# 第1回 相対論講義ノート ## 1. はじめに <details> この講義では、重力が働かない系について論じた「特殊相対論」と、そこに重力を取り入れた「一般相対論」について学びます。例年、特殊相対論に関する講義で力尽きてしまい、一般相対論はほんの入り口を紹介するにとどまっていましたが、今年はもう少し要領よく進め、是非とも一般相対論の基礎的事項をおさえるところまで進めたいと思っています。 </details> ## 2. 数学的準備 <details> 本章の目的は、**特殊相対論と一般相対論の理論構築に必要な数学的道具立てを整えること**である。特に本章の大きな目標は、テンソルという概念を導入することにある。 テンソルは、相対性理論において非常に重要な役割を果たす。なぜなら、**物理法則を座標系に依存しない形(共変な形)で表現するための最も自然な言語がテンソルである**からである。特殊相対論においては、等速直線運動をする観測者(慣性系)の間での変換が**Lorentz変換という線型変換**として表れ、これはEuclid空間における回転の拡張として理解できる。一方、一般相対論では、座標変換が一般的な非線型変換となり、テンソルの構造がより重要になる。 そのため本章では、最初から非線型座標変換に対する一般的な変換則を扱い、Jacobi行列や偏微分・全微分の使い分けを含めて、**座標変換の本質的な構造を学ぶこと**から始める。これは、一見すると特殊相対論の範囲には過剰な準備のように思われるかもしれないが、**理論全体の見通しを良くし、一般相対論へのスムーズな橋渡し**となる。 本章を読み進めるにあたっては、大学初年度の**線型代数(線型変換・基底・ベクトル)**、および力学におけるベクトルの扱い、**微積分における偏微分やJacobian**の理解が役立つ。また、電磁気学で扱った **grad, div, rot などの演算子**も、テンソルの微分構造を理解する足掛かりとなる。これらに不安があれば、必要に応じて復習しておくとよい(この講義でそれらが登場したときに、理解できなければその時点で遡っても十分である)。 </details> ### 2.1 偏微分と全微分 ### 2.1.1 場に付随する物理量と粒子に付随する物理量 <details> 本講義の履修者は、すでに物理学の様々な分野で、様々な物理量を表す文字式や、これらの間に成り立つ方程式について触れてきたであろう。ここでは、電磁気学を例に質的に異なる物理量について整理し、微積で学習した微分演算との関係を明らかにしておこう。 電磁気学で学んだ、電場 $\boldsymbol{E}$ や磁場 $\boldsymbol{B}$ を例に考えてみる。名前から明らかのように、これらは「場」という種類の物理量だ。これらの存在下では、荷電粒子に力がかかる。これはLorentz力と呼ばれ、$\boldsymbol{F}=q(\boldsymbol{E}+\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B})$ で与えられる。荷電粒子にかかる力がLorentz力だけであれば、この式に従ってその粒子にかかる力を計算し、運動方程式を時間積分すれば、粒子の軌道が得られる。ここで、粒子にかかる力 $\boldsymbol{F}$ や、速度 $\boldsymbol{v}$ もベクトル量であるが、電場や磁場とは素性が異なる。 力 $\boldsymbol{F}$ や速度 $\boldsymbol{v}$ はその粒子に付随する量である。一方で、Lorentz力の式に出てくる $\boldsymbol{E}$ と $\boldsymbol{B}$ は、すでに述べたように電場や磁場であるが、もう少し正確に言えば粒子のいる地点における電場や磁場の値を意味している。言い換えると、粒子がいてもいなくても、空間上のあらゆる地点で値を持つ量であり、一般に、場所ごとに違う値になっていても問題ない。また、同じ場所に留まっていたとしても、時間が経つと変化するかもしれない。このことををあらわに式で書くと $\boldsymbol{E}=\boldsymbol{E}(\boldsymbol{x},t)$, $\boldsymbol{B}=\boldsymbol{B}(\boldsymbol{x},t)$ とすべきであろう。ひるがえって、$\boldsymbol{F}$ や $\boldsymbol{v}$ は今考えている粒子の位置でのみ定義される量と考えるべきなので、粒子の軌道を $\boldsymbol{x}=\boldsymbol{x}(t)$ とすれば、安直には $\boldsymbol{F}=\boldsymbol{F}(\boldsymbol{x}(t),t)$ と書ける。いずれの引数も $t$ で決まるものであるため、より簡単に$t$の依存性だけ残して $\boldsymbol{F}=\boldsymbol{F}(t)$ とするのがより自然であろう。 これらの質的に異なる物理量に対し、以下で微分操作について考えていく。 </details> ### 2.1.2 偏微分 <details> 上記の $\boldsymbol{E}(\boldsymbol{x},t)$ や $\boldsymbol{B}(\boldsymbol{x},t)$ のように、(時)空間上のあらゆる点に値が用意された量のことを「場」と呼び、このケースでは特に大きさと向きを持つ「ベクトル場」となっている。ベクトルではなく、空間の各点各点に単一の値が貼り付けられているような量のことを「スカラー場」と呼ぶ。スカラー場の例としては、温度や圧力、ポテンシャルエネルギーなどが挙げられる。