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AODC webinar #1 summary

*ウェビナーの録画をもとに、株式会社HackCampが作成したサマリーです。
*動画はこちらから: https://www.asia-opendata-challenge.com/

Asia Open Data Challenge 2020 レポートはこちらから:https://hackcamp.jp/hackathon/aodc2020/

キーノート

オードリー・タン氏(Digital Minister, Government of Taiwan)

「デジタルソーシャルイノベーション」

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<イントロ>
台湾、韓国、日本を一つにするのはデジタルイノベーションだと考える。
より早く多くの人々が参加することによって民主化は加速するが、東アジアにおいてはデジタルテクノロジーが人々の参加を促進するのに最適な方法だ。
様々な職業の人々が公共の福祉のために貢献する「シビックテクノロジー」が盛り上がっている。
この3カ国からそのような考えで沖縄に集まったこともあったが、COVID19パンデミックによって、初めて、シビックテクノロジーは人口の半数以上が利用するエンジニアリングプラットフォームとなった。
台湾における、こうしたソーシャル・イノベーションの動きについて語りたい。

パンデミック下のソーシャル・イノベーションはFast, Fair, Funに

Fast

ほとんどの国は2020年に入ってから対策を始めたが、台湾は年明け前に開始していた。
最初のコロナ症例が内部告発されたのは2019年の12月。台湾ではその日のうちにPPPボードを招集して翌日から武漢からの渡航者のヘルスチェックを開始した。

  • 市民社会が政府を十分に信頼していること
  • 政府が新しい市民社会からのアイデアにオープンであること
    • 台湾の中央感染症指揮センターが毎日カンファレンスを開きライブ配信した
    • #1922というホットラインを用意し、市民が新しいアイデアを出せるようにした。
    • 子供からピンクのマスクを馬鹿にされると電話があり、翌日からカンファレンスでスタッフ全員がピンクのマスクを着用した。
    • このような迅速な対応が、市民社会と政府の相互信頼を確立する。

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Fair

Slidoからの質問:どのようにして政府に新しいポリシーの採用を促すのか

  • Gov zero (join.g0v.tw) では、市民が不満のある政策に対し新しいアイデアのプロトタイプを提案できる。
  • マスクマップについても、台南の市民からプロトタイプの提案が複数あった。これを首相に見せて他の政策よりもよいと話した。
    • 従来のpublic-plivate-partnership(PPP)はプロキュアメントに基づいているが、これが逆転する。従来のモデルでは政府がアイデアを考え民間に発注するが、新しいモデルでは民間がアイデアを考え、政府がベンダーのようになってそのアイデアの実現に奔走する。
    • たとえば、マスクマップには従来のオープンデータのような1日、1週間、1ヶ月に1回などの更新ではなく、端末と端末の連携によるデータのリフレッシュが必要。購入者が自らデータを更新するシステムで、不審なデータの動きもユーザーがレポートした。様々な職種の人々の間の相互信頼で成り立っていた。
    • 市民社会が新規のデザインを示した例でもあった。ある市民が提案したダッシュボードでは、マスクの需要と供給のカーブが示され、政府はこれに応じて毎週政策をチューニングした。仕事などで薬局の営業時間に買いにいけない人々の存在に気づき、コンビニエンスストアへのマスク供給を迅速に開始できたのもこのチューニングによった。
  • デジタル格差は現在これまでに比べ大きくなっていると思うか、という質問に対する答えとしては、薬局のように、デジタルの世界からもっとも遠いところにいる人々をエンパワーするところからスタートし、徐々にAppやWebを使える人たちむけのより便利なものに寄せていくようにする、Hubから始めるのではなく、最大のインクルージョンからはじめることで、デジタルが社会規範から一部の人を排除するのではく、社会規範に価値を追加するということを確実にすることが重要だ。

Fun

  • パンデミックにはインフォデミックはつきものだが、Humor over rumorの精神で。

    • 噂話よりもおもしろい話のほうが広まりやすく、その後では噂が広まりにくくなる。

    • ティッシュの買い占めの際には、首相がおしりを振って「おしりはひとつしかない」と過剰なティッシュの購入の不要を指摘する広告を、ティッシュとマスクの原料が異なることを示す情報とともに広めた。あっという間にバズがおこり、ティッシュの購入は1日以内に収束した。

