<style>
/* basic design */
.reveal h1, .reveal h2, .reveal h3, .reveal h4, .reveal h5, .reveal h6,
.reveal section, .reveal table, .reveal li, .reveal blockquote, .reveal th, .reveal td, .reveal p {
font-family: 'Meiryo UI', 'Source Sans Pro', Helvetica, sans-serif, 'Helvetica Neue', 'Helvetica', 'Arial', 'Hiragino Sans', 'ヒラギノ角ゴシック', YuGothic, 'Yu Gothic';
text-align: left;
line-height: 1.8;
letter-spacing: normal;
text-shadow: none;
word-wrap: break-word;
color: #444;
}
.reveal h1, .reveal h2, .reveal h3, .reveal h4, .reveal h5, .reveal h6 {font-weight: bold;}
.reveal h1, .reveal h2, .reveal h3 {color: #2980b9;}
.reveal th {background: #DDD;}
.reveal section img {background:none; border:none; box-shadow:none; max-width: 95%; max-height: 95%;}
.reveal blockquote {width: 90%; padding: 0.5vw 3.0vw;}
.reveal table {margin: 1.0vw auto;}
.reveal code {line-height: 1.2;}
.reveal p, .reveal li {padding: 0vw; margin: 0vw;}
.reveal .box {margin: -0.5vw 1.5vw 2.0vw -1.5vw; padding: 0.5vw 1.5vw 0.5vw 1.5vw; background: #EEE; border-radius: 1.5vw;}
/* table design */
.reveal table {background: #f5f5f5;}
.reveal th {background: #444; color: #fff;}
.reveal td {position: relative; transition: all 300ms;}
.reveal tbody:hover td { color: transparent; text-shadow: 0 0 3px #aaa;}
.reveal tbody:hover tr:hover td {color: #444; text-shadow: 0 1px 0 #fff;}
/* blockquote design */
.reveal blockquote {
width: 90%;
padding: 0.5vw 0 0.5vw 6.0vw;
font-style: italic;
background: #f5f5f5;
}
.reveal blockquote:before{
position: absolute;
top: 0.1vw;
left: 1vw;
content: "\f10d";
font-family: FontAwesome;
color: #2980b9;
font-size: 3.0vw;
}
/* font size */
.reveal h1 {font-size: 5.0vw;}
.reveal h2 {font-size: 4.0vw;}
.reveal h3 {font-size: 2.8vw;}
.reveal h4 {font-size: 2.6vw;}
.reveal h5 {font-size: 2.4vw;}
.reveal h6 {font-size: 2.2vw;}
.reveal section, .reveal table, .reveal li, .reveal blockquote, .reveal th, .reveal td, .reveal p {font-size: 2.2vw;}
.reveal code {font-size: 1.6vw;}
/* new color */
.red {color: #EE6557;}
.blue {color: #16A6B6;}
/* split slide */
#right {left: -18.33%; text-align: left; float: left; width: 50%; z-index: -10;}
#left {left: 31.25%; text-align: left; float: left; width: 50%; z-index: -10;}
</style>
<style>
/* specific design */
.reveal h1 {
margin: 0% -100%;
padding: 2% 100% 4% 100%;
color: #fff;
background: #c2e59c; /* fallback for old browsers */
background: linear-gradient(-45deg, #EE7752, #E73C7E, #23A6D5, #23D5AB);
background-size: 200% 200%;
animation: Gradient 60s ease infinite;
}
@keyframes Gradient {
0% {background-position: 0% 50%}
50% {background-position: 100% 50%}
100% {background-position: 0% 50%}
}
.reveal h2 {
text-align: center;
margin: -5% -50% 2% -50%;
padding: 4% 10% 1% 10%;
color: #fff;
background: #c2e59c; /* fallback for old browsers */
background: -webkit-linear-gradient(to right, #64b3f4, #c2e59c); /* Chrome 10-25, Safari 5.1-6 */
background: linear-gradient(to right, #64b3f4, #c2e59c); /* W3C, IE 10+/ Edge, Firefox 16+, Chrome 26+, Opera 12+, Safari 7+ */
}
</style>
# 数理モデルを用いた感染症ダイナミクスと集団免疫戦略
技術マネジメント概論
2020年7月6日(月)
長江 剛志
この講義では,以下のプレプリントの解説を行います.
:::success
Akamatsu, T., Nagae, T., Osawa., M., Satsukawa, K., Sakai, T. and Mizutani, D., "Can a herd immunity strategy become a viable option against COVID-19? A model-based analysis on social acceptability and feasibility," medRxiv, 2020. https://doi.org/10.1101/2020.05.19.20107524
:::
講義中,疑問・質問・気になることがあったら,以下のURLからコメント下さい.ニコ動っぽくコメントが表示されます.
https://commentscreen.com/comments?room=200706-covid19nagae
---
# ご注意
長江を含め,この論文の著者は,いずれも,医学や感染症や疫学の専門家ではありません.あくまでも,**感染症ダイナミクスの基本原理**を記述する**シンプルな数理モデル**から,**最小限の仮定**で導き出せることを明らかにし,それを**日本に当て嵌めたらどうなる?** ということを述べたに過ぎません.
