この記事は、 [みす51代 Advent Calendar 2017 -Adventer](https://adventar.org/calendars/2304#list-2017-12-19) の19日目の記事です。 ドーモ、ドクシャ=サン。51代MIDI研のフナジューです。 普段はシナリオ書きながらヒイヒイ言ってるのですが、 気分転換に記事を書いてみたら筆の進むのなんの! いや楽しいですねこれ。~~勢いに任せて有ること無いこと書き放題ッ!~~ あ、あと、前回の担当者あすなろ氏よりも画像枚数が多いかもしれません。ご容赦を。 **※以下、すべて個人の感想です。 疑いの心を忘れずに読んでください。** 突然ですが皆さん、アニメ、観てますか? ……うんうん、観てますよね。そうですよね。 オタクの生活必需品、当然の嗜みだと存じます。 しかし、あなたはアニメを「理解して」観ているのでしょうか? ただストーリーの大筋を辿っているだけになってはいませんか? この記事では、よりアニメーションを理解するための要素を色々まとめてみました。まず、紹介しておきたいのがコレ。 ****「フナジュー式アニメ視聴術!」**** 1回目は純粋にストーリーを楽しみ、 2回目は音を消し画面構成と演出を意識して眺め、 3回目は目を閉じ耳を澄まして声と音のリズムを聴く。 そうすることで、アニメを構成する要素を漏らさず体感できるのです。 時間がある人は是非試してみてくださいね。 ではここからは、ただ観るだけじゃない、より深~く観る方法を自由気儘に書き連ねていきます。アニメオタクからアニメーションオタクになるための第一歩、ぜひ心の片隅に留めておきましょう! ## アニメ会社の個性 アニメーションは、人によって作られています。これが大前提です。 つまるところ、画面内に映る全ての要素が意図をもって描かれているワケです。実写でもシーンの場所や時刻、天候などは演出意図に沿って撮られていますが、アニメは100%人為的に仕組まれていることになります。偶然は有り得ません。造形も、色彩も、何もかもが必然なのです。 作画が良いと言われているカットでも、キャラの動きが良かったり、髪の毛の描き込みが細かかったり、カメラワークが立体的で迫力があったりなどなど、様々なタイプに分かれています。 アニメ制作会社によって特徴に傾向があるので、独断と偏見で有名どころを分類してみました。代表作に個人的な趣味は反映されていません。年代順に公平に選んだつもりです。今期のアニメはどこが作ってるかな~とエンディングのテロップまでちゃんと見てみましょう。 荒々しいアクションが得意 * ボンズ「鋼の錬金術師、ソウルイーター、僕のヒーローアカデミア」 * マッドハウス「BLACK LAGOON、未来日記、魔法科高校の劣等生」 * サテライト「シンフォギアシリーズ、マクロスシリーズ」 * TRIGGER「キルラキル、リトルウィッチアカデミア」 線が細かいのに動きまくる * ufotable「Fateシリーズ、GOD EATER、活撃 刀剣乱舞」 * WIT STUDIO「進撃の巨人、甲鉄城のカバネリ」 * GoHands「K、ハンドシェイカー」 バトルもストーリーも洗練されている * Studio 3Hz「フリップフラッパーズ、プリンセス・プリンシパル」 * エイトビット「東京レイヴンズ、グリザイアシリーズ」 * TROYCA「アルドノア・ゼロ、Re:CREATORS」 人間ドラマを丁寧に描くのが得意 * 京都アニメーション「CLANNAD、けいおん!、響け! ユーフォニアム」 * P.A.WORKS「Angel Beats!、凪のあすから、SHIROBAKO」 なんでも作れるオールマイティ * A-1 Pictures「黒執事、青の祓魔師、ソードアート・オンライン」 * J.C.STAFF「とあるシリーズ、食戟のソーマ」 * WHITE FOX「シュタゲ、魔王さま、ごちうさ、リゼロ」などなど 省エネだけど謎の安定感 * スタジオディーン「この素晴らしい世界に祝福を!」 * ラルケ「暗殺教室、がっこうぐらし!、クズの本懐」 女の子が可愛い * Studio五組「きんいろモザイク、結城友奈は勇者である」 * SILVER LINK.「プリズマ☆イリヤ、のんのんびより」 なんだか凄い * シャフト「さよなら絶望先生、物語シリーズ、魔法少女まどか☆マギカ」 また、アニメの作風は監督とシリーズ構成によって決まってきます。 画面の情報量はスタジオや背景担当会社に左右され、作品の雰囲気は音楽担当者に依存するところも大きいです。撮影:グラフィニカ や3DCG:サンジゲン など、信頼できる会社が協力していると安心して視聴ができますよね。