--- tags: TrRun2 id: ProbCHL-B03.md --- # 檜山トレラン2 資料B03 悪習と戦い、そして抱きしめる 数学/数理科学の世界には**根強い悪習・因習**が蔓延〈はびこ〉っている。いくら注意しても、悪習の泥沼を避けることは出来ない。ほぼ間違いなくハマって苦しむ。悪習の泥沼にハマっても、沈んで死なない、もがいてでも前に進むことが重要。 どんな悪習・因習があるかを事前に知っていれば、泥沼を多少は避けることができるし、ハマっても沈んで死ぬリスクを軽減できる。 - [流砂から脱出する方法](https://www.youtube.com/watch?v=zHNP0_gp-Sc) 我々に直接関係する目ぼしい悪習: 1. 関数の域・余域を明示しない悪習。 2. 関数と関数値を区別しない悪習。$f = f(x)$ 3. 関数と戻り値変数〈従属変数 \| 出力変数〉を区別しない悪習。$y = y(x)$ 4. 演算子〈関数〉記号と括弧をやたらに省略する悪習。 5. 名前を一文字にしたがる悪習(演算子記号の省略と関連する)。 6. 記号をやたらにオーバーロード〈多義的使用〉する悪習。 7. 空集合/単元集合を杜撰〈ずさん〉に扱う悪習。 8. 台集合(一般には台対象)とその上の構造を区別しない。ほとんど常識化している悪習。 9. 配列と行列/テンソル〈多行列〉を区別しない悪習。 悪習は厳しく指摘・糾弾しなくてはならない。しかし、悪習を排除することはできない。我々は結局、悪習に迎合する必要がある。なぜなら、悪習に従わないと人とのコミュニケーションが出来ないから。 - 格言: 悪貨は良貨を駆逐する。<br>本来の意味は「[グレシャムの法則](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%A0%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87)」参照。 それぞれの悪習の弊害・ダメージを軽減する方法、悪習を使わないで済ませる方法などは別に述べる。