そのため,この論文の結果をそのまま具体的な政策として**提言するものではありません**.
また,この論文は**査読前のプレプリント**ですので,現時点では,内容の正当性が学術的に保証されているわけではありません.
---
# はじめに
2019年頃に始まった**新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)**による感染症(COVID-19)の拡大は留まるところを知らない.2020年6月30日時点で,世界全体での感染者は**1000万人**,死者は**50万人**に及ぶ.
中国,イタリア,米国およびブラジルの経験から明らかなように,COVID-19は深刻な**医療崩壊**を招き得る.
現在のところ,効果的な薬理的治療法やワクチンは開発されていないため,多くの国で**非薬理的対策**(NPIs: non-pharmaceutical interventions)が取られている.
---
- 放任(unmitigated)/集団免疫(herd immunity)
- あえて経済活動を制限せず,積極的に感染を進めて**集団免疫**の獲得を目指す(Johnson 英国首相, 3/12)
- [Ferguson report](https://www.imperial.ac.uk/mrc-global-infectious-disease-analysis/covid-19/report-9-impact-of-npis-on-covid-19/)発表(3/16)→「放任」からの方針転換(3/16)→本人も感染(3/27)→入院(4/5)→重篤化しICUに(4/6)→無事退院(4/12).
- 集団免疫と引き換えに**膨大な屍**を積む==危険極まりない政策==と認識されている.
- 緩和(mitigation)
- 学校閉鎖,集会・宴会禁止,活動自粛など“三密”に関わる経済活動の禁止・自粛
- とにかく感染者のピーク時期を遅らせ&抑える.
- 封じ込め(suppression)
- 強制力を伴う社会経済活動全般(外出・交流行動)の禁止
- 感染者を医療崩壊しない水準以下に維持し,==有効な治療手段が見つかるまで耐える政策==.
理想的な封じ込めを実現できているのは,現在,台湾ぐらい.しかし,ワクチン・特効薬の開発には**1年以上かかる**ため,ずっと経済活動を自粛するなんて不可能 → 消去法で考えると ==**集団免疫戦略**以外に出口戦略はない==.
---
# 学者たちは何をしているのか
<center>

</center>
溺れている?
> By one estimate, the COVID-19 literature published since January has reached more than 23,000 papers and is doubling every 20 days—among the biggest explosions of scientific literature ever.
[Brainard, J. "Scientists are drowning in COVID-19 papers. Can new tools keep them afloat?," Science, May 13, 2020.](https://www.sciencemag.org/news/2020/05/scientists-are-drowning-covid-19-papers-can-new-tools-keep-them-afloat)
----
- 詳細・複雑なシミュレーションと高度な統計解析 → 具体的な戦略の決定には必要不可欠だが,**オーダーや分析の方向そのものが間違うと大変なことに**
c.f. 「半自粛おじさん」による「8割おじさん」批判
- 膨大なモデル・パラメータの入力や推定精度によらず,**基本的&シンプルなモデル**から,オーダーを外さない方針("Rule of Thumb")を分析できないか?
→ 本研究のモチベーション
---
# 本研究の目的
**集団免疫戦略**が viable になるための条件:
- 社会的に許容可能である(socially acceptable) : 集団免疫を獲得するまでに覚悟しなければいけない(感染にともなう)死者数が,常識的な範囲内である(c.f. 「42万人が死亡(西浦教授)」などは,到底許容できない).
- 実現可能である(feasible) : 集団免疫を獲得するまでの期間,日々の感染者数が医療サービス容量以内におさまる(e.g. 重症患者数が感染病床数以下である,重篤患者数がICU病床数以下であるなど).
これら2つの条件が満足されるのは,どんな時か?
---
# 本研究で明らかになること
日本を対象とした場合, ==感染致死率が既存の報告(e.g. Verity et al. ,2020)の1/10程度であり,**基本再生産数** が$R_{0}<2.0$程度==という仮定の下では,下記の2つ:
1. 致死率の高い**高齢者**(60才以上)の**徹底的な隔離・保護**
2. **非高齢者**に対する(マイルドな)**経済活動制限**
を組み合わせることで herd immunity 戦略が viable になり得る.すなわち,重症患者数が感染病床数を超えず,かつ,総死亡者数が季節性インフルエンザ程度(年間1万人程度)となる.