本講義では、これらをさらに拡張した「テンソル場」についても扱う。相対論では、時空の局所的な構造を表す、「計量テンソル」$g(\boldsymbol{x},t)$という場が本質的な量となっている。ただし、計量テンソルが場所や時間に依存するようなケースは特殊相対論では取り扱わない。$g(\boldsymbol{x},t)$ が出てくるのは、講義が一般相対論に進むまでしばし待つこととなる。 考えている物理量が「場」を成していて、(時)空間上でその量が滑らかに変化する場合、場の微分を考えることができる。微分(ここでは偏微分)の定義を思い出してもらうと、**ほんの少しだけ離れた地点で $\boldsymbol{E}$ や $\boldsymbol{B}$ の値がどれだけ違うか**を評価することに相当する。例えば、 $$ \dfrac{\partial \boldsymbol{E}(\boldsymbol{x})}{\partial x} := \lim_{\Delta x\to0} \dfrac{\boldsymbol{E}(x+\Delta x,y,z)-\boldsymbol{E}(x,y,z)}{\Delta x} $$のようにすれば、$x$ 座標に対する偏微分が定義される。$x$方向、$y$方向、$z$方向に動いた時に、スカラー場やベクトル場がどのように変化したかを調べ ($\boldsymbol{\nabla} := (\partial_x,\partial_y,\partial_z)$ [^1])、これらを適切に組み合わせたものが $\mathrm{grad}$ (:=$\boldsymbol{\nabla}$), $\mathrm{div}$ (:=$\boldsymbol{\nabla}\cdot$), $\mathrm{rot}$ (:=$\boldsymbol{\nabla}\times$) といった微分演算となっていることを思い出しておこう。 同様に、場所を固定して時間だけ動かすことで、$\partial_t \boldsymbol{E} := \dfrac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}$ のような偏微分を考えることもできる。 </details> ### 2.1.3 全微分 <details> 一方で、場の量ではなく、例えば運動する質点に付随した物理量(エネルギーなど)が時間と共にどのように変化するかを考える際には、この質点は原則として $x$ 方向にも $y$ 方向にも $z$ 方向にも位置を変えることができるため、それぞれの方向への位置の変化に起因した物理量の変化を足し合わせたものとして、「全微分」を考えることが本質的である。 あるポテンシャル場 $U(\boldsymbol{x},t)$ 中を運動する粒子が時刻 $t$ と $t+\mathrm{d}t$ の間に感じるポテンシャルの変化は、「この粒子が $x$ 方向に動いたこと」、「$y$ 方向に動いたこと」、「$z$ 方向に動いたこと」、そして、「時間が経ったこと」の4つの要因で生じる。経過時間 $\mathrm{d}t$ が微小であれば、線型近似(つまり、ポテンシャルの変化量は $\mathrm{d}t$ に比例)が適用でき、4つの要因を単純に足しあげればよい。すなわち、粒子の軌道を $\boldsymbol{x}(t)$ で書くと、 \begin{eqnarray} \mathrm{d}U := U(\boldsymbol{x}(t+\mathrm{d}t))-U(\boldsymbol{x}(t)) &=& \partial_x U \,\mathrm{d}x+ \partial_y U \,\mathrm{d}y+ \partial_z U \,\mathrm{d}z+ \partial_t U \,\mathrm{d}t\\ &=& \boldsymbol{\nabla}U\cdot \mathrm{d}\boldsymbol{x} + \partial_t U \,\mathrm{d}t, \end{eqnarray}のようにまとめられる。$\mathrm{d}U$ のような粒子に付随する変化量は、数学における「全微分」に対応している。つまり、$\boldsymbol{v} = \dot{\boldsymbol{x}}$ と書いたときの時間微分 $\dot{ }$ は$\partial_t$ではなく $(\mathrm{d}/\mathrm{d}t)$ を表している。 このように、場に関する量とそうではない量の持つ意味の違いと、対応する微分演算の種類の違いについて、もう一度理解を整理しておこう。 [^1]: 記号の簡略化のために、$\partial_x:=\dfrac{\partial}{\partial x}$などと略記する。 </details> ### 2.2 座標変換 ### 2.2.1 代表的な座標系間の変換 <details> 前節は、暗に空間座標 $\boldsymbol{x}$ があらかじめ与えられている前提で書かれているが、念のため座標系について復習しておこう。3次元空間では3つの数値を与えることで1つの場所を指定することができる。この3つの選び方には様々なものがあるが、互いに直交する3つの軸($x$, $y$, $z$ 軸)を考え, $x$ 座標, $y$ 座標, $z$ 座標の3つの数値を与えるやり方のことを直交座標系、またはDescartes座標系[^2]と呼んだ。3つの軸の向きの取り方として、右手系、左手系と呼ばれる取り方があるが、右手系[^3]に取るのが一般的だ。その他によく用いられるものとして、極座標[^4]、円筒座標があり、考えている問題の持つ対称性に応じて適切な座標系を選ぶと見通しがよくなる。