# AdGuard VPNはノーログか?by AI ver2025/11/15 ## セクション1:サマリー AdGuard VPNの「ノーログ」ポリシーは「主張されているが、未検証(unverified)」です。 AdGuard VPNは、公式に「厳格なノーログポリシー」を採用していると明言しています [1]。これは、ユーザーのオンライン活動、特に閲覧履歴やアクセス先といった「アクティビティログ」をVPNサーバー上に一切記録しない、という公約です [3]。 しかし、この主張の信頼性を担保する上で欠陥が複数特定されました。 1. **独立監査の不在**: 2024年現在、AdGuard VPNの「ノーログ」ポリシー、サーバーインフラ、およびソースコードは、信頼できる独立した第三者機関によるセキュリティ監査またはプライバシー監査を一度も受けていません [5]。これは、その主張がマーケティング上の「公約」に過ぎず、「証明された事実」ではないことを意味します。 2. **例外的なログ収集**: プライバシーポリシーを詳細に分析した結果、AdGuard VPNは、サービス機能(特に無料プランのデータ上限の実施)を維持するために、特定のデータを収集・保持しています。最も顕著なのは、ユーザーアカウントが使用したトラフィック使用量(バイト数)のログを90日間保持することです [11]。これは、厳密な「ゼロログ」の定義からは逸脱しています。 3. **技術的保証の欠如**: 業界のベストプラクティスとされる「RAMのみ(ディスクレス)サーバー」のような、ログの物理的な保存を不可能にする高度な技術的保護手段を導入していません [6]。 結論として、AdGuard VPNは「ノーログ」を主張していますが、その主張を検証するための透明性(独立監査)と、それを強制するための技術的基盤(RAMのみサーバー)を欠いています。ユーザーは、NordVPNやExpressVPN、Mullvadといった監査済みの競合他社 [7] とは異なり、AdGuardという企業の善意を一方的に信頼するしかない状況に置かれています。 ## セクション2:AdGuard VPNのプライバシーポリシーの解剖:「ノーログ」の定義と例外 AdGuard VPNのプライバシーに関する立場を正確に評価するためには、その「ノーログ」という主張が具体的に何を意味し、何を除外しているのかを詳細に分析する必要があります。 ### 2.1 AdGuardの公式な「ノーログ」の定義 AdGuardは、プライバシーポリシーの概要において、「ノーログ」の定義を比較的明確に示しています。その核心は、「VPNサーバー上でログを収集せず、ユーザーがどのウェブサイトを訪問したかを知らない」という点にあります [4]。 この定義は、VPNプライバシーにおいて最も懸念される「アクティビティログ」(Activity logs)を対象としています [15]。具体的には、ユーザーの閲覧履歴、ダウンロード履歴、使用したオンラインサービス、DNSクエリといった、ユーザーの行動に直結する情報の不収集を公約するものです [3]。 ### 2.2 収集されるデータ:二元的なデータ収集モデル AdGuardのデータ収集の枠組みは、「VPNサービス(トンネル)レベル」と「アプリケーション/アカウントレベル」という二元的なモデルで理解する必要があります。彼らの「ノーログ」の主張は、主に前者に限定されています。 **VPNサービス(トンネル)レベル(非収集とされるデータ)**: * **アクティビティログ**: 閲覧履歴、DNSクエリ、アクセス先 [4]。 * **接続ログ(一部)**: 接続元のIPアドレス、VPNサーバーのIPアドレス、接続タイムスタンプ。これら(一般的に [15] で定義される接続ログ)は、「VPNサーバー上でログを収集しない」という [11] の声明に基づき、収集されないと主張されています。 **アプリケーション/アカウントレベル(収集されるデータ)**: 一方で、VPNソフトウェア(アプリ)自体は、サービスが適切に機能するために「必要」と判断された様々なメタデータを収集します [4]。 * **アカウント情報(サインアップ/ログイン時)**: ユーザーを識別し、サービスを提供するために、メールアドレス、OAuthプロバイダー名(Google/Appleなど)、OSの言語、アプリ識別子、アプリバージョンが収集されます [11]。 * **アプリ使用時(定期接続)**: アカウントステータスや認証を確認するため、認証トークン、アプリID、アプリバージョンなどが定期的にサーバーと通信されます [11]。 * **サポートおよび診断**: ユーザーが「バグを報告」する際、明示的にログの送信に同意した場合、アプリログ、システム情報(デバイスモデル、OSバージョン)、ライセンス情報、現在使用中のVPNサーバーの場所などが収集されます [11]。 * **クラッシュレポート**: ユーザーが「匿名のクラッシュレポート」を有効にしている場合、アプリがクラッシュすると、デバイスモデル、OSバージョン、スタックトレース(エラーの詳細)などが収集されます。