なお,日本での感染死亡率の低さ(感染者数の多さ)については,神戸大岩田先生のチーム[18]や東大児玉先生のチーム(5月15日記者会見)など,**臨床的知見** が蓄積されつつある.
---
# 基本再生産数と集団免疫
## 基本再生産数 $R_{0}$
感染症の拡大力を表す重要な指標.(拡大初期において)一人の感染者が,感染期間中に発生させる二次感染者数.
$R_{0}<1$なら感染は収束し,$R_{0}=1$なら感染者数は一定のまま,$R_{0}>1$なら感染が拡大する.季節インフルエンザでは$R_{0}=2$, 麻疹では$R_{0}=17$などと推定されている.COVID-19については,まだ良くわかっていない点もあるが,$R_{0}=2.5$前後とする文献をよく見かける(参考文献[6][7][8]).
---
## 集団免疫
基本再生産数は,**殆どの人が未感染(感受性を有する状態)の場合**の二次感染者数でしかない.もし,社会全体で $p$だけの人口が既に感染済(感染中だったり回復/死亡)の場合,感染者一人あたりの二次感染者数は,
$$
R_{0} (1-p)
$$
になるから,これが1を下回れば,すなわち,社会全体で
$$
p^{\ast} = 1 - \frac{1}{R_{0}}
$$
だけの人口が感染すれば,それ以上感染者が増えることはない.これを**集団免疫**(herd immunity)と呼ぶ.
---
# 集団免疫の社会許容性
集団免疫を獲得するには,人口の$1-R_{0}^{-1}$が感染症に感染する必要がある.従って,
感染致死率を$\phi$ とする場合,
$$
\left(1-\frac{1}{R_{0}}\right) \phi
$$
だけの死者を覚悟しなければならない.
COVID-19の場合,基本再生産数は$R_{0}=2.5$程度[6,7,8] (i.e. $p^{\ast}=0.6$),感染致死率は$0.6\sim0.7\%$程度[9,10,11]と言われているため,人口の$3.6〜4.2\times10^{-3}$程度の死者を出すことになる.日本の人口をざっくり1億人とすると,死者は36〜42万人で,専門家会議の4月15日記者会見とも合致.
この数値を信じる限り,<b style="color:red">集団免疫なんて無理、ゼッタイ。</b>
---
## そこで思考停止する?
- 42万人もの死者は出せない → 他人との接触を8割削減(専門家会議).
- 8割削減なんて無理&無駄. **半自粛**で十分(藤井教授@京都大学).
- 日本にはファクターXが存在(山中教授@京都大学)
[東洋経済オンライン](https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)とかで見てみると,7月3日時点で
- 検査陽性数: 18,950 (人口10万人あたり1.58人)
- 重篤数: 32 (陽性数あたり0.1689%)
- 死亡数: 976 (陽性数あたり5.15%)
となっている(括弧内は対陽性数比).ただし,最近では,血清学的検査(抗体検査)の結果,実際の感染者数は,上述の陽性数より**ずっと多い** (つまり,実際の感染重篤率・死亡率はもっと小さい)という主張が多く見られる.たとえば,
- [独国ガンゲルト市(人口の14%,検査陽性数の5倍が感染)](https://twitter.com/mph_for_doctors/status/1248373159859859463)
- [神戸大学 岩田先生のチーム(400〜850倍!)[18]](https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.26.20079822v2)
- [東京大学 児玉先生のチーム(1000人中7人が感染済)](https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/report/20200604.html)
---
## (大胆な?)仮定をおいた上で"もう一歩前"へ
:::warning
COVID-19に対して以下の2つを仮定:
1. 実際の感染者は,検査陽性者の**10倍程度**である(感染重症率,感染死亡率が既存報告の1/10).
2. 基本再生産数は **$R_{0} \leq 2.0$ 程度**である ($p^{\ast}\approx 0.5$, 全人口の半数程度が感染すればそれ以上拡大しない).
:::
この仮定が当て嵌らない場合,**社会許容性**と**実行可能性**を満足しながら **集団免疫を獲得することはできない**.ワクチン・特効薬が開発されるまでコロナに怯えながら断続的な lockdown をくり返すしかない([e.g. Harvard大チームは2022年まで継続が必要と報告](https://science.sciencemag.org/content/368/6493/860)).
---
# 研究の方針
- 感染症の拡大抑制問題を**最適制御問題**として捉える.
- 感染症ダイナミクスの**基本的性質**を表すシンプルなSIR(*susceptible-infectious-recover*)モデルを用いて,最適な戦略を**半解析的**に求める(==大規模・複雑な数値シミュレーションや高度な統計処理・パラメータ推計を必要としない==).