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    • これは単発のSNS発信の話ではなく、全体的な戦略の話だ。台湾ではすべての省庁に「Participation officer」が設置されている。

  • Slidoの質問、ステークホルダーの協力を得ることは難しくないか、どうすれば最も大きく苦情を言う人々を共創のワークショップに招くことができるのか、という質問への回答

    • それを公共サービスの習慣にしてしまうことだ。台湾では毎月全32省庁のParticipation officerが集まり、市民からの陳情から今月、ステークホルダーの参画を最大にする目的で注力すべき2つの陳情を投票できめる。
    • このような仕組みにより文化となることで、フリー素材ではなく厚生省の職員の飼い犬を使って科学的な情報をわかりやすく表し、ソーシャルディスタンスを促進する取り組みなどを産んだ。その後も犬を使った説明が定着した。
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  • 台湾では、このようにユーモアを使って、パンデミックにおいても人々が冷静に、間違いを正され、参加を促されるようにした。

  • Slidoの質問、政府オープンデータはPPPが今回のような課題に対応する上で十分にオープンだと考えるか、という質問に対する回答は、

    • PPPモデルを逆転させる必要があり、パブリックセクターがSIerや他ベンダーのみと仕事をするのではなく、プライベートセクターがパブリックセクターにどんなデータを公開すべきかを要求するべきである。
    • 横断的ソーシャルデータに強い需要があるのであれば、民主主義においてそれを否定するという選択肢はなく、そこに参画するのみ。
    • ウォーターボックスやエアボックスなどの環境データもそうであったし、今はマスクのデータもしかり。
    • 台湾を助けたいと思う人がいれば台湾も助けになる。
    • 個人的には日本のCovid19ダッシュボードにおけるエンジニアたちの参加には多くを学んだ。台湾CCCの発行物においても、色盲対応などアクセシビリティに配慮するようになった。
    • このような分野横断的な取り組みが、東アジアのコロナ対策戦略の核になると思う。

QA

Q:政治家や政府を市民からのアイデアを政策に反映させるようにする方法は?

A:

  • そのためのプラットフォームがたくさんある。

  • Co-hackハッカソンもその一つ。海外からもたくさんの人を招待して、多くのアイデアに取り組んでもらった。

  • そこで取り組んだアイデアは、様々な国の参加者から、コロナ後の世界へのスムーズな移行のために寄せられたすべてのアイデアから選ばれている。すべてのアイデアは人権、プライバシーの観点からインパクトアセスメントを受け、赤色に評価されたアイデアは除外した。黄色は専門家の助言を受けて、人々が今は人権や保護の方針を変更するタイミングではないことを理解できるようにした。Polisのシステムでは、お互いの意見を少しずつ改変することでおおまかなコンセンサスに至る。参加者らは提案にたいし、賛成、反対を表明し、自分と近い意見の人に近づく。結果は一般的にこのようになる。あまり賛同が得られず同意しないことに同意するような意見がいくつかみられる一方で、多くが賛成するような意見があるのだから、今はここに注力しようとなる。このように民主主義がより良く機能することを目指すプロソーシャルメディアを使うほうが、アンチソーシャルメディアを扱うよりもずっといい。

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  • パブリックセクターは市民がよいアイデアを持っているならパートナーシップを組みたいと思っている。政府にとって真にリベラルな民主主義を持つということは市民からよいアイデアのフィードバックをもらうことだからだ。一緒に学ぼうという謙虚さが大切である。

  • 謙虚さの例として、当時の副総統であった陳 建仁氏は、著名な疫学者でもあるが、taiwancanhelp.usで誰でも学ぶことのできる疫学のYoutubeコースを提供した。知識をシェアし、人々を招いてともに進もうとする謙虚さがある。
    ここではまた、これから割り当てられる予定のマスクを寄付することができるオンラインアプリも提供し、これまでに500万にのぼるマスクが海外に寄付された。この貢献のデータもオープンデータ化されているので、人々は自由に可視化することができる。寄付をしたのは台湾政府ではなく、台湾の市民だということがわかるのだ。

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Q:Humor over rumor の原理は気候変動にまつわるデマにも適用できると思うか?

