--- tags: TrRun2 id: ProbCHL-B12.md --- # 檜山トレラン2 B12 曖昧さとインチキ 曖昧語は使わず、インチキな計算をしないようにしよう。だが、既に使われている曖昧語やインチキ計算を理解するためのヒントを書いておく。 ## 曖昧過ぎる多義語 1. 確率変数: 檜山が知る範囲で、最も腐っているテクニカルターム。ワイルドカード/マジックワード(使用者がその時々で勝手に意味を決めてよい語)になっている。典型的な使用例は: 1. 単なる関数〈可測関数〉 2. 単なる変数 3. 確率空間(の台集合)を域とする関数 4. 確率空間 5. マルコフ核 6. 他の確率測度の前送り測度 7. 確率空間のあいだの測度保存写像 8. 確率空間のあいだの測度保存マルコフ核 2. {確率}?分布: これもかなりワイルドカード/マジックワード 1. 確率測度 2. 確率密度関数 3. 密度関数を持つ確率測度〈絶対連続測度〉 4. 何らかの意味で扱いやすい確率測度 5. 他の確率測度の前送り測度 6. 離散測度空間の凸結合モナド(ジェイコブスの用法) 7. 域が終対象であるマルコフ核/マルコフ射(フリッツの用法) 3. 標本空間: 1. 確率空間の台集合 2. 確率空間の台可測空間 3. 任意の可測空間 4. 可測写像/関数の余域 5. 可測写像/関数の域 4. 条件付き確率: 1. 確率空間の制限(制限した結果も確率空間) 2. マルコフ核 3. マルコフ核の一点での値(確率測度) 4. 確率空間(の台可測空間)で定義されたマルコフ核の制限 5. 確率測度のファジー述語による更新 6. 同時確率測度の条件化、またはその結果 方針: 1. 確率変数はあまりに意味不明なので使用しない。 2. {確率}?分布は、フリッツに従い、域が終対象である射の意味。ジェイコブスの{確率{的}?}?状態と同義。 3. 標本空間も必要を感じないので使用しない。 4. 条件付き分布はマルコフ核と同義で使う。その他は、制限、値、更新、条件化などの言葉を使い、条件付き確率は使用しない。 ## インチキ計算のためのインチキな基礎 インチキな計算を行うときは次のようなインチキをする。 1. 関数と測度を区別しない。$f(x)$ も $f(A)$ もOK。一般の測度でコレやったら絶対にダメ。 2. シングルトン省略。$f(\ast) = f() = f,\, f( (\ast, x) ) = f(\ast, x) = f(x \mid \ast) = f(x)$ これくらいなら許せる。 3. 完全オーバーロード: 出てくるすべての関数/測度を同じ名前で呼ぶ。フォングにより、合理化方法と適用限界が指摘されている。 4. ゼロ除算の扱い: 1. ゼロ除算が起きない場合に限定する → 色々と無理がある。 2. ゼロ除算を許すが値がどうなるかは言及しない → はぁ? (ちなみにMaybeのような未定義値を使うわけではないし、未定義値はウマクない。) 5. 引数の交換を許す。$f(x, y) = f(y, x)$ フォングにより、合理化方法と適用限界が指摘されている。なんとか合理化できるとは言え、やめたほうがいい。 6. $f(A, B) = f(A\cap B)$ 自然言語の「かつ」は「カンマ、キャップ、タイムス」のどれで書いてもいい、って発想か? 斬新だな。 1. $A\cap B := A\times B$ と考える。 2. $A := A\times Y,\, B:= B\times X$ と考える。