# 現役美少女JDを召喚したい

この記事はみす５４代 Advent Calendar 2020(https://adventar.org/calendars/5412)の12日目の記事でした。
MIS.W54代MIDI研のサブレといいます。
いつもはこういったKawaiiよりの曲を書いています
https://soundcloud.com/sabre-195307235/milkychips
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ところで、Kawaii曲といえばKawaiiボーカルがつきものです。上の曲ではボーカロイドも使っていますがやはり生に近い人の声がほしいところ。ボーカリストに頼むにもコミュ力とお金が必要だし…あ～～あ、美少女の声が簡単に手に入ればなぁ…

そう、ここでは現役美少女JDの声を自力での量産について、私サブレが試してみた方法を綴ってみようというわけです。
ただ正直なところ発展途上なところが大きいので、メモ程度に思ってください。

## 到達目標を決めよう

美少女召喚といっても用途によります。
・素材は男声か女声か…当然男声から美少女ボイスにするほうが難しい
・素材は録り直しが簡単にできるのか…音源が取り直しできない場合思った方向の美少女を召喚しにくい
・録音するならば無理のない発声を元に召喚するか…喉の方で嘘をつくと軽い弾みでキツイ声になる
・話すだけか、歌などに使うのか…話す場合は声色に幅が出る点、歌う場合は自然に聴こえる声域が狭い点が難しい
・リアルタイムで使用するか…一部の手法が使えないことや遅延や重さを飲んだうえで幅広い声色をカバーする必要がある。
・もしかしてリアルタイムで歌いたい？…伴奏とピッチを合わせる必要があるのでほぼ必然的にピッチはオクターブでしか上下できない
といったところをまず確認してください。
今回は「男声ボーカル（撮り直し可）を素材に美少女ボーカルを召喚する」ことを軸にやっていきます。

## 召喚に必要そうなもの
・パソコンとヘッドホン（イヤホン、スピーカー）
・マイクとケーブル…パソコン内臓のでもいいですが音質がゴミです。インターフェースがあるとなおよし
（・ボーカル素材…人のボーカルを加工したいよ～～という場合）
・DAW…今回はDAW（作曲できるソフト）上で加工する方法をとります。使い慣れているものがなければhttps://blog.misw.jp/entry/2020/04/05/000000#DAW あたりで選んでみてください（インストールにやや時間がかかります）
・各種プラグイン…DAW上で動くものです。後々いろいろ紹介するので必要そうなものだけダウンロードしてください。

## 召喚の手順
①ボーカルの録音または素材の用意
②美少女ボイスにする
③タイミングの調整
④ピッチの調整
⑤音量のダイナミクスの調整
⑥EQやサチュレーター、リバーブやディレイで伴奏になじませる
⑦ピッチ補正など特殊なエフェクトを入れる
やりやすそうな順に並べただけなので場合によって前後しても構いませんし、一部が抜けていても構いません。

### ①ボーカルの録音または素材の用意

録音技術に関して特に知ってることはないのでうまいかんじにやってください。
ただし、後述の方法によっては、歌いたい曲のキーに対してキーが上下することがあります。自分にあったキーを探すためにもすぐ撮り直せる環境を作りましょう。
これを書いてる途中に知ったんですけど女声の出し方をまとめた資料がありました、あとでぼくも読みます
https://gid-mtf-guide.net/wp-content/uploads/2018/08/FemaleVoicePractice.pdf

### ②美少女ボイスにする
DAW上にボーカルを置いたら、そこに各種プラグインをいれて美少女ボイスにしていきます。

##### 重要な概念：フォルマント

道具や手法の紹介の前に声の加工に関して特に重要な概念であるフォルマントを見ておきましょう。
フォルマントとはという話ですが、音の形だと思っていただけると近いかと思います。
男声ボーカルを美少女ボーカルにするには、男声特有のフォルマントを美少女のフォルマントに近づける必要があります。
（詳しくは上記の資料に載っています）
具体的な方法としては
①フォルマント自体を持ち上げる
②ピッチを上げてフォルマントを下げる
③フォルマントをある程度維持しながらピッチを上げる
の二通りがあり、②をベースか③にしたほうがうまくいく印象があります。

