コガモ検出器 Compact Gamma-ray Monitor (Cogamo) は、[シチズンサイエンス「雷雲プロジェクト」](https://fabcafe.com/jp/labs/kyoto/thunderstorm/)に向けて開発された、持ち運びできるサイズの環境放射線モニタです。このページでは、その使い方を説明します。Cogamo は GPS により時刻・位置を取得しながら、CsI シンチレータによる放射線信号を記録します。
![cogamo_photo1](https://raw.githubusercontent.com/tenoto/misc/master/growth/photo/IMG_1262.jpg =400x300)
![cogamo_photo2](https://raw.githubusercontent.com/tenoto/misc/master/growth/photo/IMG_1263.jpg =400x300)
![cogamo_photo3](https://raw.githubusercontent.com/tenoto/misc/master/fig/IMG_20200903_125721.jpg =400x300)
![cogamo_photo4](https://raw.githubusercontent.com/tenoto/repository/master/growth/photo/IMG_20200902_165724.jpg =300x400)
# コガモの仕様
## 諸元
- 駆動電圧: 100 V 商用電圧供給で、内部回路は 5V駆動
- 消費電力 1.1 W (消費電流 220 mA @ 液晶バックライト・オン)
- 消費電力 0.95 W (消費電流 190 mA @ 液晶バックライト・オフ)
- (ref) 5V 消費電流値の詳細
- Sakura IO 付き: 通常 280 mA, 送信時一瞬 500 mA
- Sakura IO 無し: 通常 200mA
- 液晶バックライト ON時: +50mA
- RGB LED ON時: +100mA
- 10,000 mAh バッテリーで、SakuraIO無しだと50時間動作
- バッテリー仕様(搭載版のみ)
- リチウムイオンバッテリー10,000mAh搭載
- 充電しながらの動作も可能
- AC 100 Vで充電中し動作中に電源が切れても、一瞬 off になったあと、再び on になる
- 液晶バックライト・オフ時には連続10時間作動、オン時は、9時間作動
- シンチレータ: CsI(Tl) 5x5x15 cm3
- 光検出器 浜松フォトニクス MPPC S13360-6050VE
- 液晶画面: 1.8 インチカラー液晶(カウント数、スペクトル、GPS表示)
- GPS搭載
- GPS モジュール (みちびき、BeiDou, Galileo 対応, 窓から2 mほどう屋内でも受信可能で、+/-2m の精度まで)
- GPSサブメータ級即位補強サービス対応、L1S受信可。受信状態がいい場合で、誤差2m程度
- Sakura IO モジュールによる HK データのサーバーへの自動送信機能
- データ保存
- マイクロSDカードスロットを搭載し、ルートに置かれたconfig.csvの設定に従って、スペクトルをCSVファイルで、一定間隔(一秒単位で指定)で記録可能
- [SanDisk 高耐久 ドライブレコーダー アクションカメラ対応 microSDXC 128GB SDSQQNR-128G](https://www.amazon.co.jp/dp/B07NY23WBG/ref=cm_sw_r_tw_dp_2Q0DX9N5MJ12H22JZRS9) を採用。
- 1時間のevent data は 15 MB、これは 128 GB なので、ちょうど356日=1年ほど持つことになる。
- USBシリアル経由で、コマンドにより、スペクトルを転送可能
- 環境センサーBME280搭載。温度、気圧、湿度、照度を測定可能
- タカチ防水ケース(NK903Y) 全体のサイズ 23(幅)x18(奥)x10(高さ) cm3 (アルミケースに封入)
- 防水ボックス全体の重量 4 kg
- RGB-LED での展示
## 各部の名称
![](https://hackmd.io/_uploads/H1zLLZynh.jpg)
# 使い方
## 1. 立ち上げ
GPSを繋ぐ(繋がなくても動作します, 詳細は末尾)。電源スイッチをonにする。
## 2. 画面操作
- 赤スイッチで画面(5種類)の切り替えが可能。
- 2分以上画面操作がない場合は、省電力のため、液晶のバックライトが自動的にoffになる
- DIPスイッチNo.1をonにすると、バックライトは点灯したままになる。
### 2-1. 移動平均線スペクトル画面
![](https://hackmd.io/_uploads/rkxJYWy23.jpg)
- 移動平均スペクトル(黄色)が表示される
- 表示の軸
- X軸の単位 : MeV
- Total Ch : 1秒ごとの全チャンネルのカウントレート CPS (count per secound)値
- Total Ch Av : Mov. Ave. Timeで設定される時定数の全ちゃんねるの移動平均CPS値
- ボタン操作
- 橙スイッチ:直線・Log表示切り替え
- 黄スイッチ:Y軸の倍率切り替え(1,2,5,10,20,50,100倍)
- 緑スイッチを押しながら橙スイッチ:移動平均の時定数の切り替え(1,3,10,30秒)
- 緑スイッチを押しながら黄スイッチ:X軸倍率切り替え(1,2,4,8倍)
### 2-2. 積算スペクトル画面
![](https://hackmd.io/_uploads/HJF7tZynn.jpg)
- 積算スペクトル(緑)が表示される。
- 表示の軸
- X軸の単位 : MeV
- Total Ch : 1秒ごとの全チャンネルのCPS値、
- Total Ch Ave I : 全チャンネルの積算カウントを積算時間Integ.Timeで割ったCPS値
- ボタン操作
- 橙スイッチ:直線・Log表示切り替え
- 黄スイッチ:Y軸の倍率切り替え(1,2,5,10,20,50,100倍)
- 緑スイッチを押しながら赤スイッチ:積算時間クリア
- 緑スイッチを押しながら黄スイッチ:X軸倍率切り替え(1,2,4,8倍)
- 橙スイッチ長押し(2秒以上):手動でスペクトルをSDに記録。