A:

  • Pong氏が詳しく説明されるであろう市民IoTシステムもその一つ。市民がデータの収集に参加することができる。もし関心を持っているのがアクティビストなどの一部の人である場合、人々は課題は数世代先の話だと気に留めないだろう。でも、自宅のバルコニーや学校を提供して環境データを集めるのに参加すれば、小学生でもそうしたデータが対策のために必要なのだと学ぶし、海外のカウンターパートが同様に参加することでモチベーションもアップする。高校生であっても世界的な環境科学にインパクトを与えることができるのだ。
  • 若い市民がリーチできるようにすることが最も重要だ。環境の課題は彼らにとって最も切実だからだ。彼らがまず学び、そこから市民に広まっていくだろう。
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Q ポストコロナ時代の台湾はどのようになるか、それに備えて準備していることはあるか

A:

  • 台湾ではこれまで学校を閉鎖したり集会を禁止するには至っていないが、人が多いシチュエーションではマスクをしなくてはならず、そうすると表情が見えないので、表情がわかるオンライン会議の方が好まれるようになった。サテライトクラスを利用して、過密にならないように20人程度の少ない人数を集めて、シールドを使うなどして授業を行ってもいるが、この場合もテレコミュニケーションで他の地域とつないでコミュニケーションをとり、バーチャルな大クラスとなるようにしている。これまでも自分は地方を旅して地域の団体やNPOの方たちとあってきたが、その際は現地語の通訳を得ながら自治体や中央政府とつないできた。これは、人々のいる場所に意思決定を持っていくということだ。意思決定者から最も離れたところにいる人々をエンパワーすることなのだ。この方針はこれからも続けるつもりで、台湾の5G戦略においても、4Gシグナルが最も弱い地域に優先的に展開する予定だ。みんなで取り組むのであり、何者も取り残さないために、リモート教育におけるTele-healthを最初に享受できるのは最も離れたところにいる人達であり、彼らが欲しているからではなく必要としているからそうするのだ。これは韓国、日本でも同じことだろうと思う。

Q 台湾ではたくさんの施策を実現してきているが、まだ実施していなくてこれからしたいと思っていることはあるか?

A:

  • 採用するのが素早いので、ない。新たな動きがあると、サイエンスコミュニティはとても素早く取り入れようと行動している。
    みなさんに提案したい取り組みとしては、マスクの寄付だけではなく、今、マスク工場自体を輸出しようと試みている。一画の土地と水、電力を提供してくれれば、台湾のマスク製造会社が1日200万のマスクを製造できるマイクロ工場のようなものを作らせる。N-95などの用途に作り変えることもできるし、残った材料を他の防護具に使用することもできる。台湾クオリティを知るきっかけにもなり、これをこちらからやってあげるという形ではなく、オープンイノベーションの形で進めたいと思っている。

各国ケーススタディ

日本

関 治之 氏 (Founder, Code for Japan / Digital Transformation Fellow, Tokyo Metropolitan Government)

「オープンソースとオープンデータによる次世代の政府ウェブサイト」

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  • 台湾・韓国・日本のシビックテックコミュニティーは関係が深く、これまで何年にもわたりシビックハッカー同士がコラボレーションを行ってきた。

  • Code for Japanのウェブサイトには「見たい未来は自分で作る」とある。

  • 日本のCOVID-19のステータスとしては、総死者数はおよそ900。日本政府は4/1に最初の7都府県に緊急事態宣言を発令し、5/25までに全国に拡大された。発令後は1日の新規発症数が100例以下に落ちたが、北九州市でのクラスターの発生などもあり予断を許さない状況。

