Sekiro 研究

基本要素

ダメージ計算の基本

まず最初に、大雑把なダメージの計算式を掲げておく。内容の詳細については、後述する。

(武器のダメージ定数)×(攻撃の種類によるダメージ倍率)×(ダメージ属性によるダメージ倍率)×(攻撃対象のダメージ補正)×(攻め力倍率)×(強化アイテムによるダメージ倍率)

この計算は、HP ダメージと体幹ダメージの両方について行われる。ただし、体幹ダメージについては、ダメージ属性による違いがない。

攻撃の種類とダメージの種類

全ての攻撃のダメージは、その性質によって分類することができる。物理ダメージ、炎ダメージなどの性質(属性)による分類である。
また、PC の攻撃も、NPC の攻撃も、その種類によって分類することができる。斬り、突き、弱打撃、強打撃などの主に攻撃の外観による分類である。
攻撃の種類による違いがあるのは物理ダメージのみである。種類によるダメージ倍率に物理以外のダメージ倍率が乗算されることはない。そのため、攻撃の種類は物理ダメージの下位分類であると理解してもよい。

ダメージの種類(ダメージ属性)

属性は、一つだけ与えられる。ただし、ある攻撃について、20ダメージ分が物理属性で、40ダメージ分がガード貫通属性といったことはある。
ダメージ属性によるダメージ倍率が乗算されるのは HP ダメージのみで、体幹ダメージに属性倍率が乗算されることはない。

物理ダメージ(物理属性)

ほとんどの攻撃が物理ダメージだと考えてよい。

ガード貫通ダメージ(ガー貫属性)

一部の攻撃は、ガード貫通ダメージを与える。対象がガードをしていても、直撃ダメージの0.5倍の HP ダメージを与える。

魔法ダメージ(魔法属性、霊属性)

ゲーム中では魔法という表現はされないが、紙ふぶきを使用した場合のダメージは、魔法ダメージと考えるのがわかりやすい。怨霊に対して効果が高い属性である。ガードをしていても、直撃ダメージの0.75倍の HP ダメージを与える。

炎ダメージ(炎属性)

炎によるダメージであるが、炎上によるダメージとは異なる。炎上という結果に至らない場合であっても、炎属性を持つ攻撃によるダメージは、物理属性とは異なるものとなる。ガードをしていても、直撃ダメージの0.67倍の HP ダメージを与える。計算は小数で行われるので、3分の2ではなく、正確に0.67倍である。

その他のダメージ

炎上、中毒ダメージは特殊なダメージなので別の計算となる。雷のダメージも、特殊な計算となる。

攻撃の種類

斬り、突き、弱打撃、強打撃、遠隔(射撃)、対下段、対空、その他に分類できる。

斬り

基本となる斬りつけによる攻撃である。

突き

突きは、ガードできない攻撃である。ガードはできないが、弾くことはできる。また見切りも可能である。

弱打撃

殴る、蹴るなどの攻撃である。拝み連拳や菩薩脚が代表である。素手の NPC の多くも弱打撃の攻撃である。

強打撃

斧による攻撃は、強打撃に分類される。NPC に強打撃の攻撃はない。

遠隔

手裏剣による攻撃である。銃撃、砲撃は、ダメージ計算に関して手裏剣と違いがない。

対下段

下段攻撃に合わせると、体幹ダメージが8倍になる攻撃である。踏みつけと、仙峯脚(菩薩脚)の蹴り下ろしのみ。

対空

空中にある敵に対してダメージが大きくなる。仙峯脚(菩薩脚)の1撃目など。NPC に対空の攻撃はない。

その他

特殊な攻撃は、その他に分類できる。火吹き筒、ぬし羽の霧がらすの炎などが該当する。

クリティカル

いくつかのダメージはクリティカルダメージとなる。

下段クリティカル

下段攻撃中の敵に対しては、空中蹴りと仙峯脚(菩薩脚)蹴り下ろしがクリティカルで、体幹ダメージが8倍となる。
ただし、中ボスの百足に対しては、体幹ダメージ12倍である。

空中クリティカル

空中の敵に対しては、対空と遠隔(銭つぶて以外の手裏剣)がクリティカルとなる。PC が空中にいる場合も、敵の遠隔攻撃がクリティカルとなる。
対空クリティカルは体幹ダメージ1.5倍、遠隔クリティカルは体幹ダメージ8倍である。PC が空中にいる場合の遠隔クリティカルは体幹ダメージ1.5倍である。

その他のクリティカル

天守梟の体幹回復中も各種ダメージ倍率が増加する。たとえば、体幹回復中の遠隔攻撃は体幹ダメージ8倍である。
盾持ちの敵に対する盾破壊、鎧引き剥がし、首なし獅子猿の百足引き寄せなども、クリティカルとして特殊な計算となり、最大 HP、最大体幹に対する割合ダメージとなる。

