--- tags: TrRun3 id: Arrg-A21_termRemap.md --- # 檜山トレラン3 A21 用語対応表 修正版+注意事項 $\newcommand{\lis}[1]{\boldsymbol{ #1 }} \newcommand{\In}{\text{ in }}% \newcommand{\hyp}{ \text{-} } %$ <!-- $\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}}% \newcommand{\On}{\text{ on }}% \newcommand{\id}{ \mathrm{id} } % id \newcommand{\Imp}{ \Rightarrow }% \newcommand{\Iff}{\Leftrightarrow} \newcommand{\Kl}{\mathrm{Kl} } \newcommand{\Sy}[1]{ \langle #1 \rangle } % symbole \newcommand{\conc}{\mathop {\#}}% \newcommand{\mr}[1]{\mathrm{ #1 }}% % \newcommand{\R}{ {\bf R} } \newcommand{\B}{ {\bf B} } \newcommand{\N}{ {\bf N} } \newcommand{\Rnn}{ {\bf R}_{\ge 0}} %$ % \require{color}% \newcommand{\Keyword}[1]{ \textcolor{green}{ \bf \text{#1} } }% \newcommand{\For}{\Keyword{For }}% \newcommand{\Let}{\Keyword{Let }}% \newcommand{\WeWillDefine}{\Keyword{WeWillDefine }}% \newcommand{\WeDefine}{\Keyword{WeDefine }}% \newcommand{\Where}{\Keyword{Where }}% \newcommand{\Using}{\quad\Keyword{Using }} \newcommand{\When}{\Keyword{When } } % \newcommand{\BL}{ \{\![ } \newcommand{\BR}{ ]\!\} } \newcommand{\LCL}{ (\![ } \newcommand{\LCR}{ ]\!) } % \newcommand{\Justification}{\Keyword{Justification }}% \newcommand{\WeUseNotation}{\Keyword{WeUseNotation }}% \newcommand{\Ju}[2]{ \langle #1 \models #2 \rangle }% Judge \newcommand{\WeAssert}{\Keyword{WeAssert }}% \newcommand{\Then}{\Keyword{Then }}% \newcommand{\Exn}[1]{ [\!( #1 )\!] } \newcommand{\Rnni}{ {\bf R}_{\ge 0}^{+\infty}} \newcommand{\Substitute}{\quad\Keyword{Substitute }}% \newcommand{\with}{\Keyword{ with }}% \newcommand{\kid}{ \mathrm{kid} } % Kleisli id --> ☆[A16 「カラスは黒い」徹底再論 // ちゃんと区別しよう](https://hackmd.io/@m-hiyama/SkD5OPhWY#%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%A8%E5%8C%BA%E5%88%A5%E3%81%97%E3%82%88%E3%81%86) の用語対応表を少し修正した。 ## 集合論的・圏論的概念と記法 太字小文字の $\lis{a}, \lis{b}$ などは集合のリストを表すとする。 $\quad \lis{a} = (A_1, \cdots, A_n) \in List(|{\bf Set}|)$ $\prod$ で集合のリストの総直積。 $\quad \prod(\lis{a}) = \prod( (A_1, \cdots, A_n) ) = A_1\times \cdots \times A_n \in |{\bf Set}|$ 特別なケースとして: - $\prod( () ) = {\bf 1} = \{ * \}$ - $\prod( (A) ) = A$ - $\prod( (A, B) ) = A\times B$ $F = (F, \eta, (\hyp)^\# ) = (\underline{F}, \eta^F, ext^F )/{\bf Set}$ は集合圏上のモナド。 - $\underline{F}$ は、モナド $F$ の型コンストラクタ(または台関手)。ここでは、型=集合=集合圏の対象。 - $\eta^F$ は、モナド $F$ の単位〈unit〉。Haskell なら return 。 - $ext^F$ は、モナド $F$ の拡張〈extension〉。