# 天声人語12/16 「補助金は、ときの政権にとって、使いやすい統治の手段である」。朝日新聞の政治記者だった広瀬道貞氏が著した『補助金と政権党』はそんな==書き出し==で始まる。「政府はうしろの方にいて補助金のひもを締めたり==ゆるめ==たりしながら、相手を思う方向に誘導していく」 ▼法律や通達のように権力が==ぎらつく==❓ことがないという点も指摘し、補助金の本質を==突いて==いる。1980年代に出た同書は農業や公共事業の補助金がいかに肥大化し、削減が難しくなっているかを分析する ▼時代は==移り==、全国民向けの「旅行補助金」すなわちGoToトラベルも、人々をうまく誘導したようだ。==事業==❓に一定の意味があったと思うのは、一時は県境を越えた移動が全て悪であるかのような==行き過ぎ==があったからだ ▼それを解消した時点でGoToは役割を終えたのではないか。弱点も明らかになっており、感染対策には臨機応変さが必要なのに、停止すると多額のキャンセル料が発生する。それをまた税金で穴埋めするというばかばかしさである ▼そもそも旅行する余裕のない人は恩恵にあずかれない。医療現場でコロナと闘い、感染への警戒から移動を控えている人には不公平以外の何物でもないだろう ▼今回のGoToトラベルの停止を大きな政治決断とする向きもあるが、とんでもない。税金を使ってまで旅行を==促す==補助金行政を一時的に止めたにすぎない。感染第3波にどう立ち向かうのか。菅首相から中身のある言葉をまだ聞いていない。 #### 書き出し^かきだし^: 1. **文章の書きはじめ。文章の冒頭。「作品の書き出しに苦労する」** 2. 抜き出して書くこと。抜き書き。 #### ゆるめ^緩め^: 1. いくらかゆるいこと。ゆるい感じであること。また、そのさま。「帯を―に結ぶ」⇔きつめ。 #### 突く^つく^: 1. とがった物で一つ所を勢いよく刺したり、強く当てたりする。「槍で―・く」 2. 棒状のもので強く押す。「判を―・く」「ところてんを―・く」 3. **弱い所、予想しない所、急所などを選んで鋭く指摘したり攻めたりする。「不意を―・く」「核心を―・く」** 4. 障害や悪条件を問題にしないで何かをする。「風雨を―・いて進む」 #### 移り^うつり^: 1. 人の住所などが変わること。移転。転居。「郊外にお―の由」「都―」 2. **移り変わること。変遷。 「人も世も思へばあはれいく昔いく―して今になりけん」** 3. 続き合い。ゆかり。関係。「虎様や少将様の―といひ」 #### 行き過ぎ^ゆきすぎ^: 1. 目的の所よりも先へ行くこと。いきすぎ。「そんなに行っては行き過ぎだ」 2. **度を超えて物事をすること。また、そのさま。いきすぎ。「行き過ぎな(の)行為」** #### 促す^うながす^: 1. 物事を早くするようにせきたてる。また、ある行為をするように仕向ける。催促する。「―・されてようやく席を立つ」「注意を―・す」 2. **物事の進行をすみやかにさせる。促進する。「新陳代謝を―・す」「町の発展を―・す」** ###### tags: `日本語` `天声人語`