これらのレポートはAdGuard独自のサーバーにのみ保存され、30日間保持されます [11]。 ### 2.3 「ノーログ」ポリシーの最大の例外:トラフィック使用量 AdGuardの「ノーログ」ポリシーにおける最も重大な例外は、プライバシーポリシー [11] で明確に認められている「トラフィック使用量」の収集です。 * **収集内容**: アカウントが使用したバイト数のみを保存する、とされています。AdGuardは、このデータが場所(ロケーション)とは関連付けられていないと主張しています [11]。 * **保存期間**: このトラフィック使用量のデータは、90日間保存されます [11]。 このデータ収集の事実は、厳格な「ノーログ」の定義(一部の専門家は「転送されたデータ量」のログも除外すべきと定義 [15])と矛盾します。この矛盾の背景には、AdGuard VPNのビジネスモデルが深く関わっています。 AdGuard VPNは、データ使用量に上限が設けられた「無料プラン」を提供しています [3]。一部のレビューでは、この無料プランの上限は月間3GBであると指摘されています [5]。このデータ上限を強制し、ユーザーが制限を超えていないかを監視するためには、サービス提供者は各ユーザーがどれだけのデータ(バイト数)を使用したかを測定し、記録(ログ)する必要があります。 したがって、AdGuardの「ノーログ」ポリシーは、純粋なプライバシーの理想によってのみ形成されているのではなく、無料プランというマーケティング戦略を維持するというビジネス上の必要性によって、必然的に妥協させられていることが明らかです。 --- **表1:AdGuardのデータ収集ポリシーの概要** | データカテゴリ | AdGuardの主張/ポリシー | 収集の有無と目的 | | :--- | :--- | :--- | | **アクティビティログ**<br>(閲覧履歴、DNSクエリ) | 収集しない。 | 収集しない(主張通り) | | **接続ログ**<br>(元IPアドレス、タイムスタンプ) | 収集しない(「VPNサーバー上でログを収集しない」) | 収集しない(主張通り) | | **トラフィック使用量**<br>(転送されたバイト数) | 明記なし(ただし「必要な情報のみ収集」) | **収集する**<br>(無料プランのデータ上限 [5] を強制するため。90日間保存 [11]) | | **アカウント情報**<br>(メールアドレス、OS言語、アプリID) | 収集する(「適切に機能するために必要」) | **収集する**<br>(アカウント管理、同時接続数の制御のため [11]) | | **アプリ診断・クラッシュレポート**<br>(デバイスモデル、OSバージョン、スタックトレース) | 収集する(オプトインまたは任意) | **収集する**<br>(ユーザーが明示的に送信、またはオプトインした場合。バグ修正のため [11]) | --- ## セクション3:決定的なギャップ:「ノーログ」主張の独立監査の不在 AdGuard VPNのプライバシー保護体制を評価する上で、その「ノーログ」という主張が単なる言葉なのか、それとも事実なのかを見極めることが不可欠です。 ### 3.1 独立監査の重要性:なぜ「信頼」だけでは不十分か VPN市場において、「ノーログ」というスローガンは、事実上の標準的なマーケティング用語となっています [15]。しかし、すべてのVPNプロバイダーがその主張に誠実であるとは限りません。多くのVPNは、政府によるデータ要求に日常的に直面する可能性のある、あるいは厳格なデータ保持法が存在する管轄区域で運営されており、その「ノーログ」の主張はしばしば疑わしいものとなります [15]。 したがって、マーケティング上のスローガンと事実に基づく主張を区別する唯一の信頼できる方法は、VPNプロバイダーが自社のシステムを独立した第三者のセキュリティ・プライバシー専門機関による厳格な監査にかけ、その結果を公表することです。これこそが「証明されたノーログポリシー」と呼ばれるものです [15]。 ### 3.2 AdGuard VPNの監査状況:完全な不在 この点において、AdGuard VPNの信頼性は決定的に損なわれています。利用可能なすべてのリサーチマテリアルは、AdGuard VPNの「ノーログ」ポリシーが、これまでに一度も独立した監査を受けていないという点で完全に一致しています [5]。 この監査の欠如は、専門家によるレビューにおいて「大きな問題」[10]、「懸念材料」[8]、または「主要な欠点」[9] として一貫して指摘されています。 この透明性の欠如は、ユーザーを「彼らの言葉を額面通りに受け取る」[15] しかない立場に追いやります。AdGuardのプライバシーポリシー [11] に書かれているすべての声明は、外部からの客観的な証拠なしに、ユーザーが盲目的に信頼することを前提としています。