また、少し馴染みがないであろう座標系として、斜交座標がある。これは $x$, $y$, $z$ 軸が垂直でないようなケースに当たる。 [^2]: 英語ではCartesian coordinate system: デカルトのアルファベット表記Descartesの後半部分から来ている。 [^3]: 右手の親指、人差し指、中指を使って直交系を作ったとき、この順に$x$, $y$, $z$軸正方向が来るような配置。 [^4]: 2Dでは円座標、3Dでは球面座標 以下に代表的な座標系の間の変換則をまとめておく。 #### 2Dの場合: - 直交座標 $(x,y)$ $\leftrightarrow$ 極座標 $(r,\theta)$ $$ \left( \begin{array}{c} x\\ y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} r \cos\theta\\ r \sin\theta \end{array} \right), \qquad \left( \begin{array}{c} r\\ \theta \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} \sqrt{x^2+y^2}\\ \text{sgn}(y)\text{acos}{\left(\dfrac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}\right)} \end{array} \right). $$ただし、記号$\mathrm{sgn}(...)$は, 括弧内の式の符号に応じて$1$, $0$, $-1$を返す関数で、$x=y=0$のとき$\theta$は不定値。 #### 3Dの場合 - 直交座標 $(x,y,z)$ $\leftrightarrow$ 極座標 $(r,\theta,\phi)$ $$ \left( \begin{array}{c} x\\ y\\ z \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} r\sin\theta\cos\phi\\ r\sin\theta\sin\phi\\ r\cos\theta \end{array} \right),\qquad \left( \begin{array}{c} r\\ \theta\\ \phi \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} \sqrt{x^2+y^2+z^2}\\ \text{acos}\left(z/\sqrt{x^2+y^2+z^2}\right)\\ \mathrm{sgn}(y)\text{acos}\left(x/\sqrt{x^2+y^2}\right) \end{array} \right). $$ただし、$x=y=0$ のとき $\phi$ は不定値。また $x=y=z=0$ のとき $\theta$ も不定値。 - 直交座標 $(x,y,z)$ $\leftrightarrow$ 円筒座標 $(r,\theta,z)$ 2D 極座標のときの $(x,y)$ $\leftrightarrow$ $(r,\theta)$ の変換がそのまま成立。 座標変換を行う際に、忘れてはならないのが **体積(面積)要素** の変化である。これは数学的には*Jacobian*という量であり、変換行列の行列式に相当する。例えば、$x$, $y$ に対して二重積分(面積分) $\int\int\mathrm{d}x\,\mathrm{d}y$ を実行するとき、極座標にした方が見通しが良かったとしよう。このとき、面積要素 $\mathrm{d}x\,\mathrm{d}y$ を勝手に $\mathrm{d}r\,\mathrm{d}\theta$ に置き換えてはならない。これらは、 $$ \left( \begin{array}{c} \mathrm{d}x\\ \mathrm{d}y \end{array} \right) =\left( \begin{array}{c} \mathrm{d}r \cos\theta - r\sin\theta \mathrm{d}\theta \\ \mathrm{d}r \sin\theta + r\cos\theta \mathrm{d}\theta \end{array} \right) =\left( \begin{array}{cc} \cos\theta & -r\sin\theta\\ \sin\theta & r\cos\theta \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} \mathrm{d}r\\ \mathrm{d}\theta \end{array} \right). $$のように関係づけられるので、右辺の変換行列の行列式を評価すると $$ \mathrm{det}\left( \begin{array}{cc} \cos\theta & -r\sin\theta\\ \sin\theta & r\cos\theta \end{array} \right) = r\cos^2\theta - (-r\sin^2\theta) = r. $$したがって、$\mathrm{d}x\,\mathrm{d}y = r\,\mathrm{d}r\,\mathrm{d}\theta$ とすることを思い出しておこう。