--- tags: TrRun4 id: Theo-D08_sayings.md --- # 檜山トレラン4 D08 ハマるな、注意! ==順不同(思い付き順)、分類はしてない。随時、追加・変更・削除。== 1. 言葉(用語)に騙されるな。信用できるのはオフィシャルな形式的定義だけ。 1. オフィシャルな形式的定義も、時代・地域・分野・コミュニティごとに変わる。同一の用語の定義が、個人ごとに異なることも珍しくはない。 1. 「形容詞+名詞」の用語を、形容詞と名詞に分解して理解するな。 1. 省略、短縮記法、オーバーロードに騙されるな。どこでどのような省略、短縮記法、オーバーロードがされているかちゃんと認識する。 1. 常に文脈を意識する。同じ言葉や文が、異なる文脈ではまったく異なる意味を持つ。 1. 同義語に注意。歴史的経緯と互換性から、同一概念にたくさんの違う呼び名があるのは普通。「同義語である」という事実を理解しないとバカみたいな(実際バカな)記憶負担にあえぐことになる。 1. 記憶力に自信があるにしても、「同義語である」という事実を知らずにバラバラに憶えていることは不幸。 1. 複数の分野の複数の具体例から抽象化された概念には、当然ながらたくさんの同義語が付く。 3. 集合〈型〉と要素〈インスタンス〉をゴッチャにするな。常に区別せよ。 4. 階層構造があるとき、階層をゴッチャにするな。例: $X,\,\mathrm{Pow}(X),\mathrm{Pow}(\mathrm{Pow}(X)),\, \cdots$ という階層。 4. 名詞には複数の解釈がある。常に識別せよ。例:「自然数」の解釈→ ${\bf N},\; n\in {\bf N},\; A\subseteq {\bf N}$ 5. 日本語にはないが、名詞に付く冠詞を意識せよ。例: 自然数 $x\in {\bf N}$ が、 a natural number か the natural number か。 6. 一般概念か特定概念かも冠詞と単数・複数で識別できる。a singleton set, the {selected \| distinguished \| chosen} singleton set, singleton sets, the class of all singleton sets, etc. 1. 単元集合と空集合を区別せよ。void型は単元集合。最近は空集合を意味する never型/nothing型も導入されるようになったが、悲しいかな“最近”。 1. 単元集合とその唯一の要素を区別せよ。しばしば同一視されるが違うもの。必要ならヒルベルト・イプシロンで要素を明示的に取り出せ。 1. 暗黙の埋め込み写像/埋め込み関手も明示化して意識せよ。埋め込みの定義がいつでも自明とは限らない。 1. 暗黙の同一視も明示化して意識せよ。同一視を与える同型射を確実に書き下せるように。 1. エッジケースから攻めろ。例えば、集合の話なら空集合、単元集合、二元集合から確認する。 1. 現存の定義や定式化や記法は最良のものとは限らない。歴史的経緯からクソな(言い直そう、「お排泄物的な」)定義・定式化・記法がしつこく残っていることがある。 1. お排泄物的な定義・定式化・記法に出会ったら、自分で書き直したほうが結局は苦労が少ない。 1. どうでもいい概念にちゃんと名前が付いていて、大事な概念なのに名前がないときがある。プライベート/ローカルに命名するしかない。 1. 命題の記述で限量子 $\forall, \, \exists$ は省略されることが多い。どっちであるかを毎回判断する。 1. 区切り記号のカンマも、ANDの意味とORの意味で使われる。毎回判断。 2. 含意演算〈implication operation〉と論理順序〈logical order \| entailment order〉をゴッチャにしているケースが非常に多い。クソだ(言い直そう、「お排泄物的だ」)。しかも、含意演算に相当する集合演算に名前がない(論理順序相当は包含順序)。 1. オフィシャルな形式的定義にはない条件を、勝手に入れるな。例:圏の対象は集合であるべき(んなわけねーよ)。集合圏上のモナド単位の成分は単射(んなわけねーよ)。 1. 現在の集合論(ZFC集合論)には、アトム(より細かい部分に分解できないモノ)という概念はない。強いて言えば空集合だけがアトム。便宜上アトムを想定することは多いが、あくまで便宜上であることに注意。 1. なんかの名前・記号を見たらすぐさま、そのプロファイルとアビタを書き下す。それが条件反射になるまでトレーニング。 1. もし、アビタ/プロファイルが不明な名前・記号があるなら、そこに曖昧性があると強く意識する。 1. どんな概念/定式化/理論構成であっても、いずれアンラーンすべき時が来るかも知れない。過度に執着・信頼しない。 1. 小学校/中学校/高校で習った概念/定式化は、刷り込みが強いのでアンラーンしにくい。例えば「計算の答は一意決定的である」「関数は計算式で定義する」「数はアトムである」とか。繰り返しアンラーンしよう。 1. 命題と判断・主張は別物。「◯◯であることを主張してない」は立派なメタ命題。メタ命題にメタ判断を考えるときもあるが、通常、メタ命題はそのまま信じる。 ## 補足説明