# 仮面ライダー555、これまで見た作品の中でも上の上です この記事は、[みす老人会 Advent Calendar 2023](https://adventar.org/calendars/8564)の**5**日目の記事です。 ## はじめに > 広がる宇宙の中 Can you feel? 小さな地球 (ほし) の話をしよう 今年2月~8月に掛けてyoutubeで毎週2話ずつ配信されていた「仮面ライダー555(ファイズ)」があまりにも素晴らしかったので布教したい。 当時小学校上がるか上がらないかくらいで、リアタイ時から数えてきっかり20年ぶりに見ることになった。ベルトのギミックとか重要な事実だけは覚えていたものの、話の大枠はすっかり忘れてしまっていた。が、大人になった今となって見直してみたら、当時と同じかそれ以上にハマり倒してしまったので、是非オタクの皆は見て欲しい。**来年2月に20周年記念の続編映画やるらしいし**。 ### よくある質問と回答 1. Q. 仮面ライダー全然見たこと無いんだけど本当にハマれるの? A. **余裕でハマれる**。仮面ライダー特有のお決まりを知っていた方がより楽しめる面も無くはないが、あんまりそういうテンプレはこの作品に多くはない。何ならそこまで仮面ライダーオタクという訳でも無い筆者[^1]でさえゴリゴリにハマっているので心配ご無用。 2. Q. 仮面ライダーシリーズ内での人気ってどんな感じなの? A1. 平成初期のライダーの中では龍騎と双璧を成す人気っぷりという印象。どちらも脚本が大人向けで、龍騎はアドベントカードがお子様に刺さって売り上げが上がり、**555はベルトがカッコ良くてWのベルトが出るまで歴代のベルト売り上げ最高記録を保持していた**のだとか。 A2. ネットミーム的な意味でも (直後の剣に比べると流石に劣るが) それなりに人気な印象。「**これも全て乾巧って奴の仕業なんだ**」→「なんだって!それは本当かい!?」辺りが最も有名か。[^2] 3. Q. どういった人に特におすすめ? A. (純粋無垢なお子様が見るとトラウマになりそうなシーンが幾つもあるレベルの)**暗い話が好きな人**。でも多分龍騎程暗くは無いし、作中では**結構シュールなギャグも多い**のでそれ目当てで見ても悪くない気はする。**脚本はかなり作り込まれていて明確なメッセージ性がある**のは確か。 ### 百聞は一見に如かず とまあ御託は良いので、今でもyoutubeで無料公開されている1話、2話を貼っておこう。まずは見てからその後の話をしよう。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/UhtwuYFdep8?si=1MYetSl6kggL_kYc" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> <details> <summary>1話のポイント(視聴後に見ることを推奨)</summary> ニチアサとは思えないほど暗い!だが、作品としてよく出来ているポイントは幾つかある。 1. **誰か主人公か分からない** (それどころか、意図的にミスリードを誘うような作りにしている感じすらある) 1. 木場勇治は (あまりにも不幸続きだが) 主人公っぽそうな雰囲気がある 2. 乾巧は直前まで「バッグを寄こせ」と言ってみたり、「二人を殺したのはあなたでしょ!」と言われても特に否定しなかったりなどと、怪人サイドであるかのようなミスリード誘いつつ、サラッと555に変身して見せて主人公候補に躍り出る 3. 園田真理が一度変身を試みて「お?20年前に女性主人公のライダーの登場か?先進的だな?」と思わせてからのまさかの変身失敗 2. ビックリするくらい**戦闘シーンが短い** 1. 真理サイドと木場サイドで二つの話が完全に並行して進んでいる 2. その分設定や世界観、各登場人物の背景を深掘りするために時間を費やしている 3. 非戦闘シーンが多い割に説明的な台詞が少なめで、そのくせ結構パッと理解できる作りにしてある 1. おしとやかな少女のイメージで行くかと思いきや、真理がいきなり冷や汁を書き込むシーンを出してドン引きさせたり 2. 2年前の穏やかな日常シーンで、木場は本来素直な性格っぽそうなことが描写されていたり 3. ただ、偶然555に変身出来た巧は、上記2人とは対照的に描写が少ないのでどういう人柄かはよく分からない 4. この作品の怪人に襲われると灰になって消えるというなんともホラーな展開 5. そしてどうも、木場はその怪人になってしまったように見える (が、あんだけ胸糞展開だったこともあり、こっちの殺人は正当であるかのように見えてしまう; 真理サイドが愉快犯的に殺人しているので、その対比で尚のことそう感じてしまう) 6. その怪人とやらは555に倒されると、襲ってきた人間のように灰になる (こっちもこっちで割とホラー) 3. その戦闘シーンは4分にも満たないはずなのに、**デザインがカッコいい**せいで妙に満足感がある 1. 仮面ライダーじゃお決まりのライダーキックすら出していないって言うのに 2. どう考えても映像的に映えづらい夜の時間に撮影することで、555の赤とシルバーを基調としたメタリックかつメカニカルなデザインが光に照らされて映えるようになっている 3. と同時に、この作品が「暗さ」を全体的なテーマの一つとして印象付ける効果もある </details> <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/JyU_440e8Cw?si=9NGL0BqQXJ67FT9K" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> <details> <summary>2話のポイント(視聴後に見ることを推奨)</summary> 1. **OPカッコええ** 1. 歌っているのはDA PUMPのISSA 2. 数年前に「カモンベイビーアメリカ」が流行っていたのを見て「え、555のOP歌ってた人、まだ生き残ってるの!?」と隔世の念を覚えた(失礼) 2. **木場さん...** 1. 元カノがあまりにもクソ女過ぎる 1. 錯乱しているとはいえ、咄嗟に「あの男が犯人です!」って罪を着せるし 2. でも実際犯人は木場だしなぁ...という視聴者になんとも複雑な感情を抱かせてくる 3. 木場母に言われた、1話の「あなたなんでも素直にハイって言うんじゃないの」がまさか裏目に出るなんて誰が予想しただろうか 4. 