導出は省略するが、3次元極座標では $\mathrm{d}x\,\mathrm{d}y\,\mathrm{d}z = r^2\,\sin \theta \,\mathrm{d}r\,\mathrm{d}\theta\,\mathrm{d}\phi$ となることは頻出なので、覚えてししまった方が良い。これを、$\mu=\cos\theta$ と書いて $r^2\,\mathrm{d}r\,\mathrm{d}\mu\,\mathrm{d}\phi$ とした方が場合によっては便利である[^5]。 [^5]: この式では、$\mathrm{d}\mu = \mathrm{d}(\cos \theta) =-\sin\theta\,\mathrm{d}\theta$なので、一見符号がおかしいように思われるかもしれないが、$\theta$の積分範囲を$0$から$\pi$に取る一方で、$\mu=\cos \theta$の範囲を$-1\,(=\cos\pi)$から$1\,(=\cos 0)$のようにひっくり返すことで辻褄を合わせられる。}。 </details> ### 2.2.2 微小変位の変換則 <details> もう少しだけ補足しておくと、一般に座標変換は非線型変換であったとしても、**座標の微小変化については必ず線型変換で書ける**ことに注意しておく。上の例では、$x=x(r,\theta)=r\sin \theta$ という関係式では $x$ は $r$ や $\theta$ に対して非線型だが、$\mathrm{d}x = \mathrm{d}r \sin\theta + r\cos\theta \mathrm{d}\theta$ は $\mathrm{d}r$ や $\mathrm{d}\theta$ に対して線型となっていることは自明であろう(この微分操作は $\mathrm{d}r$ や $\mathrm{d}\theta$ の2次以上の寄与を無視する近似そのものである)。 この操作は、高校数学において、ある曲線に対し接線を引く操作と全く同じである。微積の講義を思い出してもらうと、その一般化に当たるのがTaylor展開であった。つまり、複雑な関数を多項式で近似してやろうという話である。この見方をすれば、上記の座標変換の話は、非線型な関数 $$ \boldsymbol{x}' = \boldsymbol{x}'(\boldsymbol{x}), $$を、これをある点 $\boldsymbol{x}_{(0)}$ の周りでTaylor展開して $$ \boldsymbol{x}'(\boldsymbol{x}) = \boldsymbol{x}'(\boldsymbol{x}_{(0)}) + \sum_j\left.\dfrac{\partial \boldsymbol{x}'}{\partial x^j}\right|_{\boldsymbol{x}=\boldsymbol{x}_{(0)}}(x^j-x_{(0)}^j)+ \cdots, $$あるいは、$i$ 番目の成分だけに着目すると $$ x'^i(\boldsymbol{x}) = x'^i(\boldsymbol{x}_{(0)}) + \sum_j\left.\dfrac{\partial {x'}^i}{\partial x^j}\right|_{\boldsymbol{x}=\boldsymbol{x}_{(0)}}(x^j-x_{(0)}^j)+ \cdots, $$のように書くことにあたる。この、1次の微分係数を集めて構成された行列こそが**Jacobi行列** $[\partial x'^i / \partial x^j]$ に相当する[^6]。一般に、この微分係数は場所 $\boldsymbol{x}$ ごとに違ってよいため、最後の表式にもどこで評価したものなのかを示すためにあらわに $|_{\boldsymbol{x}_{0}}$ と記している[^7]。 [^6]: 英語ではJacobi行列はJacobian matrix, その行列式はJacobian determinantである。そのどちらもJacobianと略して呼ばれることがある。単にJacobianと言ったときにどちらを指すのか混同を避けるため、本稿では行列式のことをもっぱらJacobianと呼び、行列の方はJacobi行列とする。 [^7]: やはり後述するように、この行列の成分を表す添字 $i$ や $j$ も、後には上付きなのか下付きなのか気にして表記する。その明確なルールについてはしばし待たれよ。 微小量の間の変換は必ず線型変換であり、代数学・幾何学で散々勉強したように、そのような式は必ず行列の掛け算として書くことができる。一般に、$n$ 次元空間において変換後の $i$ 番目の座標変数を、変換前の $j$ 番目の座標変数で偏微分したものを、あらゆる $i$, $j$ の組み合わせについて用意しておき、これを $n\times n$ の行列の形に並べたものを $[\partial x'^i / \partial x^j]$ と表記するものとすれば、この変換則は $$ \mathrm{d}\boldsymbol{x}' = \left[\dfrac{\partial x'^i}{\partial x^j}\right] \mathrm{d}\boldsymbol{x}, $$となる[^8]。