#### 美少女要素を作り出す道具

##### Graillon (Free Edition)
https://guitarkouza.net/blog/2017/08/graillon-auburn-sounds.php

PITCH-SHIFTで±12半音（＝1オクターブ）の中で細かくピッチを動かせます。Preserve Formantsをかけるほどフォルマントを元の状態に維持してくれるので、ピッチを上げたうえでPreserve Formantsを調整してみましょう。ピッチを変更しない限りPreserve Formantsをいじっても効果はありません。
ちなみに有料版もありますが今回必要な要素からすると無料版で十分です。

##### Adv.Pitch Shift 2
https://www.ssw.co.jp/products/vst/effect/advpitchshift2/

定価5000円（税別）。ぼくはセールのとき2000円弱で買いました。FORMANT SHIFTでフォルマントをいじれます。PITCH SHIFTでピッチを上げたら（1cent=1半音）フォルマントを下げてみましょう。
わりかし自然な美少女ボイスに仕上げてくれますが、ぼくの環境だと確定で遅延が発生してややストレスです。リアルタイムで使うのは苦しいかも…

##### DAWで直接ボーカル音源をいじる
ぼくが使ってるAbleton Liveだとこれが最強です、がリアルタイムの使用は不可能。
ボーカルサンプルをダブルクリックし、左下の「Sample」のボックスから「Beats▼」を選択して「Pro(Complex Pro)」に変更したら、左のTransposeでピッチを上げて（1st=1半音）Fromants（＝フォルマント維持）を100から下げていきます。下にEnvelopeという数値がありますが、こちらもピッチを上げたうえで128から下げていくと女声に近づくので併用してもいいかもしれません。

##### その他
あとはプラグインじゃないけど恋声（http://koigoemoe.g2.xrea.com/koigoe/koigoe.html ） とか、ぼくの環境じゃ動かなかった Kerovee (https://www.g200kg.com/jp/software/kerovee.html)　とかがあります。

### ③タイミングの調整
以下はもう全部蛇足です。蛇足ですが歌としての違和感を無くすことも自然な美少女ボイスに必要なのでがんばって手入れしましょう。
タイミングに関しては基本的に撮ったサンプルを切り取って前後させるだけです。
めんどくせ～～という人はMelodyne (https://www.celemony.com/ja/melodyne/new-in-melodyne-5) とか使うといいんじゃないですかね…安いやつなら定価でも1万円ちょいです
### ④ピッチの調整
②で紹介したGrallionなどをピッチ調整用にもう一個立ち上げて、オートメーション（時間変化に沿って数値をかえる、つまりAメロの出だしだけ高くするとかBメロのここだけ低くするとかができます）を書きましょう。Grallionなら1半音に満たない微妙なズレも修正できます。
### ⑤音量のダイナミクスの調整
DAWにはそれぞれのトラックにフェーダー（音量調節用の上下するやつ）がついてると思いますが、これを細かい音量調整に利用すると大まかな音量調整がしにくくなるので、新たにフェーダーのプラグインを挿しましょう。
DAW付属ので十分ですがないならこのへんとか…　https://dotec-audio.com/deesidein_jp.html

また、音量が小さすぎるところを一律で持ち上げて力強さを出したいときや、逆に強すぎるところだけを抑えたいときなどはコンプレッサーを使った方がいいかもしれません。
ここでは TDR Kotelnikov (https://www.tokyodawn.net/tdr-kotelnikov/)を紹介しておきます。よほどのことをしなければ変な音にならないコンプレッサーです。
コンプレッサーの使い方はぼくも良く知らないんですが、触ったこともないという方向けにレシピを置いておきます。
##### 全体的に音圧をあげたいとき…
・THRESHOLDの周りを白い線が音に合わせて動くので、音量が小さい時もギリギリかかる（白い線が通過する）くらいまでTHRESHOLDを下げる（うまく小さい声にかからないと思ったらSOFT KNEEをあげる。かかり方がなめらかになる）
・RATIOを2.0:1くらいにしておく。この比率を大きくするほど(時計回りにまわすほど)音が平坦になる
・音をよく聴きながらATTACKを遅くしていく。ATTACKが早いほど音の先頭がつぶれる。時計の12時～2時くらいがいいと思う
・RELEASE RMSとPEAKを短めにする。発音の大きな合間合間で右のGain Reductionが0になるとよさそう。どっちも30msくらいまで下げちゃっていい気がします。
・MAKE UPの周りに抑えた音量が白い線で表示されるので、一番抑えられたところの線の先端が12時に来るようにMAKE UPをあげる（音量があがる）。

