# 質問を考えるときの覚書 この記事は、自分が質問を考えるときの覚書です。 自分がどういう点を意識して質問するのか?を発表練習を聞きながら考えてみたので、誰かの参考にここに残しておきます。 ただし、意味のないことを聞いたり、「問い詰める」ための質問ではなく、「相手や自分のために参考にできるか?信頼に足る根拠をもっていて参考にしてよいのか?」を聞くことが大事です。フロアが困ってたり気になったら質問しよう、程度でいいと思います。 それ以外で、後輩の研究を聞きながら質問を考えて、自分がするときに何をもとに質問しているのかを、ざっくりと覚書にした内容になります。 ## 発表のでっぱりをつかむ #### 専門用語(テクニカルターム)は質問しやすい 「その単語は何ですか?」 「研究における定義は何ですか?」 「どういう技術なんですか?」 「この分野は素人なのですが…○○って何ですか?」 #### 数値は質問しやすい 「精度高いんですか?低いんですか?その精度でOKですか?きれいすぎませんか?」 「その数値設定でいいんですか?」 「データや手法を変えたら数値どうなりますか?」 「なんでその回数やったんですか?」 「比較した手法をn個にした理由はなんですか?」 #### 不要な図や説明は質問対象にしやすい 「あれなんだったんですか?」「目的達成のどこにつながってるんですか?」「意味あるんですか?」「その図の意味を説明してもらえませんか?」 #### ”それ”選んだ理由はなぜだろう 「なぜ比較しているのですか?」 「この手法を採用した理由は?」 「それ以外の方法を採用しなかった理由は?」 「なぜ特別な書き方(定義)をしてるんですか?」 「このデータを対象とした理由は何ですか?」 ## 一貫性や範囲を探ろう #### 目的/ゴールが何か?を意識する  「結局目標は何ですか?こういうことを目標にしている認識でよいですか?」 「何を目指してるんですか?」 「実験手法はその目的達成のためにあってますか?」 #### 研究の目標は理想論、現実はどうなの?も質問しやすい 「その課題設定は背景の問題をほんとに解決できるの?」 「こういう実例があるけど、これでほんとに解決できんの?」 #### 全体の統括が、あっているのかを確かめて聞いてみる 「結局各部はどういうこと?」 「順番に語ってきたけど結局こういうことなの?」 「僕らが受けた印象とは違くない?」 #### 自分の専門分野の知識や例でも使えるのか?を考える 「この分野は素人なのですが…こっちにも〇〇という手法があって…興味深いと思いました」 「こっちではこういう現象があるんですが、それに近しい気がします」 「その部分は有識者的におかしいのでは?」 #### 何を見つけたいのか? 「予測したいものは精度を求めていますか?」 「意外な結果を見つけたいんですか?無難なところを見つけたいんですか?」 ## アイデアのたねから #### 未来のことを考える 「展望としてどういうことが今後考えられそうですか?」 「追加して実験をするならどうですか?」 「社会にどう役立ちますか?」 #### 逆・裏・対偶を考えてみる 「うまくいかない場合はどんな時ですか?」 「提案しているものの逆を当てるのはどうですか?」 「逆の手法としてこういうのもありますがどうですか?」 #### 光と闇 「うまくいったところ、いかなかったところを教えてください」 「メリットデメリット」 #### もやもやした部分を聞く 「具体例はどんな感じですか?」 「具体的にそこはどうする予定ですか?」 「説明でわからなかったんですけど、ここもう一度聞いてもいいですか?」 #### 普通と違うことに意味がある? 「世間でいう単語の意味と今回の研究では定義が違うのですか?」 「この表記を取っていることに意味があるのですか?」 ## 他人とのちがいを探ろう #### 前後が同じような研究室、同じような研究領域なら、違いを聞ける 「A君の研究とは何が違うんですか?」 「似た研究としてこういうのは考えられますが、参考にしましたか?」 #### 同じようなものと比較してどうか? 「先行研究との違いは何か?」 「実社会の例としてこういうのがありますけど、それとの違いは?」 ## どしどし感想まってます #### コメント 「よかったです!」 「こういう部分にも応用できそうでした!」 「実際の社会だと、こういうことが多いのでぜひその部分もカバーするといい研究になります!」 #### 勝手に俺がまとめる 「要するに、こういうことをやりたかったって研究でいいんですね?」 「ここの実験は、こういう認識であってますか?」 ## 終わりに 以上が、なんとなく僕が質問するうえで意識している点でした。 大体**小タイトル**に書いたような概念を意識しながら考えると、とりあえず時間つなげるくらいの質問は出せると思います。 ちなみに、もっと体系的に質問まとめがなされている記事があるので、こちらもぜひ → **研究発表でのよくある質問集**[http://kanamori.cs.tsukuba.ac.jp/docs/presentation_faqs.html] 質問を考えられるのはよい問いを立てることにつながり、良い問いを立てることは、自分の研究にもつながると思うので、ぜひ質問するとよいと思います。 余談ですが、「質問は良い問いを立てる練習」、良い研究テーマを探す練習になる、という概念がすごく好きです。自分がよく誰も質問しない空き時間に質問をしている理由は、下のリンクの記事を読んで学んだことがもとになっているとは思います。(単に面白くて聞いているのはもちろんですが)気になったらぜひ読んでみてください。 → **質問しないことは悪いことなのか-いつか博士になる人へ**[http://kanamori.cs.tsukuba.ac.jp/docs/presentation_faqs.html] 質問することで発表者を救うのはあなたです。 簡単なことでもぜひ聞いてみましょう。コメントでもしゃべってみましょう。発表者的には質問によって自分の研究や発表の効果、もしくは周りの認識を実感する機会なので貴重です。反応がないと、発表者的にも時間をつなぐのは大変なので、ぜひ質問してあげると発表者が喜びます。その場にいる教員も仕事が減り、発表者も難易度の高い質問に刺される確率が下がって安心できます。 (というか、教員は疑問があれば休み時間とかに個別コメントくれそうですし、最悪時間潰してもいいと思いました。もしくは、フロア見て先生が全然質問しなさそう or 特定の人だけとかならぜひしてあげるとよいと思います) 上記の点を意識すれば、質問時間が始まってから、最悪スライド資料さっと見るだけでアドリブ質問できるようになります。ダメ院生だね。質問を身に着けて、「質問できるマン」として優秀なニンゲンのフリをしよう! 以上、自分が質問するときの勘所や考えていることの覚書でした。皆様の参考になれば幸いです。