ベクトルや行列の成分をあらわに書き下すと $$ \begin{pmatrix} \mathrm{d}{x'}^1\\ \mathrm{d}{x'}^2\\ \vdots\\ \mathrm{d}{x'}^n \end{pmatrix}= \begin{pmatrix} \frac{\partial x'^1}{\partial x^1} & \frac{\partial x'^1}{\partial x^2} & \cdots & \frac{\partial x'^1}{\partial x^n}\\ \frac{\partial x'^2}{\partial x^1} & \frac{\partial x'^2}{\partial x^2} & \cdots & \frac{\partial x'^1}{\partial x^n}\\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots\\ \frac{\partial x'^n}{\partial x^1} & \frac{\partial x'^n}{\partial x^2} & \cdots & \frac{\partial x'^n}{\partial x^n} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \mathrm{d}x^1\\ \mathrm{d}x^2\\ \vdots\\ \mathrm{d}x^n \end{pmatrix}, $$のようになる。次項で説明するように、相対論ではこのような行列積の演算がたびたび登場する。先取りして紹介しておくと、和の記号を省略した表記: $$ \mathrm{d}x'^i = \dfrac{\partial x'^i}{\partial x^j}\mathrm{d}x^j, $$を微小変位の変換則として用いる。 [^8]: $\boldsymbol{x}={}^{t\!}(x^1,x^2,x^3)$ のように、本稿では通常のベクトルの成分を指定する際に上付き添字を使用し、また、行列積の形で書くときには縦ベクトル(列ベクトル)として表記する(つまり $^t$ 記号は転置を表す)。後に下付き添字のベクトル量も登場するが、この違いなどは後々改めて解説する。$x^2$ と書いたときに、$x$の二乗なのか、$\boldsymbol{x}$の第2成分なのか紛らわしいが、基本的に前後の文脈を考えて推測可能となっている。 </details> ### 2.3 ベクトル <details> 相対論は、時間と空間を記述する理論体系である。我々が感知することができる空間3次元に、時間を加えた4次元「時空」(spacetime)の数理的性質が主な研究対象となる。この4次元を扱うにはベクトルによる表現が便利だ。そこで、まずはベクトルの性質について概観するとともに、本講義で用いる記法についてまとめておこう。 </details> ### 2.3.1 本講義で用いるベクトル記法 <details> まずは本講義で用いる記法について整理しておく。 高校数学を思い出すと、ベクトルとは「大きさ」と「向き」を持つ量であった。$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$, $\vec{x}$, $\boldsymbol{x}$ などの表記がしばしば使われるが、本講義では太字の表記 $\boldsymbol{x}$ に加え、$x_i$ や $x_\mu$ あるいは $x^i$ や $x^\mu$ などの表記を多用する。その心は、ベクトルの「成分表示」にあり、例えば $(x_1, x_2, x_3)$ と書いた時の添字 $1, 2, 3$ を文字式 $i$ で代表することで、$x_i$ と表したりする。しばしば「添字が動く」ことを「脚が走る」などと表現する。上に挙げたように、添字が上に付いた $x^i$ のような表記も登場する。 添字の上下にはよりきちんとした意味があるが、今は上付きの添字は列ベクトル(=縦ベクトル)の成分を表すときなどに、下付きの添字は行ベクトル(=横ベクトル)の成分を表すくらいに思っておいてもらえれば十分である。実際には、これらの添字の意味をきちんと説明した後には、いちいち列ベクトルか行ベクトルか考える必要なく、演算が一意に定まる。 以後、$x^i$ や $x^\mu$ のことを何の断りもなくベクトルと呼ぶが、実際にはベクトルは大きさと向きを持った量であり、実際には次節で振り返る「基底ベクトル」が隠れていることに注意されたい。 </details> ### Einsteinの縮約記法 <details> ここまでで見たように、本講義では同じ添字が2度繰り返して出現し、その添字について和を取る式がたびたび登場する[^9]。これを簡潔に表現するため、**Einsteinの縮約記法**と呼ばれる以下の記法を採用する: $$ a_i b^i := \sum_{i=1}^3 a_i b^i. $$こうすることで、いちいち記号 $\sum$ を書かずとも次元に関する和を取ることにする。さらに、和をとる範囲は、上述のようにラテン文字($a$, $b$, $c$, ...)であれば空間次元(何も断りがなければ3次元)のみ、ギリシャ文字($\mu$, $\nu$, $\alpha$, $\beta$, $\gamma$, $\rho$, $\sigma$, ...)で表記したときには時間も合わせた $4$ 次元にわたって和を取るものとする。時空を合わせた4成分のベクトルを考える時は、$x^0 = ct$を時間成分に、$x^1=x$, $x^2=y$, $x^3=z$を空間成分に取ることにする。ここで、$c$は光速[^10]であり、$ct$の組み合わせを取ることにより、距離の次元を持つ量に揃える。 [^9]: うまく規則を選ぶと、このような対になる添字は必ず上付きのものと下付きのものがセットで登場する。このことを利用すると式が見やすくなり、計算ミスを防ぐのに役立つ。また、同じ添字が積の形で表記された1つの項に3回以上登場したらこれはすでにどこかで計算を間違えていることを表す。 [^10]: 厳密に$299,792,458\,$m/sと定義されている。 