# 数学演習1 第13回資料 ## 微分方程式の一般論と物理への応用 ## 1. 線型微分方程式とその構造 ### 1.1 線型方程式とは <details> 微分方程式が未知関数およびその導関数に対して線型であるとき、**線型微分方程式**と呼ばれる。 例: $$ \dfrac{d^2y}{dx^2} + A \dfrac{dy}{dx} + B y = C, $$ ここで: - 引き続き $A$, $B$ は定数とするが、$C$ は $x$ の関数であってもよい - $C$ が右辺に存在すれば **非斉次**、なければ **斉次** の方程式と呼ぶ </details> ### 1.2 斉次解の構造(重ね合わせの原理) <details> - 線型方程式の斉次解(右辺ゼロの解)は**線型空間**をなす - 特に2階の微分方程式の場合は、一般解を求めるには方程式を2度積分することになる。それぞれについて積分定数の自由度があるので、解が作る空間は2次元。 - 非斉次解(右辺あり)は、**斉次解の任意の線型結合に特定の一つの特解を加えたもの**で表せる: $$ \text{一般解} = \text{斉次解} + \text{特解} $$ </details> ### 1.3 特性方程式と解の分類(2階の場合) <details> 斉次な定数係数2階線型微分方程式: $$ \dfrac{d^2y}{dx^2} + A \dfrac{dy}{dx} + B y = 0, $$ に対し、解の候補 $y(x) = e^{\lambda x}$ を代入すると、 $$ \lambda^2 + A \lambda + B = 0 $$ という**特性方程式**を得る。解の形は判別式 $D = A^2 - 4B$ により分類される: | 判別式 | 解の形 | 振動の有無 | |--------|--------|--------------| | $D \gt 0$ | 指数関数(減衰) | 振動なし(過減衰) | | $D = 0$ | 指数関数(重解) | 振動なし(臨界減衰) | | $D \lt 0$ | 減衰正弦波 | 振動あり(減衰振動) | </details> ### 1.4 非斉次項のある場合(強制振動) <details> 非斉次項 $C(x)$ は、物理においては系の外から加えた外力に相当する。非斉次項が加わると、斉次解だけでは方程式を満たさない(左辺に代入すると $0$ となるが、方程式を満たすためには $C(x)$ に一致せねばならない)。その場合は**特解**を構成し、それを斉次解に加える: $$ x(t) = x_h(t) + x_p(t). $$ - $x_h(t)$: 斉次解 (特性方程式から求める) - $x_p(t)$: 特解 ($C(x)$ の形に応じて仮定して求める) 特に $C(x)$ が三角関数の場合、特解も同じ振動数で周期的となる。これは「定常状態」に対応する。 </details> ## 2. 非線型微分方程式と変数分離法 ### 2.1 非線型の例と特徴 <details> 微分方程式に求めたい関数 $y(x)$ やその導関数の2次以上の項が含まれているような方程式は非線形方程式と呼ばれる。 例: - $\dfrac{dy}{dx} + A y^2 = 0$ - $\dfrac{d^2y}{dx^2} + A y\dfrac{dy}{dx} = 0$ - $\dfrac{dy}{dx} = A \sqrt{y}$ これらに対する解は、線型空間を作らないので(例えば、ある解を2倍したものはもはや解となっていない)線型理論の道具が使えない。このような場合は**変数分離法**が有効な場合が多い。 </details> ### 2.2 変数分離法の基本 <details> 微分方程式を変形し、以下のように「両辺で変数を分ける」: $$ P(y) \mathrm{d}y = Q(x)\mathrm{d}x. $$ その後、両辺を積分して解を得る。 </details> ## 補足:力学への応用 <details> 今回扱う微分方程式は、以下のような物理的状況をモデル化する: - 単振動(ばね、LC回路) - 減衰振動(空気抵抗、摩擦) - 強制振動(外力付きの振動) - 終端速度のある落下運動(パラシュートなど) これらはすべて、**微分方程式の構造とその解法**を通して理解される。 </details>