# 雨の相 ファンブック① 宮澤ブルーです。 先日「宮沢模型」というホビーメーカーがあることを知りました。フィギュアや鉄道模型などを生産しています。 その製品に名古屋鉄道の「ブルーライナー」があることを知りました。ちょっと欲しいですね。 今回は12/2の[イデアさんの記事](https://idea-misw.hatenablog.com/entry/2021/12/02/000000)で公開していただいたSS「雨の相」について、裏設定などをファンブック的に語らせて頂きたく思います。 そうそう、こちらはアドベントカレンダー[「徒々然々」](https://adventar.org/calendars/6537)の記事です。 ## 1. 背景 そもそもの始まりはなぜかみすカレンダー企画にアイデア出し担当として拾ってもらえたこと、名前的にはアイデア出しに相応しそうなイデアがブルーに~~擦り寄って~~寄り添って電車の絵を描こうとしてくれたことでした。 世間一般にはイベントのない11月、我々にとっては早稲田祭があるだろう、それなら文化祭をテーマにした絵に、その他イデアとブルーの好きなものがいろいろ混ざって「文化祭の準備を終えて、夜景の中電車で帰る二人の女子高生」という最高の11月イラストが完成しました。 2019年11月の早稲田祭にてカレンダーお披露目を経て、実際にカレンダーが運用された2020年11月も過ぎ去り、2021年に入った頃、突如イデアからこのイラストをテーマにしたSSの企画を持ちかけられました。そして今に至る。 ## 2. タイトルの意味 タイトル「雨の相」。この素晴らしい発案には自分はかかわっておらず、完全にイデア様の発案です。 11月は霜月、霜を分解して雨+相。電車の外に見える流れる夜景はさながら光の雨のよう、そしてこのタイトルが出た時点では話の大筋が決まっていたので、東子が「暗い将来」を案じる→これから天気が悪くなる→雨が降る予感→「雨の相」と決まったものです。ちなみに自分の不手際で作中一回も雨は降っていません。 後述する「Twilight」の話があまりにも漠然すぎて、タイトルから連想される「雨」のイメージを盛り込むことで、物語の構成要素としては結構重要な部分なんじゃないかなと思っています。 ## 3. キャラ紹介 ### 北山東子 大人しめの高校三年生。自宅は京浜東北線の埼玉県内の駅。多分蕨。神田の高校まで京浜東北線で通っている。成績はそこそこ。ツッコミ役。 名前の元ネタは京浜東北線の「東北」より。 ### 浜本京香 元気いっぱいの高校三年生。自宅は山手線の荻窪〜大塚のどこか。神田の高校まで山手線で通っているが、帰りは田端まで京浜東北線に乗る。成績にはムラがある。ボケ役。 名前の元ネタは京浜東北線の「京浜」より。 ## 4. 二人の関係性 ### 出会い 二人の出会いは高校帰りの電車の車内です。もっと言うと神田から乗った京浜東北線です。 神田を含む品川から田端までは山手線と京浜東北線が並行しており、経由する駅は完全に同じです。違いといえば、10時〜15時ぐらいの昼間は京浜東北線が一部駅を通過する快速運転をしているところ。 京香が家に帰るなら山手線1本で帰った方が明らかに楽だし、快速運転の京浜東北線に乗っても大して早くはならないです。しかし1年生の5月ぐらいのある日、昼帰りしたら乗っていた山手線が京浜東北線に追い抜かされてしまい、立ち止まっているのが苦手な彼女は歯がゆく感じていました。かくして次の日は速さを求め意気揚々と京浜東北線に乗り込んだのですが、そこで同じ電車に乗り込んだのが東子でした。 ### 仲良くなるまで 電車内で先に話しかけたのは京香です。京香の中学時代の友人二人(そこそこウェイ)が隣のクラスにいて、その二人を訪ねたときに東子が同じクラスにいたのを覚えていたからでした。 東子の方は友人と言えるような友人はおらず(強いて言えば席が近い人と授業や先生のことを話すぐらい)、京香に話しかけられたときはめちゃくちゃびっくりしてました。 東子は(やたらグイグイ来る人だな)と、京香は(静かな子だなあ)と戸惑いながらも普通に仲良くなっています。京香が今まで通り東子のクラスに来ても軽い挨拶を交わして普段の友人二人と喋ってますが、帰りの電車ではいつも一緒に帰ってます。中学の友人は真剣に部活をやっていたんだと思います。その後、2年生に上がって東子と京香は同じクラスとなり、常に二人で行動するようになります。 作中で言及される中野さんと津田ちゃんは2年に上がってからのクラスメイト。中央線の中野、総武線の津田沼から来た名前です。 ### 電車で 帰りの電車では京香が大体話題を持ってきて、特に脈絡のない雑談をしています。東子も日替わりの話題に戸惑いながらも楽しみに聞いています。 そこそこの頻度で小テストがある高校っぽいですが、試験前には問題を出し合いながら帰るなどしています。京香と中学からの友人二人は成績が今ひとつでしたが、東子と一緒に勉強するようになってから京香の成績はかなり伸び、友人二人に驚かれています。ただ、成績が振るうと油断するので、その後もちょいちょい酷い点をとっています。 京香が山手線に乗り換えるので、二人が遊ぶのは田端近辺が多いです。路地裏の話はその辺をイメージして書きました。カラオケやパンケーキ屋があるのかは知らないです。何にせよ、京香が今まで田端より先の京浜東北線に乗ることはありませんでした。 めちゃくちゃ暗くなるまで遊ぶことは基本ない。遊ぶとしても明るいうちに帰るので、東子は東京の夜を知りませんでした。最初は京香も「あんまり信用されてないのかなあ」と考えてましたが、東子が楽しみ方を知らないだけだと思って、常に東子に楽しいことを提供するようにしています。東子もその気遣いがわかっているので、ありがたく思っています。 ### 最近の二人 この高校は2年のクラスがそのまま3年に持ち上がるタイプの高校のため、二人の関係性は特に変わっていません。ただ、来年には今と全然違う環境にいることに対する漠然とした不安が、無自覚ながら東子には現れています。それを認識して乗り越えるのが今回の話です。 京香は東子の不安に何となく気づいていました。ただ急に接し方を変えるのもどうかと思って普段通りの振る舞いを続けていましたが、物語の日、降りる間際の東子の様子を見て今回の行動に踏み切った次第です。 ## 5. 3番目のJK JKといえば女子高生・女子校生、常識的に考えて、といった数多くの言葉の略語として使われますね。中でも我々が親しんでいる使い方が「JR京浜東北線」の路線ナンバリング記号としてのJKではないでしょうか。 JK二人と電車のJK、すなわちJK3ですね。ちなみに駅ナンバリングだと港南台にJK03が振られています。 ![](https://i.imgur.com/GLOO4LE.jpg) ちなみに、中央線はJCになります。 ![](https://i.imgur.com/XNjsKaw.jpg) 山手線はJYです。 描かれている車内は京浜東北線で走行していた209系通勤形電車のもの。1992年にデビューした、JR東日本が初めて設計した通勤電車で、約1000両の製造両数のうち大部分の800両近くが京浜東北線に投入され、主力となっていました。 自分のお気に入りの鉄道車両のひとつでもあります。これは自分から提案したわけではなく、京浜東北線の情報を得ようと自分の鉄道趣味用Twitterアカウントという魔境に飛び込んできたイデア氏による起用です。ありがとうございます。彼は人の趣味が理解る男です。 209系は最後に残った52編成が2010年に後継のE233系と交代したのを最後に、京浜東北線から撤退しています。52ですよ。 2010年以前となると女子高生が普通にスマホを持っている時期なのかちょっと怪しいですが、どうでもいいことです。 ## 6. イラスト、SS製作におけるロケハン まず、各時間の京浜東北線神田-田端の区間に乗車し、混雑率の体感や走行中の夜景の撮影などを行っています。京香の動きを再現して降りて乗ってをやってみようかと思いましたが、自分がやっても不審者なのでやめました。 ついでに209系電車の室内の写真が欲しいと思い、京浜東北線から撤退した後外房線を走っている車両を撮影。最初はほぼ同型である中央線を走る車両の車内を撮影しようと思ったのですが、たまたま千葉に行く機会がありそのときに銚子でいろいろ撮っています。 こういうところに二人が座っていたのかもしれません。 ## 7. 勝手なイメージソング SSを作っているに当たって、とりあえず雰囲気作りのために「夜の電車」を想起させるものを視聴することにしました。そこに登場したのが「Twilight」です。 TwilightはElectric.Light.Orchestraによって1981年に公開された楽曲。華やかながらも神秘的な電子音のメロディがまあとても良いこと。近年有名なものだと2005年放送のドラマ「電車男」のOPに採用されていますね。 今回描いてたイメージはまさにあのOPでした。秋葉原の街明かりが灯る中、走る青い電車。あの電車は103系通勤形電車で、青い塗装の車両は209系に統一されるまで京浜東北線を走っていました。 