##### 突出した音量を抑えたいとき…
・音が大きすぎるところからちょっと下くらいまでTHRESHOLDを下げる。
・RATIOを1.5:1くらいにしておく。
・音が大きくなった瞬間音量を抑えられるようにATTACKを早めにする。最速でもいいかも。
・RELEASE RMSとPEAKを短めにする。これも最速でもいい。
（・音量を抑えたいだけなのでMAKE UPは変えない。）
・音の抑えられ具合を確認しながらRATIOを調整する。

### ⑥EQやサチュレーター、リバーブやディレイで伴奏になじませる
細かい説明はしません…

##### EQ
https://chirico-music.net/tdr-nova/
周波数をいじれる。ほぼ聴こえないけど気づかないうちにベースやキックの邪魔になる重低音(~80Hzあたり)をバッサリ切ったり、伴奏に対して目立たせるために高音を軽く持ち上げたりする人もいます。まぁ使わなくてもいいかな…
##### サチュレーター
https://www.meldaproduction.com/MSaturator
倍音を持ち上げて力強い音にします。軽くサチュレーター使うくらいなら普通に音量上げた方がよかったりもします。お好みで。
##### リバーブ
https://www.meldaproduction.com/MConvolutionEZ
これがボーカルを伴奏になじませる＆音を良くするために一番大事だと思っています。センドリターンという手法もありますが、インサート（ボーカルのトラックにそのまま挿す）のほうがなじませやすいかと思います。インサートならMix（Dry/Wet）（リバーブが処理した音の割合。100％ですべて処理音、0％で原音）は10%～20%、多くても30%ぐらい。
##### ディレイ
https://valhalladsp.com/shop/reverb/valhalla-supermassive/
リバーブと同じく空間表現に重要。センドリターンでいいかな…ボーカルはけっこう他の楽器に比べて強めにかけても良いと思います。

### ⑦ピッチ補正など特殊なエフェクトを入れる
オートメーションで要所だけONにして使うことが多いです。
##### ピッチ補正
ケロケロボイスですね。Grallionでできます。
##### オーバードライブ（など）
音を強く歪めて汚れた迫力のある音にします。オーバードライブの他にもファズやビットクラッシャーなどあります。
##### コーラス（など）
一つのボーカルが複数人のボーカルのように聴こえるようになります。厚みを持たせたいときに楽です。ぼくの場合はコーラスのWetを100%にして耳元でささやかれているような効果を与えたりもします。
##### ボコーダー（など）
声がシンセサイザーになってくれます。
##### ハモリ
ハモリを錬成するプラグインはあまり聞きません。ボーカルをコピーしてピッチを調整し人力で生み出しましょう。

## こうしてできあがった美少女がこれだ！！！！！！！！！！！
<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">参考資料 <a href="https://t.co/da3CyCgatz">pic.twitter.com/da3CyCgatz</a></p>&mdash; サブレ（Sabre) (@sabre_midi) <a href="https://twitter.com/sabre_midi/status/1338814264438493184?ref_src=twsrc%5Etfw">December 15, 2020</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">鼻つまってますよ <a href="https://t.co/c7LwLOIs9Y">pic.twitter.com/c7LwLOIs9Y</a></p>&mdash; サブレ（Sabre) (@sabre_midi) <a href="https://twitter.com/sabre_midi/status/1314184250753609729?ref_src=twsrc%5Etfw">October 8, 2020</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">発作 <a href="https://t.co/7HakMUZV6w">pic.twitter.com/7HakMUZV6w</a></p>&mdash; サブレ（Sabre) (@sabre_midi) <a href="https://twitter.com/sabre_midi/status/1304350084650295297?ref_src=twsrc%5Etfw">September 11, 2020</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

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