また声優を見れば、ある程度予算の流れは透けて見えるので「アタリ枠」を見極めやすくなります。これは個人的見解ですが、音響監督:岩浪美和 なら絶対アタリです。必ず観ましょう(最近だとガルパンとかプリプリとかアポクリファとかね)。 逆にダークホース枠を探し当てるのも楽しみの1つなので、とりあえず3話までは観てみるのが良いと思います。 ## 心に寄り添うアニメ演出 では、具体的にアニメの絵コンテ・演出を考察していきましょう。 今回取り上げるのは、この前放送されたばかりの神演出回。 アイカツスターズ! 86話「涙の数だけ」です。~~(これを書くためのような記事なのだ)~~ ![](https://i.imgur.com/DZRjk5v.jpg) (こちらから公式で1週間限定公開されているので、観たい人は早めにどうぞ。2017年12月25日まで視聴可能→ https://www.youtube.com/watch?v=t0tfTqYEWD4) アイカツ! シリーズ(以降、! を省略させていただきます)はご存知の通りアイドルアニメに分類されますが、かの有名なアイドルマスターシリーズや、同じサンライズ系統のラブライブとは作風が異なります。というのも、アイカツは年単位で放送されている夕方アニメ。そのため短期間に大人数のスタッフを投入して美麗作画を披露することよりも、各回を安定したクオリティで毎週お届けすることが大切なのです。(ちなみにステージシーンはフルでCGを活用したものとなっており、情報量が半端ないので考察はしません。その目で確かめよ!) ![](https://i.imgur.com/wccd3T4.jpg) そういう都合もあって、ステージシーン以外の手描きアニメパートも、深夜アニメに比べて省エネされた作画がなされています。対象としている視聴者が幼女先輩から紳士淑女まで幅広いこともあり、伝わりやすさを追求した鮮やかな画面造りになっているんですね。 ――――しかし、だからこそ。 素朴なアニメならではの、演出の妙が光るのです。 ……ですます口調が面倒になってきたので、 ここからは語尾が適当になるぜよ。あしからず。 んじゃ、知らない人向けに簡単なあらすじを紹介しておこう。 これまでのアイカツスターズ! アイドル学校四ツ星学園の中等部2年生にして歌組S4の虹野ゆめ。 その親友にして最高のライバルである、歌組幹部の桜庭ローラ。 2年目からは、海外から来たアイドル学園ヴィーナスアークの生徒と、優れたアイドルのみが手に入れられる星のツバサを巡って物語が進んでいく。 今回の話は、ローラの成長にスポットを当てた回になっている。 ※キャラ相関図は公式サイトを参照 http://www.aikatsu.net/character/index.html ローラはゆめにS4決定戦で敗れ、幹部の座に収まった2年目以降、なんだかんだ不憫な扱いをされ続けている。「ふたりなら最強」を誓ったゆめの隣を、美組幹部の七倉小春に奪われかけたり。海外からやってきた最強のアイドル、エルザ・フォルテ(CV:日笠陽子)に才能が無いと煽られたり。努力家である彼女が、天才型の主人公に一歩届かない姿は観ていてツラいものがあるのだが…………。 ――で、ここからが本題。 ![](https://i.imgur.com/hnpclVA.png) 今回演出と絵コンテを手掛けたのは、サンライズ所属の安藤尚也さん。ラブライブサンシャイン11話「友情ヨーソロー」の演出をしたのも彼である。以前、ローラが先輩からブランドを受け継ぐ回(62話 ゴーイング・マイウェイで♪ )でも神演出を披露しており、そのセンスはもはや疑いようがないだろう。特に光を用いた画面造りが上手く、撮影処理も意識したハイクオリティなアニメーションを提供してくれるのだ。 では、実際のカットを観ながら考察していこう。 ### 光と影 ![](https://i.imgur.com/kBGXYqg.png) 光を描くということは、すなわち影を描くことである。 光源は、被写体の内面を表現するための手法として古くから用いられてきた。身近な要素であるために、あまり普段は意識していない人も多いのではないだろうか。 アニメでは、ほぼ全てのカットに影が存在する。 太陽や月、照明の位置が決められた状態で、印象的な絵になるように人が置かれることになる。アイカツシリーズにおいて太陽や月、空や星はモチーフとして繰り返し使われているのだが、それはまた別のおはなし。ここでは視覚的な作用についてのみ語ることにしよう。~~(詳しくはアイカツを見てくれ)~~ 86話のアバン、主人公の虹のゆめのシーン。