何なら木場母はその直後に「あの子にナメられてるじゃないの?」が真実だったという胸糞さ 5. たった1話・2話でこんな胸糞伏線回収を仕掛けてくる辺り、本当によくできている 2. でもまあ結局元カノも手に掛けてしまうんですけどね... 2. 真理&巧サイドは**ギスギスしつつもちょこちょこぬるいギャグが挟まる** 1. 木場サイドとの温度差さぁ... 1. いや、何回バッグ取り違えるんだよwwww 2. 真理について 1. どうもヒロインポジションっぽく見えるんだけどなんどもデリカシーが無い 2. なんでこんなウザい性格付けになってるんだ... 3. 巧について 1. まさかの猫舌w 2. 真理がウザいのはそうだけど、なんともぶっきらぼう 3. 555に最初に変身できたので恐らく主人公なのだろうが、それにしては口が悪いし一匹狼気質 (典型的な主人公にありがちなお節介焼きとはまるで程遠い) 3. 怪人の名前は「**オルフェノク**」と言うのだそう 4. 555は初めてライダーキックを披露 1. "exceed charge" という音声から狙いを定めてキック 2. "Φ" の文字が表れて青い炎と共にオルフェノクは灰になる 3. 相変わらずかっけー 5. 次回予告でも何やら**辛い展開の波動**が... </details> この続きはどこかしらの配信サイトで見よう。**どんどん面白くなる**ぞ (youtubeの全話無料配信は流石に終わってしまったので、どこかしら課金しなきゃならんけど...) 。 [仮面ライダー公式サイトの案内](https://www.kamen-rider-official.com/services/) [30日無料で頑張って見る方法とか](https://kazusa-hibi.com/masked-rider-faiz-movie/) ## 555のここがスゴい[^3] 1. **設定・話が**良い意味でとてもお子様向けとは言えず、**ちゃんと面白い** 1. 脚本が井上敏樹 (仮面ライダー龍騎とか剣とかも一部関わってる; アニメだと2003年版のハガレンとかも関わっている) 2. それまで比較的テンプレな勧善懲悪ものだった仮面ライダーシリーズで、怪人側にスポットライトを当てた話を本格的に描き切っている 3. 表向きの主人公と実質的な裏主人公が存在し、二つの物語が同時並行的に進む 4. **周到に張られた伏線がえげつない回収のされ方をする** (後から見て「マジでふざけんなよ...(最大の誉め言葉)」となる伏線が幾つかある; 上に貼った1話2話でも既に仕込んである) 5. 味方・敵陣営問わず、裏切り・仲間割れが日常茶飯事 6. 登場人物大体皆口が悪い 7. 人物の相関図が実に複雑で、ドロドロした昼ドラ的な展開さえ割とよくある 8. お子様のトラウマになるような衝撃的な展開・ホラー演出が盛り沢山 9. その割にはかなりぶっ飛んだシュールなギャグを唐突にブッ込んでくるので油断ならない 2. **デザイン周りが兎に角カッコいい** 1. ギリシャ文字の "Φ" と三つの5を並べた "ファイブズ" を掛けて「ファイズ」と命名するセンスの良さ 2. 大体虫をイメージしたそれまでのライダーとは一線を画す、メカニカルベースで今でも近未来感のあるデザイン[^4] 3. (上にも書いたが)ベルトがカッコいいおかげで、Wに抜かれるまで歴代ベルト売り上げの最高記録を保持していたほど 4. "standing by" "complete" "exceed charge" など、一々音声がカッコ良く、中学二年生にすら満たないお子様でさえ厨二心をくすぐられる(リアタイ時の体験談) 5. 20年経った今改めて見ても近未来感があるのは正直ヤバい(誉め言葉) 3. 視聴者全方位に対して**絶妙なバランス感覚を保った作品** 1. 上記の通り、ライダーやベルトのデザインが兎に角秀逸で、お子様は戦闘シーンが僅かでも大いに楽しめる 2. 上記の通り脚本がよく出来ていて、一緒に見ているパパ層にももれなくブッ刺さる 4. ホラー描写や昼ドラ要素が過剰で、教育によろしくないと憤慨するであろうママ層もキャスティングで見事に黙らせている 1. 役者にイケメンを揃えることで黙らせる巧妙な作戦 2. 特に乾巧役を演じた半田健人は、当時「キムタク似の超イケメン仮面ライダー俳優」と話題になったのだそう 4. 関わりのある有名人・著名人が多い 1. 綾野剛のデビュー作が実はこの作品だったりする 2. 子役時代の悠木碧が結構な頻度で出ている 3. エヴァの**庵野秀明が555ごっこをするほどハマる** (555ごっこをしている事実を奥さんにバラされたのだそう) 4. 映画版では10000人のエキストラが出演しているのだが、その中に555ファンの有名声優が何人かいる これ以上はネタバレになるのでこの辺で留めておきましょうか(滅茶苦茶言いたくてウズウズしている)。 ## で、スゴいのは分かったんだけど、20年前の作品を今見直す意味ってどの辺にあるの? 冒頭にも書いたけど、**2024年2月2日(金)にTV版の最終回に繋がる正当続編映画が上映**するのだとか。当時のキャストを出来る限り集めているし、勿論脚本家は変わらず井上敏樹だし、これは今見るしかない。 告知動画も既に上がっているんだけど、TV版のネタバレが幾つかあるので一応折りたたんでおく。 <details> <summary>来年2月上映予定の555の映画の告知動画(TV版の一部ネタバレがあるので注意)</summary> <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/wx3fL1BVy30?si=iwgH-ehJFIr27WXe" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe> </details> ## 終わりに はい、ってな訳で**今すぐ仮面ライダー555を見てくれ**。 子供の頃に一度リアタイして、ファイズギアがカッコ良かったことと話の大枠しか覚えていなくて、そんなに面白かった記憶こそなかったんだけど、そういう人でも**大人になって見るとマジで全然印象違う**から。**単にカッコいいだけの仮面ライダーではない**。**2周目は全然見方が変わる**から。[^5] あと、来年の555のパラダイスリゲインドの映画一緒に見に行く人を募集してたりします。以上! ## おまけ(ネタバレありガチレビュー) 何なら**ここを書きたいがためにこの記事を書いた**まである。