# ダジャレを起点にラップについて考えてみた この記事は[MISW非公式アドベントカレンダー](https://adventar.org/calendars/5412)22日目の記事です。 こんにちは、misw54代midi研のタニシです。ラップって、かっこいいですよね。語感が良くて、早くて、気持ちいいんですよね。でも、世の中にはダジャレというのもありますよね。ダジャレとラップ、どちらも韻を踏むので似ている気がしませんか?ダジャレはサムいだのなんだのとdisられがちですが、一体ラップと何が違うんでしょうか? この記事では、そのダジャレとラップの違いについて考えていきたいと思います。 まずは、有名そうなダジャレを羅列していきます。防寒対策はよろしいですか? * ふとんがふっとんだ * トイレに行っといれ * アルミ缶の上にある蜜柑 * 電話に誰もでんわ * カエルが帰る ## ダジャレと韻 さて、見てわかる通りですが、ダジャレというのは「ふとん」と「ふっとん」、「アルミ缶」と「ある蜜柑」のように、**全く同じ発音の言葉同士で掛けている**ことがわかりますね。それに、無理矢理発音を同じにしている感じもあります。普段喋っていて、「行っといれ」とか「でんわ」とか言う人はそんなにいないと思いますし。 ところが、ラップで使われる韻というのは、**共通の母音を持つ言葉同士で掛ける**ことが多いです。例えば、「ふとん」からラップを始めたいのであれば、こんな感じでしょうか。 ・布団と共に流浪する旅  続ける度見える希望はfunny <audio src="https://dl.dropboxusercontent.com/s/42eald8yr1zezlt/adcale_futon.mp3" controls></audio> これは、布団(母音:u o n)に対し、流浪(u o u)で韻を踏み、希望(i o u)に繋げています。母音が完全に一致しているわけではありませんが、ラップって感じがしませんか? 考えられる理由は2つです。実際に発音してみると、流浪とか希望は、終わりの母音は(o u)ではなく、(o o)と伸ばす場合は多いと思います。そして、(o n)の発音のnはあまり目立たないので、結果的に共有のoで韻を踏んでいると認識できるのではないでしょうか。あるいは、単語の終わりは(o n)と(o u)の単語は相性が良く、繋ぎやすいのではないでしょうか。 また、「続ける」と「見える」は後ろが(e u)で共通していますね。どうやら**単語の終わりさえ共通の母音ならラップっぽくなりそう**です。特にこの韻の踏み方は踏みやすくて便利ですね。 それに、「旅」「度」「funny」でも韻を踏んでいます。「旅」と「度」は完全に同じ発音なので、言葉にするとわかりづらいですが、そこまで違和感は感じないと思います。しかし、ラップ中で使われる単語が「旅」「度」だけであれば、違和感は大きくなると思います。それは、「funny」という母音のみ共通の韻を踏むことで、「旅」「度」で生まれた違和感を上から塗りつぶしているのではないでしょうか。 ......5秒で考えた割には説明向きなラップだなァ(自画自賛) ## 言葉選び ダジャレが寒いと感じる原因として、ダジャレで使われる単語そのものがダサく、かっこいい印象を与えてくれないというのが考えられます。ラップにおいて、単語の与える印象というのは、「**単語の語感**」+「**単語の意味**」が大きく影響すると考えています。 ただ、どの単語が良いか悪いかと感じるかは、個人差が大きいと思います。というわけで、視点を少し変えて、良い言葉の探し方について話します。 ### 語感から探す この方法はラップの作詞ではとてもよく使う方法だと思います。例えば、「flow」という単語を使いたいのであれば、それと似た語感である「grow」「blow」などの単語を一緒に使うと良さそう、などです。上で挙げたラップの中では、すでに「布団」を使うがわかっているので、それと似た語感の「流浪」「希望」などが使える候補として挙げられるわけですね。 ### 意味から探す この方法はどちらかというと普通の歌の作詞で使える方法だと思います。例えば、歌詞の流れで「布団」を表現したいものの、そのまま入れると語感が悪くなってしまう場合、同じ意味である「bed」を使うことを代替案として考える、などです。上のラップでは、最初は ・布団と共に流浪する旅  続ける度見える**景色**はfunny というのを考えていました。「希望」の代わりに「景色」が入っていますね。これは、「旅をして見える景色」というのは、明るい印象があり、「布団」とも語感が合う「希望」を「景色」の代わりに入れられるのではないか、と考えたわけです。かなり遠回りな歌詞になりましたが、個人的にはこれくらいの婉曲表現は許容範囲なので採用しました。 ## さいごに いかがだったでしょうか?正直かなり主観的な文だったので伝わりづらかったと思いますが、ラップ、あるいは普通の歌の作詞について少しでも参考になれば幸いです。最後に、**ラップは韻を踏むのがすべてではありません**。韻ばかり気にしているとかえって違和感だらけになってしまう可能性があります。アクセント、韻、内容などのバランスを上手くとってこそ良いラップが生まれると思っています。 公式アドカレの方(12/23公開)で私が作ったボカラップ曲、「ボイロ革命」の制作過程について書いており、この記事はそれのおまけ(作詞編)なので、ぜひそちらもご覧ください。また、その「ボイロ革命」も[soundcloud](https://soundcloud.com/user-673090685/rclwgap9fuxj)や[ニコニコ動画](https://nico.ms/sm37955678)にアップロードしているので、この記事の内容を思い出しながら聴くと何か発見があるかもしれませんね。 さて、明日はしうまいの記事です。お楽しみに!