歌詞の方もなかなか詩的なものです。主人公は「Twilight」と呼ぶ謎の存在に導かれ、暗闇から明るい世界にやってきます。明るい世界は夢か現実かもわからない不思議な場所。しかし、Twilightは主人公を元の世界に戻さず、そのまま去ってしまいます。 このストーリーを、東子と京香の関係性に多分に盛り込んでいます。Twilight(歌)ではTwilight(作中の存在)は戻ることなく物語が終わりますが、自分の方ではその続きを描いてみました。どうでしょうか? ## 8. SFCの話 上記「Twilight」が脳内で飛び出すまで、このSSは電車内で東子と京香が軽く会話を交わすぐらいの話を想像していました。二人してスマホの画面を見せあっている、何の話をしてるんだろう?というところで最初に思いついたのが「SFCのレトロゲーのRTA動画を見ている」でした。 このSFCは京香の父が買って埃をかぶっていたものを、ゲームを買ってくれとせがむ京香の弟妹をあしらうために京香が掘り出してきたら、京香が一番ハマってしまったものです。ちなみにそもそも東子はSFCというゲームハードを知りませんでした。 SFCの話と一緒に脳内で生まれた有象無象のうち、ちょっと面白いと思ったのをまとめたものが[12/3の短編集](https://hackmd.io/@IjoQfJmrQZKyjJTRucVXIQ/Byf82GPKF)になります。東子と京香の名前も、イデアが名前を決めるまでに自分が勝手に考えていたものです。 - 紫玉 柘植(したま つげ)・青 李梵(あお りぼん)→この二人を最初に見たとき目に入ってきたのが下まつ毛と制服の青いリボンであったことから - カンナ・さくら→関内・桜木町(京浜東北線の駅名) - コウナ・ヨウコ→港南台・洋光台(駅名) - あずま・みやこ→東・京→京浜東北線 - ジャック・キング→JK ## 9. セレブレッド 基本的にイデア一人の手によって完成した11月イラストでしたが、自分ごときの絵をイラストにも参加させてくれるイデア様のご厚意がありました。東子と京香の後ろにある広告です。 ここに載せる広告の絵は案が複数ありました。MIS.Wの宣伝やみすカートなど他の作品の広報、オムニバスなどのネタ、果ては広告の枠内から東子と京香を覗き込んでいる人間の絵などホラーじみたものも。その中でイデアのお眼鏡に叶い、イラストへの出演の機会を頂いたのが「セレブレッド」でした。オムニバスもよく見ると上にありますね。 元はただのセレブの服装をした馬のイラストだったのですが、イデアによる「有名人になっても、ウマくやっていけよ」というキャッチコピーと共に映画のポスターの如く仕上げられています。ちなみに馬の名前は左の牡馬が「ブルーイデア」、右の牝馬が「ミスダブル」といいます。 さらに、近年人気のあるコンテンツとの超巨大コラボ企画(パロディ)として、ブルーイデアとミスダブルの擬人化キャラクターをイデアさんに書いてもらおうとしたら断られました。 ## 10. イデア様のありがたいお言葉 以下原文ママです。 ところで原文がママなら、要約はパパなのでしょうか? (なお、自分もここにコピペするときにこの感想を初めて読んでいます) >こんばんは、ΙΔΈΑです。あなたがこの感想を読んでいるということは、あのSSはすでに公開されているのでしょう。 みすカレンダーのことが好きなので、ついSSを書いてもらいました。またその勢いで、イラストもいくつか挿し込んでみました。 当初は11月に公開する予定でしたが、せっかくの機会なのでアドカレの一部に。ちょっとした思いつきに対してあのSSを書いてくれたことには、感謝しかありません。 少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。以上、ΙΔΈΑでした。 P.S. 二次創作 OK こちらこそありがとうございます!!! 二次創作OKだそうです、みんなで物語を紡ごう ## 余談 ![](https://i.imgur.com/1LpicKE.jpg) [俺は宮崎じゃない](https://event.misw.jp/wasedasai2019/calendar/) 以上となります。続きが思い浮かんだり、書きたい設定が出てきたらファンブック②が出てくるかもしれません。 本筋から外れたものをここまで長々と読んでくださり、ありがとうございます。 途中を読み飛ばして最後にたどり着いたものには天罰が下ります。 --- 明日はイデアのターンです。京浜東北線に関する話だと思います。