いくつか調べられる範囲で論文に当たりました。どれも信頼できるソースだと思いました。結論としては、単語として Pedophilia は Child Molester に誤用されているという確証は得られませんでした。また、実在児童に対する性的欲求の発露/表現という行動無しに、内心における欲求だけならそもそもペドフィリアと言わないのではと思います。(あくまで単語の定義と誤用という部分に焦点を当てています。専門外なので何か間違いがありましたらご指摘いただけますと幸いです。)
https://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev-clinpsy-021815-093330
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25492064/
https://doi.org/10.3138/cjhs.2022-0006
https://doi.org/10.1007/s10508-014-0312-4
https://doi.org/10.1027/1016-9040/a000325
最初の2つの論文には、DSM-5の定義はDSM-4と比べてSexual OrientationとDisorderを区別したのは大きく改善されたポイントだと述べられています。
3番目のトロント大学の The Canadian Journal of Human Sexuality では Pedophilia を minor-attracted として Sexual Orientation のコンセプトを内包するのではという提案が2012年にあったとあります。(Setoという方がよく参照されています)
その後の2020年にはPedophileという精神医学用語を、minor-attractedのラベルとして使うことを今後の研究は好むかもしれないと提案された、と述べるに留まりました。ここでも Pedophilia を child molester と混同しているという指摘は見つかりませんでした。
ペドフィリア差別という概念について一番近しいのは最後2つの論文です。これは Pedophilia と烙印を押された(原文stigmatized)人々について抱く印象を調査したもので、確かにネガティブな反応が圧倒的であり差別が誘引されても驚かないと述べられています。
ここからは僕の言葉です。
トロント大学のジャーナルにあるように(少なくとも医療研究での用語としては) Pedophile という言葉自体はより包括的になりつつあるのかもしれません。しかし、より区別されて提供されているのはDSM-5の方です。そのPedophiliaの用法を誤用とし、かつそれを参照している人を差別と断定し糾弾するのは正しくないだろうと思いますし、よりチャイルド・マレスターと区別せよと要請するならばなおさらDSM-5の用語を用いるのが適切なのでは、と思います。
それを考慮すると、「実在の児童への性的欲求の発露/表現」をしてしまうと、すでに発露/表現という「実際の行動」をしてしまっているので、ペドフィリアと言うのだと思います。