何人見てくれてるか知らんけど。何ならこっちの方が遥かに文字数が多いまであるのだが、まあそういうもんでしょ。 **かなーーーーり細かい所まで拾って書いてある**ので、特に配信とかで課金して見ている人は「1度全部通しで見る->このレビューに目を通す->**レビューで言及されている箇所を意識して全部or拾ってまた見る**」方法をおすすめする。 ### もう一声な点 <details> <summary>そこそこネタバレを含むため折り畳み</summary> 1. 演技は割と下手な人が多め 1. 経験浅い俳優が多いのでしゃーない 2. 棒読みだなーとか叫ぶと演技感が出るよなーとかは割と 3. とはいえ話が面白いのでギリギリ気にならない 4. ってかぶっちゃけ**このレベルで演技下手って言っていたら、剣なんて見ていられないw** 2. おもちゃの販促は上手いとは言えない 1. アクセルウォッチもブラスターも、草加から雑に投げられるor宅配便で届くなど、導入が雑 2. カイザポインターに至っては天井から落っことされてくるし (なぜかこのシーンはよく覚えていた) 3. でもベルトはアホみたいに売れていたらしいので**デザインが良ければ販促しなくとも売れる**んだなと 3. 結構**唐突な展開は多い** 1. ラッキークローバーに襲われても、特に説明も無く簡単に逃げ延びていたり 2. 逆にラッキークローバーを仕留めそうになっても易々と見逃したり 3. 唐突にバトルが切り上げられるシーンは結構目立つ 4. **投げっぱなしの伏線は結構多い** 1. 流星塾跡が何故唐突に地下に移動したのか 2. ラッキークローバーのメンツの過去設定 3. 最終話のディレクターズカットに重要な部分があったり 5. ってか**終盤尺足りな過ぎ**! 1. 555の唯一と言っても良い不満点はここに集約されている 2. 41話以降がかなり急展開気味 3. 特に**最終話は本当に唐突感が凄い** 1. 木場が改心した理由がイマイチ分からない 2. ラストバトルが本当に短いし 3. アークオルフェノクを倒し切れたのか、TV放映版では不明だし 4. 謎に挟まる海老姐がアークオルフェノクを介護するシーン 1. ディレクターズカット版ではあるアークオルフェノクがこの後滅ぶシーンが無いとなぜこのシーンを入れたのか説明が付かない (TV放映版では完全に蛇足になってしまう) 6. たっくんは生きているのかも分からないし 7. 照夫君救われなさ過ぎでは? 1. オルフェノクの王を出す意味ってあったんだろうか 4. この辺相まって、配信始まる前は終盤だけは殆ど覚えていなかった (唐突過ぎて印象に残っていないのだろう) 5. 完成度的には圧倒的に555に軍配が上がるが、序盤がそこまでだった次回作の剣は、とても印象的な最終回で、こちらの最終回は当時から割とはっきり覚えていた 1. ってか**剣は今まさに配信やってる**し、**後期OPが神**だし**今やってる所からちょうど面白くなり始めてる**から**是非見てくれ** (序盤は「マジでこいつらオンドゥル語しか喋らねーな」状態だけど) </details> ### よく出来た脚本構成 <details> <summary>ネタバレしかないため折り畳み</summary> 1. **表と裏の主人公のダブル構成** 1. 主人公だと明言はしていないがそれとなく分かるように作ってある 2. たっくん 1. 主人公のくせに基本的に口が悪いし、お節介焼きではないし、余計な一言が多いし、ぶっきらぼうだし、とても主人公とは思えない 2. が、自分がオルフェノクであることを自覚しているがゆえの不器用さがあるものの、いざという時には助けてくれる芯の優しさはある 3. この物語全体を通じてどんどんその優しさが前面に出てくる構成になっている 3. 木場 1. 基本的には素直だし、人当たりも良いし、オルフェノクになってしまったとはいえ正義感を持ち続けられる芯の強さがあり、ハッキリ言ってよっぽどたっくんよりも主人公してる 2. が、怒らせると何をしでかすか分からないという点でちゃんと悪役っぽい側面がある 3. 超序盤で2人ほど殺人してしまうものの、それ以降は人間サイドに立ったオルフェノクとしてスマートブレインに抵抗するも、終盤で闇堕ちしてしまう (が、最後はたっくんと和解してラスボスを道連れにする) 4. 上記の通り、テンプレを外した「**敢えて主人公じゃなさそうな奴を表に、主人公っぽそうな奴を裏に**」という捻りが良い味を出している 1. **人の本性はそう単純ではない**とでも言いたいかのようなメッセージさえ感じる 5. 二人は長らく対立して、たっくんのオルフェノクバレをきっかけに漸く真に分かり合えたかと思いきや、結局最後の最後で対立するというなんとも悲しい展開ではある 1. 子供の頃にリアタイした時にはすれ違いが多過ぎるとややうんざりしていた 2. が、今見てみると「案外対立ってこういうもんだよな」とすんなり思えたりする (同族嫌悪とか割とあるし) 6. 特に**7話・8話の「夢」を巡る話はこの二人の違いが綺麗に対比して描かれていて素晴らしい** 1. たっくん「おい知ってるか。夢を持つとなぁ、時々すっごく切なくなるが、時々すっごく熱くなる、らしいぜ。」「俺には夢がない。だが、夢を守ることはできる。」 2. 木場「知ってるかな?夢っていうのは、呪いと同じなんだ。途中で挫折した者は、ずっと呪われたまま… らしい。あなたの…罪は重い。」 3. この二つを同時に言わせるのが本当に良い 1. 「夢」と聞くと子供にとっては無条件に良いものだと思いがちだし、普通のニチアサ特撮ならたっくんの台詞だけを主人公に言わせるでしょう 2. が、敢えてその「夢が叶わなかった方」という、子供には見せなくても良い側面を見せる所に、単なる子供向けのシンプルな勧善懲悪に留めない、現実をありのまま映し出す良さがある 3. 因みに、たっくんの台詞もそのままでは普通のニチアサ主人公が言うようなものになってはいない所も捻りが効いていて良い (「らしいぜ」という伝聞調だったり、「俺には夢がない」と言い切ったり、あくまでも「夢を持つとな」という仮定形の話である所) 4. **一見すると両手放しに礼賛しがちな事象も含めて、明るい部分と暗い部分を包み隠さず描き出すこと**はこの作品で至る所に見られる一貫したテーマではあるが、「夢」の話では特に上手く表現出来ている 1. こういう二面性を描き出す風潮はエヴァっぽいし、多分だからこそ庵野秀明も555にハマったんだろうなって気もする 2. **真の主人公はベルト** 1. 