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title: 次元解析とオーダー推定

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次元解析とオーダー推定
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- 宇宙物理学に限らず、物理学全般において、モノの振る舞いを大雑把に調べる手段として、**次元解析**や**オーダー推定**（大雑把な議論をすること）という手法が非常に強力です。
- きちんと計算をすることは言うまでもなく重要ですが、その計算をする事前準備や検算、「何を無視して何を考慮するべきか」という物理的な本質を見極めることなどに対して、次元解析やオーダー推定は極めて重要な意味を持ちます。
- 宇宙における構造を取り扱う場合、精密な計算や観測ができないケースがしばしばあります。そのような場合、次元解析やオーダー推定を駆使することで、理論と現実が確からしいかどうかを議論することができるのです。

次元解析
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### 例題：振り子の周期を大雑把に見積ってください。
- **やり方：振り子の運動に関わる物理量をうまく組み合わせて、時間の単位を持つ組み合わせを作ります**。
- 振り子の運動を思い浮かべてもらうと、この運動に関係するのは、振り子のひもの長さ$l\ {\rm [m]}$, 振り子にぶら下げた物体の質量$m\ {\rm [kg]}$, 重力加速度$g\ {\rm [m/s^2]}$であることがわかるでしょう。
- この3つの物理量だけを組み合わせて、時間の単位$\rm [s]$を持つ量を作り出せる組み合わせは、
$\sqrt{l/g}\ {\rm [s]}$
の1パターンしかありません。
- 運動方程式を解くことで導かれる、実際の振り子の周期は$2\pi \sqrt{l/g}\ {\rm [s]}$であることが知られています。
- これらを見比べると、確かに$2\pi$倍のズレはあれど、関係する物理量を組み合わせるだけで、**「ぶら下げる物体の質量は関係ない・ひもの長さだけで決まる」という本質的な要素を（難しい計算なしに）正しく推測できている**ことがわかります。
- このように、その物理現象に関わる物理量の単位に着目することで、大雑把に運動の性質を推測する技のことを**次元解析**と言います。

### $2\pi$倍のズレは気にしなくていいのか？
- もちろん、次元解析だけで完全に正しい結論を導くことはできません。これはあくまで、**物理的直感の裏付け・思考の補助**です。あくまで大雑把な議論をしたいので、逆に数倍程度の精度で推測できているという事実こそ大成功の証拠でしょう。
- それから、これは宇宙物理学に特有の感覚ですが、**定数倍程度のズレは過剰に気にしなくてOKな場合も多い**です。宇宙の観測をする場合、そもそも精密な観測が難しい（現在はそうでもなくなってきていますが）ので、観測の誤差の範囲に収まることもあります。定数倍程度のズレを気にするより、**その現象が大雑把にどのような物理プロセスで説明できるかをはっきりさせることの方がよほど重要**なのです。

オーダー推定
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- 次元解析に加えて、**具体的な数値を代入することで、知りたい物理量の大雑把な値を知ることができます**。
- 次元だけでなく、例えばエネルギーや運動量の保存則などの基礎的な物理法則を適用して、物理量の大雑把な値を見積もることも多いです。
- 例えば振り子の周期$\sqrt{l/g}\ {\rm [s]}$において、仮に10 mの振り子の周期を見積もりましょう。単純に、$l=10\ {\rm m},\  g=9.8\simeq 10\ {\rm m/s^2}$を代入すると、この振り子の周期はおよそ1秒程度であると推測できます。
- 実際には定数倍程度のズレはある可能性が高いので、**大雑把に見積もるならば、この振り子の周期はまあ大体数秒くらい**と言えるでしょう。
- このように、実際に値を代入して結果を大雑把に予想することを**オーダー推定**といいます。「オーダー」に対応する日本語は「桁」です。つまり、数秒？数十秒？数百秒？みたいな**大雑把な値の桁（10の何乗か）を見積もることがオーダー推定**です。「定数倍程度のズレは許容できても、さすがに10倍や100倍のズレを許容するのはやりすぎだろう」みたいな雰囲気です。
- 自在にオーダー推定ができるようになると、予想以上に生活の質が上がります。物理的な対象でなくとも、日常的にこういった概算ができるようになるとしばしば役に立ちますよ。

