# ブラフ(ボードゲーム) ブラフというボードゲームがある。パイレーツオブカリビアンでフライング・ダッチマン号でやられていたボードゲームだ。あの、キモい船員たちが「nの目がmつ」って言いあっていくあのゲームだ。この前友人とやっていたのだが、普通にゲームシステムに問題点があったため、ここに記しておこうと思う。 # ルール 有名なゲームであるためか、見るサイトやボードゲームで別々のルールがあった。しかし、大体のルールは似通っていたため、それを記す。なお、このゲームで用いられるさいころは全て6面ダイスである。 ## 勝利条件 自分以外にさいころを持っている人がいない。 ## 敗北条件 手持ちのさいころの数が0以下になる。 ## ゲーム手順 1. 全ての参加者にさいころが5つずつ配られる 1. 全ての参加者は同時に手持ちの全てのサイコロを振り、出目は自身以外に見られないように隠す。この時、自分以外にさいころが見られないように振る必要がある。 1. プレイヤー(最初は親から始める)は参加者全員の出目がいくつ以上あるかを宣言する。この宣言に「nの目がmつ」という表現が使われる。ここで、6の目が出ているさいころはワイルドカード扱いとなり、1~5の目のサイコロと同等の価値がある。 - 例えば、「3の目が4つ」という宣言をしたとき、参加者全員の出目のうち、「3の目」として数えられるさいころが「4つ」以上あるという意味になる。すなわち、「3の目」と「6の目」のさいころの数の合計が「4つ」以上あるという意味になる。 1. 次の手番のプレイヤーは、宣言が嘘かどうかを考える。 1. もし嘘ではないと思った場合、手順3に戻り次の手番のプレイヤーが宣言する。ただし、この時の宣言には制限がかかる。nかmのどちらか片方、もしくは両方の数字を1以上増やす必要がある。 - 例えば、「3の目が4つ」と宣言されている場合、「4の目が4つ」(目の数を増やす)か、「3の目が5つ」(さいころの数を増やす)といったように、目の数かさいころの数を増やす必要がある。目の数とさいころの数はどちらも増やして良いし、いくつ増やしても良い。 1. もし嘘だと思った場合、「ブラフ」という宣言をする。手順5に移る。 1. その場で全てのプレイヤーは全てのさいころを公開する。全員の出目を数え、「nの目がmつ」の宣言より多いか少ないかを見る。 1. 全員の出目を数えた時、「nの目がmつ」の宣言より多かった場合、「ブラフ」の宣言は失敗になる。「ブラフ」の宣言をした人のさいころを、宣言と実際の数の差だけ減らす。 - 例えば、「3の目が4つ」という宣言に対して「ブラフ」をかけ、実際には「3の目が6つ」あったとき、その差分の2つだけ「ブラフ」宣言者はさいころを減らす。 1. 全員の出目を数えた時、「nの目がmつ」の宣言より少なかった場合、「ブラフ」の宣言は成功になる。「nの目がmつ」の宣言をした人のサイコロを、宣言と実際の数の差だけ減らす。 - 例えば、「3の目が4つ」という宣言に対して「ブラフ」をかけ、実際には「3の目が2つ」しかなかったとき、その差分の2つだけ「nの目がmつ」宣言者はさいころを減らす。 1. 手順2に戻る。 # ルールの問題点 友人と議論する中でこのゲームには2つの問題点があることに気づいた ## 問題点1 ぴったりだった時どうするのか ブラフゲームによくある問題である。ぴったりだと思ったときにどのような処理をされるかというのはブラフゲームによって異なるが大まかに3種類あると思っている。 ### 1. 「ブラフ」を宣言したプレイヤーが損をする 「ブラフ」を宣言したプレイヤーが損をする場合である。「nの目がmつ」の宣言が正しいにもかかわらず疑ったのだから損をしなければならない、という考えに基づくとこの処理が行われる。私が見つけたいくつかのサイトでもこの考えに基づいて「ブラフ」を宣言したプレイヤーが損をする処理を入れているものが多かった。 - なお、多くの場合、「ブラフ」を宣言したプレイヤーがさいころを一つ失うという処理が行われていた。 この処理の問題点は「ブラフ」を宣言したプレイヤー、つまりは手番のプレイヤーが詰むことである。「ブラフ」を宣言しても不利になり、宣言せずに数字を釣り上げても疑われる確率が上がり不利になる。