  • 今日は東京都がどのようにオープンデータとオープンソースを活用してコロナの情報を可視化をしたかを紹介したい。

    • これは3月初旬にリリースしたコロナ対策サイトで、試験数や陽性者数、入院者数、回復者数などがわかりやすく確認できる。東京都からの要請に応じてCode for Japanが制作した。同時に、東京都は同じデータをオープンデータとしてデータカタログ上で公開した。ウェブサイトはわかりやすいと好評を得て、ピーク時には1日100万ビューに達した。

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    • 私達はこのウェブサイトのソースコードをGithubに公開した。誰でもウェブサイトをクローンすることができ、改善に貢献することができた。東京都は人々がウェブサイトの改善に貢献できるようにしたが、これはウェブサイトの作り方としてはとてもめずらしい形だった。

    • このレポジトリはGithubの世界的なトレンドレポジトリのトップ10に入り、1300人以上がフォークしてそれぞれの目的のために利用した。

    • ソースコードはMITライセンスとして誰でも許可なく複製、利用、修正して良いようにした。

    • 世界中から多くのコントリビューターが現れ、3週間で750イシューが提示され、200人以上のコントリビューターが671イシューを解決した。

    • 20年以上コンピューターエンジニアとして仕事をしてきたが、このような出来事は初めてだった。みんながワクワクしながらレポジトリに貢献してくれた。オードリーもプルリクエストをしてくれて、コントリビューターたちは興奮した。このようなことはクローズでウェブサイトを作っていたのでは起こらなかった。

    • 他の自治体でもウェブサイトが制作された。若いエンジニアも参加してくれた。

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    • 最終的にはすべての都道府県で展開された。市民団体によって運営されているものもあれば、自治体のオフィシャルなウェブサイトとなったものもあった。

    • 課題もあった。PDF問題だ。多くの自治体がPDFでしかデータを持っていなかったり、データの構造もまちまちだった。CfJはVLEDの助けを借りて、東京のデータ・フォーマットをもとに「推奨データセット」を定義し、総務省と連携して自治体向けガイドラインを作成した。これがコミュニティが自治体にデータを提供する際の交渉に役立った。これで、ウェブサイトのアップデートが自動化できるようになった。

    • 強調したいのは、東京都では職員が非常な努力によってデータを使いやすいようにしたことだ。各部門からのExcelデータをMicrosoft Sharepoint Serverでエクスポートできる環境を整えた。職員たちを尊敬している。

  • 公的サービスは市民の手によってつくられるべきだと考える。課題を知っているのも公的サービスがどうあるべきかを知っているのも我々市民だからだ。各地方自治体がサービスのソースコードをシェアし、コントリビューションを受け付けたとしたら、大きなオープンソースコミュニティを作り上げるだろう。東京都のケースはそのような可能性を示した。

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    • 著名なオープンソース開発者のPaul Ramseyは「オープンソースへの投資は知的資産を生み出す」と言った。税金を特定のベンダーの知財につぎ込むよりも、社会の誰でもが使うことができる知的資産となるので、長期的に見ればコストも下がる。

    • 東京都の例では、コントリビューターがたくさんの技術記事を公開したため、東京の事例がシビックテックと公的なコントリビューションの生きた教科書となった。

    • とても希望を感じたのは、今回の取り組みのコミュニティにおいて高校生や大学生が中心となって活躍してくれたことだ。彼らの貢献がなければ、これほどの成功はなかっただろう。数日前にもユース向けのセミナーに参加したが、彼らが自身のスキルを使って良いものを作り、社会をよくすることに喜びを感じている姿に感動させられた。これこそ、シビックテックの未来の姿だ。

    • ダイアローグと共創の機会を創造することで、オープンデータ活用の価値は向上する。データを提供するだけでなく、ガバナンスをオープンにし、オープンソース化して、人々に貢献させてほしい。

QA

Q 行政にコードの要件などの知識を教育することでデータの質はあがるか?