---
# 提案戦略
上記の仮定の下で,下記2つを組み合わせた戦略を提案:
1. 致死率の高い**高齢者**の**徹底的な隔離・保護**
2. **非高齢者(活動群)** に対する(マイルドな)**経済活動制限**
<table>
<td>

</td>
<td valign="top">
上: 各時刻における感染者数(患者数)
中: 各時刻における既感染者数(患者数+退院・死亡数)
下: 非高齢者の活動水準(0:活動停止, 1:フル活動)
$I_{c}$: **感染者容量**(感染者数の上限)
$I_{\rm peak}$: 制御しない場合の最大感染者数
$A$: 制御戦略下での**最終感染者数**
$p^{\ast}$: 集団免疫閾値
$T^{\ast}$: 活動制限開始時刻(感染者数が上限$I_{c}$に到達する時刻)
$T^{\ast\ast}$: 活動制限終了時刻(活動群内で集団免疫が獲得される時刻)
</td>
</table>
---
# SIRモデル
$$
\newcommand{\HtS}{\hat{S}}
\newcommand{\HtI}{\hat{I}}
\newcommand{\HtU}{\hat{U}}
\newcommand{\ODF}[2]{\frac{{\rm d}{#1}}{{\rm d}{#2}}}
$$
感染症の拡大状況を表現するための数理モデル.Kermack and McKendrick (1927)によって提案された.
- **未感染者** (Susceptible) $\HtS(t)$
- **感染者者** (Infectious) $\HtI(t)$
- **回復/死亡者** (Recovered/removed) $\HtU(t)$ (本当は$R(t)$を使いたいところだが,**再生産数**と混同するので)
総人口を定数$N$とすると, $\HtS(t)+\HtI(t) + \HtU(t)=N$
----
## 感染状況の変化
社会経済活動に参加する各個人は,単位時間あたり$\alpha(t) \in [0, 1]$回,他の個人に接触する(接触相手は活動している相手の中から一様に選ばれる)と仮定. 従って,時刻$t$において,1人の未感染者(S)が単位時間あたりに感染者(I)と接触する機会は $\alpha(t) \HtI(t)$ で表される.
**感染率**(未感染者が感染者との単位接触機会あたりに感染する確率)を定数$\beta \in [0, 1]$で表すと,単位時間あたりに新たに感染する人数は
$$
\eta = \alpha(t) \beta \HtS(t) \HtI(t)
$$
感染者(I)が単位時間あたりに回復(死亡)する確率を,定数$\gamma \in [0, 1]$で表す. 平均的な感染期間を$D$とした場合,$D=1/\gamma$である.単位時間あたりに新たに回復(死亡)する人数は
$$
\zeta = \gamma \HtI(t)
$$
----
未感染者(S)は単位時間あたり$\eta$だけ減少する:
$$
\ODF{\HtS}{t} = -\alpha(t) \beta \HtS(t) \HtI(t)
$$
回復(死亡)者 ( R)は単位時間あたり$\zeta$だけ増加する:
$$
\ODF{\HtU}{t} = \gamma \HtI(t)
$$
感染者(I)は単位時間あたり$\eta$だけ増加し$\zeta$だけ減少する:
$$
\ODF{\HtI}{t} = \alpha(t) \beta \HtS(t) \HtI(t) - \gamma \HtI(t)
$$
----
## SIRモデルの無次元化
上述のSIRモデルをそのまま取り扱うのはちょっと面倒.そこで,以下のようにして無次元化する. 未感染者, 感染者, 回復(死亡)者を,総人口の比で表す:
$$
S(t) = \HtS(t)/N, I(t)=\HtI(t)/N, U(t)=\HtU(t)/N
$$
このとき,$S(t)+I(t)+U(t)=1$.
時間の単位を時計時刻ではなく平均感染期間$1/\gamma$にとる.つまり,$\tau=\gamma t$なる時間軸を考え,$S(\tau), I(\tau), U(\tau)$の$\tau$についてのダイナミクスを考える. $\ODF{t}{\tau} = 1/\gamma$に注意すれば,
$$
\begin{align}
\ODF{S(\tau)}{\tau} &= - \alpha(\tau) R_{0} S(\tau) I(\tau) \\
\ODF{I(\tau)}{\tau} &= \alpha(\tau) R_{0} S(\tau) I(\tau) - I(\tau)\\
\ODF{U(\tau)}{\tau} &= I(\tau)
\end{align}
$$
ここで,$R_{0}=\beta/\gamma$ は**基本再生産数**.
----
簡単のために$R_{\alpha}(\tau) = \alpha(\tau)R_{0}$ とし,$\tau$に関する記述を省略すると,系の動学が以下のようにスッキリ書ける:
$$
\begin{align}
\dot{S} &= - R_{\alpha} SI &
\dot{I} &= \left(R_{\alpha} S-1\right)I &
\dot{U} &= I
\end{align}
$$
ちなみに $R_{\alpha} S$は**実効再生産数**と呼ばれる.