龍騎みたいに何人もライダーが出てくる訳ではないし、最終的にTV版では3人しか出てこない (ライオトルーパーは量産型なので除くとして) 2. その設定を活かして、主人公・オルフェノクサイド共にベルトの奪い合いをずっとしているのが緊張感があって良い 1. しかも**オルフェノクじゃないと変身できない**という、**主人公サイドが圧倒的に不利な条件**になっているのが凄く良い 2. 何度かベルトを奪われる展開もあるし、デルタみたいに順当に渡せるはずが、澤田と北崎のコンビというその時点で考え得る最悪の偶然が重なった結果、デルタギアが長らく北崎の手に渡ったままになるし 3. 三原に渡っても何度か三原の手を離れるし 3. 条件さえ満たせば**誰でも変身できることを活かした「誰が変身しているか分からない」という、文字通り「仮面」要素**をふんだんに活かしているのもgood 1. そのせいで余計にすれ違いが頻発するし (草加による自演とか、長らく木場がたっくん=555だと気づかなかったりとか) </details> ### 秀逸な伏線 <details> <summary>重大なネタバレを含むため折り畳み</summary> 1. 13話だかの草加が初めて出てくる回で、たっくんが草加に「**せいぜい馬に蹴られて死なねーようにな**」と言い放つ所 1. 48話で**本当に馬** (=ホースオルフェノク=木場) **に蹴られて** (首を折られて) **死ぬ**のだから本当にタチが悪い 2. 配信で見た時に気づいてリアルに10分は笑ったし、「マジで井上敏樹ふざけんなよwwww(最上の誉め言葉)」と何度言ったことか 3. 草加を演じた村上幸平は、当時井上敏樹に予め「誰に一番殺されたくない?」と質問されており、「木場」と答えたのを踏まえてのことだそう 1. 48話の脚本を見て村上は「いのうええええぇぇぇぇ!」と叫んだそう 2. だがその後完成した放映版を見て「私が間違っていました、素晴らしいです」と考えを改めたのだとか 4. 「(首が折れる音)」で最早ミーム化しているシーンでもあったので比較的すぐ気づけた 5. まー、30話とかで草加の「これも全て乾巧って奴の仕業なんだ...」発言の一番の被害を受けたのは木場だったし、妥当だよねとは思うが 2. **たっくんが実はウルフオルフェノク**だったこと 1. 真理は何故か変身出来ないファイズギアをあっさり変身出来てしまうことが一つ目の伏線 1. 4話でオルフェノクサイドにベルトが渡った時に、向こうがあっさり変身出来てしまった点で、「あれ?実はたっくんもオルフェノクなんじゃね?」と気づきそうな気もする 2. だが、「まーこれは主人公補正の一種でしょ!」で流してしまいがちなので気づきづらい 3. その後同じく純然たる人間サイドの草加が変身出来ているのを見て、「ベルトに変身可能なのがオルフェノクだけ」という条件に気づきづらいのもある (草加はオルフェノクの記号を埋め込まれているので、オルフェノク以外で例外的に変身できる) 2. 1話で初見のはずのオルフェノクを見ても驚いていないのも伏線 1. その後2話で真理に「ねえ、あなたなんで驚かないの?」と聞かれて「驚いているさ」と返しているが、「何に」について言及していないのであくまでもたっくんは「ファイズギアに対して驚いている」体で返しており、会話が成立している 2. 叙述トリックっぽいが、にしても隠し方が上手すぎる 3. 4話辺りで真理に「**あなたにもまだ人の心が残っていたのね**」と言われる 1. 2週目知ってると本当に最悪過ぎる伏線 (これも気づいた時に腹抱えて笑った) 2. そもそも普通の人に「人の心がまだ残っている」って言うって、悪口として火力が高過ぎる (これを平気で言う真理も大概口が悪い) 4. 5話だか6話辺りで「裏切られるのが怖いんじゃない、**俺が**人間を裏切るのが怖いんだ」と言っているのも、ド直球過ぎる伏線 5. 啓太郎のくしゃみセンサー(=オルフェノクセンサー)が反応してるし 1. 序盤で何回かあった 2. 直後にオルフェノク出てるから誤魔化されてるから気づかないけど、あれたっくんに反応してるんだよねぇ 3. その証拠に、長田さんにも反応していたものの、あれだけ心が汚い草加の前では一度もくしゃみをしていない 6. そもそもたっくんの髪型が「ウルフカット」 7. 33話だったか、その辺で草加に「そもそもお前の正体は、一体何者なんだろうなぁ?」と問い詰められた後、「ドアップの満月カットに後ろで犬の遠吠えが聞こえる」という謎カットが一瞬入っているのも伏線 8. ご丁寧なことに、文字通り「一匹狼」な性格にもしてある 9. 名前も「イヌ」いたくみだし 10. 「イヌ」なのに「猫舌」という変化球まで仕込んである 1. これは明かされていない裏設定として、たっくんが子供の頃に火事で一度焼け死んだことから炎や熱いものが苦手という所がベース 2. 因みにこの時は人を助けるために火事に入っていったそうだが、この助けた少女が真理だったという設定もある 11. 余談だが、当時劇場版はたっくんの正体バレの前に公開されて、その劇場版で何の前触れも無しにウルフオルフェノクに変身していた関係で、試写会時に劇場でどよめきの後にシーンと静まり返ったのだとか 1. それくらい主人公が実は怪人サイドという展開は当時としては衝撃だったようだ 2. 因みに、初代仮面ライダーはショッカーも仮面ライダーも実は元は改造人間という共通項があるので、実はヒーローが怪人サイドという展開は由緒正しき仮面ライダーの伝統を綺麗にオマージュした格好だったりもする 3. ホンマこういう粋な形で原作リスペクトねじ込んでくるとか、マジで脚本上手すぎでしょ </details> ### 魅力的なキャラ付け <details> <summary>割とネタバレを含むため折り畳み</summary> 1. 最強を極めて他者を蹂躙していた人が軒並み悲惨な最期を遂げていること (**因果応報的**) 1. (言うまでも無く)草加 1. (首が折れる音) 2. この話の中で唯一555にも913にも333にも変身した男 3. たっくんよりも運動神経抜群で戦闘センスが優れていたが、その分難しかない性格や敵味方問わない謀略の限りを尽くした 4. その結果、その被害を一番被った木場に惨い殺され方をされる始末 (しかも自分がずっと使ってきたカイザギアで) 2. 北崎 1. あれだけ強かったのに、結局アークオルフェノクに石化させられてバリボリ食われて退場という衝撃的な退場 2. その前に琢磨君に仕返しされていたし 3. 