### 2-3. エリア別カウント画面
![](https://hackmd.io/_uploads/rJmDFbyn2.jpg)
- 設定ファイルconfig.csvで設定した各エリアのCPS値を表示する。エリアとはエネルギー範囲で区切ったデータのこと。
- これらの移動平均の時定数はconfig.csvのTIMECONSの値。
- ALL Mv.Av:全てのチャンネルのCPS値(時定数はconfig.csvのTIMECONS)
- ALL:全てのチャンネルのCPS値(時定数は1秒)
### 2-4. GPS状態(オプション)、環境センサー画面
![](https://hackmd.io/_uploads/HJj5KWkn2.jpg)
- GPSの状態と各センサーの値を表示する。
- GPS
- 上から、日時、位置特定品質、緯度、経度。位置特定品質(status)は
- Invalid : 位置を特定できない
- GPS fix : 標準測位
- DGPS fix : 干渉測位
- センサー:
- 上から、温度、気圧、相対湿度、照度。
### 2-5. 設定ファイル表示画面
![](https://hackmd.io/_uploads/S1T3tWk33.jpg)
- Config.csvの中身。
- 下の段はチャンネルからエネルギーKeVに変換する式を示している。
## 3. GPSの接続の仕方と確認
### 3-1 GSP ケーブルの接続
コガモ本体とGPSアンテナを接続する。GPSアンテナを空が見える位置に設置する。
![](https://hackmd.io/_uploads/HkcQd-J33.jpg)
### 3-2 GPS捕捉の確認
![](https://hackmd.io/_uploads/B1fW9ZJnn.jpg)
赤スイッチを押して④GPS状態(オプション)、環境センサー画面を表示させる。
画面のLng. Lat. の部分に緯度経度が表示されたら完了。(GPSアンテナを空が見える位置に置いてから表示が出るまでに、数十秒から数分かかります。)
### 4. その他の有用情報
- Sakura IO は、基板上のDIPスイッチの2番をONにして、再起動すると オフになります。
- スペクトルが表示されている画面で黒か青を長押しするとLEDのOn/Offを切り替えられます。
- ノイズ対策で、ID 31, 35, 51, 58 で 3300 uF を付けています。
## microSD データのフォーマット
[Cogamo Data format and analysis python codes](https://github.com/tenoto/cogamo) を参照してください。日本語版はいずれつくるかもしれません。
## config の設定
デフォルトのエネルギー帯域は、
- area 1: <0.5 MeV
- area 2: 0.5-1 MeV
- area 3: 1-2 MeV
- area 4: 2-3 MeV
- area 5: 3-8 MeV
- area 6: >8 MeV
# 動画
* [【雷雲プロジェクト:2021】応募説明会 (2021年8月7日 13:30-14:30)](https://youtu.be/ESfy4k_EOLc)
* [コガモの使い方動画・FY2020](https://youtu.be/05D4iPTjJ0s)
* [ウェザーニュースLive (2021/12/11 22:00-22:30)](https://youtu.be/LlbvvQURFrQ)
# 関連ページ
- [Cogamo Data format and analysis python codes](https://github.com/tenoto/cogamo)
- [コガモの QL データサーバー](https://cogamo.tacinc.jp/login) (チーム内のみ)
- [アラート報告(tac_maker)](https://twitter.com/tac_maker)
- [雷雲プロジェクト一般向けサイト]( https://fabcafe.com/jp/labs/kyoto/thunderstorm/)
# 金沢での雷雲・雷放射線との比較に関する情報
- [北陸電力LLS](https://www.rikuden.co.jp/nw/kisyo/llssen.html)
- 気象庁のCバンドレーダー解析雨量に北陸電力が運用しているLLSの雷データを重ね合わせたものが表示。5分毎の更新で最大12時間まで遡れる。
- [Yahoo! 雨雲レーダー](https://weather.yahoo.co.jp/weather/zoomradar/)
- 前からあったYahoo!の雨雲レーダーにフランクリン・ジャパンのJLDNのデータを重ねて表示できる。レーダー画像は気象庁の高解像度降水ナウキャスト (気象庁Cバンド+国交省Xバンド) のデータを使用。
- [フランクリン・ジャパン Twitter](https://twitter.com/FjcWest2)
- 雷が北陸地方で発生するとTwitterに投稿される。雷が頻発すると10分に1回の更新になります。Twittrなので過去データも遡れる。
- [Blitzortung](https://www.lightningmaps.org)
- 世界中で展開されている雷観測ネットワークBlitzortungのリアルタイム観測結果。現状、観測精度・捕捉率はJLDNほどではないかもしれない。リアルタイムで見ることが利点ですが、過去データを参照するためにはコントリビューターになる必要がある。
- [XRAIN](https://www.river.go.jp/kawabou/pc/)
- 国土交通省のXRAINの雨量データのリアルタイム情報。更新間隔は1分。他のサイトで雷の発生を確認したら、その積乱雲を細かく見るのに向いている。プレイバックも可能で、[DIAS](http://xrain.diasjp.net/info/)が必要。
- [気象庁・高層天気図](https://www.jma.go.jp/bosai/numericmap/)
- 実況天気図や高層天気図(500 hPa面など)は気象庁のHPからダウンロードできる。
- [ウェザーニュースの有料サービス](https://weathernews.jp/my/setting/cgi_ua/mylogin.cgi?auth&menu=labs)
# 改訂履歴
- 2023/8/8 hackmd に移植 (T. Enoto)
- 2021/7/12 word 版作成 (M.Tsurumi)