# <font size="12px">Fusion360でできること</font> <br> # はじめに これは [< 高知工科大 Advent Calendar 2016 >](http://www.adventar.org/calendars/1872) 15日目の記事です. <font size="6px" color="OrangeRed">は</font> じめまして,高知工科大学学部生のASKBです. 大変簡単ではありますが,以下のリンクをもちまして,自己紹介に代えさせて頂きます. [< Twitter:@AjastinB >](https://twitter.com/AJastinB)<font color="DarkGray">(文章で説明するより圧倒的に分かりやすいと思う.)</font> 高知工科大 Advent Calendarharは例年ソフトウェア要素が非常に高いなと思ったので,今回は構造系についてお話ししようと思います.~~結局ソフトウェアの話じゃんというツッコミはなしで~~ さて,今回のお話は,今熱い!高機能3DCADソフト**Fusion360**についてです. 記事の中で使い方をあれこれ書いているとキリがないので,ここではFusion360の概要説明に留めたいと思います. # Fusion360とは ![Fusion360_logo](https://farm6.staticflickr.com/5441/31364404906_b24d198cb0_b.jpg) <font size="6px" color="OrangeRed">F</font> usion360はAutodesk社が提供しているクラウドベースの高機能3DCADソフトです. 2013年に英語版がリリースされ,続いて2015年秋に日本語版もリリースされました. 3DCADソフトというと,年契約で数十万円,永久ライセンスだと数百万円というのが相場なのですが,Fusion360は年契約でなんと**38,880円!** さらに,愛好家ならば**実質無料**であるという超良心的な3DCADソフトなのです! 愛好家という定義がとてもあやふやな気がしますが,Fusion360公式の人曰く,このソフトを用いて商売をしていなければ良いとのこと.<font color="DarkGray">(スタートアップ企業も無料で使えるらしいです.)</font> また,**学生も3年間無料**で使用することができます! 気になる方はまずFusion360公式サイトにアクセスしましょう! <http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview> <font size="6px" color="OrangeRed">こ</font> ちらもFusion360公式の人のお話なのですが,このソフトをリリースした1つの理由として,『3DプリンタやNC加工機の低価格化が進み,家庭までものづくりが下りてきつつある現代で,**製作物を設計するツールが高額のままであるのはおかしい!**』という考えがあったそうです. Autodesk社の男意気には惚れ惚れしますね. 無料で高機能3DCADソフトを使わせて頂けることに**感謝の念を禁じ得ません**:innocent: # 高機能過ぎるFusion360 <font size="6px" color="OrangeRed">F</font> usion360流行の所以として,無料であることはさることながら,**ソフトウェアの高機能性**も大きな要因となっています. Fusion360が含んでいる機能を簡単に挙げてみましても, 1. モデリング:3Dモデルを作る 2. アセンブリ:複数の3Dモデルを組み合わせる 3. レンダリング:より実物に近い表示をする 4. アニメーション:3Dモデルを動かす 5. シミュレーション:様々な状況を予測し,解析する 6. CAM:コンピュータ数値制御加工の命令文を作る 7. 製図:3Dモデルから2Dの図面を作る と,その多様さを覗うことができます. <font size="6px" color="OrangeRed">こ</font> れだけでもその他数百万する3DCADと遜色ないのですが,モデリングでは,ソリッド,サーフェイス,T-スプラインがすべてこのソフト1つで扱えます. もちろんダイレクト・モデリングとパラメトリック・モデリングの双方を扱うことができ,**JavaScriptやPython等のスクリプト言語**によって流曲線状モデルを生成することもできます. <font color="DarkGray">オープンソースが数多くある言語をスクリプトやアドインとして標準搭載しているのは,やはりWebベースで創作するの次世代のものづくりを推進しているように感じます.</font> また,構造設計で用いられる剛体を扱うようなソリッドモデリングと,モデリングソフトで用いられる粘土をこねるようなスカルプモードが**両方実装**されており,複数のソフトを行き来する必要もなくなりました. <img width="1100px" src="https://farm6.staticflickr.com/5548/31259052912_3925da9e5d_b.jpg"> <br><font size="6px" color="OrangeRed">そ</font> して,レンダリング性能も極めて高いです. 外観設定では,用意されている**ライブラリが非常に豊富**であり,金属類やプラスチック類はもちろんのこと,仕上げ/無仕上げ調の木材テクスチャから,石材,布,革,紙,蛍光灯などの照明,さらには液体,気体など何でもござれ! デカールやテクスチャの貼り付け,シーン設定も当然できますし,**そのクオリティは無料3DCADのおまけ機能という認識では滅相もないというほどに高い!** また,ターンテーブルレンダリングという機能も備えています.これは,指定オービット中心で3Dモデルを回転させながら複数方向よりレンダリングし,固定ビューだけに留まらない立体的なレンダリング動画を作成するというものです. <font size="6px" color="OrangeRed">レ</font> ンダリングってただでさえ時間がかかるし,PCに相当な負荷が掛かるのに,**複数方向からのレンダリングを統合する機能なんて重すぎて使えないんじゃないかって??** それに関しては次章お話しします.しばし待たれよ... ![REND](https://farm6.staticflickr.com/5569/30595980373_5fc76e9fcc_b.jpg) 本当はここにターンテーブルレンダリングのGIFを掲載したかったんですが,データが重くて上手く動かなかったのでリンクだけ貼っておきます.上に貼ってあるミニ四駆の36方向レンダリングです.データが重いのは画像サイズを大きくし過ぎたせい? [TurnTable-Rendering_Mini-4WD](http://img.gifmagazine.net/gifmagazine/images/1230762/original.gif?) <font size="6px" color="OrangeRed">さ</font> らに驚くべきことは,**シミュレーションの豊富さ**であり,現在リリースされているだけでも,静的応力,非線形静的応力,構造座屈,モード周波数,熱解析,熱応力,イベントシミュレーション,シェイプ最適化の8種類.