長田さん 1. なんだかんだキル数トップクラス 2. 自分をいじめていた人達で留めておけばまだ許されたかもしれなかったのに、その後もわざとヤンキーに絡まれに行き、キル数を順調に伸ばし続けたのが仇となったのかも 3. 悲壮感たっぷりに描かれているが、啓太郎と付き合いたくて「人間として生きたい」と願っていたばかりに、海老姐に襲われた時に変身できずに退場 4. 「人間として生きたい」という願望が物凄く皮肉なタイミングで成就する 2. **絶対的な悪役も作らないし絶対的な正義の役も作らない** 1. オルフェノク陣営でも意図的に人間っぽさをねじ込んでいるところ 1. 村上社長 1. 一瞬木場みたいに人間と分かり合おうとした過去を中盤で匂わせたり 2. ちゃんと強い(3人同時キックを耐えた)し、実際に割と有能な社長みを出している 2. 中盤でたっくんがラッキークローバーに入らざるを得ない状況に追い込む所とかは素直に策士だと感じた 3. 最期に笑いながら自分からオルフェノクの王へ命を捧げる強者っぷりを見せつける 1. 「人は、泣きながら生まれてくる。これはどうしようもないことだ。だが、死ぬときに泣くか笑うかは本人次第」これマジで名言 (ちゃんと笑いながら死んでいるし) 4. が、中盤でラッキークローバーの人事に介入し過ぎて釘を刺される&不信感を抱かれる 5. 北崎と一部流星塾生の裏切りによる流星塾の同窓会の日の事件も把握していなかった -> スマートブレインも一枚岩ではない 6. 花形前社長が戻ってきたらあっさり社長の座を追われるし 2. 琢磨君 1. 序盤は強キャラだったはずなのに散々北崎におもちゃにされてビビり散らかして、どんどんネタキャラになるし 2. その割に47話だったかで思い切り北崎に仕返ししているし 3. で、いざオルフェノクの王を前にしたらビビって結局人間として生きることに決めているし 1. 最終回では特別出演の現場監督(井上敏樹)に頬をグリグリされてるし (でも北崎にやられてる訳じゃないから安心) 4. こういう如何にも小物な所が本当に人間っぽいし 3. ミスターJ 1. 早々に退場してしまったが、「チャコ...」と言いながら小さいものは大事にしていたし 4. 海老姐 1. この中では最もダークサイド寄りだったが、長田さんを手に掛ける所は私情が混じっているようにも見える 2. 本編ではカットされているが、最終話のディレクターズカットでは、灰化しかかったオルフェノクの王を看取りつつも、自分が完全に人間態に戻れなくなってしまったことに気づいて発狂するシーンがあるらしいし 1. この辺は結局人間に対する執着が捨てきれない様子が分かって良い 5. 北崎 1. 子供らしく自分の強さや楽しさに固執していたし 2. ブラスターに負けてから「僕が世界で一番強いんだ」って言い出す辺りが如何にも人間っぽい 6. 澤田 1. 登場初期はキル数荒稼ぎの典型的な強キャラオルフェノク 2. だが、話が進むにつれて真理の真っ直ぐさとたっくんの行動がきっかけで人間サイドに肩入れするようになる 3. しまいにはたっくんv.s.ラッキークローバーの決戦を一時的に肩代わりするようになるほど 4. 「人間としてもオルフェノクとしても中途半端な生き方しかできなかった...」はまさに作中の澤田を的確に表した言葉だと言えよう 2. **味方サイドも純然たる善とは言い切れない** 1. 草加 1. 言うまでも無く余りにも卑劣 2. 悪役なんかよりもよっぽど悪役と言われても仕方がない 3. が、「オルフェノクは例外なく滅ぼす」「人類は救う」「流星塾生は大事にする」というスタンスは登場から退場までブレることなく一貫している 4. 育ての親である花形がオルフェノクだと分かっても、涙交じりではあるが「ならあんたが滅べばいい」と言い放つ 5. 48話で「もう変身するな」と止められ、罠だと分かっていても、ラッキークローバー全員対自分一人という圧倒的不利な状況で罠だと分かっていてもヒロイン(=真理)を助けるために勝負しにいく姿勢も、やはり一貫している 7. 目的は崇高だが**悉く手段が最悪**なのであって、**純粋な人間サイドから見たら正義であることは認めざるを得ない** 2. 木場 1. 表向きはたっくんよりもよっぽど主人公適正がある性格 (ファイズに変身した時の戦い方とかそうだし) 2. だけど本当に騙されやすい 3. 闇堕ちした時の振り切り方は極端 4. 「この世で最もドス黒い悪は自らを正義だと思い込んでいる奴のことだ」なんてジョジョでは言うが、ある意味木場のことを言っているとも言える (「悪に無自覚な悪こそが最も悪」だとでも言いたそう) 3. 17話辺りで出てきた九死に一生を得た幼女 1. 年相応の可愛らしい幼女に見せかけて滅茶苦茶いたずらしまくるし、恐ろしく口が悪い 1. 全員この余計なことしか言わない口論の流れ、配信で見てクソ笑った 2. 一方で、母親が入院しているから親の愛を十分に受けることが出来なかった弊害なのだろうなと同情を誘うようなキャラ付けにもしてある(この塩梅が実に巧妙) 5. 真理 1. 序盤は最早おてんば通り越して、ただの自己中な性格キツい女 2. 余計な一言が多い 3. 中盤入る辺りでだいぶマシになった (というかモテまくるヒロインポジションになった) 6. 啓太郎 1. 真理同様序盤はやべー奴 (お節介焼きが度を越している) 2. 余計な一言が多いというより、割とデリカシーが無い 3. やっぱり中盤入る辺りでだいぶマシになった (唯一の何も裏が無い純粋な人間ポジションになった) 7. たっくん 1. やっぱ序盤は随分冷たい (勿論作品通じてどんどん人当たりが良くなるし、それがテーマの一つにもなっているが) 2. 余計な一言が多い (そのくせに大事なことは言わないせいで、無駄に長いこと木場と関係が拗れたし) 3. 同じく猫舌の木村沙耶を見つけた時、作中一番の満面の笑みで「乾巧だ、よろしくな」と爽やかな挨拶をした辺りとか笑うしかない 8. 海堂 1. ある意味オルフェノクサイドのたっくんポジション 2. 本当に奇抜な物言いしかしないし、一時期はオルフェノクの力を楽しもうとしたが、実は作中では1キル止まり (序盤の警備員に襲われた時の反撃時だけ) 3. そのおかげか、結局最後まで生き残って美味しいポジション勝ち取るし 4. 照夫君を火事から助けた時に「ホント俺、こういうのばっかり」と自分をええカッコしく見せる発言だけは意図的に残している辺り、「跳ねっ返りだけど実は良い奴」で収めようとしない意志を感じる 3. これらのキャラ付けから言いたいであろうこと 1. オルフェノクだって十分人間くさい所がある訳で、立派な人間 2. ライダーv.s.