私はリアルタイム視聴時、ここで変な声が漏れた。 ![](https://i.imgur.com/XW3GlM1.jpg) …………おいおいおいおい。開幕これとは恐れ入ったよぜよ。 ![](https://i.imgur.com/sZDbls2.jpg) ![](https://i.imgur.com/RdrTX06.jpg) 足元だけを照らす光の角度、それが意味するところは皆さんの想像力に任せよう。顔だけ照らされて足元が暗い場合より、ポジティブな意味合いだと私は考えているが。 少し飛んで、OP後の騎咲レイのカットも同様だ。 ![](https://i.imgur.com/MlFu0ye.png) ![](https://i.imgur.com/Fy6wRbu.png) 彼女が抱えていた問題が、解消へと向かっていることを示している。画面奥に見える能天気な花園きららと双葉アリアは、全身に直射日光を浴びているのが対比的だ。ここの背景がボカされているのもポイント。 ![](https://i.imgur.com/n3Mh8so.jpg) ちょっと戻ってローラと真昼のシーン。淡い虹色の光がオーバーレイされているのがお分かり戴けるだろう。 ![](https://i.imgur.com/VvQ0XMx.jpg) ![](https://i.imgur.com/VyqLD8y.jpg) 顔が陰になっているのは、つまり……そういうことである。 それでは後半のシーンからも参考画像を載せておこう。 ![](https://i.imgur.com/Xu2eUAT.png) ステージ開幕! のカットではスポットライトに加え、チンダル現象による光の粒やカメラのレンズフレアまで描かれている。 ![](https://i.imgur.com/Sq9501j.png) ![](https://i.imgur.com/WLTKOgs.jpg) ステージで全力を出し切ったローラ。カメラの露光を強くすることで、全体的に眩しい画面造りになっている。それとは対照的なのが下のシーン。 ![](https://i.imgur.com/k3Ll80T.png) ![](https://i.imgur.com/bbxJ02P.png) …………何が起きたのかは、実際に観て確かめてほしい。ここから一連の作画や脚本構成は見事としか言いようがないので、あえて深くは語らないでおく。このように画面の上端・下端を暗くするのも効果的な手法だ。 ――とまあ、挙げればきりがない光と影の演出だが、とっても便利なので表現を嗜む者には欠かせないだろう。 ### 上手(かみて)と下手(しもて)、その構図 ![](https://i.imgur.com/aLWrU8E.jpg) では中盤のシーンから。 ここで特筆すべきは「横姿」である。 横姿にはもちろん右向きと左向きがあるのだが、これらは意図的に使い分けられているのだ。 ![](https://i.imgur.com/YmtNy1p.jpg) 画像は[こちらのサイト](http://highlandview.blog17.fc2.com/blog-entry-200.html)より サンライズの代名詞とも呼べるガンダムの生みの親、富野由悠季氏は自著『映像の原則』で上手と下手について説明している。画面右側の上手は上位のもの、画面左側の下手には下位のものが置かれるという法則なのだが、これを横顔に当てはめてみよう。 左側に向かっている場合は上から下の自然な流れ、つまり普通の感覚といえよう。 しかし見方を変えれば、ただ状況に流されているだけとも言える。 よくEDで歩いているアニメを見かけるが、ほとんど右から左に進んでいるはずだ。~~(ここでゆゆゆEDを思い出して涙ぐむ)~~ それに対して画面の左から右という動きは下位から上位へ、つまり流れに抗う構図となる。運命に立ち向かい闘いを挑むとき、覚悟を決めた顔は右を向いているのがお約束ということだ。マリオなどの横スクロールゲームが左から右へ進むのも、同じ原理で説明できるだろう。 ~~そういえばバーテックスも右から左に進行して来たな。。。~~ 同様に拡張してみると、画面内でのキャラクターの視線が意味する心理的な要素も読み取れる。視線は行動の前段階、心の揺らぎを演出するファクターと位置付けられる。例えば左を向いていた人物が右側に視線を変えたとき、前向きな決意に意識が向き始めたこ合図となる。「そちら側に見たい物や人が存在していただけじゃないか」と思った諸君、確かに主人公の部屋などではそうかもしれない。ただ、そのシーンのためだけに用意された場所であるなら、キャラの立ち位置などは意図的に仕組まれているはずだ。 