# 遊戯王におけるアドバンテージ **「速攻魔法発動!狂戦士の魂(バーサーカーソウル)!」** > [name=武藤遊戯] > こんなセリフを耳にしたことがあるでしょうか。 **「狂戦士の魂」はアドバンテージを失っています。** 今回は遊戯王におけるアドバンテージの概念について、5つの問題を用いながら紹介していきます。 この記事は、[デジクリ アドベントカレンダー2019](https://adventar.org/calendars/4266)の14日目の記事です。 ## 目次 > [TOC] ## アドバンテージとは 遊戯王において **「アドバンテージ」** と言われるものは、基本的に **「ハンド・アドバンテージ」** と **「ボード・アドバンテージ」** の合計です。 これら二つを合わせて **「カード・アドバンテージ」** と呼びます。 そしてそれを省略して「アドバンテージ」とされます。 「ハンド・アドバンテージ」と「ボード・アドバンテージ」はそれぞれ以下のものを指しています。 - 「ハンド・アドバンテージ」 - 自分が手札に持っているカードの枚数 - 「ボード・アドバンテージ」 - 自分のフィールド上に存在しているカードの枚数 すなわち、自分の手札とフィールド上に存在しているカードの合計を「アドバンテージ」と呼びます。 また、自分と相手のアドバンテージの差もアドバンテージと呼ぶことがあります。 遊戯王においてはカードの効果によるものを除き、カードの発動枚数には制限がありません。 つまりアドバンテージがあればあるほど、使えるカードが多いということになります。 使えるカードが多いということは有利であると言えるでしょう。 そのため、アドバンテージを増やしていくのが遊戯王の基本的な戦術の一つと言えます。 例外はあるので、後ほど紹介します。 今回はカードの「質」は度外視し、カードの「量」をアドバンテージととらえてください。 ## アドバンテージの計算 ### 基本編 アドの計算は消費したカードの枚数に対してどれだけ自分のアドバンテージを増やせたか、どれだけ相手のアドバンテージを減らせたか、で計算を行うことが多いです。 また、その枚数に応じて「1:1交換」や「1:2交換」などと表記する場合もあります、詳しくは後述。 早速以下の例題を考えてみましょう。 #### 問1 > 自分が「ブラック・ホール」を使用し、相手フィールド上の「青眼の白龍」のみを破壊した。 > この時、自分はアドバンテージを得たかどうか答えよ。 - カード解説 - 「ブラック・ホール」 - 通常魔法 - フィールド上のモンスターを全て破壊する - 「青眼の白龍」 - 超強力なモンスター - ブルーアイズホワイトドラゴンと読む #### 解説 さて、お互いの使用したカードの枚数について計算してみましょう。 自分は手札にあった「ブラック・ホール」を使用し、失っています。 合計1枚の損失です。 相手はフィールドにいた「青眼の白龍」を失っています。 合計1枚の損失です。 この場面ではお互いが1枚ずつカードを失っています。 お互いが-1なので、自分はアドバンテージを得ていません。 また、相手もアドバンテージは得ていません。 このことから、この場合は「アドバンテージは変化していない」ことになります。 解答的には「自分はアドバンテージを得ていない」ということになりますね。 #### 補足 問1では1枚消費して1枚消費させています。 実質的に1枚の消費で1枚を得たと言えるでしょう。 これは「1:1交換」が成立していると言えます。 | プレイヤー | 得たカード | 消費したカード | | ----------- | --- | --- | | 自分 | 0枚| 1枚 | | 相手 | 0枚| 1枚 | 実際には超強力なモンスターである「青眼の白龍」を破壊しているので不利な状況を覆したと言えますが、前述の通り今回はカードの「量」に限った話をするので「アドバンテージは変化していない」ものとします。 続いて次の場面を考えてみましょう。 #### 問2 > 自分が「ブラック・ホール」を使用して相手フィールド上の「青眼の白龍」2体を破壊した。 > この時、自身のアドバンテージの増減について答えよ。 #### 解説 この場面では自分が1枚消費したことに対して、相手は2枚消費しています。 