A:

  • データのフォーマットについて知識のない人にとっては難しいことかもしれない。CfJは公務員に向けたデータアカデミーというワークショップを提供している。これまで40を超える自治体に提供してきた。
  • 東京都では、去年技術畑の人材を登用した。そのような人材が自治体職員と一緒に働くことで、今回はデータの調整が可能となった。
  • 学習の機会と、人材の登用が重要だ。

Q 東京都のための仕事の他にCfJの代表もされているが、2つのバランスはどのようにとっているか?

A:

  • 仕事をする人の肩書で話をすることはないので、何か良いことをしている人と話を聞いて、何が必要か考え、一緒にプロトタイプを作り、新しいものを作ることを学んでいく。このように一緒に働くことが重要。イノベーションは技術のみで起こるのではなく、問題に直面している人たちとの信頼関係を築くことが必要。

韓国

イ・フンジュン氏 (Vice President, National Information Society Agency(NIA))

「韓国政府のCovid-19におけるオープンデータ活用」

  • 多くの国がCOVID-19と戦う中で、韓国政府がどのようにオープンデータを活用して対策を行ったかを共有したい。
  • 韓国のCOVID-19の現状
    • 1月に最初の症例が出たあと2/5にCOVID-19のマイクロウェブページを開設して、市民への情報提供を行った。
      3月に陽性者確認数が1062名のピークに達し、世界初となるドライブスルーのスクリーニングセンターを設置した。マスクの供給を簡単にする政策が施行され、隔離やソーシャルディスタンシングの対策を経て5/21には陽性者数が23まで減少した。

韓国政府のオープンデータを活用した対策

  • 2/5にこのマイクロページを公開した。

  • 全体的なステータス、政府のブリーフィング、フェイクニュースのファクトチェック、関連施設向けガイドラインなどを提供した。隔離された陽性例と隔離を解除された陽性例なども可視化した。

  • 中央政府と地方自治体が行った毎日のブリーフィングやプレスリリースは毎日更新された。

  • 高リスクの人々や医療関係者など様々な人々におけるCOVID-19の影響による被害への政策の情報も提供した。

  • 外国人向けに英語と中国語も提供された。

  • 主要なデータは我々のデジタルデータポータルから得たことだ。

  • 韓国でのCOVID-19に関するデータの多くを韓国データポータルで見つけることができる。韓国政府は公的機関からのデータをデータポータルから提供し、パブリックセクターがこれらを活用したり解析することで関連サービスを開発できるようにしている。

    • ポータルでリリースするデータは概観、マスク、貧困福祉、生活の4分野にカテゴライズされている。
    • COVID-19ステータス概観のデータセットには、年齢、地域、性別でセグメントした地域の概観が含まれる。さらに、スクリーニングセンターと国立病院のデータセットもポータルから入手できる。
    • マスクデータはマスク販売者の情報および在庫状況でセグメントされ、サービスデベロッパー向けにAPIで提供されている。
    • 福祉サポートのデータも提供されている。COVID-19の影響を強く受けた市民や企業への経済支援についての情報を提供している。
    • 生活についてのデータは、学校や移動の制限の影響を受けた人々への情報を提供する。データセットには一般に公開されている大学のコースのeラーニングコンテンツや国の安全保障にまつわる情報、免疫力を向上させる農産物の情報などが含まれる。
  • 次にマスクマップについて説明したい。

    • HIRAがマスク販売に関するデータをNIAにわたし、NIAはこのデータに在庫データを追加し、マスクの入手可能性をセグメントに分けてリパッケージして、オープンAPIフォーマットで提供する。ここでは国のクラウドビジネスがAPIサーバーと安定したサービスが提供できる環境をデベロッパーに提供している。このAPIにより、シビックハッカーや民間が非常に早くマスクマップを開発できた。

官民連携(PPP)の例

  • 連携におけるパブリックセクターの役割について話したい。

  • これは我々NIAを始めとする公的機関がこれまで実現してきたもので、必要なオープンガバメントデータを必要なときに提供することができる。まずは政府本体の中にコラボレーションプロセスを確立した。2015年までに我々は産業において要求され、価値が高い国家的コアデータをポータルで提供した。これにより、韓国では、スムーズなデータ確立プロセスが完成していた。中央政府はデータのみに特化した人材がおり、組織化されたコミュニティが存在し、オンラインおよびオフラインで非常に緊密に連携している。官僚のコミュニティの形成は、このような危機における対策には非常に有効だ。

