# 図解 人材マネジメント入門 (人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ) 著 坪谷 邦生 ### 2021/5/28 細川 貴広 #### 書籍情報 人材マネジメント入門 (人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ)https://www.amazon.co.jp/dp/4799326120/ #### どんな本? - マネジメントの中でも人材マネジメントについて、10個のテーマについてそれぞれ10個ずつ、100のツボを解説している。 - 本書は、初めて人材マネジメントに触れる人・改めて学び直したい方に読んでもらうことを想定し、人材マネジメントの広大な領域を体系的にわかりやすく伝えることを目標としている。 - 経営者・企業の人事担当者・管理職・人材業界で働いている、人材を生かして成果を上げる立場にいる方が対象読者 - 参考にすべきトピックに各テーマのポイントを記載しているので気になるところがあったら読んで欲しい。 - kindle unlimitedの対象であり(2021/5/28)、手軽に読み始めることができる。 #### 参考にすべきトピック 人材マネジメントの全体像が理解できる。 テーマとして挙がられている10個について印象的・重要だと感じたところについて記載する。 ##### 1.人材マネジメント ###### マネジメント≠管理 マネジメント≠管理であり、 マネジメントとは 成果を出すためになんとかすること 管理とは コントロールし肩にはめること ###### 目的 人を生かし、企業の戦略を達成する、次の戦略を生み出す人材を提供すること ###### マネージャの役割 伝統モデル(仕事をやらせる)Bad 人間関係モデル(承認欲求を刺激する)Good 人的資源モデル(最適な目的と実現のための環境を与える)Best ###### 効果的に行うには 施策はメッセージ なぜ今それをやるのかを伝える 何をしようとしているのかを伝える ##### 2.人事評価 ###### 人事評価とは 処遇に格差をつけるためのもの 企業の価値観を検討する ###### 目標 公平感のある処遇の配分 社員の活用と育成 社員それぞれを検討し活躍・成長の機会を共に考える 企業文化の醸成 ###### 目標管理 上司部下でやって欲しいこと・やるべきことをすり合わせる 自己管理により動機付ける ###### OKR アウトプット重視した目標設定。(何を知っているかはどうでもいい、何ができ、何を獲得できるか) インテルで生まれた(インテルは結果を出す) ###### コンピテンシー 好業績者が成果を達成する「特性」をベストプラクティスとして社内に公開。他の社員にも獲得を目指してもらう ###### フィードバック 評価者はまず自身の癖を自覚する 今の状態を客観的に捉え成長を促すためのもの ###### 最大のポイント ツールで効率化できるが、その先にいる相手を最終的には見ること 被評価者との信頼関係 被評価者の主体的な参加 ##### 3.賃金・退職金(外的報酬) ###### 外的報酬とは 働くことで企業から与えられるもの 給与、昇進、福利厚生、社会的な地位 ###### 目標 納得を目指す。 足りないと不満があるが過剰でもモチベーションにつながらない。原資に限りがある。 ###### 賃金のベース 年功給 マネジメントコストゼロ、安心感 職務給 仕事に対して支払う、職務の定義コストあり、低い職務についてるとモチベーションダウン 職能給 能力に対して支払う。能力向上の意欲喚起を期待できる。測定・定義が困難 ###### 手当てとは 生活に配慮し支えるもの。例:家族手当て 企業が大切にしていることに対して支払う。 同一労働同一賃金の観点から減少の傾向。 ###### 賞与とは 成績に応じて支給。人件費コントロールの調整弁 日本と欧米の違い 日本:生活支援、欧米:利益を分配 ###### 賃金設定 採用市場で競争力のある水準か 経営を圧迫しないか 何に対してどの程度賃金を支払うか(能力、態度、成果、勤続年数) ###### 賃金に納得してもらうには 不満の原因のほとんどは他社同業者との比較 対策 - 公平感のある施策 - 透明性を高く - 丁寧な説明 ##### 退職金とは 長期勤務を奨励する 定年時の平均金額は2千万円弱 ##### 日本の特徴 日本はポスト可変契約が一般的だから職能給が多い。能力に応じて仕事が割り振られる。 欧米は契約時から仕事が変わらないので職能給になる。 日本の労働者は企業を信頼しているので制度にそこまで興味がない。 ##### これからの賃金を考える上でのポイント 同一労働同一賃金が求められている。 多様な働き方により長期の貢献を無条件に期待できなくなってきた - リモートワーク - 複業 自社のミッション実現に向けた制度設定。 ##### 4.働きがい(内的報酬) ###### 内的報酬とは何か 働くことによって得られるものは賃金等の外的報酬のみではない。 「魅力的な仕事」を産み出し適切に「アサイン」することも報酬となる。 外的報酬のは限りがあるが、内的報酬は工夫により大きくしていく ###### 働きがいとは何か? 