縮約記法を用いると $$ a_i {M^i}_{j} b^j = \sum_{i=1}^3\sum_{j=1}^3 a_i {M^i}_j b^j, $$などと簡潔な表記が可能になる。$a_i {M^i}_{j} b^j$ という表記において、$a_i$ を3次元の行ベクトル, $b^j$ を3次元の列ベクトル、${M^i}_{j}$ を $3\times3$ の正方行列とすると、この演算は $$ a_i {M^i}_j b^j =\left(a_1\,\,a_2\,\,a_3\right) \left( \begin{array}{ccc} {M^1}_1 & {M^1}_2 & {M^1}_3\\ {M^2}_1 & {M^2}_2 & {M^2}_3\\ {M^3}_1 & {M^3}_2 & {M^3}_3 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} b^1\\ b^2\\ b^3 \end{array} \right), $$の順に行列積を計算しているに他ならない。線型代数を思い出すと、**行列の掛け算には順序があり、好き勝手に順序を入れ替えられなかった**。一方で、$a_i{M^i}_j b^j$ のような表記をすると、どの脚とどの脚を組み合わせて和を取るかすでに厳密に指定されているので、例えば $a_ib^j{M^i}_j$ のように**掛け算の順序を入れ替えて書いても結果は変わらない**。また、**対になっている脚は、最後の結果に自由度として残らない**ことも重要である。 例えば $X_{ij} = L_{ij}c^{j}$ という式がおかしいことは添字だけからすぐに分かる。右辺では $j$ について和を取るルールになっており、和を取った後には $j$ に対応する自由度は消えているので(これを俗に「脚を潰す」と言う)、これと等号で結ばれるためには左辺に $j$ が現れてはいけない[^11]。一方で、添字 $i$ は1度だけ登場するので、左辺に来るべき量は添字 $i$ だけを持つべきである。このときの繰り返しの添字 $j$ をしばしば**ダミーの添字**と呼び、$j$ には $1$ や $2$ や $3$ が順次代入され、最後には和を取ってしまうので、記号 $j$ を勝手に変えて $L_{ij}c^{j} = L_{ik}c^{k}$ のようにしてもよい。一方で、繰り返されない添字は**フリーの添字**と呼ぶことがある。 [^11]: 高校、大学で「ベクトル = スカラー」のような式は絶対におかしいと言われてきたことと同様。 </details> ### 2.3.2 ベクトルと基底 <details> さて、成分を用いてベクトルを表記する際には必ず「基底」が何なのか理解しておかなくてはならない[^12]。$2$ 次元空間において任意のベクトルを表現するためには$2$つの、$3$ 次元空間では $3$ つの基底が必要であり、これらを $\boldsymbol{e}_{(1)}$, $\boldsymbol{e}_{(2)}$, ... などと書く。ここで、括弧付きの添字は括弧のない添字とは異なる意味を持つことに注意する。つまり、$\boldsymbol{e}_{(1)}$ は「$1$ つめの基底ベクトル」のことを意味しており、「ベクトルの第1成分」ではないことに注意されたい。 $\boldsymbol{e}_{(i)}$ もベクトルであるため、成分を持っている。例えば $\boldsymbol{e}_{(1)}=(1,0,0)$, $\boldsymbol{e}_{(2)}=(0,1,0)$, $\boldsymbol{e}_{(3)}=(0,0,1)$ といった具合である。これらを表現する際に、$(\boldsymbol{e}_{(1)})_1 = 1$, $(\boldsymbol{e}_{(1)})_2 = 0$, $(\boldsymbol{e}_{(1)})_3 = 0$ などとすることもできる(順に、$\boldsymbol{e}_{(1)}$ というベクトルの第 $1$ 成分は $1$,第 $2$ 成分と第 $3$ 成分は $0$ の意)。表記がややこしいが、括弧付きの添字と括弧なしの添字で明確に異なる意味があることを確認しておこう。 [^12]: 成分表示ではないやり方の例としては、既に挙げた$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$が簡単な例である。ベクトルの始点(A)と終点(B)を与えることで、「大きさ」も「向き」もきっちり指定することが可能であり、**基底の取り方に依らないベクトルの表現**となっている。 基底を用いることで、任意のベクトルは $$ \boldsymbol{A} = A^1 \boldsymbol{e}_{(1)} + A^2 \boldsymbol{e}_{(2)} + A^3 \boldsymbol{e}_{(3)} = \sum_i A^i\boldsymbol{e}_{(i)}, $$のように分解して書ける。この式の持つ意味は極めて明確で、$\boldsymbol{A}$ というベクトルは「1」の方向に $A^1$ 進み、「2」の方向に $A^2$ 進み、「3」の方向に $A^3$ 進むようなベクトルだということを表している。 先に進む前に、混乱を避けるため、以下の点に注意しておこう。