練習してみましょう
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- 次元解析や基礎的な物理法則を用いて、大雑把に値を見積もる練習をしてみましょう。
- 与えられた条件に加えて、その現象と密接に関わるさまざまな物理定数を使うこともあります。状況に応じて以下の物理定数を使ってください。余裕があれば、以下の練習問題でも自分で適当な値を設定し、その値を概算してみてください。
    - 重力加速度（地上での重力で重要な定数）：$g=9.8\ {\rm [m/s^2]}$
    - 重力定数（重力で重要な定数）:$G=6.67\times 10^{-11}\ {\rm [N \cdot m^2 \cdot kg^{-2}]}$
    - ボルツマン定数（熱力学で重要な定数）：$k_B=1.38\times 10^{-23}\ {\rm [J/K]}$
    - 素電荷（電磁気学で重要な定数）：$e=1.60\times 10^{-19}\ {\rm [C]}$
    - 真空の誘電率（電磁気学で重要な定数）：$\epsilon_0=8.85\times 10^{-12}\ {\rm [F/m]}$
    - 電子の質量：$m_e = 9.10\times 10^{-31} \ {\rm [kg]}$
    - 陽子の質量：$m_p = 1.67\times 10^{-27} \ {\rm [kg]}$
    - 光速（速度が非常に速くなる際に重要な定数）：$c=2.99\times 10^{8}\ {\rm [m/s]}$
    - アボガドロ定数（原子などで重要な定数）：$N_A=6.02\times 10^{23}\ {\rm [mol^{-1}]}$
    - プランク定数（原子などミクロの世界で重要な定数）：$h=6.62\times 10^{-34}\ {\rm [J \cdot s]}$
- 次元解析やオーダー推定では、物理量の単位を自在に操れることが必須です。もしわからない単位が出てきたら、これまでに習った公式などを思い出しつつ、使いやすい単位に変換して考えてみてください。