---
# 提案戦略の定式化
まず,総人口$N$のうち,高齢者や基礎疾患保有者など,COVID-19に染感した場合に死亡するリスクの高い個人を,**隔離群**とし,経済活動から隔離し,徹底的に保護する.残る個人を**活動群**は,経済活動(および感染)を担うものとする.
活動群の規模を1に基準化し(i.e. $N\geq1$),時刻$\tau$における活動郡内の未感染者,感染者および回復(死亡)者数を$S(\tau), I(\tau), U(\tau)$で表す.
----
### 感染者容量と活動制限
感染病床数(もしくはICU病床数)は有限であるため,**医療崩壊**を起こさないためには,
$$
I(\tau) \leq I_{c}
$$
である必要がある.ここで,$I_{c}$は,感染重症化(もしくは感染重篤化)確率と感染病床数(もしくはICU病床数)から決まる定数であり,**感染者容量**と呼ぶ.
感染者数(I)のダイナミクスが$\dot{I} = (R_{\alpha}S-1)I = \left\{\alpha R_{0} S - 1\right\} I$で表されることを思い出そう.容量制約を満たすためには,$I(\tau)=I_{c}$となった時点で,$\dot{I} = 0$になればいいから,活動制限によって$\alpha$を以下にすることで,感染者数は$I(\tau) = I_{c}$のまま推移する.
$$
\alpha(\tau) = \frac{1}{R_{0} S(\tau)}
$$
----
### 活動制限の解除
この間,未感染者数は以下の式:
$$
\dot{S} = - R_{\alpha} SI = -I = - I_{c}
$$
に従って減少していくので,活動水準$\alpha$は徐々に増加する(制限が緩和される).未感染者数が
$$
S = \frac{1}{R_{0}} = 1-p^{\ast}
$$
となった時点で活動制限を解除してよい(i.e. $\alpha=1$).このとき,==活動群内では**集団免疫が獲得**できている==ため,それ以上は感染者が拡大することはない.
----
### 活動制限下での最終感染者数
上記の活動制限の下で,最終的にどれだけの人数が感染するのか(i.e. **最終感染者数** $U^{\ast} = \lim_{\tau\rightarrow\infty}U(\tau)$) を求めたい. 実は,==ちょっとした数学のテクニック==を使うと,活動制御下での最終感染者数
は,以下の方程式:
$$
U^{\ast} = 1 - v - \frac{\ln \left(1-U^{\ast}\right)}{R_{0}}, \quad
v = I_{c} + \frac{1 + \ln R_{0}}{R_{0}}
$$
に従うことが証明できる(興味がある人は論文のA.1を参照).
### 高齢者隔離解除のタイミング
活動群が集団免疫を獲得した後,十分な時間$T^{\ast\ast} < T^{\ast\ast\ast}$が経過して$I(T^{\ast\ast\ast})$ が十分に小さくなった後であれば,高齢者の隔離を解除できる.このとき,高齢者の中から感染者が生じることはないと仮定できるから,社会全体での最終感染者数は $A = U^{\ast}$ と表せる.
---
# 提案戦略の社会許容性と実現可能性
## 社会許容性
活動群の感染致死率を$\phi$ とすると,社会全体では$\phi A$だけの個人が死亡することになる. いま,社会が許容できる感染死亡数を$\bar{N}$と表すと, 提案戦略が社会的に許容されるためには,以下を満足する必要がある.
$$
\phi A \leq \bar{N}
$$
この条件が満たされるか否かは,最終感染者$A$, 活動群の平均感染致死率$\phi$および社会的に許容可能な感染死亡数$\bar{N}$が判れば,==ただちに判別できる==.
----
## 感染者容量 $I_{c}$ に関する条件
### 実現可能性(0): 緩和の上限
==ちょっとした数学のテクニック==を使うことで,放任主義($\alpha=1$)場合の感染者数$I(\tau)$の上限が
$$
I_{\rm peak} = 1- \frac{1+R_{0}}{R_{0}}
$$
となることが証明できる.放任よりも活動制限を緩和することはできない(i.e. 感染者容量$I_c$がこのピークを上回ることはできない)から,
$$
I_{c} \leq I_{\rm peak}.
$$
----
### 実現可能性(1): 医療サービス容量
感染者(I)は,ある一定の割合$\theta$ で重症化(もしくは重篤化)し,単位時間(=平均感染期間)の間,感染病床(もしくはICU病床)を占有すると仮定する.