$3$ 次元空間を考えた場合、上記の通り位置ベクトルは直交座標で表示すると $\displaystyle\boldsymbol{x} = \sum_{i=1}^3 x^i\boldsymbol{e}_{(i)}$ と書ける[^13](ただし、$\boldsymbol{e}_{(1)}=\boldsymbol{e}_x$, $\boldsymbol{e}_{(2)}=\boldsymbol{e}_y$, $\boldsymbol{e}_{(3)}=\boldsymbol{e}_z$ で、$x^1=x$, $x^2 = y$, $x^3 = z$)。ところが、極座標で書くともはや $\boldsymbol{x} = r\boldsymbol{e}_r + \theta\boldsymbol{e}_\theta + \phi\boldsymbol{e}_\phi$とはなっていない。正しい表記が何であるか、過去の講義を振り返りながらよく考えてほしい。位置ベクトルについては注意が必要であるものの、*一般の*ベクトルが $$ \boldsymbol{A} = A^r \boldsymbol{e}_{r} + A^\theta \boldsymbol{e}_{\theta} + A^\phi \boldsymbol{e}_{\phi}, $$と書けること自体は変わらない。位置ベクトルの例では、単に$A^r = r$, $A^\theta = A^\phi = 0$ となっていただけである。 [^13]: 位置ベクトルとして記号 $\boldsymbol{r}$ を当てる方が一般的かもしれないが、本稿では専ら $\boldsymbol{x}={}^{t\!}(x,y,z)$ を用いる。 </details> ### 2.3.3 座標変換と基底の変更 <details> ここまでで、ベクトルは基底の線型結合で書かれることと、成分を表す添字に関する幾つかのルールについて見てきた。それでは、前節で扱った座標変換に伴って基底がどのように変更されるかを考えていこう。 その前に、前節で扱った座標系の間の変換は、あくまでも1人の観測者(原点にいるとして一般性を失わない)に対するものであり、位置を表すために使う数字の組み合わせの選び方が複数あるということを言っただけであった。ここではより一般に、2人の観測者の間で同じ現象の見え方がどう変わるかという意味での座標変換を考えよう。もちろん、この2人が同じ位置に同じ方向を向いて立っていてもいいので、前節の座標変換はここで扱うより一般の座標変換に含まれる。以後、元々の観測者が張った座標系を $S$ 系、別の観測者が張った座標系を $S'$ 系などと呼称し、これらに対応して後者の見た物理量にもダッシュを付記して表現することにしよう。一般に、$S$ 系には $S$ 系の、$S'$ 系には $S'$ 系の直交座標や極座標が存在し、例えば $S$ 系の直交座標から $S'$ 系の極座標への変換のように、異なる座標系の間の変換を考えてもよい。しかし、特殊相対論においては、ほとんどの場合、$S$ 系の直交座標から $S'$ 系の直交座標への変換を考えれば十分であり、そこまで煩雑な計算は出てこないので安心してほしい。 それでは、一般の座標変換に対して、基底がどう変更されるか見ていこう。以下は空間3次元を想定して書いているが、2次元でもほとんど同様に計算できる。変換前の座標を $x^i$, 変換後の座標を ${x'}^{j}$ と書くことにする[^14]。これらは、成分を用いた表記であり、位置ベクトルはベクトル量であるため、このように書いた裏にはそれぞれの座標系での基底が省略されていることに注意する。また、成分 ${x'}^{j}$ は $x^i=^{t\!}(x^1,x^2,x^3)$ を全て与えことではじめて一意に決まるので、$x^i$ の関数であること (${x'}^{j}={x'}^{j}(x^1,x^2,x^3)={x'}^{j}(x^i)$)、その逆に、${x^{i}}=x{^{i}}({x'}^j)$ という構造になっていることにも気をつけておく。 [^14]: 本稿では、物理量$\boldsymbol{x}$が$S'$系で評価されており、その第$j$成分を示す、という本来の意味に忠実に${x'}^i$のように添字をダッシュの後に書くnotation(表現規則)を採用する。教科書によっては ${x^{j}}'$ としたり、中には*添字にダッシュをつける*規則 $x^{j'}$ を用いるものも存在するので注意されたい。こう書かれてもイマイチ違いが見えないと思うが、下付き添字の場合の${x_i}'$と$x_{i'}$を比較してもらえれば分かるであろう。 ある点Pから近傍の点Qへの相対位置ベクトル$\overrightarrow{PQ}$を変換前の$S$系に対応する基底を用いて $$ \overrightarrow{PQ} = \Delta x^i \boldsymbol{e}_{(i)}, $$のように表現したとする。ここでも添字 $i$ に対する縮約が取られていることに注意しよう。本来、$\overrightarrow{PQ}$ はこちらで勝手に定めた座標系には依存しない概念であるため、変換後の $S'$ 系に対しても同様の式 $$ \overrightarrow{PQ} = \Delta {x'}^i {\boldsymbol{e}'_{(i)}}, $$が成り立つと考えることができる。これらは同じものを表しているので、 $$ \Delta {x'}^i {\boldsymbol{e}'_{(i)}} = \Delta x^i \boldsymbol{e}_{(i)} \,(= \overrightarrow{PQ}), $$となっているはずである。この式を利用して、変換後の座標系の基底 ${\boldsymbol{e}'_{(i)}}$ について調べてみよう。 そのためには、$\Delta {x'}^i$ のうち、1つを除いてゼロにしてみるとよい。