これは、プライバシー保護というVPNの核となる価値提案そのものを揺るがすものです。 ### 3.3 業界標準との比較:監査済みVPNのベンチマーク AdGuardのこの「未検証」の姿勢は、透明性を最優先事項とする業界のリーダーたちとは著しく対照的です。 * **NordVPN**: 「ノーログ」ポリシーについて独立監査を受けており、これを公表しています [14]。 * **ExpressVPN**: 「ノーログ」のコミットメントをプライバシーポリシーで明確にし、独立監査によってその主張を裏付けています [13]。 * **Mullvad VPN**: 透明性において最も厳格なプロバイダーの一つであり、アプリ、インフラ、そして「ノーログ」ポリシーについて、Radically Open Securityなどの第三者機関による定期的な監査を受け、その結果を公表しています [7]。 * **Proton VPN**: 「ノーログ」ポリシーに関する第三者監査の結果を自社のブログで公開し、透明性を確保しています [21]。 * **Private Internet Access (PIA)**: 「ログを保持しない」ことを証明する独立監査を受けています [23]。 一部のレビューアは、AdGuard VPNが「新しいVPN」であり、「ゲームに長く参加していない」[10] ため、監査の欠如に「猶予を与えている」[10] と擁護的な見解を示すこともあります。 しかし、この弁護は、AdGuardという企業が「15年以上にわたって市場に存在」し、広告ブロックとプライバシー保護の分野で豊富な経験を持つ [2] という事実と矛盾します。AdGuardは新興のスタートアップではなく、VPN市場における透明性の基本要件 [15] を熟知している経験豊富なソフトウェア開発企業です。 したがって、監査の欠如は、経験不足による「見落とし」ではなく、コスト削減、あるいは(より懸念すべきことに)現在のインフラやデータ収集慣行(セクション2.3で指摘したトラフィックログなど)が厳格な監査基準に合格できないという認識に基づく、意図的な戦略的選択である可能性が否定できません。 --- **表2:主要VPNプロバイダーの「ノーログ」ポリシー監査状況の比較** | VPNプロバイダー | 「ノーログ」の主張 | 独立監査の有無 | | :--- | :--- | :--- | | **AdGuard VPN** | あり [1] | **なし** [5] | | **NordVPN** | あり [13] | **あり** [14] | | **ExpressVPN** | あり [13] | **あり** [13] | | **Mullvad VPN** | あり [7] | **あり(定期的に実施)** [7] | | **Proton VPN** | あり [21] | **あり** [21] | | **Private Internet Access** | あり [6] | **あり** [23] | --- ## セクション4:技術的保護手段の評価 「ノーログ」ポリシーの信頼性は、企業の方針(ポリシー)だけでなく、それを物理的・技術的に強制するインフラストラクチャによっても担保されます。この点においても、AdGuard VPNは業界のベストプラクティスから遅れをとっています。 ### 4.1 サーバーインフラストラクチャ:「RAMのみサーバー」の欠如 現代のトップティアVPNプロバイダーにおける技術的ゴールドスタンダードは、「RAMのみサーバー(diskless servers)」の導入です。これは、VPNサーバーが従来のハードドライブ(HDDやSSD)を持たず、すべてのオペレーティングシステムとソフトウェアが揮発性メモリ(RAM)上で実行される仕組みです [13]。 このアーキテクチャの最大の利点は、サーバーの電源が切断される(再起動または押収)と、RAM上のすべてのデータが物理的に消去されることです。これにより、意図的か偶発的かにかかわらず、ログデータがサーバー上に永続的に保存されることが不可能になります [13]。これは、ポリシー(方針)ではなく物理学(技術)によって「ノーログ」を強制する究極の手段です [13]。 * **AdGuard VPNの状況**: 複数のセキュリティレビューにおいて、AdGuard VPNが「RAMのみサーバーのような高度なセキュリティ機能を欠いている」と明確に指摘されています [6]。ユーザーコミュニティからも、「サーバーがRAMのみモードで動作しているかどうかについての詳細がない」という透明性の欠如に対する不満が寄せられています [12]。 * **競合他社の状況**: ExpressVPNとNordVPN [13]、およびMullvad [24] は、RAMのみ(ディスクレス)インフラストラクチャへの移行を完了または実施しており、これをプライバシー保護の技術的保証の中核としています。 この事実は、セクション3で指摘した「監査の欠如」と連動する重大な問題です。