自治体がOSSを使う/公開するときの課題 ==== 自治体が、オープンソースソフトウェア(以下OSS)を活用・公開しようとすると、以下の課題にぶつかる 課題の整理のために書いています。誰でも編集できますので、アップデートいただけると助かります。 ## 1)調達 公共調達の仕組みは、オープンソースソフトウェアの開発にあまり向いていない。 * リポジトリの公開や、そのメンテナンスコストを誰が持つのか? * 最近のソフトウェア開発では運用面が重要だが、多くの調達では作って終わりとなってしまうことが多い   (OSS固有の問題というより、アジャイルプロセスと調達の不整合の話では?) * OSSで公開したい時に、どのように調達仕様書をかけばよいのかのノウハウが各自治体に無い ## 2)権利処理(公有財産問題) * 税金を使って開発したソフトウェアを、なぜ他市に無料で提供するのか?という問題 * ベンダーがもともと持っている知的財産の場合、オープンにさせるのは難しさもある。   対象ドメインがニッチすぎる場合、扱えるベンダーが少なすぎる場合は調達が不調になったり、品質が低くなる可能性がある 【参考】地方自治法第238条の4について 行政財産は第4項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない。 https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1001000003491/simple/2706wg7shiryou02.pdf ## 3)運用(メンテナンス) * 調達の項と同様だが、Pull Requestが来た際に誰がどう対応すればよいのか? * 大阪市のように、Pull Requestの機能自体無効にするという手もある ## 4)責任 * オープンソースを使った場合、誰が責任を持つのか? * 問題の在り方としては、パブリッククラウド利用の場合のSLA問題と似ている そもそも、内部的にOSSを使っていないシステムというのはあまり無い。 普通に考えれば、ベンダーが吸収すべき(オープンソースなのだから、直そうと思えば直せるはず。そのリスクを織り込んだ見積を作れば良い) ### メモ 石塚的に進めている方向 行政財産議論を起こさないために、そもそも自治体がプログラムソースを著作権として抱え込まない ##### 手法1 新規開発については、他自治体も横展開可能なモデルを作った上で民間企業のリソースで公開し、できあがったソリューションについて横浜市が「使用料」を払う。危機関連保証認定オンラインについて適用。 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/kigyoshien/yushiseido/nintei/kikikannren.html ##### 手法2 開発側が多少なりとも行政からの資金的リソースを必要とした場合 →「開発」部分に費用を払わずに「検証」部分に払う 金沢区緊急時情報システムについて適用 https://www.city.yokohama.lg.jp/kanazawa/kurashi/bosai_bohan/saigai/joho/5covoice.html (株)137が金沢区に対して市民協働条例第10条に基づく協働提案→金沢区と137が負担金型の市民協働契約を締結 横浜市市民協働条例(H24年に議員提案により条例化) https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo-manabi/shiminkyodo/kyodo/jourei/kyoudoujourei.html 役割分担: (株)137 自社資金によるシステム開発 金沢区 自治会町内会など実際のユーザーに対して検証実施ができる環境構築 ※実際に開発中の発信テストを約130の自治会町内会に対して実施し、得られた情報を開発にフィードバック ※金沢区はサーバの稼動など検証に必要な費用を負担(約70万) 本稼働後は(株)137から「5Co Voice」の名称で一般販売され、金沢区も他のユーザーと同じく月額使用料を支払ってます。(ただし初回ユーザーサービスでもう1回線を無料でつけてもらっている) 今は横浜市内10区のほか、足立区、館山市などで活用されています。 https://www.137.co.jp/service/ これはアーバンイノベーション神戸でも同じような感じですね。 できあがったものについてOSSにしてもしなくても良いとは思いますが、OSSにできるなら継続的なフィードバックが可能になるような保守契約を行えばよいかと思います。