--- title: Enhanced silica export in a future ocean triggers global diatom decline tags: presentation slideOptions: theme: black slideNumber: 'c/t' center: false transition: 'none' keyboard: true width: '93%' height: '100%' --- 2022年6月10日(金)論文紹介ゼミ # [Enhanced silica export in a future ocean triggers global diatom decline](https://www.nature.com/articles/s41586-022-04687-0#ref-CR35) --- ## バックグラウンド - 珪藻は生理学、生態学的な実験において、OAしたでのwinnerであると考えられてきました。 - しかし、この研究では海洋の物質輸送過程に着目することで、OA環境下で珪藻が減少するシナリオを紹介しています。 --- ## アイデア - 珪藻はケイ酸を取り込み生物シリカのからを作る - 生物シリカ、低いpHで溶けにくい。ー先行研究2つ。ラボ実験 - 将来、ケイ酸の効率的な輸送により表層から消え去って、珪藻が成長できなくなるのでは?というものです。 --- ## やったこと - 異なるバイオームの天然プランクトン群集を用いたメソコスム実験x5 - 海洋酸性化が進行した2100年のCO2条件で、ケイ素:窒素比が17±6%増加。 - 海水pHが低下することでシリカの化学的溶解が遅くなることに起因すると議論。 - セジメントトラップデータで検証したところ、海洋水柱でpHがSi:Nに広く影響を与えていることが確認された。 - 地球システムモデルシミュレーションの結果、pHの低下により沈降粒子のシリカ溶解が減少し、海洋酸性化により2200年までに珪藻が13-26 %減少することが示された。 - 過去の実験的研究の結論と大きく異なる。 --- ### これまでは? - 珪藻は、種レベルでも群集レベルでも、OAの影響はプラスと考えられてきた。→OAによる勝者 - ケイ素、他の元素と比べ無機化されにくい→深くなるにつれてケイ素が濃縮。Si:N比高くなる。 --- ### メソコスム手法 - 5つの実験、いろんな緯度、海洋環境をカバー。 - 生成過程ではなく物質輸送の過程に着目するため、メソコスムの底のセジメントトラップを用いて沈降粒子を取得。 - 懸濁態粒子、深度積分型ウォーターサンプラーで採水し、ろ過。 --- #### 手法2 実験デザインやCO2処理の振り幅、実験期間が異なるので(拡張表1)、 1. 現環境のもの 2. EPC6.0 or 8.5排出シナリオに基づく今世紀末の値に相当する、pCO2ランジ~700-1000 uatm のデータを利用。 - アルカリ分解法(生物起源オパールがアルカリ性溶液に溶けやすい特性)を活かしてSiを浸出。 --- ### 5つのin situメソコスムの結果 #### 対数応答比 - まず、応答の概要をみる。沈降粒子のデータについて対数応答比を見た。 - 対数応答比とは、対照群における平均効果に対する酸性化処理の平均効果の比率。 - XはSi:N export比の算術平均。 - メタアナリシスの一般的な方法論に従って個々の効果量を分散に従い重み付けすることで、全研究における全体的な効果量を算出(40)。 - 酸性化の影響を均一に受ける場合、信頼区間が小さくなり、0と交わらない場合、有意。 - 図1a、フィンランド以外で有意に、影響が出た。 --- #### 確率密度 - 時系列全体を解析。+異なるバイオームでの、Si:N比にかかわらない効果の有無。 - 信頼区間が重なっていないとき、確率分布に統計的に有意な差があることを示す。 - - Si:N比の範囲が異なることに注目。これは、プランクトン全体のバイオマスに対する珪藻の割合が異なることを示す。Si:N比が高いスウェーデン、珪藻多い。 - Si:N比のシフト、驚くほど一貫性があったと述べている。 信頼区間はデータ再サンプリングを用いたブートストラップ法 --- #### 懸濁態と沈降粒子の違い - 横軸pCO2、縦軸Si:N比で懸濁態・沈降粒子それぞれを線形回帰。有意なもの、黒い線。説明変数が非説明変数に影響を与えいた - 沈降粒子のみに影響があった。 - 沈降フラックスのSi:N組成データを分析。生産に対するOAの効果(沈降物中の生物起源粒子の組成変化)と輸出・分解へのOAの効果を区別した。 どうやって??-セジメントトラップで得られたサンプルと、懸濁態のサンプルを別で分析。 --- ### 5つのメソコスムデータまとめ - デトリタルな粒子への影響が大きく、生成時の生物的影響によるものでないことが示唆される。 - 懸濁態の、生きてるやつはシリカを取り囲む有機物のコーティングによって化学的溶解から保護されているから。 - 懸濁態粒子と沈降粒子を区別できる実験例がほとんどないことが、Si:NexportへのOAの影響が観察されてこなかった理由。 :::info pHによる溶解のされ方、現在の海洋の深層を見ればよいのでは?? ::: - フィンランドで観察されなかったのは、塩濃度が低く溶解濃度が低いので、OAの効果が明確でなかった。 - Si:Cは、Si:Nより影響の出方が多様。CN比の変化がでかかったから。 --- ### セジメントトラップデータを分析 1976-2012の674地点のデータ 1. Si:N同時測定を含み、 2. 少なくとも3深度でとってるもの 3. 個々のSi:Nプロファイルで線型回帰を行い、Si:Nが深度と統計的に有意な関係を示したものを抽出。←水塊自体の移流による、Si:Nの深度変動がないプロファイルが除外された。 →190プロファイル。 --- #### data - 図2,プロットが上にあるほど、深度に伴うSi/Nの増加が強い。pHが低いほど、Si/Nの増加が大きい。 - デルタSi:Nと対応する深度の範囲の平均pHを用いて線形回帰分析 - 深度とともにSi/Nが大きくなる傾向、低いpHで強化された(図2)。 :::info - オパールの溶解へのpHの影響、無視されてきた。びっくり。 ::: - オパール溶解の主要因と考えられてきた温度の影響を確認するため、温度を第二因子として重回帰分析も実施。温度もpHと同程度の効果量。←これは過去にも議論されてきたので今回はおいとく --- #### なぜ無視されてきたか - 海洋シリカの循環、pH依存性は小さいと考えられてきた。これは現在の海洋の温度勾配とpH勾配に原因がある。 :::info 現在の海洋 - 表層と深層の温度勾配(15-20度)は、オパール溶解速度の3〜4倍の変化に相当。 - pH勾配が0.3-0.35、オパールの溶解に〜20%の変化。小さい。 ::: - 温度の影響がpHの10倍。pHは無視されてきた。現在の鉛直購買、どちらも深度とともに溶解速度が減少する方向。 :::warning 将来 - 海洋表面pH、0.2-0.4減少 - 海洋表面水温、1-3度増加 ↑ オパール溶解への効果、同程度のオーダー。 ::: - 地球システムモデルシミュレーションへ --- ### 地球システムモデル(Uvic ESCM) - UVic ESCMを改良。シリカ循環と珪藻、及び他の植物プランクトン機能群をシミュレート。 - 全球の平均的な鉛直水温変化とpH変化をもとに、メソコスムで得られたシリカ溶解のpH依存性をモデルに組み込んだ。 - 単位pHあたり57 %のオパール溶解速度減少。 --- #### 温度とpHどっちの影響でかい? - 2200年までOAが持続する予測のもと、Si:Nexportの変化が世界のプランクトンの生物地理及び栄養塩分布に与える影響を評価。 - pHの影響が大きくオパールフラックス増加。 - 冒頭のストーリーに一致。 --- #### モデル結果 - OA下でオパール溶解が遅くなると、Siポンプが増幅。表層→深層へのシリカ輸出促進。珪藻の生産性とオパール輸出が現状最も高い南大洋で影響大(拡張データ4)。北太平洋と大西洋、小さい。 - 深層へ輸出されたシリカはいくらかが表層へと戻りますが、その割合は小さいため徐々に枯渇し、 #### 徐々に減る珪藻 - 表層における珪藻の量は2200年にはおおきく減少することが示されました。 --- ### モデルの限界 - 一次生産と炭素輸送量は変わらない - 別のgroupの生産性が上がったため & 動物プランクトンが珪藻を好むようなパラメタ化をしているため。 - 鉄供給量増加 - 鉄供給量は定数として扱っているのでわからない。 :::info https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010651139.pdf 栄養環境が良好な状態にある珪藻細胞に含まれる平均的な珪素と窒素のモル比は,硝酸塩を窒素源として与えた場合,ほぼ1:1である( Brzezinski1985).これに対して,鉄欠乏ストレスを受けている HNLC海域の珪藻群集の Si(OH)4:N03消費比率は約2~ 3:1と数倍高くなっていることから,鉄欠乏時には珪藻のシリカ殻の厚みが増加している可能性がある。 ::: --- ### 他のメカニズムによる説明 ### Possible other contributing factors to OA impacts on Si:N - 低いpHがsilicificationを促進。pH低下とともにSi溶解度が低下しオパールの形成を促進。溶解が抑制される。 - 実験的に、どちらの方向への報告もみられる。 - OAによる窒素の無機化への影響 - 細菌群集と有機物の無機化、OAに対してほとんど回復力があるというのがコンセンサス。 - OAが沈降粒子のN消費量を増加させること、??? - --- - モデルシミュレーション、1750年から2200年まで。地球規模の循環の長いスケールで初めて影響がでてくると考えたため。 - 定性的には2100年でも似た結果。 窒素、安定しているからC:N比をとる。生産から考えると。
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