AdGuardは、その主張を検証する法的な保証(監査)も、それを強制する技術的な保証(RAMのみサーバー)も提供していません。 これは、AdGuardのインフラが、そのポリシー [11] に反してログを保存できる技術的状態にあることを意味します。彼らはログを保存しないと約束していますが、保存できないようには設計していません。このギャップは、サーバーの誤設定や、当局による物理的なサーバー押収 [15] によって、意図せずデータが漏洩する重大なリスクを生み出しています。 ### 4.2 VPNプロトコル:独自開発の「ブラックボックス」 AdGuard VPNは、WireGuard [14] やOpenVPNといった、広く採用され、徹底的に監査されたオープンソースのプロトコルを標準とするのではなく、**独自開発の「AdGuard VPNプロトコル」**を主に使用しています [1]。 * **利点(AdGuardの主張)**: AdGuardは、この独自プロトコルを開発した理由として、既存のプロトコルがネットワークレベルで「容易に検出・ブロックされる」[26] ことを挙げています。AdGuardのプロトコルは、VPNトラフィックを通常のHTTPSトラフィックとして偽装する「ステルス性」を持ち、検出やブロックを困難にします [19]。 * **欠点(アナリストの懸念)**: この独自プロトコルはクローズドソースです [8]。そのコードは独立したセキュリティ専門家による広範な精査を受けておらず、その安全性や脆弱性について技術的な詳細が公開されていません [12]。ユーザーは、その安全性について「trust me(信じろ)」[12] というAdGuardの言葉を信じるしかありません。 ここには、AdGuardの戦略的なトレードオフが存在します。彼らは、セキュリティコミュニティの基本原則である「透明性」を犠牲にして、一部の国で必要とされる「ステルス性」[19] という利点を選択しました。セキュリティの世界では、検証不可能な「秘密のアルゴリズム」は、検証済みのオープンスタンダードよりも本質的に信頼性が低いと見なされます。 ## セクション5:管轄区域とデータ保持法の影響 AdGuard VPNのプライバシー体制において、唯一明確かつ検証可能な強みは、その法的な本社所在地(管轄区域)です。 ### 5.1 本社所在地:キプロス AdGuard VPNを運営する企業、ADGUARD SOFTWARE LIMITEDは、キプロス(Cyprus)のリマソルに登記されています [27]。キプロスは、一般的に「プライバシーに友好的な」として評価されています [6]。 ### 5.2 監視同盟(5/9/14アイズ)との関係 最も重要な点は、キプロスが「14アイズ同盟」として知られる国際的な諜報共有協定(米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(5アイズ)[29]、およびその他の国々を含む)の加盟国ではないことです [6]。 これは、AdGuardがこれらの監視同盟国からの直接的なデータ共有要求や、ユーザー監視の義務の対象外であることを意味します。これは、政府によるデータ要求 [15] に対抗する上で、強力な法的利点となります [6]。 AdGuardが本社をキプロスに置いていること [27] は、プライバシー市場における明確な戦略的決定です。 しかし、この「管轄区域の利点」が持つ意味についても、深く考察する必要があります。VPNの管轄区域が問題になるのは、そもそもプロバイダーがログを保持している場合です [29]。もしプロバイダーが真のゼロログを(RAMのみサーバーのような技術で)実践していれば、どの国の政府がデータを要求しても、提出すべきデータは物理的に存在しません [29]。 AdGuardの戦略は、「技術によってデータを物理的に存在させない」こと(Mullvadのアプローチ [7])ではなく、「キプロスの法律によって、万が一データが存在しても(あるいは収集を強制されても)それを守る」ことに依存しているように見えます。これは、AdGuardがセクション4で指摘された技術的欠陥(RAMのみサーバーの欠如 [6])と、セクション3で指摘された透明性の欠如(監査の不在 [5])を補うための、いわば「法的保険」として機能しています。これは、技術的保証を最優先するプロバイダーと比較して、より受動的で弱いプライバシー保護の姿勢であると言えます。 ## セクション6:インシデント履歴、技術的安定性、および信頼性 プライバシーポリシーやサーバー技術だけでなく、実際の運用における安定性やインシデント履歴も、VPNの信頼性を測る上で不可欠な要素です。 ### 6.1 AdGuard VPNの技術的インシデント AdGuardは、2024年5月に重大なサービスインシデントを経験したことを公式に報告しています [32]。このインシデントは、AdGuard VPN for Windows(v2.3.0)のバグが原因で、アプリがバックエンドサーバーに無限に接続試行を繰り返した結果、サーバーに過負荷がかかったものです。 