こんにちは。
この記事では実数の中での有理数の分布について、一つの問題を例に説明します。私自身まだ数学の知識が浅いので厳密な話ではありません。ご了承ください。
まず初めに次の問題を考えてみてください。出来れば答えを確認する前に自分の中で答えを用意すると良いと思います。(因みに、この問いは大学で集合の濃度を教えるときにしばしば前座として使われるもののようです。)
与えらえた集合Aの長さを
例)A([0,1])=1 ←0以上1以下の次数全体の集合が[0,1]なのでその長さは1。
※すぐに答えを確認したい方は「喩え話」の手前までスクロールして下さい。
ところで、任意の整数mには、m-1<m<m+1という隣の整数m-1,m+1が存在します。すなわち、m-1<n<m、m<n<m+1を満たす整数nは存在しません。
一方、任意の有理数p,qがp<qを満たすとき、p<r<qを満たす有理数rが必ず存在します。つまり、有理数には隣り合うものが存在しないということです。これを有理数の稠密性(ちゅうみつせい)と言います。
「稠密」とは、「どれだけ狭い幅の区間を取ってきてもその間の要素が存在する」、「要素がギッシリ詰まっている」ということです。
では、有理数の稠密性の証明を見てみましょう。
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(引用:高校数学の美しい物語)
因みに無理数も稠密です。
さて、答えは思い浮かべたでしょうか?(正解を発表します)
・・・
・・・
・・・
答えはl(A)=0 です。想定した答えと一致していたでしょうか?
この0の意味について1つ、喩え話を紹介します。
0以上1以下実数で番号が付けられた無限枚ある宝クジ(こんなもの現実には存在しない)を買ったとします。しかもクジの番号「有理数番」のものだけをすべて買い占めたとしても(「有理数番」のクジは無限にあるがお金を無限に所有している人はこの世に存在しないので現実的には不可能ですが…)、この宝クジに当たる確率は0であるのです。
「当たり前じゃん」と思った方も、「は?」思った方もいらっしゃるかもしれません。私は、最初「は?」と思いました。
ここではそもそも長さという言葉が曖昧で、本当は測度と呼ぶべきなのですが、測度とは実解析学で学ぶ高級な概念で私はあまり詳しくないのでここでは長さとさせて頂きました。定性的な説明となりましたが、今回はこれにて終了とさせていただきます。最後まで読んで頂きありがとうございました。
今回初めてLaTeX記法を使ったので、練習がてら有理数全体から成る集合の濃度に関する内容を以下に書きました。大抵の教科書には載っていそうな内容ですが、良ければ参照して下さい。
有理数全体の集合
(1)
をともにたかだか可算な集合とすれば、直積 もたかだか可算な集合である。なお、この場合、 がともに空でなく、少なくとも一方が可算なものならば、 は可算である。
(2)
集合族(ただし )において、どの に対しても はたかだかかさんであるとし、また、添字集合 もたかだか可算であるとすれば、和集合 もたかだか可算な集合である。
有理整数全体の集合
,有理数全体の集合 は可算集合である。
まず、上の定理(2)より明らかに、
{1,2,3,・・・} {0} {-1,-2,-3,・・・}
は可算である。したがって、定理(1)によりも可算でとなる。
次に、が可算であることを示す。 の任意の元は の形に表されるから、 から への写像 を
と定義すれば、は への全射となる。したがって、 であるから、
・佐久間一浩『高校数学と大学数学の接点』(日本評論社)
・松阪和夫『数学入門シリーズ1集合・位相入門』(岩波書店)