# 企業取材型インターン「ひきだし」に参加してみて ## はじめに この記事は茨大 Advent Calendar 2019 18日目の記事です。 前回の記事では名乗り忘れました。皆さんご存知はなざきと申します(ご存知ない) 今回は、私が夏季休業中に参加してきたインターンプロジェクトが一段落したので、その記事を書こうと思います。 ## ひきだしって? 企業取材型インターンひきだしのこと。 「株式会社えぽっく」が主催の、茨城県の中小企業を訪問し、社長、社員さんへのインタビューや企業見学によって、その企業の魅力を「ひきだす」インターン。 事前研修が8/24、企業訪問が9/5~7、事後研修が9/8の計5日間の日程。 インターン終了後は、取材した内容を以下のようなフリーペーパーにまとめる。 ![](https://i.imgur.com/F6n2PqU.jpg) 詳しくは [株式会社えぽっく:企業取材インターン”ひきだし”vol.2 旅する冊子プロジェクトを開始します!](https://epochers.com/project/intern/190719tabisurusassi/) こちらのwebページをご参照ください。 参加者が執筆したweb記事もございますので、ぜひご覧ください。 ## 目的 なぜこのインターンは企画されたのだろうか。 「ひきだし」には目的が3つある。 1つ目は「企業を取材し、その魅力をひきだす」こと。 当然企業に取材をするのだから、その企業の魅力を記事にまとめなければならない。 2つ目は「取材をした学生に、働くことの魅力」とを知ってもらうこと。 「ひきだし」で取材する企業は中小企業。そこには中小企業だからこそより見えやすい「働くことの魅力」がたくさんあった。 3つ目は「取材して引き出せた魅力を、他の学生や就活生に発信する」こと。 「ひきだし」に参加したメンバーだけでなく、いろんな人に茨城の会社の魅力、働くことの魅力に気づく手助けがしたい。 以上の3つの目的が「ひきだし」の柱になっている。 ## 実際に「ひきだし」に参加してみて 「ひきだし」では、面識のない男女6人が集まって一つのチームとして、1日1社、3つの企業を訪問した。事前研修で顔を合わせているとはいえ、ほぼ初対面の人達と協力し、企業の魅力を引き出さなければならない。取材を進めながらメンバーの力量を把握し、そしてみんなに合った作戦を提案して、その後の取材の軌道を修正しなければならず、本当に難しかった。 しかし、2日目にはメンバーも仲良くなっており、少しずつ連携が取れるようになったりならなかったりした。普段はなかなかこういった叩き上げで、しかも現場でコミュニケーションの精度を上げる、ということはしないため、非常に貴重な経験となった。 また、各企業の社長から直にお話を伺い、そしてそれに対してたくさんの質問をさせていただく、という普通だったらそうそうあり得ないような体験もさせてもらった。私たち大学生の疑問、拙い質問を笑顔で受け止め、真摯に答えてくださった社長たちの姿をみて、「ああ、こういう人だからこそ社員さんがついていきたいと思える企業にできるんだな」と感じさせられた。それぞれの社長から伺った話はどれも興味深く、人生の厚みを感じ、これもまた非常に貴重な経験だった。 ## 各企業の感想 私たちは株式会社成島、あけぼの印刷社、株式会社ユーゴーへ取材に伺った。 ### 株式会社成島 株式会社成島は、伝統的な節句人形を売っているはずなのに、販売形態がEshop専門、人形の製造に一部CADや3Dプリンターを使う、社長がめっちゃITへの造詣が深すぎるなど、型破りすぎて、一番固定観念をくつがえされた企業だった。また、テレワークOK、副業での成島の勤務もOKと、働き方も方に囚われていなかった。 成島は社長が自由人すぎるので、社長が社員に怒られることも多々あるくらい非常にラフな雰囲気というか、気を使わない雰囲気の企業だった。