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}
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# ウィトゲンシュタイン勉強会(1-2)
# 2. 論理をめぐる思考のはじまり
ウィトの哲学的思考の原点となったのは「論理とは何か」という問いである。これは彼がケンブリッジ大学にいたときに没頭していた問いである。
この節ではこの問いについて見ていくともに、ウィトが問いの対象としていた当時の論理学について軽く触れている。
# 当時の論理学
フレーゲ「概念記法」を出版。述語論理などが考案されたり、数学の議論の厳密化などが行われた。
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ラッセル「概念記法」にパラドックスを発見!フレーゲ絶望。
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ラッセル「プリンキピア・マテマティカ」の執筆スタート。
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ウィト、ラッセルの紹介でケンブリッジ大学に入学。論理について考え始める。
上記のような流れで論理学が発展していった。ウィトの問いの対象となっている論理学はフレーゲによって体系化されたものである。それゆえ、ウィトの論考の中に登場する論理学の諸概念はフレーゲの論理学に由来する。
# 論考の根本思想
ウィトは論理学に関する考察を①**命題論理**と②**述語論理**に分けて考察した。
## ① 命題論理
命題間の論理的関係に関わる考察。
pp.36の考察の分類におけるBがこれに当たる。
> B 命題間の論理的関係に関わる考察
フレーゲは、命題間をつなげるものとして以下の4つを挙げた。ウィトの論考では、これらは**論理定項**や**真理関数**などと呼ばれている。
||記号|
|-|-|
| かつ | $\cdot$ |
| または | $\lor$ |
| ならば | $\supset$ |
| でない | $\sim$ |
また、諸命題は $p, q, r, ...$ のように小文字のアルファベットで表現した。
:::info
今使われている論理記号とは異なるものもあって混乱するね、、。
:::
これらの記号法を用いると、例えば以下のような論理命題を表現することができる。
$$
\begin{array}
(p \cdot (p \subset q)) \supset q \\
a \supset (a \lor b) \\
a \supset (\sim a)
\end{array}
$$
これらの記号法を用いると〈推論1〉は pp.51 ~ pp.52 のように書ける。
### ウィトの問い
* 論理命題や論理定項はいったい何を意味しているのか?
* 命題論理は何を対象とし、何を我々に語っているのか?
## ② 述語論理
単位命題の内部的な論理構造に関わる考察。
pp.36の考察の分類におけるCとDがこれに当たる。
> C 命題の内部構造と現実の写像関係に関わる考察
> D 対象と名に関わる考察
名前にもあるとおり、述語論理は命題を**述語**と**名前**から構成されているとしている。
**述語**とは「〜は赤い」や「〜は…を妬んでいる」といった命題の一部が空欄になったものである。
**名前**とは述語の空欄に当てはめられるものである。
述語は空欄に名前を代入するため、++関数のように見ることができる++。述語を $P(x)$ のように書き、$P(x)$ を「$x$ は赤い」のように見るのだ。すると、述語に名前「バラ」を代入した $P(バラ)$ は「バラは赤い」という命題になり、真偽を考えることができる。
:::warning
命題論理では $p, q, r, ...$ のように表していたものを $P(x), Q(y), ...$ のように表すようにした。ここで変数のようになっている $x, y, ...$ は**変項**と呼ばれる。
:::
フレーゲは更に $1, 2, 3, ...$ といった数詞や「すべての〜」「ある〜」「どの〜」などの量などに言及する言葉などを考案した。これらは**量化子**と呼ばれるものである。
量化子と述語が合わさると「すべてのものは赤い」や「ある人間は星太郎を妬んでいる」といった命題を表現することができる。
$$
\begin{eqnarray}
\forall x ((〜は赤い)(x)) \\
\exists y ((〜は人間である)(y) \cdot (〜は星太郎を妬んでいる)(y))
\end{eqnarray}
$$
量化子と述語に関する "論理的推論" の例として「ある」に関するものが pp.56 で紹介されている。これは $F(a)$ という前提が正しければ $\exists x (F(x))$ は正しい、というような推論である。この推論で重要なのは $F$ **という述語が共通して前提と結論に表れていること**である。
ウィトは、述語論理の1つの命題が<u>どのような骨格を持っているのか</u>を考察し、それを**命題の論理形式**と呼んだ。
例えば本の例では
> (3) 秀吉が大阪城を築いた
という命題を取り上げているが、これは
> 〜が…を築いた
のように2つの変項を受け取る述語を内部に含むと分析できる。これは
> $(築いた)(x, y)$
のようになり、この述語すらも抽象化して
> $X(x, y)$
のようにしたものが**論理形式**となる。
このような**命題の骨格は、現実世界の出来事の論理形式と共有される**、とウィトは考えた。
共有されるが故に言語は世界を記述できるのだ。
# 論理をめぐる問いの始まり(pp.58)
論理とは何か?
論理定項が何を示しているのか?
これらの問に関する答えは2つ考えられる。
1. **論理命題が何らかの特定の対象に関するもの**
* 論理とは人間の思考の規則である
* 論理とは言語の普遍的法則である
* etc
3. **論理命題は人間の思考や言語や宇宙といった特定の対象についてのものではない**
フレーゲやラッセルは1の立場であったのに対し(実在論的)ウィトは2の立場を取っている。
++pp.59〜 にウィトの「論理ノート」からの抜粋がいくつかあるが、まったくもってわからん!!!本の後半で明らかになるのかな?++
ウィトは「論理とは何か?」に対する答えは示しておらず、**論理が何か特定の対象について何かを語っているとみなすものであってはならない、という条件を述べているだけ**。
(pp.62, l:9)論理命題は確かに「何か」を語っているのであるが、通常の仕方で「何ものか」について「何事か」を語っているわけではない。
➙ 命題の論理自体を語っているのではなく、あくまで論理は骨格として支えてるイメージ?