ダメージレベルとダメージアニメーション

ダメージレベルの種類

狼の攻撃にも、NPC の攻撃にも、ダメージレベルが設定されている。ゲーム中で使用されているダメージレベルは次のとおりである。

  • DL1 小
  • DL2 中
  • DL3 大
  • DL4 吹っ飛び大
  • DL5 押し
  • DL6 叩きつけ
  • DL8 極小
  • DL9 かち上げ
  • DL10 吹っ飛び特大
  • DL11 ブレス

ダメージレベルによって、被弾アニメーション、ガードアニメーション、弾きアニメーションが異なる。

ダメージアニメーション

ダメージレベルに応じて、ダメージアニメーションが選択される。いくつかの特殊効果は、ダメージアニメーション変更の効果を持つ。代表的なものは赤成り玉(赤目)である。

ダメージアニメーションには、通常の被弾アニメーションと加算アニメーションがある。
被弾アニメーションに入ると行動が妨害される。
一方、加算アニメーションでは行動が妨害されず、単に体が揺れる動きが加算されるのみである。

ガード、弾きアニメーション

ガードアニメーション、弾きアニメーションは、ダメージレベルに応じて選択される。
その結果、ダメージレベルに応じてガード硬直、弾き硬直の長さが変わることになる。
ガード硬直、弾き硬直の長さは、その後に選択する行動によって異なる。通常、次の行動がガードの場合の硬直が最も短く、次の行動が移動やアイテム使用の場合の硬直が最も長い。

狼から敵への攻撃

結果だけ知りたい場合

スプレッドシートを公開しています。コピーを作成して使ってください。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1Ey3rEFmZ9nO0ggQvRtXwldSJ8Vk7MAM7eqj-j1vQcRk/edit?usp=drive_link

武器による違い

狼の攻撃のダメージの数値は武器ごとに決まっている。とはいえ、行動は武器に依存するので、結局は武器ダメージに行動による倍率を乗算した結果だけがわかれば問題ない。
斧で突きはできないし、楔丸を投げることもできない。

狼の攻撃ダメージ一覧

武器ダメージに行動別倍率とダメージ属性別倍率を乗算し、主なものを抜粋したのをまとめた。
https://gist.github.com/Smriji/a8d9118d68d1bf89f203c81971ede417

攻撃対象のダメージ補正

NPC には、攻撃の種類とダメージの種類について、それぞれ倍率が設定されている。
たとえば、怨嗟の鬼は、炎属性についてダメージ倍率が0であり、炎攻撃による HP ダメージは常に0となる。
主なボスのダメージ補正についてまとめた。
https://gist.github.com/Smriji/ce585c18ee03874b8e4b96ba9260ff94
突き、打撃などの攻撃の種類による HP ダメージの補正は、物理属性のみ適用される。

ダメージ補正については、一定の傾向が読み取れる。

皮下脂肪系

うわばみの重蔵、首無し、太郎兵といった NPC は、突きに弱く、打撃に強い。皮下脂肪は打撃ダメージを吸収するようである。

鎧を着ている敵

鎧を着ている敵は、ガード貫通ダメージが軽減される。一方で、裸に近い敵は、ガード貫通ダメージが大きくなる。
天守弦一郎は、途中まで鎧を着ているが、3ゲージ目で脱ぐ。脱ぐとガード貫通属性の攻撃に弱くなる。

怨霊系

首無し、七面武者といった怨霊系は、魔法ダメージが1.5倍となる。

打撃に弱い敵

お蝶、お凛、佐瀬甚助などは打撃に弱い。

小型の獣

犬、猿、鶏といった小型の獣は、炎ダメージ2倍である。犬と猿は遠隔(射撃)ダメージも2倍だが、鶏は遠隔に対して普通である。

エンチャント

紙ふぶき、炎纏い、血纏いなどはエンチャントとして別の計算となる。

紙ふぶきエンチャント

紙ふぶきエンチャントは、通常の攻撃とは別にダメージを計算する。基本ダメージ20の魔法属性ダメージ(HP ダメージのみ)である。通常攻撃の種類によって紙ふぶき分のダメージが変わることはない。

炎纏い

通常の攻撃とは別に、基本ダメージ20の炎属性ダメージ(HP ダメージのみ)を与える。

赤血纏い

通常の攻撃とは別に、体幹に15、HP に魔法属性40のダメージを与える。通常攻撃より当たる範囲が広い。

毒血纏い

通常の攻撃とは別に、体幹に15、HP に物理属性40のダメージを与える。通常攻撃より当たる範囲が広い。中毒にさせる効果もある。

白血纏い

通常の攻撃とは別に、体幹に15、HP に魔法属性40のダメージを与える。通常攻撃より当たる範囲が広い。攻撃ヒットで10%、血煙ヒットで5%の HP を回復する。

風纏い

通常の攻撃とは別に、HP に物理属性80のダメージを与える。

傘の蒸気ダメージ

傘は、放ち斬り時点で貯まっている蒸気レベルに応じた追加ダメージを与える。蒸気レベル1で HP 126体幹30、蒸気レベル2で HP 189体幹60、蒸気レベル3で HP 252体幹90である。

