###### tags: `政治` `うさぎさんでもわかる` # 近代社会シリーズ①民主主義とは 教科書(日本立教出版『中学社会 公民的分野』)には、民主主義とは「みんなのことはみんなで決めるという考え方」とある。直感的だが、なんだか小学校の道徳のような怪しさが感じられる。もう少し硬い言葉でいうと、組織の決め事は組織の構成員全員で決めるという考え方などとなるだろうか。 まず、組織についてあらゆることを決める権利(最終決定権)のことを**主権**という。上の考え方を国家というレベルで考えると、**民衆が主権(公権力)を持つこと**と言い換えられる。 - 民主主義の公式 **民衆=主権者** (民主主義の公式という言い方はうp主が勝手に名付けたものだ。テストの答案に書いて✖されても責任は負えない。) 分かりづらい説明があれば、学校や会社の例を考えるとよい。例を挙げておくと、文化祭の日クラスで展示をすることになったら、民主主義的なクラスではクラス全員の話し合いで展示のテーマを決めるだろう。もし、一部の生徒に権力(主権)が集中しているなら彼らだけで決めてしまうこともありうる。 ## なぜ民主主義なのか? 民主主義によって政治が近代化されたなどとよく言われるが、上の定義とのつながりがいまいち見えない。民主主義を採用する理由は何だろうか?なにが変わるのだろうか?民主主義について具体例を挙げてもう少し感覚をつかもう。 ### 改革したい民衆 vs 維持したい独裁者 これは民主主義的にNGだ。ぱっと見ただけでも答えることができるだろうが、理由を聞かれると詰まる人も多いだろう。上の定義からもう一度考えてみてほしい。すると理由は自ずとわかるはず。**民衆=主権者という定義と矛盾しているから**である。数学を嗜んでいる人ならこの感覚は馴染みがあると思う。 腑に落ちないという人は、おそらく先入観を持ち込んでしまっているのが原因である。**ここまでの議論で決められたルールはただ一つ民衆=主権者だけ**。それ以外、たとえば平和、平等、人権に関連するルールはない。 ### 戦争したい民衆 vs 戦争したい英雄 これは民主主義的にOKだ。驚いた人もいるかもしれない。そういう人は民衆=主権者(英雄)ではないからと考えたのだろう。だが、考えても見てほしい。我々が民主主義だと思っている日本は、行政、立法、司法という三つの機関によって運営されている。日本国民はみなそこで働いているのかというとそんなことはない。何が言いたいかというと、**民衆=主権者というのは質的に同じという意味であり、量的に同じという意味ではない**、ということだ。わからない人は下の公式のように考えてほしい。 - 民主主義の公式ver.2 **民衆の意思=主権者の意思** 唯一のルールさえ捻じ曲げているようで、なんだか詐欺のように思われるかもしれないが、近代国家の多くではこの言い換えは認められており、**間接民主主義**と呼ばれている。上の例に戻ると、民衆と英雄とは物理的に全く異なるものだ。しかし、民衆の意思と英雄の意思とは同じである。民衆が決めようが、英雄が決めようが戦争は起こるだろう。だから(この議題に関しては)民衆=主権者といっていい、というわけである。 ### 民主主義だったら...? 上の例からもわかる通り、民主主義では民衆の意思(**民意**)に沿った決定がなされる(まあ、それが定義なのだが)。その結果、**民衆は主権者の決定により満足するようになる**はず...。本当にそうだろうか? ### 少数派抹殺したい民衆 vs 少数派抹殺したい王 これも民主主義的にOKだ。1つ目の例の忠告を思い出してほしい。**ここまでの議論で決められたルールはただ一つ民衆(の意思)=主権者(の意思)だけ**。それ以外、たとえば平和、平等、人権に関連するルールはない。今、民意=主権者の意思は成り立っているから、少数派の抹殺は当然認められる。 - **独裁かどうかと民主主義かどうかは独立している(民主主義的な独裁はありうる)** これは記憶に値する。独裁者がいない政治が民主主義的だと思っているならそれは誤解だ(言うまでもないが、そんなルールはまだ出てきていない)。ちなみに独裁者がいないような政治を目指す考えは共和主義と呼ばれ、フランスは代表的な共和主義国家である。 この例から、民主主義は危険な状況を作りかねないことがわかるだろう。まとめると 1. **民意の暴走**(集団心理・同調圧力など)によって倫理的な規律は軽視される 2. 民意であれば("みんな"と違う意見を持つ人の)**権利を侵害することすら許される** (補足) なんで"みんな"と違う意見を持つ人(マイノリティ)なの? "みんな"と同じ意見を持つ人(マジョリティ)の意思は、民主主義の公式ver.2に従って主権者の意思として反映されやすい。自分の権利を侵害したいと考える人は少ないだろうから、実質"みんな"と違う意見を持つ人の権利のみが侵害されうると考えていい。 これもあまりわからなかった人は具体例で考えよう。もし、文化祭でクラス全員が作業をしている中、あなたは親戚の葬儀で早退しなければならないとき、クラスの中心的な人物が「みんな頑張ってるのに」と言う。他の生徒もそれに続いてあなたの行動を非難していき、徐々にエスカレートしていく。ついには、教室の出入り口に立ちふさがり、罵詈雑言を浴びせるなんてこともあるかもしれない。これはまさに民意の暴走であり、マイノリティの権利を侵害している状況と言える。 (補足) 民衆の意見は1つなの? ### 民主主義より前 民主主義に危険な側面もあるということを頭に入れてもらうためにこのような流れにしたのだが、忘れないでほしいのは**民主主義は決して残酷で卑劣な考えというわけではない**ことである。むしろ逆であり、民主主義はおそらく善意から生まれたものである。民主主義が普及する前は、世襲的な王権政治が世界の常識だったそうだ。民衆を率いて戦った英雄ならばまだしも、その子孫というだけで主権を持つ王の意思は、民衆の意思から離れていくことが多かっただろうと容易に想像できる。**民主主義が確立されて初めて、我々民衆の意思に沿った決定がなされる政治が常識となった**。いわば、民主主義は王権が持っていた主権を自らのものにした民衆の苦難と努力の象徴である。 ## 次回予告 民主主義は維持したいが、そのデメリットはなくしたい...。そんな願いから**立憲主義**が生まれた。現在、民主主義を採用している国(日本を含む)の多くはマイノリティの権利が蹂躙され虐殺の対象となっている、ということはあまりない(~~言い切るのがむずかしいが~~)。これには立憲主義が大きくかかわっている。ということで次回は、[立憲主義とは](https://hackmd.io/@skyrabbit/ryRLsb8zD)。
×
Sign in
Email
Password
Forgot password
or
By clicking below, you agree to our
terms of service
.
Sign in via Facebook
Sign in via Twitter
Sign in via GitHub
Sign in via Dropbox
Sign in with Wallet
Wallet (
)
Connect another wallet
New to HackMD?
Sign up