つまり、まずは点Pから ${x'}^1$ 方向にだけ少し動かした点Qを考える。このことをあらわに書いて、上の式を $$ \Delta {x'}^1 {\boldsymbol{e}'_{(1)}} = \left.\Delta x^i\right|_{{\Delta {x'}^2 = \Delta {x'}^3=0}} \boldsymbol{e}_{(i)}, $$とする。両辺を$\Delta {x'}^1$で割ることで、 $$ {\boldsymbol{e}'_{(1)}} = \left.\frac{\Delta x^i}{\Delta {x'}^1}\right|_{{\Delta {x'}^2= \Delta {x'}^3=0}} \boldsymbol{e}_{(i)}. $$しかし、ここでは基底が場所ごとに変わる可能性をきちんと考慮していなかった。つまり、ここでの $\boldsymbol{e}_{(i)}$ は点Pで評価したものなのか、点Qで評価したものか、その間のどこかで評価したものなのかという曖昧さが残る。そこで、 $\Delta {x'}^1\to 0$ の極限を取ることで、PとQが事実上同一の点と見なせるようにすれば、この曖昧さは消える。この極限を取ると $$ {\boldsymbol{e}'_{(1)}} = \lim_{\Delta {x'}^1\to 0}\left.\frac{\Delta x^i}{\Delta {x'}^1}\right|_{{\Delta {x'}^2= \Delta {x'}^3=0}} \boldsymbol{e}_{(i)} = \frac{\partial x^i}{\partial {x'}^1} \boldsymbol{e}_{(i)}, $$を得る。ここで、上に書いたように、$x^i=x^i({x'}^j)$ であるが、$\Delta {x'}^2=\Delta {x'}^3=0$ に保ったまま $\Delta {x'}^1$ をゼロに持っていく操作は、まさに偏微分の定義そのものである。このようにして ${\boldsymbol{e}'_{(1)}}$ を求めることができたが、${\boldsymbol{e}'_{(2)}}$ 以降も全く同様に求めることができる: $$ {\boldsymbol{e}'_{(2)}} = \frac{\partial x^i}{\partial {x'}^2} \boldsymbol{e}_{(i)}, \qquad {\boldsymbol{e}'_{(3)}} = \frac{\partial x^i}{\partial {x'}^3} \boldsymbol{e}_{(i)}. $$これらをまとめると、 $$ {\boldsymbol{e}'_{(j)}} = \frac{\partial x^i}{\partial {x'}^j} \boldsymbol{e}_{(i)},\qquad (j=1, 2, 3) $$を得る。右辺の偏微分は、添字 $i$ と $j$ を動かすことで作られる行列である[^15]。(これが先に定義したJacobi行列 $(\partial {x'}^i/\partial x^j)$ の逆行列となっていることは、すぐ後に示す。) [^15]: あるいは、$\partial x^i/\partial x'^j$はS系→S'系の変換とは逆向きの、S'系→S系の変換に伴うJacobi行列と言ってもいい。 ではこのことを使って具体的な座標変換に対して基底がどう変わるか見ていこう。最も簡単なものとして、$S$ と $S'$ は同一の観測者とし、2次元の直交座標から極座標への変換を考える。つまり、$^t\!(x^1,x^2)= {}^t\!(x,y)$ から $^t\!({x'}^1,{x'}^2)= {}^t\!(r,\theta)$ へと変換する。この場合について、基底の変換に関与する偏微分を評価して列挙すると $$ \frac{\partial x}{\partial r} = \cos\theta,\qquad \frac{\partial x}{\partial \theta} = -r\sin\theta,\qquad \frac{\partial y}{\partial r} = \sin\theta,\qquad \frac{\partial y}{\partial \theta} = r\cos\theta. $$したがって、変換後の基底は $$ \boldsymbol{e}_r = \dfrac{\partial x}{\partial r} \boldsymbol{e}_x + \dfrac{\partial y}{\partial r} \, \boldsymbol{e}_y = \cos\theta \boldsymbol{e}_x +\sin\theta \, \boldsymbol{e}_y, $$および $$ \boldsymbol{e}_{\theta} = \frac{\partial x}{\partial \theta} \, \boldsymbol{e}_x + \frac{\partial y}{\partial \theta} \, \boldsymbol{e}_y = -r\sin\theta \, \boldsymbol{e}_x +r\cos\theta \, \boldsymbol{e}_y, $$となる[^16]。 [^16]: 力学などで習う通常の慣例に従った定義とは異なり、この結果によると $\boldsymbol{e}_\theta$ の長さは $1$ ではなく $r$ となっている。これは、基底に次元を押し付けるか、座標(展開係数)に次元を押し付けるかの違いだけである。 </details>