--- lang:ja-jp GA:UA-110325944-2 ###### tags: `open` --- # X線スペクトル解析 [TOC] ## はじめに X線というのは紫外線より強く(波長が短く)、ガンマ線より弱い(波長が長い)あたりの電磁波を指す。具体的には波長でいえば$10$nm--$0.01$nm、周波数なら$10^{16}$--$10^{19}$Hz、$e=h\nu$からphotonのエネルギーに変換すると$0.1$--$100$keVが相当する。X線研究においてはエネルギー(keV)を単位として用いることが多い。 :::info $1$keV=$1$nm=$10^7$K=$2.42\times 10^{17}$Hz (黒体輻射を仮定したときの温度) この対応関係は覚えておくと役に立つ。 ::: X線波長は大気の吸収のために地上観測が不可能であり、観測データはX線衛星によるもののみとなる。 そのためデータ解析は各衛星ごとに解析で利用するソフトやパイプラインまで準備されており、可視光の分光観測と比較すると**非常に解析が楽である。** とはいえネットや英語のmanualから情報をあつめてつなぎ合わせるのはそれなりに大儀である。せめて筆者が経験した苦労を他の人が背負わなくて済むように、情報をここにまとめていく。 ### X線データの解析の流れ 簡単に記すと次のようになる。 1. インターネット上で公開されているアーカイブから観測データを取得する 2. 各衛星ごとに与えられたソフトやパイプラインで観測データを処理してスペクトルデータを得る。 3. Xspecでそのスペクトルデータを開き、モデルフィッティングを行う。 :::info X線観測は衛星からしか行えないのだが、主要なX線衛星の観測データは一定期間後にアーカイブとして公開される。そのため地上観測と違い、PIではなくとも(つまりproposalを書かなくとも)今まで蓄積されてきたアーカイブからデータを取得することで充分な研究を行うことができる。 ::: ### OS 筆者のPCのOSはWSL (Ubuntu)だが、Linux (Ubuntu)でも同様と考えてもらって構わない。Macや他のdistributionのLinuxの場合も大きくは変わらないと思う~~多分きっと~~。(aptをyumに変更するなど) また、terminalはbashを想定している。 解析ソフトだけでなく観測データもダウンロードすることになるため、PCのストレージ消費は少なくとも数十GB、観測データの量によっては100GB以上にもなることは覚悟しておいてほしい。 ## Xspecの導入 XspecはX線解析の最後に必ず必要になるソフトである。どういうデータ、衛星の解析を行う場合でもX線に携わるなら導入しておいて間違いはないだろう。 - ++[Xspecの導入](/5sw6ekv1RwSyckjbL61iwg)++ ## 各衛星の解析の準備 各衛星ごとのCALDBや解析用のソフトのインストール、設定ファイルの記述を行う。これは直近で必要な衛星についてのみ行えばよい。 - ++[各衛星の解析の準備](/2Q3bs6LQTlmidRxUzomJ6Q)++ ## ds9のインストール また、ds9というソフトも必須であるのでインストールする。これはプロットや領域指定など解析において幅広く利用されているソフトである。 ++[ds9のホームページ](http://ds9.si.edu/site/Download.html)++ からOSにあわせてダウンロードし、適当な場所で解凍する。その後、pathの通った場所(`/usr/bin/`など)にシンボリックリンクを貼ればどこからでも`ds9`で起動する。 ```bash # XXXXは実際のds9の実行ファイルのpathに書き換える sudo ln -s XXXX/ds9 /usr/bin/ds9 ``` :::info root権限の不要な場所に自分用の`bin`を作成し(`~/mylib/bin`など)、そこにPATHを通しつつ、ds9のシンボリックリンクを置いてもよい。 ```bash # ~/.bash_profile export PATH=$PATH:${HOME}/mylib/bin ``` ::: :::warning 筆者がダウンロードしたときは別の方法だった気がする。(詳細は忘れた) ::: ## 観測データの入手 有名な衛星の観測データは基本的にheasarcから入手できる。衛星の観測データが欲しければまずはheasarcにアクセスする。 - ++[heasarcから観測データの入手](/e4o8yu1MQGmi4TNz9NQlQw)++ ただしHST(Hubble Space Telescope)やGALEXなどMAST管轄の一部の衛星のデータは別ページからの入手が必要になる。こちらはかなりGUIよりの設計で、イカしてる感じがする。あと、やや重い。 - ++[MASTから観測データの入手](/I_32ZmC9TAKrzixBYLK9fQ)++ :::danger このページでは観測データのディレクトリ構成として次のようなものを推奨し、前提としている。 work (観測データまとめ) - NGC1313_X1 (天体名) - data (観測データ) - nustar (衛星名) - 30XXXXXX (1つの観測データ) - newton - 06XXXXXX ::: ## 観測データの衛星ごとの処理 こちらについても直近で必要な衛星についてのみ行えばよい。 - ++[NuSTARの解析](/xBLkgusPSPyrRF1t1O4rEQ)++ - ++[XMM-Newtonの解析](/zxhD2O6mT5So5fb-efuFNw)++ - ++[Suzakuの解析](/Trtj-oWpSXiKCoL1G0dokg)++ - ++[Swiftの解析](/I3a4IwYETYCpU_kwcu6YPg)++ 一読した人のためにScriptのみのページも作成した。(Scriptのみのページの方が情報が新しいことがある) - ++[衛星ごとの処理(まとめ)](https://hackmd.io/@ystl/rkOK0QvPS)++ これはオマケなのだが、自分用にX線観測衛星のスペックをまとめたページを作成した。 - ++[X線観測衛星のスペック](/HvYvSrQLQoqaRGDCMXz1dw)++ ## Xspecでモデルフィット 観測データを適切に処理してスペクトルデータが得られたら、Xspecでそれを読み込んで解析を行う。 - ++[Xspecでモデルフィット](/O-YSqCbxQdy_tHwTeQEQAg)++ **ここまでできれば、X線スペクトル解析入門は完了といってよい。** ## PyXspec 昔ながらのXspecもよいが、PythonにおけるPyXspecを用いればとても便利になる。bashとPythonを比較すれば、その汎用性は明らかだろう。 - ++[PyXspecの導入](/ITmOwtYQTNamdl7aGuf-lg)++ - ++[PyXspecの使い方とアレンジ](/A8dN16XRTd--JFw7KHkFGg)++ - ++[PyXspecでmatplotlibを利用する](/-6BI1ZRwRM2QVN4B1p6u0Q)++ ## オマケ - ++[ULXのスペクトルフィッティングについて](/ITOVU8mWQlO3F7MyCh2o7w)++ - ++[X線スペクトル解析 : オマケ](/oOjjd0QxTNqTpP9-xh4_VQ)++ <!-- Global site tag (gtag.js) - Google Analytics --> <script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=UA-110325944-2"></script> <script> window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag('js', new Date()); gtag('config', 'UA-110325944-2'); </script>