シビックテックにまつわるいろんな話をオンラインで配信する、オンラインアカデミーです。毎回さまざまなゲストを招いて、お話を伺います。
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UDトークログ
収録日時 2019年5月15日 17:30〜18:30
Code for Japan
伊藤昌毅(東京大学)
関 治之(Code for Japan)
今回は、地域公共交通の現状と将来像について、ITやシビックテックの立場から考えていきます。自家用車の普及や過疎化などを原因として、地域公共交通の衰退が長期的な傾向として続いています。地方ではバスや鉄道の減便や廃止、タクシーの撤退などが続いており、交通事業者の経営破綻も起こっています。近年ではバスやタクシードライバーの高齢化や人手不足も問題になっています。一方で、地域の交通事業者の補助金付けの体質やサービス水準の低さ、地域社会との関わり方には批判も根強く、UberやDiDiなどのライドシェア(タクシー配車)、AIによる新しい交通サービスなどへの期待もあります。
ここでは、自治体が中心となって地域住民や地域の交通事業者が地域の交通を検討する地域公共交通会議などの枠組みや、いわゆるライドシェアサービスのような仕組みを地域で実現する公共交通空白地有償運送などの制度面の仕組み、公共交通オープンデータやMaaS(Mobility as a Service)などの新しいIT技術動向など、これからの地域公共交通を考える技術的、制度的な仕組みを紹介しながら、参加者とともにこれからの地域公共交通のあり方を探ってゆきたいと考えています。
今回は、参加者の数も多く、質問も鋭く、シビックテックに関わる皆様の地域交通に対する関心の高さを実感しました。シビックテックと公共交通は、分野的にも仕組み的にもとても相性がいいと思うのですが、交通は歴史の長い業界で法律や慣行も多く、またITから遠い既存の関係者も多いので、実際にはなかなか交わっていないのが現状です。地域公共交通活性化再生法などの制度面、公共交通オープンデータの普及などのデータ面、MaaS(Mobility as a Service)などITサービス面で新しい動きが揃ってきたタイミングなので、是非その動きを、よりよい地域交通作りに繋げられたらと思っています。引き続きこの分野での活動や情報発信を続けていきますので、フォロー頂ければ幸いです。(伊藤)
話を聞けば聞くほど複雑な課題で、長年このテーマに取り組んできた伊藤先生に頭が下がります。GTFS-JP のデータ作りは、シビックテックのコミュニティとも相性がよく、実際にいくつかの地域では地域コミュニティがデータ作りに関わっています。地域公共交通会議にITのセンスを入れ、各地のシビックテックコミュニティが未来の交通のビジョンを作るための活動もできていくと、さらに素敵だと感じました。(関)
都市でバスにのる場合と、地方でバスにのるのではだいぶ違う。
都会では案外楽だし便利。。都バスは利用者が増えている。
地方では空気を運んでいる場合が多い。
乗客はとにかく減っている。
運転手不足による減便が常態化している。なり手がいない
マイカーが使えない人にとっては大変
しかし、公共交通はこれからが熱い。
ITを使えば、一人一台車を持たなくても良い。
クラウドサービスのように、効率よくリソースが使えるようになるはず。
→いかにリソースをシェアして空間を有効に使うかがポイント
いろいろなレイヤーで考える枠組みが必要。
今日は制度の話をする。
既存のいろいろな法律は、実はシビックテック的なことを目指している
・国土交通省としては、地域の交通は地域で考えるような枠組みにシフト
ちゃんと考えられている町は国もサポートする。
行政が協議会を作り、事業者や利用者を集めて、地域交通を考える必要がある。
ただし、現実にこの枠組に参加しているのは、ITのことをしらない人たち。
地域の状況をちゃんと知ることすらできていない。→データが大事
バス停がどこにあるのかというデータさえ揃っていない。
データ整備の2本柱
・標準化
・オープン化
2年前に、「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」を国土交通省と策定
地域交通を考える基礎資料としても使える
このデータ作成がブームになっている。
なぜ?