人口$N$全体で$\mu$だけの感染病床数(もしくはICU病床)があるとすると,活動群規模($=1$)あたりの病床数は$N \mu$となるから,提案戦略が医療崩壊を招かないための条件は,感染者容量$I_{c}$が以下を満たすとき:
$$
I_{c} \leq I_{\max} = \frac{N\mu}{\theta}
$$
----
### 実現可能性(2): 集団免疫獲得
社会全体で集団免疫を獲得するためには,活動群内の最終感染者数(i.e. 社会全体の感染者数) $A = U^{\ast}$が,社会全体の集団免疫閾値$p^{\ast} N$を下回ってはならない:
$$
A \geq p^{\ast} N
$$
==ちょっとした数学のテクニック==により,最終感染者数は,感染者容量$I_{c}$について**非減少**であることが示せることから,この条件は,感染者容量に関する以下の不等式で表される:
$$
I_{c} \geq I_{\min} = I_{\rm peak} - p^{\ast} N - \frac{\ln(1-p^{\ast} N)}{R_{0}}
$$
----
## 感染者容量 $I_{c}$ に関する条件まとめ
感染者容量$I_{c}$についてのここまでの条件は,以下のようにまとめられる:
$$
I_{\min} \leq I_{c} \leq \min\left\{I_{\max}, I_{\rm peak}\right\}
$$
ただし,
- $I_{\rm peak} = 1- \frac{1+R_{0}}{R_{0}}$
- $I_{\max} = N \mu /\theta$
- $I_{\min} = I_{\rm peak} - p^{\ast} N - \frac{\ln(1-p^{\ast} N)}{R_{0}}$.
以下はパラメータ:
- $R_{0}$: 基本再生産数
- $p^{\ast} = 1 - 1/R_{0}$: 集団免疫閾値
- $N$: (活動群規模を1とした)人口全体の規模
- $\mu$: 人口全体での感染病床数(もしくはICU病床)
- $\theta$: 活動群の平均感染重症化率(もしくは感染重篤化率)
----
$I_{\min}$と$I_{\rm peak}$は,基本再生産数$R_{0}$と活動群の規模$n=1/N$のみで特徴づけられる.ここに医療容量に応じた$I_{\max}$を書き加えれば,提案戦略の実現可能性を分析できる(後述).

Figure 2. 基本再生産数$R_{0}$ごとの $I_{\min}$と $I_{\rm peak}$.
---
# 日本を対象とした数値例
使ったデータ:
- 活動群/隔離群の構成方法と集団規模:
ある年齢以上を隔離群とし,その基準年齢として(1)50才, (2)55才, (3)60才, (4)65才の4ケースを採用.各ケースについての集団規模$N$は,厚生労働省の年齢別人口から算出.
- 比較対象として(0)隔離政策を取らない場合も分析.
- 各ケースについての活動群の感染致死率$\phi$および感染重症化率$\theta$:
Verity et al.(2020)[9]の表1と表3に,日本の年齢別人口を乗じて導出.他の報告もだいたいオーダーはあまり変わらない.
Table 1: 活動群の規模と感染重症化率・感染死亡率
||Case 0| Case 1| Case 2 | Case 3|Case 4|
|---|---|---|---|---|---|
|活動群年齢|全員|〜49才|〜54才|〜59才|〜64才|
|$n=1/N$|1 | 0.52 | 0.59|0.65|0.71|
|感染重症化率$\theta$(%)|7.5|2.1|2.8|3.3|4.0|
|感染致死率$\phi$(%)|1.9|0.066|0.13|0.17|0.34|
----
### 社会的許容性
Table 2: 集団免疫獲得までの死亡者数(単位:千人)
|基本再生産数$R_{0}$|集団免疫閾値$p^{\ast}$|Case 0| Case 1| Case 2|Case 3| Case 4|
|---|---|---|---|---|---|---|
|1.5|0.41|790|27|53|72|140|
|2.0|0.50|1200|41|80|110|210|
|2.5|0.60|1400|-|-|130|260|
※空のセルは活動群の規模が小さすぎるために,社会全体の集団免疫を獲得できない.
:::danger
実際の感染死亡率が Verity et al.(2020)の**報告どおりだとすると**,現状で死亡者が1000人に満たない日本で集団免疫戦略が許容されることは**あり得ない!!**
:::
----
:::success
→ 感染死亡率が報告の 1/10 と仮定することにしよう
- 無症状の感染者が多数存在するという報告がある[15-17].
- 日本を対象とした**血清学的抗体検査**の結果,実際の感染者が検査陽性数の400〜850倍と推計する報告もある[18].
:::
Table 2(改): 死亡率を1/10とした時の集団免疫獲得までの死亡者数(単位:千人)
|基本再生産数$R_{0}$|集団免疫閾値$p^{\ast}$|Case 0| Case 1| Case 2|Case 3| Case 4|
|---|---|---|---|---|---|---|
|1.5|0.41|79|2.7|5.3|7.2|14|
|2.0|0.50|120|4.1|8.0|11|21|
|2.5|0.60|140|-|-|13|26|
:::warning
季節性インフルエンザの年間死亡者数1万人を社会的許容可能性の目安とすると, Case 4 は厳しい.