仕事のやりがいと働きやすさが揃っていること 「やりがい」とは、手応えを感じながら前に進むこと 「働きやすさとは」快適に働き続けるための環境や労働条件があること ###### やりがいのある仕事に必要なこと 「仕事の報酬は仕事」リクルート 魅力的な仕事とは? - 自己有能性 自己効力感を体験できること - 自己決定性 自由裁量・自己責任 - 社会的承認制 努力・苦労・成果が認められる ###### モチベーションの高め方 目的と報酬のサイクルを回す 目標が成果を出し報酬を増やす、報酬を増やすことで次の目標と達成への意欲を高める そのサイクルを回す。 その起点は「達成可能な明確で具体的な目標」 ###### これからの働きがいを考える上でのポイントは? 一般的なやりがいはリーダーのみが高い。 一人ひとりの目標に向けて協力をしあう個別的な対等な関係が求められている。 仕事との本質に没頭し、自分の卓越した能力が十分に生きるプロセスことやりがい・生きがい・幸福 「幸福はなぜ哲学の問題になるのか 青山拓氏」 ##### 5.等級 ###### 等級とは? 外的報酬水準の骨格。人をランク付けするためのもの。 企業の基準を明確にするために必要。 何で処遇に格差をつけるかを誠実に明言する。 ###### 種類 職務等級 事前に設定した仕事に対して支払う 職能等級 能力に対して支払う ###### なぜ日本では職能等級が多いか GHQが職務給を推奨したが、心の部分で日本人には合わなかった。 職務・地域の違いでの対立を生まない。異動させやすい。 日本人は「和」を大切にしている。 ###### 職能等級の限界 企業の成長が停滞し、能力に見合う仕事を生み出せなくなると崩壊する ##### 6.採用 ###### 人員計画の立て方 理想の人員構成を既存社員に照らす。 人材ポートフォリオごとに割合を検討する 人材が足りない(採用する,仕事を減らす,育成する) 人材が余っている(退職を促進する,仕事をふやす) ###### 人材ポートフォリオ 人材を差し替えて全体最適となる構成を考える - エグゼクティブ - スペシャリスト - マネージャ - オペレータ - ###### 採用プロセス - 採用要件の設定 - 母集団の形成 - 選考 - 内定・入社 採用担当者:応募者が感じる理想像 採用チーム:理想の人材ポートフォリオの縮図 ###### 適性検査の活用 適性検査の結果は有害な兆候を発見するためのものや本人に開示してはいけないものではない。本人の「個性の発揮」を助けるためのもの ###### 面接のポイント 一度の面接で全てを見極めようとしない。 段階毎に観点を設定する ###### これからの採用 企業情報発信の活性化により、 マッチングの精度が上がっていく 「人を集めるから人が集まる」に変化する。 ##### 7.異動・代謝 ###### 目的 適所的材、人材開発、幹部育成を実現し属人化、不正防止を防止する ###### 異動がうまくいくポイント - 本人が希望している - 企業からの期待を伝える ###### 異動の仕組み - 手挙げ式 - 適所適材を担う専門部門 ###### 代謝 代謝とは退職のこと 代謝がないとリストラが発生する 健全な代謝は仕事の機会を部下に譲ることになる ##### 8.人材開発 ###### 目的 - 採用 - 経営戦略の達成 既存社員の不足を埋めて企業戦略を達成し、長所を伸ばして企業戦略を生み出す ###### 能力の種別 一般能力 どの企業でも役に立つ能力 特殊能力 その企業でのみ役に立つ能力 等級やジョブディスクリプション 企業で必要としている能力 ###### 人材開発の方法 - OJT  - Off-JT セミナー等 - 自己啓発 自主学習 - 社内勉強会 社内の有志で開催される ###### 自己啓発促進 補助金を出す あらかじめ学習習慣のある人を採用する。 年間自己啓発時間が10~20時間が社会人の半分。厚生労働省「能力開発基本調査 平成28年」 ###### 成長のサイクル 経験->内省->持論化->実践->再び経験 ###### 人材開発促進の原則 人材の手法は進化していくが、 その原則は「経験からの学びを最大化する」である。 ##### 9.組織開発 ###### 組織開発とは? 人と人との「関係性」や「プロセス」に着目する。 1950年代にアメリカで発祥 「行動科学を応用する」「組織内プロセスを変革する」 「組織の効果性を高める計画的な取り組み」 ###### 行動科学とは? 人間の行動を科学的に研究し、法則性を解明する学問。 組織開発ではそのうちの、コミュニケーション・意思決定のメカニズムに焦点を当てる ###### ミッションとビジョンの違い ビジョン あるべき姿 定期的に見直していく ミッション・バリュー 使命・世の中に提供していくもの 変えてはいけないもの ###### 良い企業の特徴 3つの組織能力 - 実行力・変革力 先を見越して変化できる変革力 - 知の創出力 指示・命令を受けて動ける力 - ビジョン共有力 将来のビジョンが共有されている 3つの価値基準 - 社会的使命を重視しながら経済的価値も重視 - 共同体意識がありながら健全な競争も促進 - 長期志向でありながら現実も直視 世のため人のため 人を持続的に生かし、世のため人のために頑張る企業が持続的に成長する ###### 組織を活性化させるには? 活性化している組織は「カオス」にある。 