どうしようもないが、まあゲームだしこういうこともあるよね、の精神で受け入れるしかない。 スパ帝国の[Not My Fault!](http://spa-game.com/?tag=not-my-fault)もこの処理を行っている。 ### 2. 誰も損をしない 何の処理も行わない、もしくは0つのさいころを捨てるという処理を行う場合である。「ブラフ」を宣言したプレイヤー、宣言されたプレイヤーともに損をせず、ノーゲームとなって次のゲームに進む。 全員が損をしない代わりに、誰も面白くないという点が問題かと思われる。 ### 3. ぴったりの時用の宣言を追加する 「ブラフ」ではなく「ジャスト」のようなひとつ前のプレイヤーが「nの目がmつ」といった宣言が正しいと思った場合に行う宣言作る場合である。ただし、この「ジャスト」はピーキーな性能である必要がある。 例えば、「ジャスト」が成功したときには宣言したプレイヤーが得をする必要がある。そうでなければ「ジャスト」を宣言をする必要がない。代わりに、「nの目がmつ」の宣言と実際の数がずれていたときは、実際の数の方が多くても少なくてもその差分より大きい損をさせることによてゲームバランスを保つ。 問題点としては、「nの目がmつ」を宣言したプレイヤーが嬉しくないというものがある。ぎりぎりどころかぴったりを宣言することができたのに、自身には何のご褒美もなく「ジャスト」を宣言したプレイヤーにはご褒美があるのだ。これは面白くない。そもそもぴったりを宣言するということはぎりぎりを攻めていることでもありプレッシャーにはなるため、この言い分はお門違いかもしれないが。 ## 問題点2 敗北に近づくほど不利になる これがこのゲームで1番の問題である。この問題に比べれば、問題点1で述べたぴったりだったときどうするか問題なぞどうでもよい。 このゲームでは手持ちのさいころが多ければ多いほど有利だ。全てのプレイヤーが持っているさいころの出目を予測するゲームであるため、手持ちのさいころの数が多ければ多いほど自身が持っている情報が増え有利になり、逆にさいころが少なければ少ないほど自身が持っている情報が少なく不利になる。 - 例えば、アリスとボブが対戦をしていて、アリスのさいころが残り1つ、ボブのさいころが残り4つだった時、アリスの方が敗北に近い。しかし、アリスは全て(5つ)のさいころのうち1つしか情報しか持っていないため非常に不利である。 基本的にゲームでは、以下の2つを満たしていないとクソゲーと呼ばれがちである。 - 敗北に近い時、不利にならない - 勝利に近い時、有利にならない 敗北に近い時、有利になっても良いが不利になってはいけなく、勝利に近い時、不利になっても良いが有利になってはいけない。これを破っていて盛況なゲームなぞ(今は知らないが)一昔前のポケモンカードゲームぐらいしか知らない。なんであのゲームは勝利に近づくと有利になるんだ。 故にこの問題は解消する必要がある。解決法として2つの案が出た ### 解決案1 ライフ制にする 手持ちのさいころ5つの他にライフ値を設け、予測値と実際の差分だけライフから減らしていく方式だ。この制度であれば、敗北に近くても不利にならず、勝利に近くても有利にならない。 ### 解決案2 勝利/敗北条件を逆転する 現在の敗北条件はさいころが0になる、というものであるが、これを逆転させ、勝利条件をさいころが0になる、というものにする。負け抜けを勝ち抜けにするのだ。このようにすると勝利が近ければ近いほど不利になり、勝利に近くないプレイヤーが追いつくことが可能になるだろう。もちろん「ブラフ」宣言時のやりとりも逆にする必要がある。 # あとがき 申し訳ないが、各解決案を出しておきながらこのルールでプレイをしていない(眠くなって寝た)ので粗があるかと思われる。もしよかったらこれを読んだ方々には実際にプレイしてみてもっと良い制度を考えてほしい。 ### どうでもいいこと 私はゲームが下手なため、勝ち抜けという制度が好きだ。勝ったらもちろんうれしいし、負けててもゲームに参加できるという点で嬉しい。小学生のころスマブラで負け抜けの制度で友人とやっていたせいで全く上達せず面白くなかった記憶がある。そのため、今度機会があったら解決案2の制度で遊んでみたい。