蒸気レベルは、弾丸(弾丸と分類されている攻撃)を傘で弾くかガードすることで貯まる。貯まる蒸気の量は、弾丸ごとに設定されている。弦一郎の溜め弓、怨嗟の鬼の落下攻撃などは、1度の攻撃でレベル1相当の蒸気が貯まる。

怨霊バリア

怨霊系の敵は怨霊バリアという効果を持つ。ダメージ軽減効果である。
具体的には、首なし0.1、七面武者0.33、水生のお凛0.67という数字が乗算される。HP と体幹の両方に影響がある。
この数字が乗算されるのは直接攻撃が当たった場合に限られ、敵のガードや弾きの場合、狼のガードや弾きの場合のダメージには乗算されない。
紙ふぶきエンチャントは、怨霊バリア無効化の効果を持つ。紙ふぶきエンチャントは楔丸についてのエンチャントであり、義手忍具や不死斬りにエンチャントの効果は及ばない。ただし、楔丸による怨霊バリア無効化は0.3秒持続するため、楔丸によらない攻撃にも影響することはある。
瑠璃の浄火と鳳凰の紫紺傘も怨霊バリア無効化の効果を持つ。まぼろしクナイの蝶々と瑠璃の斧は、霊属性(魔法属性)を持つが、怨霊バリアは無効化しない。

狼によるガードと弾き

弾き効果発生条件

狼のガードアニメーション中に敵の攻撃が当たった場合には、ガードか弾きになる。ただし、一定の角度外からの攻撃は被弾する。なお、傘は全角度からの攻撃をガードできる。
ガードアニメーションの最初のフレームに被弾した場合には弾きとなる。単純にガード入力1回に対して攻撃1回が当たった場合では、ガードアニメーションの最初の12Fが弾きになる。(60F = 1sec)
ガード連打は、弾きフレームを減少させる。2回連打で6F、3回以上連打で4Fになる。

ダメージレベルごとの狼の弾き硬直

弾き硬直の長さは、ダメージレベルごと、弾き後の行動ごとに異なる。

60F = 1sec(1秒60フレーム)とする

DL ガード加算入力開始 ガードアニメーション開始 通常攻撃 忍具、ジャンプ、ステップ、鉤縄 移動
DL1,2 0F 18F 12F 18F 30F
DL3 0F 18F 12F 18F 36F
DL4,6,9 18F 36F 36F 48F 60F
DL10 60F 78F 72F 72F 90F

NPC に DL5 の攻撃はない。DL11 は、怨嗟の鬼の落下攻撃衝撃波であり、そもそも弾けない。

弾き後の斬り返し

弾き後の斬り返しアニメーションは、弾きのアニメーションに依存する。弾きのアニメーションは DL に依存するので、結局、DL によって斬り返しのアニメーションも変わることになる。
DL1,2 と DL3 では、通常攻撃に関する硬直は変わらないが、斬り返しのアニメーションが変わるため、斬り返しが敵 AI に認識されるまでのフレーム数が変わることになる。例外はあるが、DL1,2 では弾き成立から斬り返しが敵 AI に認識されるまでに25から26フレーム必要であり、DL3 では37から38フレーム必要となる。

ガード加算入力のしくみ

弾き硬直などの各種硬直中は、ガード加算入力が可能である。加算入力時点ではアニメーションに変更がないが、硬直が解けた時点で通常のガードアニメーションが開始する。
ガード加算入力中に敵の攻撃が当たると弾きとなる。ただし、この弾き効果は最大18Fである。また、硬直解除後の通常のガードアニメーションでも最初の12Fが弾きとなる。結果的に、ガード加算入力をすると、通常よりも長い弾き効果が得られることになる。たとえば、DL1の攻撃を弾いた場合、理論上は最長で30Fの弾き効果が得られる。
ガード加算入力中に重ねてガード加算入力をすることはできない。また、ガード加算入力を利用して弾いた場合でも、弾き硬直は発生する。その結果、上の例の30Fを延長するような入力はできない。

以上の仕様により、特定のタイミングで3回以上の攻撃が連続すると弾くのが不可能になる。
弦一郎浮舟の一部と水生のお凛には、16Fと18Fの間隔の3連撃がある。この場合、最初の二つの間隔が16Fであるため弾き硬直が連続する。そして、2撃目を弾くための弾き硬直中ガード加算入力の弾き効果が18Fであることから、入力から18F未満の2連撃は弾けるが、18F以上の2連撃は弾けないため、ちょうど18Fで攻撃が当たる限り弾けない。
また、天守葦名一心の秘伝一心4連撃(見えない居合4連撃)は12F間隔の4連撃であるが、2撃目を弾くためのガード加算入力弾き効果が18Fであることから、24F後に当たる4撃目が弾けないことになる。