漫画原作アニメだと、漫画の構図をそのまま持ってくることもあるので少し異なるが、アニメオリジナルなら法則が適応されやすい傾向にある。まあ何事にも例外が付き物だろうが、これらを計算づくで演出している場合は一貫したルールとして守られていることが多い。 これらを踏まえて、「涙の数だけ」を見直してみよう。 ![](https://i.imgur.com/mWXlEyI.jpg) 参加を予定していたオーディションに、最強アイドルのエルザ様が参加すると知ったローラ。右向きの横顔だが、視線は左に泳ぐ。 ![](https://i.imgur.com/qLa3TPi.jpg) 同じステージ戦うべきか、それとも別のオーディションに参加すべきか。ローラが悩みを抱えたままランニングへ行くシーン。 ![](https://i.imgur.com/iLwzeHS.jpg) ![](https://i.imgur.com/JrHcaXD.png) 画面左へ、左へと走っていく。そして、後ろを追いかけてくるマラソンランナーと競争に。 ![](https://i.imgur.com/rTB0qjt.jpg) さすがのローラも力ぎれ。 ![](https://i.imgur.com/XiIIBHk.png) ![](https://i.imgur.com/4ISQ2PR.jpg) 追い付かれて話をする2人。ランナーはローラと似た境遇であることが明かされるが、会話中の顔の向きに注目。先に答えを出しているのがどちらか、台詞を聞かずとも分かるだろう。 その後、意を決してステージへ挑むローラ。 ![](https://i.imgur.com/rF2WRAM.png) 言わずもがな、右へと踏み出したのであった。 …………演出家の仕組んだトリック、伝わっただろうか。 ここまであからさまに、それでいて巧妙に絵コンテを割る人も珍しいが、こうした工夫が積み重なってアニメは形作られているのである。 実は、同じ安藤氏が担当したローラ回の62話でも同様の構図が見受けられる。 この話では、劇組S4のツバサ先輩からドレスのブランドSPICE CHORDを受け継ぐことになるのだが、そのための条件を言い渡されるシーンでは左を向いている。 ![](https://i.imgur.com/OYVGKTg.jpg) ![](https://i.imgur.com/lOONthz.jpg) ↓試練の間、答えを求めて左に奔走(迷走)する様子 ![](https://i.imgur.com/ZLzRMuj.jpg) そしてステージを終え、答えを手にしたローラは右向きだ。 歌組の担当講師で元S4のアンナ先生に送り出される。 ![](https://i.imgur.com/A1WlU8n.png) 先輩と向かい合い、ブランドに対しての考えを述べるシーン。受け継がれる魂。泣いちゃう。 ![](https://i.imgur.com/zuRrHui.jpg) ローラかわいいよローラ。 ![](https://i.imgur.com/AT0vvId.jpg) 後輩に想いを託した彼女は、女優の道を極めるためハリウッドへ旅立つのだった。左の人は劇組の先生。ここで右向きになる演出がニクい。 ![](https://i.imgur.com/yTxbfgN.jpg) ![](https://i.imgur.com/iIt3NsG.jpg) ラストで飛行機を見送るローラは、居場所を手にしたので左向きだ。![](https://i.imgur.com/Mn03KlX.png) …………ね? ちゃんとキャラクターの心理状態と立ち位置が一致しているでしょう? 何気なく見ていると気付かない要素だが、これから意識してみると発見があるはず。演出家の意図を汲むのが、アニメに対する敬意の表し方だと信じています。 ### 時刻、そして色調 そのシーンが、どの時間帯なのか。これは脚本家によって設定される要素だが、その時刻でしか表現できない演出があるのも事実だ。 アイカツシリーズでは、夜空や夕焼けを背景にしたシーンが多く見受けられる(米田光宏氏の担当回に顕著)。とくに2年目前半OP「STARDOM!」では、夕方→夜→朝→昼→夜というダイナミックな時間変化が起きている。……この流れで劇場版アイカツスターズを思い出した貴方、今すぐ熱い握手を交わしたいですね。 ![](https://i.imgur.com/pYTfXwp.jpg) ![](https://i.imgur.com/xv9RyMa.jpg) 今回取り上げた「涙の数だけ」では、ローラがゆめとトレーニングをするカットがオーバーラップ(クロスフェード)されていくのだが、そのシーンの時刻も進めていくことで時間経過を演出している。