:::
---
### 実行可能性
厚生労働省の調査による感染病床数 $\mu = 31,077$ を利用.各ケースにおける実効医療容量$I_{\max}=N\mu/\theta$と,$I_{\min}$および$I_{\rm peak}$.

:::success
**Case 3**(60才以上を隔離)で,$R_{0} \leq 2.0$ならば, かろうじて医療崩壊を免れつつ,集団免疫を獲得できる!!
:::
なお,重症化⇔感染病床数の代わりに重篤化⇔ICU病床数を使っても殆ど結果は代わらない.
---
# おわりに
本研究では COVID-19 を対象として,**集団免疫戦略(herd immunity)**が**社会的許容**かつ**実現可能**となるための条件を明らかにした.
特に,基本再生産数$R_{0}$のみに基づいて $I_{\min}, I_{\rm peak}$を(半解析的に)求めることで,ある程度の実行可能性が判断できることを明らかにした.
その上で,日本を対象とした数値計算を行ない,
- 感染致死率・感染重症化率が一般的な報告の1/10
- 基本再生産数$R_{0}\leq2.0$
なる仮定の下で,60才以上の高齢者を完全に隔離し,残った活動群に対してマイルドな活動制限を加えることで,医療崩壊を免れながら集団免疫を獲得できることを明らかにした.
---
# 参考文献
[1] World Health Organization. Coronavirus disease (COVID-2019) situation report 118, 10:00 CEST, 17 May 2020. Available from: https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus- 2019/situation-reports/.
[2] Andreas Handel, Ira M. Longini Jr., and Rustom Antia. What is the best control strategy for multiple infectious disease outbreaks? Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 274(1611):833–837, 2007.
[3] Neil Ferguson, Daniel Laydon, Gemma Nedjati Gilani, et al. Report 9: Impact of non-pharmaceutical interventions (NPIs) to reduce COVID19 mortality and healthcare demand. Imperial College London, 16 March 2020. https://doi.org/10.25561/77482.
[4] Patrick G.T. Walker, Charles Whittaker, Oliver Watson, et al. Report 12: The global impact of covid- 19 and strategies for mitigation and suppression. Imperial College London, 26 March 2020. https: //doi.org/10.25561/77735.
[5] Marius Gilbert, Mathias Dewatripont, Eric Muraille, Jean-Philippe Platteau, and Michel Goldman. Preparing for a responsible lockdown exit strategy. Nature Medicine, pages 1–2, 2020.
[6] Andrea Remuzzi and Giuseppe Remuzzi. COVID-19 and Italy: What next? The Lancet, 2020.
[7] Qun Li, Xuhua Guan, Peng Wu, Xiaoye Wang, Lei Zhou, Yeqing Tong, Ruiqi Ren, Kathy SM Leung, Eric HY Lau, Jessica Y Wong, et al. Early transmission dynamics in wuhan, china, of novel coronavirus– infected pneumonia. New England Journal of Medicine, 2020.
[8] Joseph T. Wu, Kathy Leung, and Gabriel M. Leung. Nowcasting and forecasting the potential domestic and international spread of the 2019-nCoV outbreak originating in Wuhan, China: A modelling study. The Lancet, 395(10225):689–697, 2020.
[9] Robert Verity, Lucy C. Okell, Ilaria Dorigatti, Peter Winskill, Charles Whittaker, et al. Estimates of the severity of coronavirus disease 2019: A model-based analysis. The Lancet Infectious Diseases, 2020. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30243-7.
----
[10] Timothy W. Russell, Joel Hellewell, Christopher I. Jarvis, Kevin Van Zandvoort, Sam Abbott, Ruwan Ratnayake, Stefan Flasche, Rosalind M. Eggo, W. John Edmunds, and Adam J. Kucharski. Estimating the infection and case fatality ratio for coronavirus disease (COVID-19) using age-adjusted data from the outbreak on the Diamond Princess cruise ship, February 2020. Eurosurveillance, 25(12):6–10, 2020.
[11] Henrik Salje, Cécile Tran Kiem, Noémie Lefrancq, Noémie Courtejoie, Paolo Bosetti, Juliette Paireau, Alessio Andronico, Nathanaël Hozé, Jehanne Richet, Claire-Lise Dubost, Yann Le Strat, Justin Lessler, Daniel Levy-Bruhl, Arnaud Fontanet, Lulla Opatowski, Pierre-Yves Boelle, and Simon Cauchemez. Estimating the burden of sars-cov-2 in france. Science, 2020.
[12] William Ogilvy Kermack and Anderson G. McKendrick. A contribution to the mathematical theory of epidemics. Proceedings of the Royal Society: Series A, 115(772):700–721, 1927.
