地理教育教材

https://github.com/UNopenGIS/7/issues/585

様式事項

  1. 文中に図 1、図 2、表1 と記載すること
  2. 参考 URLも文中に参考 URL1,参考 URL2 と記載すること
  3. 文章は「です。ます調」
  4. 節は、問いかけ文にすること
  5. アクテイブラーニング形式で、添付した教材事例のように、教師が授業をしやすいような問いかけを多く記載すること、

細項目(質問形式で分かりやすく)

インターネットから容易に活用できる、国や国際機関のウェブ地図では何が分かるだろうか。

キーワード[1]

地理空間情報当局, ウェブ地図, 国際協力, スマート地図, オープンデータ, オープンソースソフトウェア

1. 国や国際機関がウェブ地図を運営していますか

地図は多様ですが、国の機関や国際機関がその目的に応じて地図を作成し、共有することも行われてきました。

国の政府で地理空間情報を生産し、その活用を推進する機関のことを地理空間情報当局(NGIA: National Geospatial Information Authority)と呼ぶ場合があります。また、人道、開発、平和構築といった分野の実務を担当する国際機関が、実務の必要に応じて地理空間情報を生産・活用推進している例もあります。

本節では、実際にインターネットを通じて容易に活用できることを基準としながら、国の機関や国際機関が運営しているウェブ地図を紹介します。

2. 日本はどのようなウェブ地図を運営していますか

日本の国土地理院では、地理院地図を運営しています。

背景の地図は、標準地図、淡色地図、白地図、English、写真から選べます。また、年代別の写真、標高・土地の凹凸、基準点・地磁気・地殻変動、災害伝承・避難場所などのジャンルから、地図上に重ね合わせることができる情報を選ぶことができます。

国土地理院は国の災害対応にも従事しているため、災害対応に資する情報も地理院地図に掲載しています。

3. 英国はどのようなウェブ地図を運営していますか

英国のオードナンス・サーベイでは、OS Mapsを運営しています。

ユーザー登録や使用料の支払いが必要な機能もあるようですが、地形図はログインなしでも閲覧できます。

OS Maps は、全世界についてある程度の内容の地形図を提供しています。

4. スイスはどのようなウェブ地図を運営していますか

スイス政府は、map.geo.admin.chを運営しています。

紙地図と同様の伝統的なデザインの地図を、ウェブでも美しく表示しています。

5. ニュージーランドはどのようなウェブ地図を運営していますか

ニュージーランド政府は、Basemapsを運営しています。

Basemaps では三次元表示を可能とするなど、技術面で意欲的な実装を進めています。

6. フランスはどのようなウェブ地図を運営していますか

フランス政府は、geoportailを運営しています。

地形図を拡大すると地籍図(土地との境界線と番号が表示された地図)と統合されて表示されます。

7. 国連人道問題調整事務所(OCHA)はどのような仕組みを運営していますか

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、世界で起こる人道危機に対応するために、国連が設立した機関です。

OCHAは、個別の危機や組織を超えてデータを共有するための開かれたプラットフォームとしてHumanitarian Data Exchangeを運営しています。
「開かれたプラットフォーム」とは、誰でも自由に使える場所や仕組みのことを指します。
開かれたプラットフォームは、データへのアクセスを開放し、誰もが利用できるようにすることで、協力や効率性を高める役割を果たしています。

アクセスが開放されたデータについて、オープンデータという概念があります。オープンデータとは、誰でも自由にアクセス・利用・再配布できる形で公開されたデータのことを指します。オープンデータの主な特徴は以下の通りです。

自由な利用と再配布:データはライセンスの制約が少なく、商用・非商用を問わず自由に利用・改変・再配布が可能である。
機械可読性:データがコンピュータで処理しやすい形式(例: CSV, JSON, GeoJSON, XML など)で提供されている。
無償または低コストでの提供:データの取得に高額な費用がかからず、誰でもアクセスできることが理想とされる。
オープンなフォーマット:特定のソフトウェアに依存せず、誰でも扱えるオープンなデータ形式が推奨される。
公共性・透明性の向上:政府や自治体、企業などがデータを公開することで、社会の透明性や市民参加が促進される。

オープンデータは、行政・学術・ビジネス・市民活動など多方面で活用され、スマートシティ、環境問題、災害対策、公共交通、医療、教育などの分野で重要な役割を果たしています。

8. 国連開発計画(UNDP)はどのような仕組みを運営していますか

国連開発計画(UNDP)は、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals; SDGs)の達成を支援するために、地理空間データとサービスを一元化したエコシステムであるGeoHubを運営しています。