今後もラティス構造解析をリリースする予定であるとのことで, **あまりにも多過ぎます!** 有料のソフトであってもここまでの機能がひとまとめになっているものはないでしょう. ![SIMU](https://farm6.staticflickr.com/5476/31367106996_088930c0c7_h.jpg) <font size="6px" color="OrangeRed">C</font> AMではNC旋盤や3軸,5軸加工機の加工シミュレーションが可能であり,**NCコードの出力は様々なメーカーの工作機械に対応**しています. 工具やホルダーなども寸法を入れることによってFusion360の中に落とし込めますし,ATC,クーラント指定,衝突検知など便利な機能がたくさん詰まっています. ![CAM](https://farm6.staticflickr.com/5529/30581543164_8e792ccf0d_b.jpg) <font size="6px" color="OrangeRed">た</font> だし,製図機能に関しては現状乏しく,あくまで3DプリンタやNC加工機を使うためのツールという感じが強いです.Fusion360のロードマップにも当分製図機能を高めるというものはなかったため,3Dモデルから**がっつり資料を作りたい人は他のソフトを利用**した方が良さそう... また,次章で詳しく説明しますが,常時インターネットに繋いでいないと,フルパワーを発揮できないというのも欠点のひとつです. # 次世代3DCADのクラウドベース <font size="6px" color="OrangeRed">お</font> 待たせしました!!! Fusion360のセールスポイントと言ったら,何といっても**クラウドベース**であること! そのためFusion360を使い始める前にはA360というAutodesk社のクラウドストレージサービスにアカウント登録をする必要性があります.しかし,**作られたデータはすべてクラウドで管理**されますし,A360を通して**数多くの拡張子を読み込むことができます**. クラウド,ローカル別の入出力可能ファイルに関しては下の表を参考にしてください. ![kakuchoushi](https://farm6.staticflickr.com/5589/31091205470_d6d7353837_z.jpg) ※1 「履歴をキャプチャしない」設定の場合のみ ※2 Inventor2016 <font size="6px" color="OrangeRed">ク</font> ラウド上でデータを管理しているため,**いつでもどこでもどのPCでも**自分のデータを引張ってくることができますし,保存するごとに古いデータと新たなデータを分けて記憶してくれるため,GitHubのような**バージョン管理**もできます. さらに,自分のアカウントのメールアドレスを共有することによってクラウド上の**データを複数人で共有**することができ,共有しているデータに**コメント**を付ける機能もあるのです! バージョン管理,データ共有,コメント機能と**共同設計**には持って来いですね! <font color="DarkGray">(補足:3DCADデータはクラウドに保存されているため,Fusion360がインストールされていないPCでもA360のホームページに入り,自分のアカウントでサインインすると3DCADモデルの閲覧ができます(3Dでぐるぐる回せるやつ).詳しくはA360ホームページまで)</font> <http://www.autodesk.co.jp/products/a360/overview> ![COMM](https://farm1.staticflickr.com/480/31496447792_dfc199c7a7_b.jpg) <font size="6px" color="OrangeRed">さ</font> て,『高機能過ぎるFusion360』で紹介したレンダリングや解析などの機能ですが,どれもレベルが高過ぎて**一般的なPCでは処理が追い付かない**ようなものばかりです. それを解決すべくFusion360に実装されたのは**クラウドレンダリング**,**クラウド解析**という**サーバ経由の数値処理機能**です.これにより**PCの行う処理はデータの送受信だけ**となり精密なレンダリングや複雑な解析が**高速**かつ**PC無負荷**で行えるようになりました. **解析中にもFusion360で設計を続けられる**というのは本当にすごい! 参考までに先ほど画像を載せたミニ四駆のレンダリングで30分から1時間,その下にある破壊解析で1時間から1時間半といったところです. しかもデータを投げられる側のサーバ使用は**完全無料!!** 大量のFusion360愛好者たちが酷使しているのに,その維持費はどこから出ているんだ?と不思議でしょうがありません. ~~愛好家たちの猛攻撃が原因なのか,2016/12/6(火)辺りに一度サーバーが落ちたらしたらしいですが...~~ # さいごに <font size="6px" color="OrangeRed">今</font> 回はFusion360のすごいところ!という感じの記事になってしまいました. でも実際にFusion360がすごいんだから仕方ありません.~~文句ならこんなソフトウェアを実質無料で提供しているAutodesk社に問い合わせてください.~~ どうですか?みなさん興味が湧いてきましたか?? 3DCADが扱いたくてたまらなくなったでしょう?我慢しなくてもいいんですよ? [ダウンロードはこちら](http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview) だって実質無料なんですよ?無料,無償,タダ,0円,フリー,サービス... 善は急げ.今すぐ始めた方がいいんじゃないですか? [ダウンロードはこちら](http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview) これを機にみなさんも Let's Fusion360!!:dancer: [ダウンロードはこちら](http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview) <font size="6px" color="OrangeRed">最</font> 後まで付き合って頂き,ありがとうございました:pray: 四方八方感謝感激極まれりといった感じです<img width="38px" src="https://farm1.staticflickr.com/620/30803035494_aee8c684a7_s.jpg"> 次回は12/20(火)に担当させていただきます. 内容はもっと実践的なCAM,解析の使い方について書こうと思っているので興味がある人はまた後日お会いしましょう.
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