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茶の湯のあれこれ

この記事は "受験生 Advent Calendar 2018 - Adventar" 23日目の怪文書として生成したものです。

18日目にはまりゅのことを書きましたが、今回は茶道について初心者向けの記事を書きます。

自己紹介↓↓↓
about おもち(@0xomochi)

私は中学から茶道を始め、現在10年目くらいで、上級(助講師)資格を持っています。
一応、これを持っていれば弟子が取れるということになっているものです。
流派は裏千家です。(他に表千家、武者小路千家などがあります)
茶道の資格についてはこちら

「抹茶、苦そう、飲みたくない..」と思っている方いらっしゃるかもしれませんが、お抹茶は(上手に点てさえすれば)甘いんですよ!
薄茶(一般的にみなさんがイメージするような、よく茶屋のお抹茶セットで出てくるようなアレ)はもちろんですが、濃茶(かなりドロっとしたものすごく濃厚ないかにも苦そうな見た目のお抹茶)はさらに甘い!
ただ、お抹茶には薄茶用、濃茶用の抹茶とがありまして(兼用もある)、薄茶用のお抹茶でお濃茶を練ると地獄のような、粘性の苦いものが出来上がります。
薄茶は割とお手頃価格で入手できるのですが、濃茶用のお抹茶はものすごく高いのでよほどのことがなければお目にかかることはないでしょう。

この記事では、

  1. 茶道って何するの?
  2. おもちはどんなことをしているの?
  3. 茶道始めたいんだけどどうすればいい?

などの疑問に答えて行こうと思います。

茶道と聞いて、敷居が高い、一生自分とは関わりのない世界線に存在するものだと思っている方に少しでも茶道面白いじゃん、と思ってもらえるきっかけとなればと思います。


お点前

お点前とはなんぞ?という感じですよね。
お点前(おてまえ)というのは茶席でお客様にお抹茶を差し上げる際の作法の総称で、薄茶平点前、濃茶平点前、立礼、茶箱点前などがあります。

裏千家のお点前一覧はこちらから

もし皆さんがお茶会でお抹茶をいただくとすれば、大学の学園祭が一番身近だと思うのですが、大体の大学では畳の上に座るタイプの薄茶平点前か、椅子に座ってお点前をする立礼をやっているところがほとんどです。
もし濃茶席がある学園祭に巡り会うことができたら、そのお茶席に入ることを強くおすすめします。


お道具

お道具の写真はこちらから

  • 茶器(棗、茶入など)
    • お抹茶を入れる容器です。薄茶では棗、濃茶では茶入を使います。それぞれかなり種類があるので取り合わせが面白い。
  • 茶碗
    • お稽古はじめの時は稽古茶碗を使うと思います(柄があるものが多い)。季節ごとに素材を変えたりするのも面白いです(ガラス製のギヤマンを使ったり)。濃茶では楽茶碗を使います。お点前によって使うお茶碗の種類も変わります。私は黒楽が好きです。
    • これも大きさや形が様々です。模様があしらわれているものもあります。
  • 茶杓
    • 作者が各々の想いを込めて銘をつけます。お稽古の度に銘を決めて拝見の際にお客様と問答をします。季節によって銘を変えてみたり(季語のようなもの)、無季の禅語を銘にしたりします。
  • 柄杓
    • 炉のお点前の時は柄杓の扱いが簡単ですが、風呂の場合は置き柄杓、切り柄杓、引き柄杓の三種類の扱い方が出てくるので慣れるまで大変かもしれません。柄杓の扱いだけは流派問わず共通なので正確に扱えるようになる必要があります。
  • 茶筅
    • お抹茶を点てるための道具で、竹の弾力を使ってお抹茶をあわ立てます。初めは肩に力が入ってぎこちないと思いますが、竹の弾力を使うことで、ほとんど力を使わないで済むので頑張って練習してください。
  • 袱紗(ふくさ)
    • この布のようなもの(シルクでできています)でお道具を清めます。お点前によって袱紗の畳み方が変わります(真、行、草)が、薄茶平点前の畳み方が基本です。袱紗の畳み方も綺麗にできるように練習しましょう。

など..(だいぶ端折っていますが)
お点前によって合わせるお道具はかなり変わってきます。
お茶席に入った際には待合に「会記」が置かれていることがあります。
これを見ると、使われているお道具の正式名称がわかるので目を通してみてください。