オルフェノクは、オルフェノクしかライダーに変身できないことを考えると、結局は「オルフェノクv.s.オルフェノク」の構図 3. 逆に人間側も、オルフェノクよりもよっぽどドス黒い悪は抱えている訳で 4. つまり本作の争いは「人間v.s.人間」の構図でしかない 5. 煎じ詰めれば人間の微妙なスタンスの違いでぶつかっていたりもする 6. まとめると、 **争いは「人間v.s.人間」でしか起こっていないし、それは単純な善悪二元論で片付けられるものでもないよね?** と言いたいのだろう </details> ### 心に残ったシーン 既に出てきている分と重複しているがまあ気にしないで <details> <summary>ゴリゴリにネタバレを含むため折り畳み</summary> 1. おもろかったシーン 1. 「フーフーして差し上げなさい」 1. 9話辺りでたっくん&真理が村上社長と初めて対面する所 2. 村上社長が猫舌なたっくんを見かねて、おつきのものに言い放った台詞 3. 「えぇ...そっち!?」って方向に**ぶっ飛んで面白かった** 2. 「せいぜい馬に蹴られて死なねーようにな」 1. 13話辺りの草加との初対面シーン 2. 字面だけ見るとあまりにも唐突な悪態にしか見えない (まあたっくんは普段から口悪いし...で流せそうではあるが) 3. が、配信時には既に2週目だったので、草加の最期を知っていた分意味が分かった途端バカみたいに爆笑してしまった 4. 本当に**最高最悪な伏線** 3. 口が悪すぎるメスガキ 1. 18話辺りで出てきた九死に一生を得た子供 2. たっくんに対して「それはどーも、おじさん」->真理に対して「ありがとう、丸顔のお姉さん」と挑発->たっくん「お前、俺も思っていたのにわざわざ言わなかったのに!」と余計な一言を付け加える->いつも通りのケンカ 3. この流れ、**皆揃いも揃って余計なことしか言わなくてバカみたいに笑った** 5. 真理を狙う海堂 1. 何話か忘れた 2. 洗濯屋のガラスドアに貼り付いて息吐いてハート作って真理を映す流れは笑う 3. 奇行すぎるのもそうなんだけど、**綺麗にカメラに移す撮影スタッフの腕の良さも光る** 6. 北崎による琢磨君イジり 1. 「勝った人にしっぺできるってどう?」とか、「やだなぁ、琢磨君、デルタギアは捨ててないのに」など、子供なはずなのに琢磨君に対する豊富なおちょくりスキルの数々に毎度爆笑 2. **最終回の琢磨君の現場監督からの頬グリグリオチまで含めて芸術点が高い** 7. 草加の名(迷)言ラッシュ 1. 「俺のことを好きにならない奴は邪魔なんだよ!」 2. 「じゃあ、死んでもらおうかな...(草加スマイル)」 3. 「真理は俺の母親になってくれるかもしれない存在なんだ!」 4. 「お前...死にたいんだってな...俺は木場とは違う、望みどおりにしてやる!」->もたもた->ボタン押し間違い(913が931になってる) 5. (首が折れる音) 6. 最早ネットミーム化し過ぎていて、「あーこれが例の!」って聖地巡礼みたいなノリになってた 7. これ字面だけならどっからどう見ても悪役だろ...**これで2号ライダーってマジ?** 2. 素晴らしいシーン 1. **7・8話の夢の話** 1. 既に語り尽くしているが、**夢に対する光と闇を同時に描き出している**のは素晴らしい 2. **単なる子供向け番組に留まる気が無いことを明確に打ち出している**ことがよく分かった 3. ってかここで海堂が弾いてる曲があまりにも良すぎる (本放送時から耳に残っていて、20年間ほぼ正確に記憶していたまである) 4. 最期のギターを窓から落として壊れるシーンも鮮明に覚えていた 5. (曲の良さやシーンの良さは除いたとしても) 当時はこの話の良さにまるで気づいていなかったので、大人になって改めて見てみるとやっぱりよく出来ている 6. 8話終盤のオルフェノクと戦っている時の海堂のギターの弦がたっくんの戦っている場所の階段に移り変わるシーン切り替えもなんともオシャレ 2. 26話の北崎デルタ爆誕シーン 1. 最悪な状況ってここまで重なるんだ...と当時も配信で追った時も**最上の絶望しか無かった** 2. 散々最強のライダーだと煽っていたくせにそれが最強のオルフェノクの手に渡ってしまう絶望感 3. しかもかつて仲間だったはずの流星塾生の澤田までラッキークローバー入りする救いの無い展開 4. 普通に沙耶は死んでるし 5. でもこういう絶望的なシチュエーションがあるからこそ、乗り越えた後のカタルシスが半端じゃない訳で、分かってるなぁという感想 3. デルタっくん 1. [38話の三原が窮地に陥った時に通りがかったたっくんが一時的にデルタに変身してオルフェノクを撃退するシーン](https://youtu.be/pMHydlydGSs?si=sxxwTmANWiTrK09A) 2. いやもうこれ**アツすぎでしょ**、**クソカッコいい**し (何ならリアタイ時からカッコ良くて配信時に記憶が蘇って感動したまである) 3. ここぞとばかりに[Ego ~eyes glazing over~](https://youtu.be/fobDk2lzvB4?si=RgDP1O2dLNHfEB_f)が流れる所が本当に最高過ぎる 4. 普段ファイズにしか変身しないたっくんが、放浪中とはいえデルタギアで変身して、窮地の三原を助ける展開は、一時的とはいえクソアツい (ってか一時的だからアツい) 5. とはいえ、ルシファーズハンマー (デルタのキック) が見れなかったのは残念 (よくばりな気もするが) 6. これ、**単なる突発的なアツいだけの展開ではない**のがミソ 1. 元々デルタギアは木村沙耶が持っており、心を開いてたっくんに渡そうとしていたもの 2. 長らく北崎の手に渡り絶望的な状況でこそあったのだが、草加、三原を転々として**本来の望まれた装着者の手に渡った**のだと考えると、これはこれでまたじんわりくるアツさがある 7. 余談だが、実はファイズ以上にたっくんは一番デルタギアが合っているのではないかという説がある 1. たっくんの戦い方は、武器をあまり使わず、徒手空拳でケンカファイトスタイルで殴る蹴るが基本なスタイル 2. デルタギアは設定上、フォトンブラッドの出力がファイズやカイザよりも上であり、単純な火力は高いのだがその分出力が不安定なため、拡張性に乏しい (=武器が少ない) 3. なので、変身者の先頭スタイルがモロに反映される 4. 