1-2)と高強度(Z4-5)の両極端に振った効果はあり、年末年始にはジョグペースが安定してキロ6まで戻る。1月には走行距離を伸ばせるようになってきましたが、テンポ領域(Z3)を伸ばすには時間切れ.
あと、愛媛の細かく繰り返す起伏への対応として、週末のロング走にspeed playを加えて練習してました(0.75mi走ったら0.25miは出力を上げるを繰り返す)。
トレーニング中に出てきた、マラソン当日に影響するだろうな、という課題と解決。
1. 走り出すと低血糖が起きる
2. トイレが近い
3. 筋肉が落ちて軽くなりすぎる
4. 謎の倦怠感が続く
「トイレが近い」は塩分不足でした。経口補水液や塩分をとることで解消。
「走りだすと低血糖」は、運動誘発性の低血糖。早朝ランナーの宿命かも。「フルクトース+グルコース」の補給食で解決。具体的には、GUのロクテインミックスやモルテン。
「筋力低下」は、運動量の増加とエコノミー改善、そして加齢ですね。補強トレで即席的に解決。エコノミー改善とは相反ですが、1週間前までやってました。
最後。謎の倦怠感について。
これはもうなっちゃったらどうしようもない。謎の風邪でやられた人は分かると思うんですけど、LT(Zone2と3の境目)強度の倦怠感がずっと続く。歩いてても走っても仕事しててもずっとLT強度ぐらいの倦怠感(有酸素系がやられることが示唆されてますが詳細は割愛)。
ただ、倦怠感よりも強度がたかい刺激がある間は倦怠感を感じなくなる。インターバルとか坂リピートとかですね。心肺系のダメージが回復したのに戻ってこない人は、無酸素系(筋トレや坂リピート)や神経系統の動作性改善を試すのも悪くないと思います。
病み上がりなので優先順位を決めました。
スピード・筋力どちらも不十分なのでタイムは狙えない。
1. 継続性を損なうダメージは絶対に回避する
2. 愛媛優先エントリー枠(3時間半以内)をキープ
3. 装備の適正や課題が解決されたか(データ取得)
SNSのタイムライン見てるとつい競いがちですが、今回はそういう他人との比較(勝負)ではなく成否をゴールにしました。勝負は理屈だけじゃないけど、成否は理屈にかなうかどうかなので。全力を出し切る、というのも測れないし無茶しがちなので除外。
お正月にアルファフライ3を買えたものの、股関節の負荷と持久力の足り無さすぎて無理。
バネのある走り・ペタペタした走りのどちらも対応でき、股関節の負担が少ないベーパーネクスト%を使うことにしました。
冷静にみると、好調に感じてても、数値でみると肺炎前に戻ったかどうかぐらい。
直近の5kmは20分49秒(239W平均)。
VDOTで3時間20分ぐらい、Stryd予測、Garmin予測は3時間25分あたり。
すべてがベストでも3時間15分は届かない。運がいいと3時間20分はいけそう。大失敗しなければ3時間半は固そう。
なのでストレッチした目標とはせず、ペース配分は前半キロ4分50秒ぐらいで行って、余裕があったら30kmすぎでペースアップすればいいや、という作戦にしました。
愛媛は細かいアップダウンも多いのでペースではなく、207W平均と、パワーをターゲットにしました。
あとは低血糖を起こさないための補給、トイレを減らすために事前の塩分摂取。
服
・Tシャツ
・短パン
・ウェストベルト
・つば付き帽子
・雨予報なのでコンタクトレンズ
・テトンブロスのウインドシェル(風が強く結果として正解)
・ベーパーフライネクスト%(2代目ぐらいのやつ)
補給食
・モルテンのGEL100を2つ(1つはCAF)
データロガー
・Stryd Duo(ペース、パワー等のランニングメトリクス取得)
・Freestyle Libre 2(グルコース値・血糖値)
・Garmin(ランニングメトリクスの記録)
・iPhone+Shokz(グルコース値記録と音声フィードバック)
愛媛は何度も出てるのでコースも知ってる。
朝起きておにぎり食べて2時間前までモルテン320。ホテルからは歩いて10分ぐらい。
30分前に荷物預け。小雨となりゴミ袋かテトンブロスのウインドシェルか迷うがウインドシェルを選ぶ。
20分前、整列の締め切り。Aブロックスタート。ゲートまで27秒ぐらい。最初だけ混んでるが1kmぐらいで2車線。
2kmでトイレ。そのあと3時間半のペーサーがいて変だと思ったが「ゆっくり走ってる」というので抜いた。
〜10km。平田の登り坂。くだり。のぼり。トンネル2つ。
15km~20km。下りで股関節があやしい。ので下りだけスリ足のペタペタ走法に変更。エイドには負け犬バスが2台ありおもてなしを感じる。
国道から外れ、川沿いの上りでハーフ。1時間43分。12月のハーフマラソンのタイム。ぜんぜん余裕なので復活を感じる。血糖値のトレンドダウン検出。モルテンGEL100を1個。
ハーフ過ぎて上り詰めたあたりのエイドを過ぎると下り基調。山車があり太鼓が賑やかで声援もあるがこれは罠である。ここでペースアップすると30kmで終わる。なので意識して抑える。