この結果、Windowsユーザーの約25%、およびその他プラットフォームのユーザーの約10%が、接続障害や「サーバーに接続できません」というエラーに直面しました [32]。AdGuardは、この問題がリリーステストのプロセスにおいて「見落とされた」ことを認めており [32]、同社の品質保証(QA)プロセスに課題がある可能性を示唆しています。 ### 6.2 ユーザーコミュニティからの報告 公式なインシデント報告に加え、Redditなどのユーザーコミュニティでは、AdGuard VPNの技術的な安定性に関する懸念が複数報告されています。 * **クライアントの不安定性**: 特にmacOSアプリにおいて、スリープからの復帰時にフリーズやクラッシュが頻発するという報告があります [12]。 * **キルスイッチの欠如**: レビューによれば、iOSアプリには、VPN接続が予期せず切断された際にインターネット接続を自動的に遮断する「キルスイッチ」機能が搭載されていません [6]。 * **IPリーク**: 最も重大な懸念は、**IPアドレスの漏洩(IPリーク)**に関する報告です。一部のユーザーは、「一部のウェブサイトはまだ私の本当のIPを検出できる」[12] と報告しており、IPリークの可能性が指摘されています [34]。 これらの報告、特にIPリーク [12] とキルスイッチの欠如 [6] は、「ノーログ」の議論と致命的な関係にあります。 「ノーログ」ポリシーは、VPNトンネルが正常に機能していることを前提としています。もしクライアントアプリがクラッシュ [12] したり、接続が不安定 [32] になったりして、キルスイッチが作動しない(あるいは存在しない [6])場合、ユーザーの実際のIPアドレスとトラフィックはVPNサーバーを経由せずにインターネットに漏洩します。 この場合、VPNサーバーが「ノーログ」であったとしても、ユーザーのISP(インターネットサービスプロバイダ)や訪問先のウェブサイトには、ユーザーの活動が完全に記録されてしまいます。したがって、AdGuardのクライアントアプリの安定性に関する懸念 [12] は、サーバー側の「ノーログ」ポリシーの議論と不可分であり、同等に重大なプライバシーリスクとなります。 ### 6.3 誤解の訂正(AdGuardの「スキャンダル」ではないもの) AdGuardの信頼性を評価する上で、事実と誤解を明確に区別することも重要です。 * **SuperVPN等のデータ漏洩**: SuperVPN、GeckoVPNなど(主に無料の)VPNプロバイダーによる2100万人分の大規模なデータ漏洩 [35] が報じられていますが、これらはAdGuard自身のインシデントではありません。AdGuardは、これらの事件を自社ブログで報じ、警告している立場です [35]。 * **コード盗用**: ベトナム政府関連アプリによるコード盗用 [38] は、AdGuardが被害者または発見者であった事案であり、AdGuardの脆弱性を示すものではありません。 * **権限に関する懸念**: 「機密情報を読み取ることができる」[39] という懸念は、VPNや広告ブロッカーが機能するために必要なOSの一般的な権限(ローカルトラフィックのフィルタリング)に対するユーザーの誤解であり、AdGuard特有のスキャンダルではありません。 これらの点を分析すると、AdGuardのインシデント履歴は、SuperVPN [35] のような悪意のあるデータ収穫や大規模なプライバシー侵害ではなく、主に技術的なバグや不安定性 [12]、および透明性の欠如 [5] に関連していることがわかります。 ## セクション7:AdGuardサポートからの直接の回答 この回答は、これまでの分析結果を裏付けるものであり、特に「ノーログ」ポリシーの信頼性を判断する上で重要な、以下の3つのギャップを浮き彫りにしています。 ### 7.1 独立監査:「計画」はあるが「延期」されている * **AdGuardの回答:** 監査は計画しているが、まずは「VPNプロトコルのオープンソース化」を優先する。 * **分析:** これは、2024年12月27日に更新されたCPO(最高製品責任者)のQ&Aブログ [1] で示された方針と一致しています。彼らは監査の重要性を認識しつつも、プロトコルの公開を最優先事項としており、その結果として**監査は事実上延期**されています [1]。 * **結論:** 最初のレポートで指摘した通り、2025年現在もAdGuard VPNの「ノーログ」ポリシーは、信頼できる第三者機関によって**検証されていません** [2, 3, 4, 5]。 ### 7.2 RAMのみサーバー:「不要」という技術的見解 * **AdGuardの回答:** 「厳格なノーログポリシー」を運用しているため、RAMのみサーバーは「大きな付加価値をもたらさない」と考え、現時点では計画していない。 * **分析:** この見解は、現代のVPNセキュリティにおける**業界のベストプラクティスと真っ向から対立**しています。