# 質疑応答 ## Q:LDPC符号はどうなんですか?(岡田教授より) ## その場での答え (63,51)に近いLDPC符号の生成行列を用意できなかったことを伝えた上で,(576,480)LDPC符号とBER特性比較図を表示した. その後,公平な比較ではないので,(512,426)polar符号とを比較し,polar符号の方が低SNRでは有利であることを示した. ## すべきであった答え WBANでは低消費電力が求められる以上,計算量の問題に関してはシビアなため,LDPC符号の計算量の多さを示すべきであった. もちろん,LDPC符号によってBER特性が劇的に改善されるのであれば一考の余地があるが,polarと比較した上でそこまで変化はなかったことも伝えるべき. つまり,計算量とBER特性両方の点からLDPC符号は不向きであることを伝えるべきであった. ただし,LDPC符号にも様々あり,中には低計算量を優先したLDPC符号もあるので一概にLDPC符号は計算量が多いとまとめるべきでない. <b>LDPC符号は一般的に計算量が多く,低消費電力の求められるWBANでは不向きです.しかし,LDPC符号の中にも低計算量の符号・復号法が存在します.ここに同程度の符号化率であるWiMAXにて用いられている(576,480)LDPC符号のBER特性を示します.このLDPC符号の復号法は一般的なBP floodingによるものであり,CRC連結polar符号と比較しても改善が見られます.しかし,1KB のメッセージを処理するのに必要なCPU時間がかなり大きく,それに対してBER特性の改善度合いがわずかであることから,LDPC符号はWBANには不向きであると言えます.</b> ### 備考 - LDPC符号の計算量が多いことは既知だと思っていて省略をしてしまったが,質問が1対1ではなく,それを全体に伝えるようにしなければならないので,必修科目以外の内容であればそれについても省略せず,全て伝えるべき.(質問相手だけに答えるのではなく全体に対して答えるように) - 質問の途中にてpolar符号はBCH符号より性能が高まるのは教科書にも書いてあること,とあったが,BCH符号は一定ビットの誤りを確実に修正する符号であるのに対し,polar符号はLDPC符号と同様,復号語からその復号語になる確率が最も高い符号語を類推する符号であり,その性能は通信路に左右される.このため,polar符号がBCH符号と比較して性能が高いとは言えない.例えばとても良好なチャネルの場合(確実にBCH符号にて修正できる範囲)はpolar符号の方が性能は低くなる.少なくとも"Elements of Information Theory"ではそのようなことは書いていない. ## Q:そもそもIEEE.802.15.6ではなぜBCHを採用したのですか?(阪口教授より) ## その場での答え 個人的な考えですが,WBANでは患者の生体情報を扱うため,高信頼な通信を求められます.BCHは一定以下の誤りを確実に修正することが出来ますが,polarはLDPCと同様確率的に修正する符号のため,良好なチャネルにおいても誤りを\\ 発生し,このとき誤り伝搬からでたらめな値になると考えられるためです. <b>Q:ということは別の指標も必要になるということでしょうか.</b> 今回はSNRや計算量など一般的な指標のみを示しましたが,実際に標準化にあたっては確かにまた別の指標も必要になるかと思われます. ## すべきであった答え <b>2012年に標準化されたのですが,当時は静的なチャネルのみについてしか検討されていませんでした. そのため,BCH符号で十分修正出来ていたのではと考えられます. しかし,近年では患者の動きにも対応したチャネル,すなわち動的チャネルも検討する必要が有り,特に深刻なフェージング環境ではBCH符号では不十分であったということがこの研究の背景にあります.</b>