23〜25kmで折り返しの往復がある。ここも微上り微下りで地味にきつい。ここも応援に乗せられてはいけない。
27km付近。やってきた国道に戻り帰り道。いきなりまた上りであり、飛ばしてきた人はだいたいこの辺で後悔するはず。残してきたので余裕だが向かい風が強い。
30km。あと12kmと考えると余裕を残しすぎたのでペースアップ。だが向かい風が強いのでスピードは上がらない。血糖値が下がってるよアラートでたのでGEL100をもう1つ(カフェイン入り)。
35kmあたり。トンネル2つに戻る。白バイに先導されたメロディアスなピーポー車がトンネル内に反響してサイケデリック。
37km。平田の坂。まあそれなりにきついがあと5kmしかなく余裕。最大の懸念だった平田の坂の下りは、スリ足のように上下動を押さえ、股関節のトラブルなくクリア。過ぎてみればなんかちょっと目標を低く設定しすぎたかも。風が強い。
40km〜フィニッシュ。川沿いとなり松山城が見えてきて南海放送のアンテナが見えてきてお堀の橋がみえてきて橋をわたって、でかいバスタオルをもらって終わり。
終わったあと。麦茶のペットボトル2本飲んだ。そういえば走ってる間は水を飲まなかった。それなりに疲れたがふつうに歩けるし翌日以降も筋肉痛もなし。
グロス:3時間25分と何十秒
ネット:3時間25分ちょうど
その日も翌日以降も筋肉痛や故障もなく、最優先であった練習の継続性には支障なし。
優先エントリー権も課題も解決できたので、目標は達成となりました。
・シューズ・・・アルファフライ3にしなくてよかった。してたら股関節が死んで負け犬バスに乗ってた。
・ウインドシェル・・・ゴミ袋にしなくてよかった。してたら途中で捨てて後半で低体温になってたかもしれない。余裕のあるペースだと体温が上がらないので保温したほうがよい。
・コンタクトレンズ・・・帰りは目が乾きがちだったが、雨の中のメガネよりはるかにマシ。
・ウエストベルト・・・iPhoneとジェルを持つならあったほうがいい。
タイムを狙うなら軽量化ですけど、今回は血糖値の変化は記録しておきたかったので。
・モルテンジェル100・・・大して重いものでもないので、10kmごとに食べる用にもう1つ(合計3個)保ったほうが得そう。
Strydは、ランニングダイナミクスを取得できるフットポッドです。
加速度の積算により、ペース、距離、ケイデンス、上下動、高度変化、フォース、脚のバネ、左右差、それらから総合された推進パワー、姿勢制御に消費されたパワー(form power)、空気抵抗(Air Power)が取得できます。
今回はパワーターゲットで走ること(起伏があるため)、メトリクスの取得を目的に使用しました。
前半は キロ4分50秒・204W平均
後半は キロ4分48秒・210W平均
と、後半型で走れてるのが記録されてます。ペース差が小さいのは、後半の帰りが向かい風だからで、それは表中の Air Power に現れています。
帰りのあの爆風のなか同じペースを維持すると、6Wぐらい食われる計算。
今回、Stryd Duoを積算距離センサーとして使いました。スタート到達までの距離とトイレの距離を含めて、42.48kmでした。トンネルが4回(2km弱)あるのでGPSは狂いやすいですが、現行世代のStrydはめっちゃ正確と思います。
連続して血糖値を推定するためのデバイスで、リブレ2は1分単位で取得できます。
(実際に測ってるのは血糖じゃなくて組織間液だが血糖値の代用となる)
今回は、運動誘発性の低血糖がいつ起きるかを観測したり、補給のタイミングを図るのに使いました。
リブレリンクアプリは画面を見ないと数値が分からんのでランニング中は不便ですが、Shuggahは1分毎の数値を音声で読み上げできます。
5分おきだと細かすぎるし、10分ごとだとちょっと広いので、今回は8分ごとにアナウンスさせ、SHOKZ(イヤホン)で聞いてました。
1分毎のグラフおよびデータも取得できて、
10〜13時半のマラソン中は低血糖(70以下)を起こしてないのが分かります。
スタート後は不安定からの下落トレンドですが、気づいて11時45分(ハーフ地点)でGEL100を食べ、30km地点で追加したことで後半の血糖値が安定してるのも分かるでしょうか。モルテンすごいですね。10km地点でも食べたほうがよさそうです。
結果として、目標設定は保守的すぎました。
例えばキロ4分40秒で行って25kmぐらいで潰れ、そのあとキロ5分20秒になっても3時間半は切れるわけですから。
とはいえ、また股関節とかぶっ壊れて何ヶ月も満足に走れなくなるのはもうイヤです。
今回は、低血糖を起こさない補給、身体をぶっこわさない強度、バネの効く走りと関節温存のペタ走りの使い分け、加齢に伴う補強トレの重要性など、多くの収穫がありました。
次は夏の OSJおんたけ ですが、夏前ぐらいまで回復した今のペースをベースに、低強度ボリュームを増積み増せるとよいです。
今後の目標もストレッチしすぎることなく、安全に走れるキャパシティを広げることを最優先で行きます。