契約民主主義について === sgtn氏の契約民主主義論を読んで、少し疑問が起こったので、自己ピンポンしながらその問題点と見つけた解決策を書いてみる。 既に触られれている内容であれば指摘してください。 原文: https://alis.to/sg42/articles/azDdvM7lLXYp ``` 民主主義の問題点 1. メディアやSNSの影響力をそのままに、忙しい中で表面的な理解で投票する人の割合が多くなりがちであること、あるいはInformed Citizenryを前提としているにもかかわらず、投票者の大多数がInformed Citizenryになりきれていないこと。 2. 腐敗していたり無能だったり不要だったりする行政が構成員の代表たる政治家と公務員たる官僚と支配的立場にいる大企業の間の不透明なコミュニケーションの中で利権のために創設されること 3. (2)の利権機構を民意で廃止するための労力と工程が多すぎるために腐敗速度に対して浄化速度が追いつかないこと 4. 政府による抜本的な改革も、自らの支持母体となる組織には抗えない。また、政治家生命を考えると本質的に必要な施策もゲーム理論的に打ち出すことができない。 5. 資金力のない政治家は政治資金のために金策に苦しむため、結果として利権を求める傾向にある。清廉潔白な政治家たるためには票田と資産が必要であり、世襲議員が強くなる傾向にある。 6. 優れた政策や優れた政治家が選ばれる構造にない。 7. 多くの場合、政治家が我々を代表していない。 ``` ## 1. 契約民主主義で解決できない問題について - 契約民主主義で解決できるのは立法府の廃止だけに限られている - 行政府や司法の問題は解決できない。つまり2番 - 解決できない対象は、行政によらずそこから委託されうるすべての民間企業にも当てはまる。 - 法に反する行動は、内部告発によって審議・刑罰の執行が可能だが、法に反しない無意識下で働く忖度や利益享受に対抗できない。 - 例えば、会社の利益よりも顔なじみの取引先を優先してしまう、等 [【契約民主主義FAQ】大学と専門家について](https://alis.to/sg42/articles/aZqzdYL5yZWw) Q4. 専門家の選定を政府に任せて良いのか? より >「官僚といえども家族のいるサラリーマンであり、自己と裁量と予算の拡大のためなら赤字国債だって発行する」 > > 軍事や司法や警察を含む「政府に属するもの全て」が実は「提案によって維持される行政機関」として実現可能であり、国民によって手綱を握れるものなのかもしれない。 とある。 まずは前者の自浄作用に対して。自らも国民であることからくる国民への利益を最大化する行動は、所属機関の活動目的が必ずしも自分達やその親族に関する内容でないことから、常に起こるとは限らない。現実問題起こっていない。 また、軍事や司法や警察に対しても国民が提案を行うためには、上記の問題がある。 ### 解決策 - 行政や関連企業が行うすべての仕事(構成員一人の行動レベルまで)を公衆監視できるようにする。 - それに加えて、審議による意見投票と同じように、一定期間でランダムな機関のランダムな仕事を一つ抽出し、それに対する監査を行う。 ## 2. 審議による意見投票の問題 1. 審議による意見投票では、「理解度のテストを行い、テストを通過した審議員のみが投票権がある」が、これは毎回の投票は「理解度テストを通過するような人間」に偏ることになる。 - テストを通過するような人間の共通点があると仮定した場合、今度は多数派(マジョリティ)でも少数派(マイノリティ)でもなく、その共通点をもつ種類の人間に得があるような判断が下される可能性が高い。 - 例としては、大学へ行く人間とそうでない人間のうち、前者のほうが理解度テストを通りやすい → 大学へ行く人間が有利になる政策が策定されやすい、といったことが言える。 - 2. 専門家を選出する人間が必要になる。現代では機械は人の専門分野への理解度を定量化して比較することはできない(人間でもできない)ため、人間が何らかの基準で専門家を選出しなければならない。 基準としては例えば以下が目安になる - 専門分野に対しての能力 - 悪意のある行動(最大多数の最大幸福を侵害する行為すべて)を起こすか、起こさないかの度合い このうち後者に対しては十分な情報があれば万人が判断が行える(と思いたい)、前者に対しては既に専門知識を持っている人間が判断せざるを得ない。 もしくは、専門知識のない人間が専門家を選ぶ選択もできるが、その場合に専門知識に長けている人間ではなく、民衆への説明の納得度が高い専門家が選ばれやすくなる。結局の所美人投票になる。 また、この何らかの基準で専門家を選ぶ人間の選出には、上記の基準を満たしているかを判断する能力できる人間、の選出が必要となるが、同じ問題が起こりうる。 つまり、上記の基準を満たしているかを判断する能力できる人間を判断する能力が万人に備わっているかといえばそうではない。 ### 解決策 - 専門家の選出をすべての専門家が属する組織(例: 弁護士会)によって行う - その組織が腐敗する可能性は低い(すべての専門家が属するので) - ただ、組織への入会条件が自分たちの手によって改悪されれば、専門家集団が自分たちの利権を守ることができる。そのためには組織への行政による監視が必要になる。3権分立のように、審議会と専門家が互いを監視し合う必要がある。 ## 3. 大学組織の問題 審議により意見投票には、様々な分野に対してそれぞれ理解度の深い審議員が必要になるため、高等教育機関である大学運営に力を入れなければならない。 (ここでいう大学運営に力を入れる、は大学への予算配充を指す) 大学運営に力を入れた結果、学生の能力向上に繋がるか、という問題がある。 現状、日本は学歴社会である。ただ学歴と言っても、特にどこの大学を出たというよりかは大卒であるか高卒であるかが就職するときに都市部で重要になっている。 大学へ行くこと=大学卒業の身分を得ること=就職のために大学へ通う、という理由を持つ人間が多い。 - 出身大学による学歴フィルターも企業によっては存在するが、大卒前提の企業の数に対しては無視できるほど少ないと考えているので割愛する。 そのため、大学で学んだ内容が重視されることは少なく、そのため大学での教育に力を入れたところで、審議による意見投票に有益な教養の取得に大学生が力を入れる動機は同じぐらい少ない。 ### 解決策 - 大学組織を、教育機関と就職機関へ分割する。 - 前者を専門知識のある人間の養成機関に、後者を業務能力を就職前に訓練する機関とする。 - 一部の高度な専門知識が必要になる企業以外は、後者の人間を雇用したい。 - この場合、前者へ進学する人間が少なくなってしまう。 - 後者の機関の上位組織として前者の機関があってもいいと思う(進学対象として) - 学歴社会の要因は、大学生が多く希少性が低いことと、雇用する場合に最初の足切りとして大学卒以外を弾くことが、相互に悪循環することで起こっているため、要はその連鎖を断ち切ればいい。 - 大学生の希少性を高める。 - 大学の数と大学生の数を規制する。ただ、文明の発展が遅れる問題がある。 - いっそのこと大学機関を義務教育にする。希少性に価値を持たなくする。 - 雇用する際に大学卒業資格以外の部分で判断させる。 - 過去の経歴や学歴を履歴書から秘匿し、業務遂行能力を何らかの試験で検査する。ただ、この場合コストがかかりすぎる。