[13] Andreas Handel, Joel Miller, Yang Ge, and Isaac Chun-Hai Fung. If long-term suppression is not possible, how do we minimize mortality for COVID-19 and other emerging infectious disease outbreaks? medRxiv, 2020.
[14] Ministry of Internal Affairs and Communications. Annual report: Population esti- mates, 2019. https://www.e-stat.go.jp/en/stat-search/files?&toukei=%0A00200524&tstat= 000000090001&stat_infid=000031921672.
[15] Hendrik Streeck, Gunther Hartmann, Martin Exner, and Matthias Schmid. Vorläufiges Ergebnis und Schlussfolgerungen der COVID-19 Case-Cluster Study (Gemeinde Gangelt), 9 April 2020. Universität- sklinikum Bonn.
[16] Kenji Mizumoto, Katsushi Kagaya, Alexander Zarebski, and Gerardo Chowell. Estimating the asymp- tomatic proportion of coronavirus disease 2019 (COVID-19) cases on board the diamond princess cruise ship, Yokohama, Japan, 2020. Eurosurveillance, 25(10):2000180, 2020.
----
[17] DesmondSutton,KarinFuchs,MaryD’Alton,andDenaGoffman.UniversalscreeningforSARS-CoV-2 in women admitted for delivery. New England Journal of Medicine, 2020. c2009316.
[18] Asako Doi, Kentaro Iwata, Hirokazu Kuroda, Toshikazu Hasuike, Seiko Nasu, Aya Kanda, Tomomi Nagao, Hiroaki Nishioka, Keisuke Tomii, Takeshi Morimoto, and Yasuki Kihara. Estimation of sero- prevalence of novel coronavirus disease (COVID-19) using preserved serum at an outpatient setting in Kobe, Japan: A cross-sectional study. medRxiv, 2020.
[19] LabourMinistryofHealthandWelfare.Numberofbedsfornovelcoronavirusinfections,2020.https: //www.mhlw.go.jp/content/10900000/000628694.pdf (accessed 14 May 2020).
[20] Ari Altstedter. Infect everyone: How herd immunity could work for poor countries. Bloomberg, 21 April 2020. https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-21/a-herd-immunity-strategy- could-actually-work-in-youthful-india (accessed 23 April 2020).
[21] Stephen M. Kissler, Christine Tedijanto, Edward Goldstein, Yonatan H. Grad, and Marc Lipsitch. Pro- jecting the transmission dynamics of sars-cov-2 through the postpandemic period. Science, 2020.
[22] M. Gabriela M. Gomes, Ricardo Aguas, Rodrigo M. Corder, Jessica G. King, Kate E. Langwig, Caetano Souto-Maior, Jorge Carneiro, Marcelo U. Ferreira, and Carlos Penha-Goncalves. Individual variation in susceptibility or exposure to SARS-CoV-2 lowers the herd immunity threshold. medRxiv, 2020.
[23] Daron Acemoglu, Victor Chernozhukov, Iván Werning, and Michael D Whinston. A multi-risk SIR model with optimally targeted lockdown. Technical report, National Bureau of Economic Research, 2020. NBER Working Paper No. 27102.
[24] Amy K. Winter and Sonia T. Hegde. The important role of serology for COVID-19 control. The Lancet Infectious Diseases, 21 April 2020. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30322-4.
----
[25] Nicholas C. Grassly, Marga Pons-salort, Edward P. K. Parker, Peter J. White, et al. Report 16: Role of testing in COVID-19 control. Imperial College London, 23 April 2020. Avail- able from: https://www.imperial.ac.uk/mrc-global-infectious-disease-analysis/covid-19/ covid-19-reports/ (accessed 24 April 2020).
[26] Office for National Statistics.Estimates of the population for the UK,England and Wales, Scotland and Northern Ireland, 2020. Available from: https://www.ons.gov.uk/peoplepopulationandcommunity/populationandmigration/populationestimates/ (accessed 29 April 2020).
[27] The Japanese Society of Intensive Care Medicine. Number of ICU/HCU beds by prefecture, 2020. https://www.jsicm.org/news/upload/icu_hcu_beds.pdf (accessed 15 May 2020.
{"metaMigratedAt":"2023-06-15T10:15:31.730Z","metaMigratedFrom":"YAML","title":"数理モデルを用いた感染症ダイナミクスと集団免疫戦略","breaks":true,"lang":"ja","slideOptions":"{\"theme\":\"white\",\"slideNumber\":\"c/t\",\"center\":false,\"transition\":\"none\",\"keyboard\":true,\"width\":\"93%\",\"height\":\"100%\"}","contributors":"[{\"id\":\"561d3e93-3f17-4825-8be0-05947b354c5e\",\"add\":26146,\"del\":3240}]"}