# <center>共ロボ2021<br>「"Flipped-Bottle" Cafe」<br>のうらがわ</center> こんにちは。むらつばです。 共ロボをするのも恐らくこれが最後となるため、いつか誰かのために書き残しておきます。 ## 共ロボ2021におけるフロー そもそも2020年度のオフシーズンのルールを担当することはないと思ってたんですけどね #### 0.前提の確認 本家高専ロボコンがイレギュラーな開催形式であった(はぴ☆ロボ自慢)ため、現役からは対戦競技が求められているらしい。難易度は去年の共ロボよりは低めに。 今回はオンライン開催の可能性があるので * 干渉なし * Vゴールなし(どちらが先にVゴールしたか、を判定するのが難しいため) のルールが望ましい。つまり **制限時間いっぱいの得点勝負** とする。 最近のトレンド **「不安定要素」「自動制御」** も取り入れていきたい。 可能であればフィールドはロンリウム2枚で収まるように作りたい。 #### 1.裏テーマ そろそろ「積む」があってもいいよね #### 2.積めるものをいっぱい出そう! 箱系?(お菓子とか) ロール系?(養生テープとか) 2つのアイテムを交互に積む? #### 3.アイテム決定(ここで2案までしぼる) ペットボトルは2018のボトルフリップカフェでノウハウがまだ残ってそう? でもサイズ感も競技内容も異なればいいのでは #### 4.ゲームバランスを考えつつ,フィールドをつくる テーブルに逆さ立てするの適度に難しそう とりあえず全チーム点数が取れる仕組みにしたいので、同じ機構でも達成できるようなもう少し難易度低めの課題→コップ(後の養生テープ)に立てる? 養生に全部入れたら得点あげても良さそう 逆さペットボトルガチ勢なら逆転できるくらいの点数調整が望ましい 自動と手動で点差つける? #### 5.とりあえず点数決めてみる - 養生に入れると1点/本 - 3本立てたら逆さフェーズ - 養生コンプリートボーナス:10点 - 逆さに立てると手動:5点/本,自動:10点/本 #### 6.テーマ名を考え始める 実は「逆さにしたペットボトル」を表現する単語として「Flip」は使えないのではないかという議論がありましたが…… #### 7.細かいとこを練る セッティングタイム中にペットボトル立てるのどう? ペットボトルの破損の条件が謎 などいろいろ #### 8.ルールブックの草案を2案分作る 参考:[当時の資料「“Flipped-Bottle” Cafe (仮題)」の草案](https://hackmd.io/@mrtb/ryAl20Qzv) 実際には、もうひとつの案についての草案も同時に作成されました もうひとつの案についてはいつかどこかで復刻するかもしれないので非公開 #### 9.議論により案を1つに絞る 今回は「“Flipped-Bottle” Cafe (仮題)」でいきましょう #### 10.第0回FAQを作る #### 11. ありがたいお言葉を依頼する はなもり!よろしく!(いつもの) ## 第0回FAQとは 上のフローでも出てきた第0回FAQですが、皆さんご存知の通り本家には無い要素です。 本家高専ロボコンには「ルールブックの癖」が存在し、そのひとつに **ルールのあまりに細かすぎる(だがロボコニストなら気になる)ポイントは、基本的にはルールブックではなくFAQで定義する** というものがあります。 高専ロボコンは「分かってはいるけど一応聞いておきたい点」をわざわざ質問することも醍醐味の一つだとは思います。しかし、それを行うことによって質問の回答待ちでチームの動きが止まってしまう時間がどうしても発生してしまいます。低学年からなるチームなら尚更です。その時間を如何にうまく使うかこそが教育との意見もありましたが、課題に対してどのような解決を提示できるかに時間を費やすべきと考え、今回は **ルールブックには書きたくないけど、ルールを出したらどうせ聞かれる内容** に関しては第0回FAQという形式で提示することとしました。 この方法はルールが発表されてからロボット作成までの時間が短いオフシーズンの校内ロボコンなどにおいては非常に有効であると考えています。 第1回FAQで回収した質問のうち、約半数の質問がルールブックで定義済みの内容であり、もう半分の質問もロボットのアイデアに大きく関係しないと考えられるような内容でした。 ## 今回のルール/FAQについて ### ペットボトルの設置 :::info **FAQ Ⅳ-1 ③ セッティングタイム** Q2:カウンターにペットボトルを設置する際、ペットボトルの向きについて指定はありますか? A2:ペットボトルの姿勢についての制限はありません。 ::: 今回は難易度低めのルールに、と考えて作ると常識的な正解が狭くなりがちです。そのような状況下で選択肢をいくつか与えることでアイデアの広がりを持たせるためにもこのようなルールを採用しました。 ### ダイスロール :::info **Ⅳ-1 ① カウンターの位置を決定** 試合前、主審が6面ダイス(サイコロ)を振り、カウンターの位置を決める。 その後、決定した位置にカウンターを、その他の位置8か所にコースターを設置する。 ::: このルールは、毎回全く同じフィールドで同じ動きをする、ということが少なくなってきていることを踏まえたものです。また「相手チームと一緒に競技してる感」の演出にも役立ったと思います。 ### コースターの間隔 コースター同士の間隔は確か(投げるなど何かしらの工夫をしない限りは)同時に3つ置くことができない間隔にしました。この制度でコースターコンプリートボーナスのバランスを取り、同時に複数個置く機構のうまみを小さくしたつもりです。 私たちはテーブルへの大量得点([後述](#%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%9C%AC%E6%95%B0))のアイデアに対してコースターにも置くメリットを付与しようとした結果としてこのように調整しました。しかし結果的に、手動ロボットでコースター3本+テーブル3本を得点してもコースターコンプリートボーナスのほうが点数が高いように、テーブルに厳しめの配点となってしまいました。 ### カウンターにおけるペットボトルの本数 :::info **Ⅳ-1 ⑤ a) チームメンバーによる補充** ・カウンターに同時に置くことが出来る本数は6本までとする。 ::: お茶や水でよくある**四角いペットボトルをぎっちり並べて横から挟むように一気に掴んでそのままテーブルに運ぶことで簡単に大量得点を狙う行為**の制限です。実際にペットボトル6本を逆さまにして並べたものを2冊の本で挟んで持ち上げてもう一度置くということに成功してしまったため、これは大問題だということで会議が開かれました。 カウンターにおける本数を制限しても、このアイデアがやたら強いことには変わらないと考えました。しかしテーブルの広さを考えたときにこの方法で複数回置くとなると詰めて置くのは難しくアイデアが求められるということで、1度に6本となりました。 ルールを作る側の想定解はこのアイデアでしたが、ミドルへの出場6チームにはこのアイデアはいませんでしたね。試作した結果この方法で安定して置くことは難しかったという話があったりなかったり。 ### ロボットがフィールド外にペットボトルを落とした際の対応 :::info **オリエンテーション資料** ロボットがペットボトルを自陣フィールド外に出してしまった場合、反則とはせず、任意のタイミングでそのペットボトルをチームメンバーが取り除くことができ、その後カウンターに戻すことで再利用することができる。 ::: この件についてはルールブックとFAQで全く同じ事例について完全に矛盾した記述がされており、大会直前に気づいたためオリエンテーション資料での告知となってしまいました。 アイテムのフィールド外に出す際に反則を取るかは、その危険度によって判断します。今回の場合、フィールド端においてあるカウンター上のペットボトルにロボットが触れてフィールド外に落ちた場合の危険を考えたときに、反則を取るのは重すぎる上にどのペットボトルがフィールドから出たものかを判断するのが厳しく審判の対応も難しいことから上記のような対応を取ることとなりました。 ---- ## 北九州・大分 ミドルロボコン2021 共同ロボコンは出場校が4校に満たなかったことから残念ながら中止となりました。 ですが、共ロボに参加を表明していた高専の運営委員と協議し、共ロボ2021のルールを使って「北九州・大分 ミドルロボコン2021」を開催することとなりました。 ### 「オンライン大会」について オンライン大会は当然初めての試みであったため、全てが手探りの状態でした。 また今回の大会は平日に行われたため、社会人OBが運営に参加できず、本来の競技委員からは私ひとりで開催という形をとらざるを得ませんでした。 