  • また、我々は市民や産業ともコラボしている。2017年から我々が運営しているオープンデータポータルはコミュニケーションのプラットフォームとして機能している。2018年からはデータに関連したビジネスのスタートアップを支援するためのジョイントプロジェクトを実施している。

  • さらに、オープンガバメントデータのリリースとシェアのためのインフラを支援してきた。ポータルではAPIのフォーマットでデータを提供し、早急な便利な活用ができるようにしている。

  • COVID-19におけるオープンデータのユースケースを紹介したい。

    • 韓国では公的なマスクを薬局や郵便局で配布した。これらの販売情報や位置情報をマッチさせ、プライベートセクターにAPIフォーマットで提供した。民間のサービスプロバイダがこれをマップ上に配置した。

    • プライベートセクターが開発したこのセルフ診断アプリも、オープンガバメントデータを活用している。ユーザーにスクリーニングテストの必要性を示すので、不必要なテストの実施を減少させるのに有効だ。

    • 次の例では、陽性例のデータに地理情報を追加してKaggle上に公開してAI分析で移動経路へのインパクトを予測して地図上に表示した。

得られた教訓

  • PPPの重要性
    • マスクマップでは政府がデータを提供し、民間が関連サービスを開発する良いモデルが示された。
  • 市民参加の拡大
    • 国家課題のためのサービスのためにデータをリパッケージしてサービスを開発したのはボランティア市民だった。政府が必要とされるオープンガバメントデータを高品質で開示することで成果を最大化することが非常に重要だ。
  • 災害において安定したインフラ
    • 韓国では高速のインフラとクラウドサービスが完備されていた。オンライン教育やオンライン会議の普及は重要な役割を果たした。
  • コラボレーションプラットフォームの整備
    • リクエストに応じて迅速にデータを集め、解析し、リリースできるインフラが、様々な需要に答えるためには重要となる。

QA

Q 韓国のデータポータルでリリース予定の新しいデータセットはあるか。また、今後のPPPの促進としてデータのリリースのみで十分だと考えるか。

A:

  • プライベートセクターや第三セクターとのコラボレーションにはデータのリリースだけでは十分ではないと思う。しかし、オープンガバメントデータのイニシアチブはPPPにおいて重要な役割を果たす。マスクマップの開発において、政府はユーザーの要請に応じてデータポータルにデータを公開し、これにより民間によるサービスが生まれた。この経験から官民連携のパワーを学んだし、これからもこうした連携を支援していく。
  • 現在政府は、大学のオンライン授業や地方・中央行政による経済的支援の情報など、社会的・経済的支援に関するデータにフォーカスしている。メンタルヘルスの病院情報はすでにポータルで入手可能で、デジタルライブラリーや施設の消毒方法についてのデータは現在準備中だ。

Q どうすればユーザーの要望が開示するデータのクオリティに反映されるか。

  • オープンデータの品質を維持するため、ユーザーはデータ開示のプランニングに関わるべきだ。マスクデータについては、シビックハッカーやプライベートセクターがどのようにデータを開示するか、どうすればアプリケーションの開発がより容易になるデータの開示ができるか、の議論に参加した。ユーザーはオープンデータポータルから政府にフィードバックをおくることができ、政府の回答も得られる。

台湾

チーミン・ペン氏 (Chairman of Organization for Data-driven Application (ODA))

「COVID19の時代にはデータが重要:データ活用、オープンデータ、プライバシー」

オープンデータポリシーとプライバシーの問題

コロナ禍ではオープンデータとプライバシーについてどのように考えるかは重要。

  • COVID-19の動向

    • 時々、入国者の陽性例がでるが、現在の台湾は安全。6/7には政府が通常の生活に戻ると宣言した。
  • 隔離は短期的には感染防止に効果があるが長期的にみると経済破綻を起こす恐れがある。ではどうすればよいか。

    • 情報を共有すること。新薬や問題の解決法などの情報を共有する。
    • 各国が経済への影響を恐れることなくアウトブレイクの情報を開示すること。
    • 台湾、韓国、日本が同じスタンダードで情報を共有し合えば、時期にお互いを旅行しあえるようになるだろう。
  • なぜ台湾が戦えるのか?