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- **高さ$h\ {\rm [m]}$から落とした物体の速度は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる高さ$h\ {\rm [m]}$と重力加速度$g\ {\rm [m/s^2]}$を用いて速度$v$の次元$\rm [m/s]$を作ればよいので，$v \sim \sqrt{gh}$
（厳密な結果は$v = \sqrt{2gh}$）
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- **ばね定数$k\ {\rm [N/m]}$のばねにつながれた質量$m\ {\rm [kg]}$の物体の単振動の周期は？**
:::spoiler 答え
現象に関わるばね定数$k\ {\rm [N/m]}$と質量$m\ {\rm [kg]}$を用いて時間$T$の次元$\rm [s]$を作ればよいので，$T \sim \sqrt{k/m}$
（厳密な結果は$T = 2\pi\sqrt{k/m}$）
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- **線密度$\rho\ {\rm [kg/m]}$の弦が張力$T\ {\rm [N]}$で張られているとき、この弦を伝わる波の速度は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる線密度$\rho\ {\rm [kg/m]}$と張力$T\ {\rm [N]}$を用いて速度$v$の次元$\rm [m/s]$を作ればよいので，$v \sim \sqrt{T/\rho}$
（厳密な結果も$v = \sqrt{T/\rho}$）
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- **質量$m\ {\rm [kg]}$の気体分子からなる温度$T\ {\rm [K]}$の気体において、気体分子の平均速度は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる質量$m\ {\rm [kg]}$と温度$T\ {\rm [K]}$，熱力学に関わる物理定数であるボルツマン定数$k_B\ {\rm [J/K]}$を用いて速度$v$の次元$[m/s]$を作ればよいので，$v \sim \sqrt{k_B T/m}$
（厳密な結果は$v = \sqrt{3k_B T/m}$）
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- **熱拡散率（1秒あたりどのくらいの面積に熱が広がるか）$\kappa\ {\rm [m^2/s]}$、一辺の長さ$L\ {\rm [m]}$の金属全体に熱が行き渡るのにかかる典型的な時間は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる熱拡散率$\kappa\ {\rm [m^2/s]}$と長さ$L\ {\rm [m]}$を用いて時間$T$の次元$\rm [s]$を作ればよいので，$T \sim \kappa / L^2$
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- **消費電力$P\ {\rm [J/s]}$の電気ケトルで比熱$c\ {\rm [J \cdot g^{-1} \cdot K^{-1}]}$の水$m\ {\rm [g]}$を沸騰させるのにかかる時間は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる消費電力$P\ {\rm [J/s]}$，水の比熱$c\ {\rm [J \cdot g^{-1} \cdot K^{-1}]}$，質量$m\ {\rm [g]}$を用いて時間$T$の次元$\rm [s]$を作ればよい。水の温度の変化$\Delta T\ {\rm [K]}$も考える必要があるが，大雑把に$\Delta T = 100 \ {\rm K}$として，$T \sim mc\Delta T / P = 100mc / P$
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- **面積$S\ {\rm [m^2]}$、間隔$d\ {\rm [m]}$、誘電率$\epsilon \ {\rm [F/m]}$の平行平板コンデンサーの電気容量は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる面積$S\ {\rm [m^2]}$，間隔$d\ {\rm [m]}$，誘電率$\epsilon \ {\rm [F/m]}$を用いて電気容量$C$の次元$\rm [F]$を作ればよいので，$C \sim \epsilon S/d$
（厳密な結果も$C = \epsilon S/d$。次元解析だけを使う限り，$\epsilon d$なども間違いとは言い切れない）
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- **物質量 1mol、原子量$\mu\ {\rm [kg/mol]}$の放射性物質がすべて核分裂した際に放出されるエネルギーは？（ヒント：光速を使う）**
:::spoiler 答え
放射線などのような光が関わるエネルギーを議論する際には，質量$m$とエネルギー$E$の等価性$E=mc^2$を用いることが多い。今回考えている物質の全質量は(物質量)$\times$(原子量)=$\mu$なので，見積もりたいエネルギー$E$は，$E\sim \mu c^2$
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- **密度$\rho\ {\rm [kg/m^3]}$、圧力$P\ {\rm [N/m^2]}$中の気体中を伝わる音波の速さは？**
:::spoiler 答え
現象に関わる密度$\rho\ {\rm [kg/m^3]}$と圧力$P\ {\rm [N/m^2]}$を用いて速度$v$の次元$\rm [m/s]$を作ればよいので，$v \sim \sqrt{\rho/P}$
（厳密な結果は，気体の比熱比$\gamma$を用いて$v=\sqrt{\gamma \rho/P}$）
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- **地球（質量$M\ {\rm [kg]}$, 半径$R\ {\rm [m]}$）の重力から脱出するために必要な速度は？**
:::spoiler 答え
現象に関わる質量$M\ {\rm [kg]}$と半径$R\ {\rm [m]}$，重力を考える際に重要な重力定数$G\ {\rm [N \cdot m^2 \cdot kg^{-2}]}$を用いて速度$v$の次元$\rm [m/s]$を作ればよいので，$v \sim \sqrt{GM/R}$
（厳密な結果は$v = \sqrt{2GM/R}$）
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- **毎秒$L\ {\rm [J/s]}$の光を出す星（質量$M\ {\rm [kg]}$）の寿命[s]は？（ヒント：光速を使う）**
::: spoiler 答え
星の持つ全エネルギー$E$は$E \sim mc^2$なので，これと$L\ {\rm [J/s]}$を用いて時間$T$の次元$\rm [s]$を作ればよいので，$T \sim E/L \sim Mc^2/L$
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- **密度$\rho\ {\rm [kg/m^3]}$，原子量$\mu\ {\rm [kg/mol]}$の気体を構成する分子同士の間の典型的な間隔は？（ヒント：アボガドロ数を使う）**
:::spoiler 答え
原子量$\mu\ {\rm [kg/mol]}$の分子1個あたりの質量$m$は$m \sim \mu /N_A$。すると，1分子あたりが占める体積$V$は$V \sim m / \rho \sim \mu / (N_A \rho)$なので，典型的な間隔$a$はこれを1/3乗すれば，$a \sim (\mu/N_A \rho)^{1/3}$
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- **電子の典型的な半径は？（ヒント：プランク定数は使わない・静電エネルギーと電子の静止質量エネルギーのつり合いを考える）**
:::spoiler 答え
電子の静電エネルギーが静止質量エネルギーとつり合うところで電子の半径はおよそ決まると考えられるので，$e^2/4\pi \epsilon_0 r \sim m_e c^2$（$m_e$は電子の質量）。よって，これを半径$r$について解けば$r \sim e^2 / 4\pi \epsilon_0 m_e c^2$
（この半径は古典電子半径と呼ばれる）
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- **ブラックホール（質量$M\ {\rm [kg]}$）の典型的な半径は？（ヒント：光速を使う）**
:::spoiler 答え
重力定数と光速を用いて長さの次元$\rm [m]$を作ればよいので，$GM/c^2$
（この半径は重力半径と呼ばれる）
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