NordVPN [6]、ExpressVPN [6]、Mullvad [7] などのトッププロバイダーがRAMのみサーバーを導入する理由は、「ポリシー(方針)」が人的ミスや悪意ある攻撃によって破られる可能性を認識しているためです。RAMのみサーバーは、ログが*物理的に*保存されることを不可能にし、ポリシーを技術的に強制する手段です [3, 8]。 * **結論:** AdGuardは、サーバーが押収された場合や設定ミスが発生した場合の技術的な保護手段を実装する [3, 8] 代わりに、ユーザーに対して「自社の運用ポリシーを信頼してほしい」と求めていることを明確にしました。 ### 7.3 独自プロトコル:「オープンソース化」のタイムラインは不透明 * **AdGuardの回答:** 透明性の重要性は理解しており、「積極的に作業中」だが、サポートチームは現段階の詳細を知らない。 * **分析:** 独自プロトコルがクローズドソースであることは、セキュリティ専門家にとって懸念材料です [8, 9]。CPOは以前、オープンソース化の目標を「2025年の第1四半期の終わり」としていましたが [1]、今回のサポートの回答では具体的なタイムラインは示されませんでした。 * **結論:** プロトコルの安全性は、現時点では外部から検証不可能な「ブラックボックス」のままであり、ユーザーはAdGuardの技術力を信頼するしかありません。 --- **総括** AdGuardサポートからの回答は、「**AdGuard VPNのノーログは、主張されているが未検証である**」という評決を強力に裏付けるものです。 彼らは、業界標準となっている「検証可能な証拠(独立監査)」や「技術的な強制力(RAMのみサーバー)」を提供することよりも、自社の開発(独自プロトコルのオープンソース化)を優先しています。 これは、AdGuardがプライバシー保護において、自社のポリシーと評判に基づく「**信じろ(Trust me)**」というアプローチを、監査と技術的強制力に基づく「**検証してください(Verify me)**」というアプローチよりも優先していることを明確に示しています。 ## セクション8:結論および専門家による提言 ### 8.1 最終評決:「AdGuard VPNはノーログか?」 「AdGuard VPNはノーログか?」に対する最終的な評決は、以下の通りです。 **AdGuard VPNは、厳密な技術的定義および透明性の基準において、「ノーログ」VPNとは見なされません。** この評決は、以下の4つの主要な分析結果に基づいています。 1. **主張**: AdGuardは、閲覧履歴などの「アクティビティログ」については「ノーログ」であると主張しています [4]。 2. **検証**: この主張は、独立した第三者機関の監査によって一切検証されていません [5]。 3. **技術**: AdGuardは、ログの保存を物理的に不可能にする「RAMのみサーバー」のような技術的保証を導入していません [6]。 4. **例外**: AdGuardは、無料プランのビジネスモデルを維持するため、トラフィック使用量(バイト数)のログを意図的に収集し、90日間保持しています [11]。 AdGuard VPNのプライバシー保護は、監査済みの競合他社 [7] が提供する「証明」や「物理的強制」に依存するのではなく、検証不可能な「企業の善意への信頼(Trust)」と、回避的な「法管轄区域」[6] という、より脆弱な基盤の上に成り立っています。 ### 8.2 専門家による提言 この評決に基づき、AdGuard VPNの利用は、ユーザーの脅威モデル(何をリスクと捉えるか)に応じて判断されるべきです。 * **一般的なプライバシーを求めるユーザー(広告ブロック、地域制限回避)**: 日常的なブラウジング、公共Wi-Fiのセキュリティ確保、ストリーミングサービスの地域制限回避、またはAdGuard Ad Blockerとの強力な連携 [25] を主目的とするユーザーにとって、AdGuard VPNは許容可能な選択肢です。そのプライバシー保護レベルは、SuperVPN [35] のような悪意のある無料VPNと比較すれば、はるかに安全です。 * **高度なプライバシーと匿名性を求めるユーザー(ジャーナリスト、活動家、内部告発者)**: 自身のオンライン活動が政府機関や強力な第三者による監視対象となる可能性があり、プライバシー侵害が物理的な危険に直結するユーザー(ジャーナリスト、政治活動家、内部告発者など)には、AdGuard VPNの利用は推奨されません。 これらのハイリスク・ユーザーは、自らの安全を「信頼」に委ねるべきではありません。プロバイダーを選定する際は、以下の技術的および透明性のゴールドスタンダードをすべて満たすサービス(例:Mullvad [7] やProton VPN [22] など)を選択することが不可欠です。 1. 公表済みの、独立した第三者機関による「ノーログ」監査 [7]。 