お菓子

茶席ではお抹茶をいただく前にお菓子が出されます。
安い席代のお茶会だとお干菓子が出てくるかもしれませんが、ねりきりなどと呼ばれる主菓子や季節によっては羊羹や花びらもちなどが出ることが多いです。

お菓子の参考画像はこちらから

自宅でお抹茶を飲む際にも美味しいお菓子を食べてから飲むとお抹茶の美味しさが格段に変わりますよ。
自宅で食べる分には、お菓子は洋菓子でも問題ありません。
特にチョコレートなんかはよく合いますね。


客の心得

超初心者が何か間違いがあったか何かで突然茶席に入ることになってしまったらどうすればいいのか?
茶席での最低限のポイントを押さえておけばなんとかなります。

  • 正客(一番初めにお茶席に入る人)、次客(二番目にお茶席に入る人)、末客(一番最後にお茶席に入る人)にはならないこと
    • 特に正客と末客は慣れた人が務めるべきなので(作法が色々とあるので大変)何が何でも避けてください(茶席入りの前に正客決めの時間があるので依頼されたら未熟者ですので..などと言って断るのが吉)。
  • 茶席中、気になることがあってもむやみに喋らない
    • お道具のことや気になったことを聞くのは正客の仕事なので、よほど内輪の席でない限り静かにしているのが吉です。
  • とにかくお道具は丁寧に扱う
    • お抹茶をいただく際の作法がわからないというのはよく聞きますが、基本はお道具に敬意を表して丁寧に扱うということです。お茶碗は正面(柄があるものは正面がわかりやすい)を避けさえすれば良いので、どのくらい回したっていいのです。お道具の拝見があった場合は触れるのは最低限にとどめ、丁寧に扱ってください。茶杓一本で500kとかはざらにありますし、茶器に関しては戦国時代に国一つに値する価値のあったものも存在します。

とは言っても、亭主(お点前をしている人)からすれば、お客様に茶室の空間と美味しいお菓子とお抹茶を楽しんでもらいたいというおもてなしの心が一番にあるので、無理に作法は気にせず楽しむのが良いと思います。


超初心者向け茶道のススメ

お稽古とか難しい作法はいいからとりあえずお抹茶を家で飲みたい!という方。
初心者が自宅で手軽にお抹茶を点てるのに最低限必要なものは以下です。
通販でも百貨店でも入手できます。

  • お抹茶
    • 薄茶用抹茶と書かれているものをおすすめします。
  • お茶碗
    • お稽古用茶碗で十分でしょう。
  • お茶杓
    • お抹茶をお茶碗に入れるための匙のようなもの。こちらもお手頃価格のものでOK。
  • 茶筅
    • お安いものでよい。
  • 湯沸かしポット
    • ありますよね..?
  • 茶こし缶
    • 網目になっている茶こしで代用できます。買ってきたお抹茶はそのままだとダマになっているのでそれを無くし、滑らかにするために使います。

蛇足ですが、第一回プランクトンサミットでは、ヴァネさんがお抹茶を、めぐみっしゅプロがお茶碗(お稽古茶碗ではなくガチの黒楽w)を買ってきてくださり、最低限の準備でお抹茶を点てるということをやりました。(本当にありがとうございます)
お抹茶を点てるだけなら、大げさなお道具などは必要ないのでぜひチャレンジしてみてください。


茶道の始め方

茶道を始めるきっかけというのは複数あると思うのですが、多分こんな感じ。

  1. 家族(おばあちゃんが茶道やってたが多い)が茶道をやっていたから自分も始めてみた
  2. カルチャーセンターに先生が来てお稽古をしてくれるので参加している
  3. 中学や高校から学校の時間外授業のような形で始めた
  4. 大学でサークルとして始めた

私は3のパターンで、卒業後も大学のサークルで続けています。
個人で先生に師事する場合はかなりの額がかかるでしょう。
どうしても茶道をやりたいという方におすすめは、大学のサークルです。
他のサークルに比べたら圧倒的に部費などが高いのですが、自分で先生のところに習いに行くのに比べたら格段に安くなります。
個人で習いに行くよりもサークルの方が進みが早い傾向がある、というのも利点です。


お稽古って何するの?

おもちの場合..