武器を殆ど使わないスタイルのたっくんとは実は一番相性が良い (元のフィジカルが弱い三原が使うとあれだけ弱くなる、逆に北崎デルタがあれだけ強いのは元のドラゴンオルフェノクが無茶苦茶強いから) 8. ここまで基本的にベルトは相手サイドに渡って絶望的な展開になりがちではあったので、こういう所で別の味方サイドに渡ってクソアツい展開にするのは素晴らしい 9. とはいえ、主人公が1号以外のライダーになる展開自体は実はそんなに珍しくはない 1. 555という作品が圧倒的にオルフェノク側有利に作られている状況だからこそ、ここでのアツさは格別な気はする 2. この前に草加もデルタに変身していたが、草加は既にファイズに変身しているし、基本的にヤな奴なのであんまり素直に喜べないのもある 3. 40話の**3人同時変身** 1. ごくごく普通の仮面ライダーならば、まさか全ライダー同時変身を40/50話まで引っ張るなんて思わないだろう 2. あまりにもギスギスしているからこそ、3人が味方サイドで揃って変身すると尚のこと貴重で感動する 3. たっくんが覚悟を決めたタイミング&ラッキークローバーも勢揃いという燃えるシチュエーションも相まってアツい 4. ベルトのギミック 1. **言うまでも無くやっぱカッコいい** 2. **アクセルフォームのカッコよさは異常** (ブラスターフォームよりも人気があるほど) 1. 特に555の胸の装甲が開くのが、スケルトンブームの一派を踏襲しつつも排熱処理という現実的な制約を上手く両立して表現出来ていて、**空想とリアリティのバランスが上手く取れていて素晴らしい** 2. 言うまでも無くカッコよさも担保されているのでこのデザインは最早芸術的なバランスと言えよう 3. 強化パーツ、どれもこれもカメラだとかポインターだとか、それぞれは独立した電子製品なのがなんとも粋なデザイン 4. デルタギアの音声認識が当時としては革新的過ぎて衝撃だった (冷静に考えた時の携帯としての実用性はともかく) 3. 気に入ったキャラ 1. 村上社長 1. 紛れも無く強キャラだし強キャラらしく大物で器の大きさを度々見せているのが良い 2. 「上の上です」は絶妙に真似したくなる口癖 3. だが、易々と真理を復活させてしまったりと結構甘い所もあるのがそれっぽい 4. 「死ぬ時に泣くか笑うかは本人次第」->「高笑いしながら退場」は芸術点が高すぎる 2. 北崎 1. のんびりした口調とドスの効いた口調の緩急が最高 2. 「やだなぁ...」も割と真似したくなる 3. ブラスターに負けてから「俺が最強のオルフェノクなんだ!」ってキレ出す辺りが如何にも人間くささ全開で最高 4. ちゃんと強いのだが、気分屋な所が村上社長との良い対比になってる 5. 琢磨君おちょくりスキルが一級品すぎる </details> ### 裏設定・小ネタ系 <details> <summary>かなりネタバレを含むため折り畳み</summary> 1. オルフェノクの王(=アークオルフェノク)とライダーが似ている 1. **王を守るために、王を参考にして作られたベルト**なのだから当然と言えば当然 2. 実は当初はたっくんの正体がアークオルフェノクだというオチにする予定だったらしい 2. 木村沙耶が退場する時に「オルフェノクではないはずなのに青い炎を上げて灰化した」理由 1. **実はオルフェノクだった**という体で出す設定だった名残らしい 2. 演者がまだ15歳の中学生で、高校受験等控えていたため、スケジュール都合が付かず、途中退場することとなった 3. 沙耶がオルフェノクルートでは、寧ろ沙耶の正体がドラゴンオルフェノクで、終盤まで強敵として引っ張る予定だったらしい 1. 作中でも北崎は26話頃までずっと「意図的に」名前だけを出して最強のオルフェノクであるかのように仕向けられていたが、これは「フリ」だったのだとか 2. つまり、このルートでは北崎をラッキークローバー最後の最強の一人として満を持して登場させるも、沙耶デルタにあっさりやられる「出オチ」ルートを考えていたのだとか (それはそれでまた井上脚本っぽさがあって見てみたさがある) 3. 小説版ではこのルートが描かれているのだとか 4. 余談だが北崎も当時15歳の中学生だったらしい 1. 普通に**演技が上手すぎる** (呑気な声とドス効いた声の演じ分けが上手すぎる) 3. 流星塾の同窓会の寄せ書き 1. 13話頃に寄せ書きが映るシーンがあるが、ここに草加や澤田の名前は載っているのだが唯一「**三原の名前だけが無い**」 2. これは2.の事情から、急遽デルタギアの正装着者を立てる必要が出てきたことが絡んでいる 3. なのでどうしても三原だけはキャラ付けが薄いし、あれだけ強かった北崎デルタに比べるとあんまり強くないイメージも相まって印象に残りづらくなってしまっている 4. とはいえ、登場時に「帰りたい」を連呼するような、とてもヒーローとは思えないキャラ付けを忍ばせていたのは流石 5. デルタギアの不適合時の暴走作用は、寧ろあれだけ戦う気が無い三原だったからこそ丁度良く中和された説もある 4. [OP映像](https://youtu.be/fwYCO5QI_Ts?si=LwIKZBrUcZtDQdU1)の考察 (確定ではない) 1. たっくんが持っているリンゴ 1. ベタだけどアダムとイブの禁断の果実の線が濃厚 1. 禁断の果実によって人間からオルフェノクへの進化遂げていることを暗示している 2. つまり、暗に正体がオルフェノクであることを示唆している 3. 余談だが仮面ライダー555の映画のタイトルは「パラダイス・ロスト」だし、今度公開される映画のタイトルも「パラダイス・リゲインド」だったりする 4. なので、ここからも旧約聖書の「創世記」を元ネタにしていることはほぼほぼ確定的と言って良いだろう 2. ただ、このリンゴを「半分だけ」持っているのがミソ 1. オルフェノクではあるが食べていない残り半分で「人間として」生きたい意志が明確に残っていることも示されている 2. わざわざリンゴの断面を見せることで、「外側は赤 (=オルフェノク)」だが「内側は白 (=恐らく対比で人間)」として生きたい意志が見える 3. この「赤」がオルフェノクを表す色として重要なキーポイントを担っていることが分かる 1. ちょくちょく映像内で出てくる赤いラインがそれにあたる 1. たっくんと木場には赤いラインが表れているのでオルフェノクである 2. 真理には本人には当たっていないが複数のラインが収束して閉じ込められる映像があり、これはオルフェノクの記号の運命に翻弄される暗示 2. 