2. **RAMのみ(ディスクレス)**のサーバーインフラストラクチャ [13]。 3. オープンソースのクライアント(アプリ)とプロトコル [14]。 AdGuardがVPN市場で真の信頼性を獲得するためには、その15年以上の経験 [2] を持つ企業としての責任を果たすことが求められます。具体的には、競合他社 [7] に倣い、自社のインフラストラクチャと「ノーログ」ポリシーに関する包括的な第三者監査を可及的速やかに実施し、その結果(たとえ否定的な内容が含まれていたとしても)を公衆に開示することが不可欠です。 ## 参考文献 1. AdGuard VPN完全ガイド 機能から評判まで徹底解説 - PC DASH, https://pixela.co.jp/pcdash/576/ 2. AdGuard VPN Overview | AdGuard VPN Knowledge Base, https://adguard-vpn.com/kb/ 3. Best free VPNs for Android in 2024: secure your online privacy now! - AdGuard VPN, https://adguard-vpn.com/en/blog/best-vpn-for-android.html 4. AdGuard VPN for Android Privacy Notice, https://adguard-vpn.com/en/privacy/android.html 5. AdGuard VPN Review 2025: Is the Free Version Any Good? - All About Cookies, https://allaboutcookies.org/adguard-vpn-review 6. AdGuard VPN Review 2025: Is It Worth the Cost? - SafetyDetectives, https://www.safetydetectives.com/best-vpns/adguard-vpn/ 7. Mullvad vs AdGuard VPN: Which Vpn Is Faster in 2025? - Fahim AI, https://www.fahimai.com/de/mullvad-vs-adguard-vpn 8. AdGuard VPN review - Tom's Guide, https://www.tomsguide.com/reviews/adguard-vpn-review 9. VPN Recommendations: Best Trusted VPNs in 2025 - GamsGo, https://www.gamsgo.com/blog/best-eu-vpn 10. AdGuard VPN Review 2025 [Good for Security & Streaming?] - Privacy Journal, https://www.privacyjournal.net/adguard-vpn-review/ 11. AdGuard VPN for your privacy and security, https://adguard-vpn.com/en/privacy.html 12. I really, really, really want to love AdGuardVPN but it's complete trash : r/Adguard - Reddit, https://www.reddit.com/r/Adguard/comments/y5v7th/i_really_really_really_want_to_love_adguardvpn/ 13. ExpressVPN vs NordVPN in 2025: Two Top VPN Providers Compared - Cloudwards, https://www.cloudwards.net/expressvpn-vs-nordvpn/ 14. Best VPN Services: Which performs best? (November 2025) - CyberInsider, https://cyberinsider.com/vpn/best/ 15. Best No-Logs VPNs: Proven and Verified (November 2025) - CyberInsider, https://cyberinsider.com/vpn/best/no-logs-vpn/ 16. How to collect and send logs | AdGuard VPN Knowledge Base, https://adguard-vpn.com/kb/adguard-vpn-browser-extension/solving-problems/logs/ 17. 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