    • 台湾は中国に近いので、お互いをモニターできた。このため台湾政府の検疫の対応は素早かった。
    • 首相が毎日一生懸命働いて、毎日アナウンスを行い市民に話しかけた。みんなを安心させるおじいちゃんのようだった。
    • 感染症に関する情報が十分にオープンにされいていること。国民健康保険から得られるビッグデータが重要だ。他のデータと組み合わせることで知見が得られる。
    • 内務省の管轄である世帯登録情報も重要なビッグデータだ。
    • 携帯を利用したトラッキングも重要だが、プライバシーの問題がある。台湾のPPPによるソーシャルディスタンスAppが開発されたがまだローンチされていない。GoogleとAppleがソーシャルディスタンスAppのリリースを予定している。
  • マスクマップ

  • 救済支援

    • 過去にはキャッシュで返金していたが、今年はモバイル決済を推進する目的で3,000台湾ドルを使うと2000台湾ドルが返金されると謳った。
    • ベイルアウトは消費を促すのが目的なので、施策が有効かどうかが非常に重要。有効かどうかを政府と議論している。現在はクーポンなども使っている。
  • 気候の変動

    • 自宅待機のおかげで大気汚染は改善した。しかし、生活が戻るとき、前と同じ化石燃料に頼るべきか、クリーンな方法に変えるべきか。COVID19のために経済状況は悪化したが、今年はおそらく初めてパリ協定を世界が満たす年になる。もとに戻るのか、よりクリーンな方向に進むのか。

    • データが多ければ、政府との話し合いも進む。

  • データが経済の再開へのプレッシャーとなる

    • 経済と健康のバランスを取らなければならない。
    • 都合の良いデータだけを持ち出す国家もある。
    • 同じスタンダードのデータに基づいた議論をすべきだ。
    • メタデータの開示やデータの報告の透明性は重要だ。
  • プライバシーとデジタルライツ

    • 政府が携帯情報を使うと言い始めたときは、政府に監視をされると思った。今はCOVID-19があるからいいが、この後はどうか。我々のデジタルライツが奪われるのでは?政府との議論においてはGDPRの遵守を訴えた。
    • 位置情報データを使う際のルールが明確か否かが非常に重要だ。
    • ソースコードをレビューする専門家が必要であり、位置情報はサーバーに保存せず携帯内にのみ保存するべきだ、ということを政府に強調する予定だ。
  • 結論として強調したいのは、アフターコロナにおいては、データの重要性を再認識したいということだ。お互いにデータをオープンにする前に、AODPミーティングを持ってアフターコロナのデータをどのように利用するか、プライバシーについて、議論しよう。台湾、韓国、日本が一緒にプラットフォームを作り、お互いのデータや経験、ソースコードを共有できるようにしよう。我々はお互いにとって、オープンに、安全に行き来のできる国になれるはずだ。

QA

Q 我々がお互いに情報やデータをやり取りするプラットフォームとして最も有効な方法は何だと思うか。

A:

例えば、我々はソーシャルディスタンスAppを開発したが、サーバーは台湾にあり、我々はプライバシー保護のために政府にGDPRを遵守するよう話し合った。このような会議自体、会話自体をお互いに開示していくと良いと思う。どんなふうに政府がプライベートセクターと一緒に働くかということもそうだ。Twitterでハッシュタグを共有するなどでもよいかも。

Q 疫病の環境への影響は?コロナは地球温暖化を本当に停止させたか?

COVID-19は気候の変化においては良いものだった。だが、問題は経済の崩壊だ。今年はゴールを達成するかもしれないが、短期的なものであり、各国は現在、従来の燃料を使うようになっており、政府をクリーンエネルギーに向けさせるのは簡単なことではないが、情報を共有していこう。