静止画が連続して移り変わっていくのを想像してもらえればよい。 ![](https://i.imgur.com/1Q7gvke.jpg) ![](https://i.imgur.com/Mj4SNPj.jpg) 次第に夕方になっていき、最終的には夜の星空が背景に。尊い。 ![](https://i.imgur.com/cv3juSI.jpg) 星はアイカツスターズにとって、アイドルの輝きの象徴であることは言う間でもないだろう。 さて、暖色と寒色は御存じだろうか。 ![](https://i.imgur.com/l1EtkxU.gif) 詳しくは[こちらのサイト](http://www.webcolordesign.net/color_basic/color_psychology/warm_cold_color.html)を参照。 この心理的な作用を活かしたレイアウトが、以下の例だ。 ![](https://i.imgur.com/Niy44OL.jpg) ![](https://i.imgur.com/hOvy9t9.jpg) 夕焼け空の赤は暖色として機能しているのに対し、エルザ様との会話の回想シーンでは寒色を強めてあるのが分かるだろう。両者の人間関係、場の雰囲気の伝わり方がまるで違う。セピア色などの暖色で彩られた回想シーンは、良い思い出であることが普通だ。 また、回想から現実へ画面が戻るとき、画面が白くなっていくホワイトアウトが使われている。これもフラッシュバックなどと絡めた定番演出だ。 ### カメラの動き、カットの繋がり ここまでの説明でもお腹いっぱいかもしれないが、 演出技法は他にもあるのでオマケ程度に紹介しておこう。 まずカメラの動きだが、これは方向と速度・ピントによって印象づけが可能な要素だ。多くはカットのレイアウトに依存することになる。(縦長の構図なら上下のカメラ移動が不可欠) 画面全体が緩やかに左右・上下に移動するスローパンや、被写体を追いかけ続けるフォローなど(今回ではかけっこシーンで加速を表現するため、あえて途中からフォローを止めている)、視聴者の意識の先をコントロールするために様々な手法が採られている。実際にアニメを観て確認してほしい。 ![](https://i.imgur.com/jptUCNL.png) ![](https://i.imgur.com/iuR1QaN.png) このカットではカメラのピントを合わせるフォーカスインを用いて、迫力のある効果が得られている。ここが初めての右向き横顔でもあるので、演出家も狙っていたに違いない。 ![](https://i.imgur.com/VkYUjJX.png) ![](https://i.imgur.com/wqgXy1I.png) 次第に背景のみがホワイトアウトしていく演出。 これは文字通り「周りが見えなくなる」効果がある。キャラクターにフォーカスを当てるためには、それ以外のものを映さないという手段も有効なのだ。 他にも、アイテムを使った表現というものがある。これは脚本段階で決まっていたのか、演出で追加されたのかは不明だが、使いどころによっては言葉より雄弁に心情を語ってくれる。 ![](https://i.imgur.com/IUJlNAY.jpg) リボンをほどいているローラ。「レアで可愛いから外させたんじゃないか」という安直な意見は置いておくとして、誰も見ていない楽屋でのこの姿にはどんな意味が有るのか考えてみるのも面白い~~じゃない!~~ いや、可愛いんだけどさ。 アイドルとしてではない、1人の少女としての表情。鏡の中の自分に語りかけるという行為は、視覚と聴覚の相互作用が連鎖して感情を加速させるのに充分だったのだろう。鏡の光り具合も絶妙だ。 ## おわりに ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。いろいろ書き連ねているうちに、自分のアニメの見方を再認識することができました。アニメ、ほんとうに奥深いですね。 ……なんでもかんでも考察しながらだと純粋に楽しめなくなってしまうので、バランスよくアニメを「理解」していってもらえたらなと思います。 あと、「アイカツを観ておけば幸せになれる」ので、食わず嫌いせずに観てもらえることを祈っています。 明日は誰か(固有名詞)さんがフリゲについて語ってくれるようです。 以上、フナジューでした!
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