私は大学のサークルとして毎週一回大学で裏千家の先生からご指導していただいています。
部員は40名ほどで、月曜から金曜までの5つのグループに分かれて週一でお稽古をしています。
大学でのお稽古なので、私服でお稽古をしています。
お茶会には着物か浴衣で行くことがほとんどです。

春は泊まり込みでお茶室と宿泊施設を借りて新入生歓迎茶会をします。
夏と秋は外のお茶室を借りて外部茶会、冬はお初釜(卒業生茶会)を外のお茶室で行います。
それぞれ茶席担当となったメンバーが茶席のコンセプト(お客様をどうおもてなしするか、テーマやお道具にどのような想いを込めるか、など)を決めて茶席をつくっていきます。
私は大体半東よりもお点前をやる事が多いです(半東は喋る人)。
お客様の前でお点前をするのが緊張感もあり、一種の快感になっています。(半東が得意な人もお点前が向いている人もいる、面白いほど向き不向きがある)

お点前

具体的にどんなお点前がをやってきているのかというのを挙げてみます。
きになるものがあったらこちらから飛んで見てみてください。
(漏れがあるかもしれませんがなんとなくこんな感じなんだな〜と思ってくださいね)
秋に炉開き(釜が畳の上に置かれているのが風炉、畳の下に釜があるのが炉の点前)をするのですが、お点前は炉と風炉でかなり変わります。
一応炉でも風炉でも以下のお点前は経験したことがあります。

  • 盆略(基本のお点前)
  • 薄茶平点前(運び、棚あり含む)
  • 濃茶平点前(運び、棚あり、長緒含む)
  • 立礼(りゅうれい、と読む)
  • 茶箱(茶箱一双含む)
  • 貴人点前
  • 貴人清次(きにんきよつぐ、と読む)
  • 台子(だいす、と読む)
  • 重茶碗(薄茶、濃茶)
  • 花月(色々な花月があって面白い)
  • 荘物(茶碗荘、茶入荘、茶杓荘)(かざりもの、と読む)
  • 大津袋
  • 包帛紗(つつみぶくさ、と読む)
  • 唐物(四カ伝のうちの一つ)(からもの、と読む)
  • 台天目(四カ伝のうちの一つ)(だいてんもく、と読む)

お稽古を初めて一番初めに習うのが盆略で、お盆の中で全てのお点前が完結します。
次に薄茶平点前を習いますが、そこから濃茶のお稽古に入るまではかなり時間がかかるかもしれません。

最後の唐物、台天目は利休の弟子に口頭でのみ伝えることが許された「四カ伝」(4種類ある)というお点前の一つで、人前ですることはありません。
なので、基本的に薄茶平点前、濃茶平点前ができればお茶会をするのには全く困りません。

お抹茶を上手に点てられるように練習する(大事)

10年くらいひたすらお抹茶を点て続ける練習をすれば、こんな感じのきめ細かい泡のお抹茶が点てられるようになる(はず)。
コツは、初めはお抹茶を静かに浮かせるための時間を作ること、力を入れないこと、茶碗の12時と6時の位置を数字の1を書くように茶筅を動かすこと、茶碗の底に茶筅を当てないこと、です。


まとめ

茶道は奥が深いのでこんな怪文書では紹介しきれない色々があります。
この記事で、何も知らなかった人が少しでも茶道に興味を持ってくれたならとても嬉しいです。
質問などあれば@0xomochiまで(質問箱でも大丈夫です)どうぞ。

茶道を学ぶことによって、何が変わるか、教養が(軽くやるだけでもある程度はつく)つく、精神的に余裕ができる(お稽古をするとかなり落ち着く)というのがあります。

茶道の先生に師事しなくても、自宅でお抹茶を点てるだけでかなり変わると思います。(受験期は毎日3時に起きてお抹茶を点てて飲むというのをやっていました。ただしこれはオススメしません、空きっ腹にカフェインは死ぬ。)

本格的に茶道がやりたいという方は、大学入学前であればサークルで茶道を始めるといいかもしれません。社会人の場合はカルチャーセンターなどでお稽古が行われていないか探してみてください。

すでに茶道に親しんでいる方も、これからの方も、それぞれの目的やペースで楽しんでいってください。


最後の最後に..

おもちを応援したいという心優しい方は

よろしくお願いします。


おわり

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