555の体全体に行き渡っている「赤いフォトンブラッド」も、実はオルフェノクにしか変身できないことを表していたのかも 2. 白いTシャツ 1. 赤いリンゴとの対比で人間の象徴として示されている 2. たっくんも真理も啓太郎も皆白いTシャツを着ている 3. 木場は来ているがわざわざ脱いでその後ホースオルフェノクが表れている 1. オルフェノクでありながら人間として生きたいが、最終的にはオルフェノクとして生きていく決意の暗示になっている 4. 啓太郎は「白いTシャツ」を抱えつつ、怪しくなってきた雲行き (=人間の未来) を見て憂いている 5. 「世界中の洗濯物を真っ白にすることが夢」だというのも、色々と捉え方が変わってくるだろう 1. つまり、オルフェノクであろうがその本質は人間なのだから、真っ白な正義の心で満たすことで偏見や隔たりは壊すことが出来る、それが夢なのだというのが本当の意味だろう 3. オルフェノクの3人がいる独特な模様の部屋 1. これは無響室という部屋で、殆ど音が反射しない部屋 1. 自分の血液が流れる音や心臓の拍動音すら聞こえるようになるという 2. あまりにも音が響かないせいで常人は45分もいると発狂してしまうほどなのだとか 2. オルフェノクになってしまって、自分の心の奥底の悲鳴が外の他人へ響かない苦しみを表している 4. たっくんがいた網 1. 「オルフェノクと人間を隔てる境界」と言って良いだろう 1. 555の最初のシルエットも網越しにしか見えない = オルフェノクしか555に変身できない 2. たっくんが網の向こう側にいる = 元はオルフェノク 3. その後、網の破れた所から外に出ている = オルフェノクと人間を隔てる壁を突き破って融和を図ろうとしている 2. 実は最終回への伏線でもある 1. たっくんv.s.木場との直接対決の後に敗れた木場がうなだれているシーンで何故か網越しに葛藤しているシーンがある = オルフェノク側から人間側に戻ろうか悩んでいる 2. 破れた網越しに「たっくん・真理・啓太郎」が笑いあうシーン (最後の最後のエンドロールが流れる直前のシーン) 1. 「オルフェノク・オルフェノクの記号を埋め込まれた半人間・純然たる人間」が、隔たりを壊して笑い合っている 2. これこそが「オルフェノクv.s.人間」の戦いの果てに辿り着いて欲しい理想だという象徴的なカットだと言えよう 3. 「たっくんサイドの3人は全員人間」v.s.「木場サイドの3人は全員オルフェノク」という二人の主人公を軸にした綺麗な対比構造に見せかけて、実はそうではない (たっくんのオルフェノクバレ、流星塾絡みのゴタゴタ、そして木場と長田さんの退場を通じて意図的に壊している) 4. 「実は全員人間に見せかけて、オルフェノクも半人間も混じっていた、真に融和を実現していたたっくんサイド」へと変化して、最後に3人とも残ったこの陣営こそが理想的な融和の象徴であり、その中心となったたっくんこそが表向きの、そして真の主人公だという構図がここまで読み取って初めて分かる 5. いやホント、OP映像の時点でここまで伏線を張りまくっているってヤバ過ぎるでしょ 5. 村上社長、悲願を達成する 1. 村上社長の演者は子供の頃に七夕の短冊に書くほど仮面ライダーになりたかったのだそう 2. だが、先生に「もっと現実的な夢にしておきなさい」と言われる 3. 諦めきれずに俳優になり、悲願の仮面ライダー初出演を決めるも、既に主役を張れる歳ではなかった 4. しかも役は悪の組織の親玉 5. ライダーに変身する夢は最早絶望的だったが、最後の最後でデルタギアを奪って一瞬変身する機会に恵まれて悲願が叶ったのだとか 6. 因みに46話辺りの社長の返信シーンは、演者が嬉しすぎて声が上ずっているのだとか 7. なんてほっこりする話なんだ... 6. 北崎はその後Vo.としてバンドデビューをしていた 1. Blood-CのOPを歌ってたりする ([dustzのspiral](https://youtu.be/jdXLTH5VtOU?si=z1zlFpZMY9ZzNoU8)) 2. 日米仏の3か国語を使いこなす 3. ってか演技もそうだけど歌うめえ 7. その他ネタ化しているMAD集 1. [スーパーヒーロータイムの寸劇](https://youtu.be/XZo9AJobbDc?si=XN_8jYhii3-Q94rE) (まさかの**公式**) 1. トントン相撲 草加v.s.北崎 1. ツッコミどころしかないよこれ... 2. しかも長田さん退場回でやる狂気っぷり 3. 本編からは考えられないはっちゃけっぷり 2. 輪投げ勝負 1. これも大概 2. なんで木場さんはファイズにキレてんだ... 3. 海堂は海堂らしい 4. 長田さん「私は輪投げもできないダメな女です」って 5. これ、輪投げ入った海堂だけ生き残ったんだよね... 3. 他も大概 3. [もたもたし過ぎた草加](https://www.nicovideo.jp/watch/sm36910127) 4. [仮面ライダー567](https://www.nicovideo.jp/watch/sm36819120) 5. 結構最近のMADも多くて、**如何に555が愛されているかが分かる**だろう </details> ってかここまでネタバレ配慮でひたすら折り畳んできた訳だが、冷静に考えて20年前の作品でネタバレもクソもあったもんじゃねーって言われたらそれまでなんだけどな... [^1]: 今まで見てきた仮面ライダーと言えば、子供の頃にリアタイで、龍騎の最終回と555と剣の全話、響鬼は途中で脱落し、カブトと電王は飛び飛びで片手で数えるくらいだけ見たかなー、くらい。鎧武も虚淵脚本だと話題になって最初数話だけ齧ったけど結局脱落したんだっけ、ってくらい。大人になって555の前の龍騎のyoutube配信で14話くらいまでちゃんと毎週追っていたんだけど、15・16話だったかを見逃してしまったせいで、以降龍騎を履修できなくて未だに悔しがってる [^2]: 因みにこの台詞は「原作では言っていないが、中の人は(**公式に**)言ったことがある台詞」である。何を言っているか分からねーと思うが、要は「シャミ子が悪いんだよ」的なアレである。いや、ちょっと違うか [^3]: ほらもう誰も「帝京平成大学」の話してない [^4]: 男の子ってこういうの好きなんでしょ?ってポイントを的確に突いてくる [^5]: 下手したら**今年見たどのアニメよりも面白かったと言っても良いレベル**でクソ面白かった