線形結合モナドなら線形拡張。 - ${\bf Set}$ は、モナド $F$ が載る基礎圏である集合圏。 ## 用語対応表 「標本空間〈sample space〉」は意味不明な曖昧語なので使用禁止の方針だったが、「標本空間=集合、標本点=要素」とすると、==曖昧であることも含めて==集合論的概念に翻訳できるので、使うことにする。 以下の表で、丸括弧で囲んである言葉は、その分野で使われているかは疑わしい言葉。 | 一般論 | データベース | 確率 | テンソル計算 | |----------|-------------|-----|-------------| | 集合 $A$ | ドメイン | {単純}?標本空間 | {単純}?インデックス集合 | | 要素 $x\in A$ | アトミック値 | {単純}?標本点 | {単純}?インデックス | | リスト $\lis{a}$ | テーブルスキーマ | (?) | (?) | | 直積集合 $\prod(\lis{a})$ | (タプル空間) | {同時}?標本空間 | {多重}?インデックス集合 | | タプル $x\in \prod(\lis{a})$ | タプル | {同時}?標本点 | {多重}?インデックス | | 射影 $\pi^i$ | カラム | (周辺化) | (?) | | $x\in F(\prod(\lis{a}))$ | テーブル状態 | {同時}?{確率}?分布 | (?) | | クライスリ射 | (?) | マルコフ核 | テンソル | 注釈や感想を順不同に述べる。 1. データベースでは、アトミック値とタプル〈複合値〉を神経質に区別するが、他の分野では気にしてない。ドメイン=基本データ型がデータベースシステム組み込みだから、意識せざるを得ないのだろう。 2. データベースでは、テーブルの仕様〈設計情報〉としてスキーマ概念があるが、他の分野では仕様を意識してない。 3. 確率では、「直積で作られる」ことを「同時」と言う習慣らしい。 4. 「直積で作られる」の意味の「同時」「多重」は使うが、アトミックに相当する「単純」は明示的には言わないようだ。「原子的〈アトミック〉か複合的か?」を気にする分野と無頓着な分野があるみたい。 5. そもそも、「原子的〈アトミック〉か複合的か?」の境界線は人為的・恣意的に決めるだけで、==理論的な境界線などない==。 6. 確率におけるクライスリ射には、檜山が把握しているだけで20種類以上の呼び名がある。 7. 一方で、データベースではクライスリ射に興味がないらしい。テーブル状態だけを扱いたいのかも知れない。 8. データベースにおける、テーブルスキーマから作られる直積集合に呼び名がないようだが、不便過ぎる。ここでは「タプル空間」と呼ぶ。 9. 「カラム」と「周辺化」は射影だと解釈できるが、完全に同義とは言い難い。分野固有のニュアンスが在るのは事実で、これは少し詳しい説明が必要だろう。 10. 確率における「標本空間/標本点」は「集合/要素」の同義語と解釈するのが妥当だろう。測度論を使うときは「可測空間/要素」。 ## なぜ混同するか? どうすればいいか 集合論・圏論に基づいた一般論では、例えば、関数〈写像〉と余域と関数値(余域の要素)を混同することは考えにくい。 1. $f:A \to B \In {\bf Set}$ 2. $B \in |{\bf Set}|$ 3. $f(x) \in B \:\text{ for some }x\in A$ しかし、各分野ごとの方言では、歴史的経緯から、「関数、余域、関数値」の区別さえ曖昧で、混同しがち、あるいは曖昧なままにされていることは珍しくない。「変量、変量の域、変量の余域、変量値、母集団、標本集団」は、一般論からは明確に定義できるが、実際の用語運用はかなり曖昧。 各分野ごとの歴史的・伝統的・習慣的な方言で考えることはやめて、より精度が高い一般論で考えれば、混同や曖昧さは避けられる。各分野の方言に戻すときは上の対応表を使う。 使う言語(用語法、記法)によって、理解や考察の効率と精度は著しく変わる。歴史的・伝統的・習慣的な方言のなかには、理解や考察の効率と精度を==著しく落とす==ものがあるから、要注意。 - 悪習・因習 → [2/ B03 悪習と戦い、そして抱きしめる](https://hackmd.io/@m-hiyama/Hyj1vn1eO) - [流砂から脱出する方法](https://www.youtube.com/watch?v=zHNP0_gp-Sc) - 寛容さ → [A16 「カラスは黒い」徹底再論 // 許容されるデタラメ](https://hackmd.io/@m-hiyama/SkD5OPhWY#%E8%A8%B1%E5%AE%B9%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%A1) - 異世界転生学習法 → [A05 閃きと飛躍、記法の獄舎、異世界転生](https://hackmd.io/@m-hiyama/HyefK6w1t#%E7%95%B0%E4%B8%96%E7%95%8C%E8%BB%A2%E7%94%9F%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%B3%95) - オーバーロードの例 → [B12 「逆」のオーバーロード](https://hackmd.io/@m-hiyama/B1eADLqkY)