もちろん社員のみなさんは成島社長のセンス、手腕は非常に尊敬しており、成島社長と共に歩んでいるが、そこには、社長、社員という関係ではなく、なんかいつも面白そうなことをおっぱじめるガキ大将と、それについていく友達たち、のような関係だった。 ### 株式会社あけぼの印刷社 あけぼの印刷社は、その名の通り印刷業の企業だ。 一般的には印刷業と聞くと、広告やポスターの印刷が思い当たるが、あけぼの印刷では、大きな印刷所を持っているため、のぼりの印刷や看板の印刷までもを行っている。また、Web広告、ドローン撮影など近年のニーズに応えられるようなビジネスも始めている。 あけぼの印刷のモットーは「伝える」こと。印刷を依頼されると、ただその依頼された印刷物を刷るのではなく、よりお客様の思いが伝わるように工夫を凝らしたり、一緒に印刷物を作り上げたりしている。 あけぼの印刷では、社員が会社に対してどんどん意見をしやすいように、賞金付きのゲームで進言を求めている。また、社員の生活に合わせて作業時間を調整したりするなど、非常に社員を大切にしている。 社長は元ソフトバンクに勤務されていて、そこで培った市場のリサーチ能力を生かし、虎視眈々とビジネスを成功させる作戦を練っているような、非常にキレる方だった。その一方で、今のあけぼの印刷のお客様も社員も大切にする社風を作るなど、人間を大切に思う一面も持ち合わせた、とても魅力的な方だった。 ### 株式会社ユーゴー 「ユーゴー」という名前では馴染みがないかもしれないが、実は「クリーニング専科」を運営する会社、と聞くとあああそこか!となる人も多いだろう。 ユーゴーでは各店舗のマネジメントや店舗、グッズのデザインなど、行ってしまえば本社として一般的な業務を行っていた。しかし、ユーゴーの企業としての魅力はその労働環境にある。ユーゴーでは、大学卒で入社すると、基本的には店舗のマネージャー職に任命される。新卒1年目の社員に、である。ユーゴーは社員に成長のチャンスを与え、その仕事を通してやりがいを見つけてもらうことを重視している。いきなりマネージャーと聞くと腰が引けてしまうが、ちゃんとマネージャーをサポートしたり、モチベーションを上げるような体勢が手厚く整っている。先輩社員がしっかり後輩の面倒を見てくれたり、社員同士の交流も非常に盛ん。そしてなにより、社長が社員のことをまるで父のように見守っている。 非常に暖かい環境で、徹底的に挑戦させてくれる職場。まるで家族のようで、本当に素敵な企業だった。 ## 「ひきだし」報告会 12/12日 に茨城キリスト教大学にて、ひきだしの報告会を行った。 そこでは、自分たちが取材した企業で感じたこと、ひきだしを通して感じたことを、改めてご協力いただいた企業の方にお伝えし、その後の座談会にてお互いにフィードバックをする、というものだった。 取材をしてから3か月たって、感じたこと、そこから考えたことがいい具合に熟成され、それを改めて企業の方にお伝えすることができたのは、本当に機会に恵まれていたと思う。お話をすることで、自分たちが考えもつかなかった意見をいただいたり、自分たちの感じたことが、企業にとって新鮮なものであったりと双方向の学びにつながったとのお声もいただいた。今回「ひきだし」に参加したことで、自分たちだけが成長させていただいたのではなく、企業にも何らかの形で貢献できたのは非常に嬉しかった。 ## 感想・まとめ 私は、正直「ひきだし」に参加するまでは、会社、労働というものが徹底的にブラックなもので、どうせ苦しんで働いて、終には死んでいくものだと思っていた。しかし、今回の経験を通じて「楽しいと働くことは背反ではない」、「自分の好きなことで突き抜ければ、その魅力で人をついてこさせることができる」ということを感じた。自分でも明らかに参加前後で考え方が変化しているのが分かった。 このインターンは、現代の迷いがちな学生にとって、一石を投じまくってくれる(結局多石なげてる)インターンであると感じた。今後の開催は未定ではあるが、もし次回以降の開催があれば、悩める学生は参加してみてほしい。