更に本来であれば大会前日にテストランを行いたかったところですが、各高専の都合上厳しいという声があり、1日でテストランから大会と撤収までを行う必要がありました。 ### スタッフ向け資料 本来は大会前日のリハーサルなどで説明する内容については、当日スタッフに説明できる人員がいないことより資料を前日に配布する形をとりました。それぞれの役割ごとに細かい指示を作成し、現地のスタッフにそれに従って動いてもらうようお願いしました。 この点の誤算は、北九州の現地スタッフ陣にほとんどオフライン大会のピットやメンバーを経験した人がいなかったということです。 「テストランの1回目と2回目以降の意味」「試走場とはどういう場所か」など細かいところの共有をしておくべきでした。 ### 得点が表示されるタイマーについて 試合中の得点はリアルタイムで反映されて欲しかったため、Googleスプレッドシートを使って現地のスタッフにリアルタイムで得点を編集してもらうことで同期を行いました。得点の編集は、獲得できるポイントごとにチェックボックスをたくさん用意しておくことによってリアルタイムの編集しやすくしました。現地で得点の集計が終わったら「得点確定ボタン」を押すことによって実況に伝える仕組みは、第1回の集計が終わったことの確認にもたついた反省を生かした良い解決が出来たと思っています。 参考:[当日使用したスプレッドシート](https://docs.google.com/spreadsheets/d/1fOMXwPN3VLGaiTzL8LyAepdA6gaNd4EH5wYmwGmdbRk/edit?usp=sharing) 記入された得点は、OBSでタイマーの表示と合成したものを仮想カメラに出力し、それをZoomで配信しました。これにより現地で得点とタイマーを常にモニターに表示させるようにしました。 また、実況や司会進行が今の試合でどこが戦っているのかわかりやすくするためのシートも作っておきました。仕組みはごく単純なものですが、実況には好評だったようです。 ### 当日の運営 当日は以下のような構成で運営を行いました。 ![](https://i.imgur.com/HMIKoHQ.png) ### 表彰式でのミス 表彰式で、表彰する言葉とチームを間違えるというとんでもないミスをしてしまいました。 今回の大会は動ける人員が非常に少なく、審査員の枠を全く考えることが出来ていなかったことにより発生したものです。 このことについて司会・実況はこの事態を重く受け止め、大会終了後に「協賛」を通して当該チームに謝罪し、「司会実況特別賞」として賞状と副賞の贈呈を行いました。 ### オンラインならではの不正 ミドルロボコン終了後、出場した1つのチームの不正が発覚しました。その内容は「競技委員会に申告せずにチームメンバーの変更を行った」というもので、この規定違反に対して競技委員会はそのチームが受けた各賞を剥奪する制裁を行いました。 この一連の中で、チームが現地で起こっていることに関する虚偽の報告を行ったとしても競技委員会がそれを確認することは非常に難しいことを再認識しました。このような事態を未然に防ぐためには、現地のスタッフを通して遠隔の競技委員会に報告するような体制でなければならなかったと考えています。 なお本件を受けて、大会のアーカイブ動画は限定公開とさせていただきました。 ## 今後の「共ロボ」について 共ロボのルールのほとんどは、とある2人のあばうたぁ〜ずOBが考えたものです。ルールを作る依頼が来て、なんとか今のロボコンに合いそうなルールを考えて開催しては賛否さまざまな反響をいただく、という流れを数年間やってきました。 共ロボはもともと北九州高専のミドルロボコンが九ロボ(九州沖縄ロボコン交流会)のサブコンテンツとして持ち込まれたものです。2021年現在、コロナ禍の影響で九ロボが2年連続で開催できず、それに伴うかたちで共ロボのオフライン開催ができない状況にあります。 九ロボの幹事団は数年前から人数がだんだん少なくなっている中で、そこにコロナ禍の影響も重なった結果、昨年(2020年)に中止を決定した時から全く動いていない状況です。ここ数年間ルールをメインで作っている1人が「もう引退でしょ」と言ったのをもう1人が「まだ求めている人がいますから」と引き止めていましたが、もうルールを依頼してくる人もいなくなりました。私が5年生の時に1年生だった後輩たちも今年で卒業ですし、きっと我々もそういう時期なのでしょう。