変化に対応するために既成事実を捨て去る。 ノウハウは貴重な経営資源高が変化に対応し進化するときには邪魔 自己否定から始まり、矛盾なく整合されていくことで再び調和していく。 無駄を排除して効率化を志向すると情緒やエネルギーは死んでしまう。 不活性な組織は過去の成功に安住する。 ###### 自律的なチーム チームとは同じ目的を共有しそれぞれが役割を担った集団 - チームのメンバーが最適であること 古代中国において、チームの最小単位が5と単位とされていたので伍長という階級が生まれた。 - メンバーがどのチームに所属しているか明確であること 心理的に所属するチームの暗黙的な規範によって行動を左右される - チームの連帯力が高いこと メンバーが安心して共に働ける。チームが評価されている。 チームリーダーはメンバーに任せて邪魔をしないこと ###### スクラムとは? 現状を把握するためのフレームワーク マネージャの役割を分割する - プロダクトオーナー ROIを最大化 - スクラムマスター 自律的なチームを作る - 開発チームメンバー 生産性を向上 ユーザに早く価値を届ける 早く製品を作りフィードバックを受け製品を磨き続ける。真の問題に早く気づき、活動の「意義と目的」が明確になる。 ###### 組織開発の定石 小さなチームの成功から始め、そこから広げていく。 うまくいく取り組みと知ってもらえる。わからないことを成功したチームメンバーに聞いてもらえる ###### 組織開発のポイント アンケートやツールを活用し情報収集をするが、 その結果から推測できる現実の方を視るのポイント ##### 10.働く人 ###### キャリアとは 「人の一生を通じての仕事、生涯を通じての人間の生き方、その表現の仕方」 ###### 考える主体の変化 企業から個人へ ###### 自分のキャリアをどう描いたら良いのか 「キャリア・アンカー」 (エドガーシャイン)という考え方 Will やりたいこと、Can できること、Must やるべきこと の重なるところを大きくしていく ###### プロフェッショナルとは何か? 由来は「ヒポクラテスの誓い」 技術的側面:高度な専門性 管理的側面:奉仕に金銭的価値以上の意義を感じる。公共の利益への奉仕。愛着。 ###### プロフェッショナルの成長 1.仮決め(お手本目標を見つける) 2.見習い(先輩の仕事を通じて型を認知していく) 3.本決め(腹を決め一心不乱に取り組む) 4.開花 (学んだことに自分のアレンジを加えていく) 5.無心 (型から離れ自由にやっていく) 3つの壁 1段階目:内省ばかり繰り返して行動しない 3段階目:いろいろなことをやって絞り込まない 4段階目:自分のアイデアを出せない ###### 自立とは 自分の専門分野については責任を持ち、上司や社長も口を出せない自立した存在できあるべき。 対義語は依存。 人のせい、物のせいにするのが依存。 自律とは、自らを律すること。自分の中に基準を持つ。 自分に誠実であり他人にも誠実である。 自ら指し示し、責任を持つ ###### 師から何を学ぶべきか 能力を身につけるの一番必要なのは師を見つけること 多坂浩 「仕事の報酬とは何か」 師から学ぶべきことは暗黙知 兵法の極意より 師から学ぶべきものは「何か良いこと」ではなく「どう学ぶか」の構え 師弟関係とは、 具体的に教えてもらうのではなく師を自らからに照らし合わせ、 自主的に学んでいく 謙虚な気持ちでいれば師はいくらでも見つけられるもの ###### 教えるとは何か 師は自らが学ぶべき 日々学び続ける姿勢を見せる 希望を語る ウィリアム・アーサー・ワードはこう言っている - 汎用な教師はしゃべる - 良い教師は説明する - 優れた教師は示す - 偉大な教師はハートに火を灯す ###### これから働く人はどうなるのか? 働き方の多様化により、企業に教育してもらえる時代ではなくなった。 不自由と引き換えに正社員が享受してきた「教育」「育成」がなくなりつつある。 プロフェッショナルは幸福への道 まず、何かのプロフェッショナルを目指してみよう。 仕事に没頭し「卓越」していくことこそ「幸福」である。 アリストテレス #### 所感 - 自分のフェーズが、すでに人材マネジメントを担当していて、次の施策として、この本に書いてある「これっていいよね」「こういうことをしたい」ではなくマネジメントを理解するという段階であり、全体像を知るという目的を達成できた。同じ目的を持っている人におすすめしたい。 - 想定している読者が入門者であり、広い領域を体系立てて解説することを目標としているため入門書として大変わかりやすい。 - 人材マネジメントに興味がありマネジメント寺子屋に入った人には最初に手に取る本としておすすめしたい。 - 人材マネジメントを受ける側として日々接する組織や上司のメッセージをより客観的に理解できるようになった。 - 人材マネジメントとは才能や資質だけではなく、ある程度のところまでは具体的に答えが存在しトレーニングすることのできるテクニックでもあると知ることができマネジメント寺子屋で学ぶ意欲を高められた。 - 今回、自分の主観によりあげられなかった内容として、具体的に4つの企業での人材マネジメントの例と各テーマにおける役割毎のアドバイスがある。ページ数も多くないので自ら読んでほしい。 #### お勧め度(☆☆☆☆☆) ★★★★★