これは実質的に自分が1枚分得していることになります。 解答としては「1枚のアドバンテージを得た」と言えるでしょう。 〇:〇交換表記にすれば「1:2交換」です。 | プレイヤー | 得たカード | 消費したカード | | ----------- | --- | --- | | 自分 | 0枚| 1枚 | | 相手 | 0枚| 2枚 | 続いてはこちら。 #### 問3 > 自分が「ブラック・ホール」を使用し、相手フィールド上の「青眼の白龍」と自分フィールド上の「ブラック・マジシャン」を破壊した。 > この時、自身のアドバンテージの増減について答えよ。 #### 解説 この場合は自分は2枚消費していることに対して相手は1枚の消費です。 つまり「1枚のアドバンテージを失った」ことになります。 2:1交換です。 | プレイヤー | 得たカード | 消費したカード | | ----------- | --- | --- | | 自分 | 0枚| 2枚 | | 相手 | 0枚| 1枚 | --- さて、基本編はご理解いただけたでしょうか? 自分が使った、失ったカードの枚数に対して相手が何枚のカードを使った、失ったかを考えることでアドバンテージを計算することができます。 続いて応用編に行きましょう。 ### 応用編 #### 問4 以下の状況を考えます。 自分のフィールド上に「サイクロン」2枚 相手のフィールド上に「サイクロン」1枚 - カード解説 - サイクロン - 速攻魔法 - フィールド上の魔法・罠カードを1枚を対象にとって破壊する 若干間違った言い方になりますが、この記事内では速攻魔法カードはいつでも発動できるカードと認識していただいて構いません。 この状況でアドバンテージの増減を考えていきましょう。 #### 問4 (1) > 相手が相手のフィールド上の「サイクロン」でこちら側の「サイクロン」のうち1枚を破壊した。 > この時、自身のアドバンテージの増減について答えよ。 #### 解説 これは基本編の通りですね! 相手が1枚消費したのに対して自分も1枚失っているので1:1交換です。 つまり「アドバンテージの変化はない」状態です。 | プレイヤー | 得たカード | 消費したカード | | ----------- | --- | --- | | 自分 | 0枚| 1枚 | | 相手 | 0枚| 1枚 | では次の場合はどうでしょうか? #### 問4 (2) > 自分が自分のフィールド上の「サイクロン」1枚を使い、相手の「サイクロン」1枚を破壊しようとした > しかし相手はその行動に対し、相手フィールド上の「サイクロン」を使ってこちら側のもう1枚の「サイクロン」を破壊した > 結果的にフィールド上の全ての「サイクロン」が失われた > この時、自身のアドバンテージの増減について答えよ。 #### 解説 この場合では自身は2枚、相手は1枚失っているので2:1交換です。 | プレイヤー | 得たカード | 消費したカード | | ----------- | --- | --- | | 自分 | 0枚| 2枚 | | 相手 | 0枚| 1枚 | フィールド上には1枚使って1枚を破壊できる「サイクロン」しか無かったのに、アドバンテージの増減が発生しました。 遊戯王では速攻魔法のように、ある程度自由に使用できるカードがあります。 自由に使用できるカードは失われる直前に使用することも出来るので、実質的に失われることを無かったことに出来るのです。 実質失われることを無かったことにすることにより、相手のアドバンテージを一方的に減らすことができます。 このように単純にカードに記載されている効果だけでなく、発動の順番を工夫することでもアドバンテージは稼ぐことができたりします。 続いての問題に行ってみましょう。 #### 問5 > 自分フィールド上に「クリッター」が存在している。 > 相手フィールド上に「青眼の白龍」が存在している。 > > 自分が「ブラック・ホール」を使用してフィールド上のモンスターをすべて破壊しようとした。 > それに対して相手が自身のフィールド上の「青眼の白龍」に対して「禁じられた聖槍」を発動した。 > その後「ブラック・ホール」で「クリッター」のみが破壊された。 > 「クリッター」の効果によりデッキの「クリボー」を手札に加えた - カード解説 - クリッター - 効果モンスター - フィールド上から墓地に送られるとデッキからモンスターを手札に加えられる - 破壊されると墓地に送られるので、破壊されるとデッキからモンスターを手札に加えられる - 禁じられた聖槍 - 速攻魔法 - モンスター1体を魔法・罠の効果から守る - クリボー - 効果モンスター - かわいい #### 解説 さて、アドバンテージはどうなるでしょうか? 答えは「アドバンテージは変化していない」です。 詳しく見ていきましょう。 自分が失ったカードは「ブラック・ホール」、「クリッター」の2枚です。 逆に自分が得たカードは「クリボー」1枚です。 相手が失ったカードは「禁じられた聖槍」1枚のみです。 | プレイヤー | 得たカード | 消費したカード | | ----------- | --- | --- | | 自分 | 1枚| 2枚 | | 相手 | 0枚| 1枚 | 自分にとっての得は、自分が得たカードと相手が消費したカードの合計です。 自分にとっての損は、自分が消費したカードと相手が得たカードの合計です。 ですので、自分にとっての得は2枚、消費したカードも2枚となります。 相手側も同様です。 すなわちお互い同じ数だけ消費していると言えるので、「アドバンテージは変化していない」状況なのです。 ちなみに、この場面では1:1交換ではなく、2:2交換と表記します。 --- 何も考えずに使うとアドバンテージを失うカードや、逆に上手く扱うと大量のアドバンテージを得られるカードは多くあります。 是非アドバンテージの計算を覚えて、ルールを守って楽しく決闘しましょう! ## 小ネタ話 ### 狂戦士の魂 冒頭でアドバンテージを失っていると記載した「狂戦士の魂」ですが、以下の2点によりアドバンテージを失っています。 - 発動時に手札を全て失う - 相手にダメージを与える効果しか持っておらず、効果終了後「狂戦士の魂」自身が失われる そのため、アドバンテージ的に言えば-(1 + 手札の枚数)となるでしょう。 ### アドバンテージを失う戦術を取るデッキ さて、基本的にはアドバンテージを稼いでいくことが多いとしましたが、ここまでの話ではカードの「質」を考慮していません。 どんなにカードを失っても、最強のカードを出せれば決闘に勝てる場合もあります。 そんなカードたちの顕著な例をご紹介しましょう。 #### 光の創造神 ホルアクティ このモンスターをフィールドに出すには、自分フィールド上の「ラーの翼神竜」、「オベリスクの巨神兵」、「オシリスの天空竜」の3体を消費する必要があります。 さらに「ラーの翼神竜」はフィールド上のモンスター3体を消費して出す必要があるので、合計6アド失うことになります。 しかし「光の創造神 ホルアクティ」は、フィールドに出たときに勝利する効果を持っています。 どれだけアドバンテージを失っても勝ちは勝ちです。 「光の創造神 ホルアクティ」はカードの「質」がとてつもなく高いと言えるでしょう。 ### ディスアドバンテージを稼ぐ 「ディスアドバンテージ」とは「アドバンテージ」の逆です。 「ディスアドバンテージを負った」とは「アドバンテージを失った」と同義です。 アドバンテージを稼ぐのが勝利への近道と言った流れでしたが、「量」と「質」を求めるためにディスアドバンテージを稼ぐ場合もあります。 というのも、遊戯王ではフィールド上には通常6体、最大でも7体までしかモンスターを出すことはできません。 そのため、「質」が高いモンスターを出す過程で出した「質」が低かったり効果を使用済みのモンスターを退かす必要があります。 その退かす行為に対して「ディスアドバンテージを稼ぐ」などと言ったりします。 通常のデッキではあまり行われる行為ではありませんが、インフェルニティを活用したデッキなど、長いコンボが行えるデッキなどではディスアドバンテージを稼ぐ作業が行われます。 敢えて損をするという選択肢もあることを覚えておきましょう。 ## 終わり アドバンテージ的な考え方は遊戯王以外のゲームでも使用できると思います。 アドバンテージをマスターして、あなたもルールを守って楽しく決闘!
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