メリット
国交省自身がラスボス(アナログのまま)
ここをデジタル化したい。
倉敷では、バスがどれくらい遅れるかを可視化。
イオンの初売りでひどい渋滞ができた。このデータを共有できれば、データに基づいた話ができる
コミュニティの手でデータを作る
Q.データはどういう人達がどのように作っている
A. 1)交通事業者が、新しいことをやらなくてはいけないと思いで。2)大学との連携 3)乗り換え案内の会社がビジネスとしてデータを整備 4)県の交通政策として(群馬、富山)
やりかた:県が一括して事業者に依頼(群馬)。地域のCode for が地域の事業者にレクチャー(富山)
自治体の境と交通網は関係ないので、県くらいの規模で進めるのはマッチしている。
全体では
Q. 交通事業者にインセンティブが薄いという話がありましたが、GTFS-JP公開が広がってきたのはどういう理由でしょうか?
A. Google Map で検索できるようになるというわかりやすい出口があった。
Q. GTFSの作成を「継続的に」行うために、有効な対策はありますでしょうか?
A. データの更新はまさに問題となっている。行政主導だと、「金の切れ目が」ということになりがち。行政では一時的な補助しかできない。究極的には、国土交通省の認可手続きを電子化することで強制的に対応せざるを得なくなる。
Q. 最下流(?)が紙だから、全部のフローが紙前提になっているというお話でしたが、官庁の中の人にも問題意識は伝わり始めていますか?
A. 一部の理解は進んでいるが、現場からの抵抗を押し切るほどの変化を起こすは難しい。
→現場認識を変えるような実績はないか?
因果関係を
Q. 魚津市の予約式あいのりタクシーは、時刻表形式の予約式乗合バスでしょうか。フルデマンドのデマンドバスのリアルタイムデータはGTFSに載せづらいと思うのですが。
A. デマンドバスはGTFS-JPとの相性は良くない。が、データホルダーやGoogle/Yahooなどにサービスの実情を伝えていって、整備の必要性を考える場をつくっていくことが大事。
そのような窓口を今作り始めている。
(標準的なバス情報フォーマット広め隊の活動として。)
Q.裾野か掛川だったでしょうか。乗降数をリアルタイムで表示していた取組みがあったように記憶していますが、配信の効果はどうだったのでしょうか。
A.2015年にやった実験。当時先進的な取り組みだったが、2ヶ月弱程度の短期的な実験だったので、効果を議論するまではいかなかった。
Q. 最近の先進的な取り組みは?
A. 標準的なバスフォーマットの第2版。リアルタイム情報を取り込んだ。Mobility as a Service(Maas)も注目されている。「我が社が」という部分に閉じない、データ連携が大事になってくる。
→どこが調整するの?
MaaSの震源地はフィンランド。国の政策もあるし、MaaS Global というスタートアップ企業が「車のいらない社会を作ろう」というビジョンを作り、国が協力にサポートをした。
ある意味小国だからできた部分もある。
日本では、国土交通省とJRなどが囲い込みのキーワードとしてMaaSを使っている?
Q. 市民がビジョンづくりを主導できるようなシビックテックのあり方があれば、美しいと思うが?
A. 地域公共交通会議の枠組みをMaaSのようなアイデアと融合していく
日本は発展途上国とは違い、何周目かの議論。「地域の事業者を再生する」という視点で議論をしてもMaaSのような新しいビジョンはできない
Uber の例を見ても、一つのテクノロジーが全てを解決するようにはならない。複数の事業者が
Q. 訪日外国人に喜ばれる(重宝)データはどのようなデータですか?
A. Google Maps の利便性が高まるのがまず大事。(標準的なバス情報フォーマット)現地でのUI/UXも大事。(英語表記など)
Q. 最近オリジナルのGTFSに地理的な上下関係にあるバス停を書き分けるためのlevels.txtが追加されたようですが、日本版にこの仕様が入るのはもう少し先になりそうでしょうか?
A. 議論の場に来てください!
Q. Whimのお話をいただきましたが、日本でいまいま、サブスクリプションに興味を持っているタクシー会社は多いですか?
A. タクシー事業は今非常に厳しい。いかに事業を維持していくかが課題になっていて、新しいことをやるのは難しい。
日本交通など一部の事業者はいろいろ変化を考えてチャレンジしている。
Q. 自動運転が普及していった先の地域交通は?
A. 今一番コストがかかっている運転手の人件費が下がっていくはずなので、インパクトはある。
→国交省のビジョンは?
特に何も考えていないのでは。ITのことをわかっていない。
外部の専門家がサポートしている状況
Q. 交通のワークショップをやるとき、バス会社と地域住民をやる人は会議に集まりやすいのですが、地方でラストワンマイルのための乗り合いタクシーを運営する人をどう作っていくのかは課題な気がしてます。どこかいい事例ご存知ですか?
A. あまり無い。タクシーは縄張り意識が激しい。革新が難しい。タクシーっぽいものはITに相性が良いはずだが、既存の事業者の意識を変えるのは難しい。ジャパンタクシーがある程度引っ張っていくのでは。
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