GeoHubは、政策立案者やUNDPスタッフが情報に基づいた意思決定を行い、SDGsの進捗を促進するためのオープンソースのプラットフォームです。このプラットフォームでは、データセットの探索やインタラクティブなマップを通じて主要な洞察を抽出することが可能です。また、高度な分析ツールを使用してデータを精査し、カスタマイズされたマップを作成できます。さらに、マップベースのストーリーを作成し、効果的に洞察を伝えることも可能です。

GeoHubは、誰でも自由に使える「開かれたプラットフォーム」として設計されています。このようなプラットフォームは、データへのアクセスを開放し、誰もが利用できるようにすることで、協力や効率性を高める役割を果たしています。GeoHubのプラットフォームは、オープンソースソフトウェアライセンスの下で開発されており、ほとんどのデータセットはオープンデータとして公開されています。ソースコードはGitHubで公開されており、誰でも問題を報告したり、質問したりすることができます。

GeoHubは、地理空間データとツールを提供することで、政策立案者やスタッフが情報に基づいた意思決定を行い、SDGsの達成に向けた進捗を促進することを目指しています。このプラットフォームは、データの探索、マップの作成、分析、共有を容易にし、協力と効率性を高めるための基盤を提供しています。

オープンソースソフトウェアとは、ソースコードが一般に公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布できるソフトウェアのことを指します。オープンソースの概念は、単に無料で使えるというだけでなく、透明性やコラボレーション、持続可能なソフトウェア開発を促進する点に大きな特徴があります。オープンソースの特徴は、以下のとおりです。

自由な利用:ユーザーは、オープンソースソフトウェアを無料でダウンロードし、目的に応じて自由に使用できます。
ソースコードの公開と改変:ソースコードが公開されているため、誰でも内容を確認し、必要に応じて改良やカスタマイズが可能です。これにより、独自のニーズに合わせた最適化が行えます。
コミュニティによる開発:多くのオープンソースプロジェクトは、世界中の開発者コミュニティによって支えられています。バグの修正、新機能の追加、セキュリティ強化などが継続的に行われ、品質向上につながります。
ライセンスによる自由の保障:オープンソースソフトウェアは、GPL(GNU General Public License)やMITライセンスなどのライセンスのもとで提供されます。これにより、自由な利用と適切なルールが両立されます。
商用利用も可能:多くのオープンソースソフトウェアは、個人利用だけでなく企業での利用や商用プロジェクトへの組み込みも可能です。

また、オープンソースのメリットは、次のように整理できます。

低コストで導入可能:商用ライセンス費用が不要なため、コストを抑えられる。
透明性の確保:ソースコードが公開されているため、セキュリティや動作を検証しやすい。
技術の発展と共有:知識や技術が共有され、ソフトウェアの進化が加速する。

オープンソースソフトウェアは、技術の発展と持続可能なシステム構築に欠かせない存在となっており、政府機関や教育機関、企業、個人開発者まで幅広いユーザーに支持されています。

9. UN Maps はどのような仕組みですか

UN Mapsの使命は、国連の平和構築、開発、人道支援活動における地理情報を活用し、意思決定を支援することです。このプラットフォームは、国連のさまざまな機関やパートナーが提供する地理空間データを集約し、可視化することで、政策立案者やフィールドワーカーに対し、迅速かつ効果的な情報提供を行います。UN Mapsは、特に緊急支援が求められる場面や、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みを支えるために設計されています。

このプラットフォームでは、ユーザーがさまざまな地図やツールを利用して、現場の状況を理解し、データに基づいた決定を行うための支援を行います。地理空間データを使った可視化や分析機能を提供し、状況把握や対応策の策定を迅速化します。UN Mapsは、災害支援や難民支援、環境保護といった分野でも活用され、国連のグローバルな活動をサポートする重要なツールとなっています。

10. 国連スマート地図ではどのような協力が行われていますか

国連スマート地図(UN Smart Maps)グループは、国連の活動がより効果的に行われ、災害支援や平和構築、開発支援などが迅速に行われることを支援するため、国連オープンGISイニシアティブの第7作業部会として活動しています。
国連オープンGISイニシアティブは、2016年に始まり、国連の活動に必要な地図や地理情報システム(GIS)の技術を、誰でも使えるオープンソースの形で作り出すプロジェクトです。加盟国、国際機関、大学、NGO、民間企業など、多くの専門家が協力しています。

さらに、国連スマート地図では、オープンソースの技術と有料の技術を組み合わせた「ハイブリッドGIS」と呼ばれる新しい仕組みを開発中です。また、Portable Web(どこでも使えるウェブ技術)やGenerative AI(AIを使って新しい地図や情報を自動で作る技術)にも力を入れており、現場で最新情報をリアルタイムに確認できるように工夫されています。

https://unopengis.github.io/smartmaps/


  1. 5〜10個にする必要がある ↩︎