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インデペンデンス・デイ

※この記事は、mis.w 非公式 53rd Advent Calendar 2018 【9日目】 の 記事です。

本編

季節はいつの間にか冬になっていて、コートを着ていたりマフラーを身につける人達が多く見られるようになっていた。
その日は珍しく雨が降り続いていた。

「もう12月か。」

青年はそう小さく呟くと、自分の吐息で手を温めながら指をスライドさせつつ、決戦の地へと向かっていった


1947年8月1日、板橋区から「練馬区」が独立した。一部の板橋区の住人から、「板橋区役所が遠すぎる」との意見が相次ぎ、その住人達の総意によっての出来事だった。

そして2018年現在、練馬区は人口70万人を突破し、「東京23区」の内の1つと呼ばれるようになるまで成長した。

練馬区はこれを記念して、ある小学校の敷地内に「練馬区独立記念碑」を設立した。

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日本の経済状況や政治状況は変化しつつあるが、練馬区民は平和に静かな日々を暮らしている。
今日も、近所のおじさんは犬の散歩をしているし、近所のおばさんは花に水をやっている。
彼らはいつもと変わらぬ日々を送っている。

練馬区は、消滅の危機を迎えているとも知らずに。

練馬区は、1人の青年によって運命が委ねられていることも知らずに。

頼む!練馬区をなんとかしてくれ

練馬区長の前川燿男氏は、頭を抱えながら震えた声で青年に懇願した。

「任せて下さい。」

青年は静かに答えると、iPhoneを強く握りしめて、戦場へと向かった。


青年はなぜ戦っているのか?

練馬区長はどうして震えているのか?

それは、表には決して出ることのない、練馬区と、板橋区との裏取引が関係していた。

江戸時代中期、商人達の間ではよく小競り合いが発生した。
商人達は、これを上手く治める手段として、各商人は、雇った闘技者によって素手による格闘仕合を行い、勝ったほうが全てを得るという試合が執り行われていた。そしてそれは現在にまで続く。

現在では闘技者による肉弾戦が行われることはなく、仮想空間上において「ポケモン」と呼ばれる生き物たちを戦わせる「ポケモンバトル」を行うことで、勝敗を決定している。

青年は、19歳という若さでありながら、ポケモンのエキスパートであった。
青年はその若さで真早等大学理学部生物学科の大木土研究室にて助手として特別に大木土博士の下で働いており、圧倒的知識量によって相手の闘技者のポケモンの行動パターンを全て読み切った上で自らのポケモンに指示を与えていた。
今までの戦績は100%。圧倒的知識量と冷静沈着な戦況分析能力は他の闘技者を寄せ付けない強さの礎になっており、その界隈では有名なのである。

では、なぜ練馬区が危機に瀕しているのか?

答えは先の練馬区独立に関係している。板橋区では、「練馬区を取り戻そう運動」が活発化しており、板橋区は、「練馬区役所を板橋区役所と統合させる」ことを取引の報酬に設定し、練馬区に対しポケモンバトルを仕掛けてきたのだ。ポケモンバトルは、仕掛けられたら相手に背を向けることは許されない。拒否権などないのである。

このバトルに負ければ練馬区は板橋区に実質統合という形になり、練馬区をこよなく愛する区民の期待を裏切ることになってしまう。区長として、前川氏はどうしてもこのバトルを制せねばならなかった。

しかし、相手の板橋区も生半可な気持ちでこのバトルを仕掛けたわけではない。板橋区は区の予算の大半を投じて、ポケモンバトル界最強と呼ばれるコードネーム「YKNR」というトレーナーを雇っていた。練馬区は正に絶体絶命とも言える状況なのであった。


決戦の地は「練馬区独立記念碑」。青年は到着すると、ゆっくりと正面を向いた。

そこには、白髪染めの頭に白衣を着た、50代ぐらいの男が立っていた。

「大木土博士?」

青年は驚きを隠せなかった。予想外の展開に動揺を隠しきれずにいた。

「やあ。ポケモン図鑑の調子はどうかね。」

大木土博士は落ち着いた声色で青年に話しかけた。

「私はオーキド・ユキナリ。この世界では「YKNR」というコードネームで通っておる。依頼された仕事はきちんとこなす。例え相手が優秀な助手であってもな。」

青年は平静を保つので精一杯だったが、なんとか声を絞り出し、大木土博士に訴えた。

「このポケモンバトルに練馬区の存亡がかかっていることはご存じでしょう

「勿論。君が育ってきた愛する練馬区の運命がこのバトルで決まることなど知っておる。君には同情するよ。しかし初戦闘技者である我々が何を言っても、私と君が戦うことは避けられないだろう。私は全力で相手をさせてもらうよ。」

「クッ

青年のメンタルに効果はばつぐんだった。
しかし青年とていつまでも迷っている暇はなかった。
青年は練馬区を愛していた。
都会の喧噪を嫌い静かな場所を好む青年は、赤ん坊から生まれ育ってきたこの静かな練馬区が大好きだった。
近所の緑地。
いつもひいきしてくれるラーメン屋さん。
小学生の頃お世話になった地区区民館。
絶対に負けるわけにはいかなかった。

「始めッッッッ!!!!!」

ジャッジが、ポケモンバトルの開始を告げた。


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予想通り、勝負は困難を極めた。大木土博士の強さは半端ではなく、青年のポケモン達は瀕死状態であった。

「練馬区のためにポケモン達を犠牲にするのじゃな?」

大木土博士は不敵な笑みを浮かべた。しかし青年には大木土博士の煽り文句は効果がないようだった。なぜならば

信頼関係。

幾多のバトルを経て、青年とポケモン達との間には以心伝心とも言える絆が築かれていた。
たとえ仮装空間上の架空の存在であろうとも。
青年には分かっていた。

「お前ら、まだいけるよな?」

ポケモン達がうなずいているのが分かった。
青年は持てる全ての「げんきのかけら」と「まんたんのくすり」「すごいきずぐすり」を使ってポケモンを回復させ、文字通り全力投球した。

「いけっ!!!!!」

「ゆくのじゃ!!!!!」

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青年の持ち味である冷静沈着な指示とポケモン達の必死の奮闘によって段々と大木土博士のポケモン達が疲弊しているのがわかった。大木土博士は一見冷静だったが、表情には焦りの色が見えた。

「あともう少しだ、いけるぞ!!!」

ポケモン達も、最後の力を振り絞って全力で最強のポケモントレーナーと対峙していた。

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「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

青年は吠えた。ポケモン達も吠えたーーーーーー


青年は歩いていた。青年は練馬区を歩いていた。

この日は晴れているが、しかしとても寒く、吐く息は白かった。
近所のおじさんは犬の散歩をしていたし、近所のおばさんはやはり花に水をやっていた。

青年は研究室のドアを開けた。

「おはよう、青nいや、博士。わしに似て白衣が似合っとるぞ〜!」

エピローグ

黒歴史決定です。本当にありがとうございました。
ぼくはただポケモンGOを布教したかっただけなんですが、おかしいですね。

ぼくはポケモンGOが好きなのですが、ポケモンGOをしているうちに、自分が練馬区を守る主人公だと錯覚し始めたので、このような物語を勢いと勢いと勢いで書いてみたんですが、シナリオライターはすげえということがわかりました。お前しれっとケンガンアシュラもパクったろ設定がガバガバだとは思いますがご容赦下さい。完成度はどうであれぼくは書いてて楽しかったんでそれでいいんだと思います。みんなもポケGOをすこれ。

明日はTNK君の記事です。強化学習やGAはぼくも興味があっていろいろ調べて勉強したりしてるので、めっちゃ楽しみですね。