# 遊ばせる技術 【チームの成果をワンランク上げる仕組み】 ## 2021/09/16 駒崎 ## 書籍情報 [遊ばせる技術](https://www.amazon.co.jp/dp/B099DHMVKR) 296ページ ## どんな本? - テレワークや現代の仕事観を踏まえて一歩上の組織を目指す本 - 2章までがセルフリーダーシップの説明、3章以降はセルフリーダーシップが生まれやすい方法の紹介 ## 構成 - 第1章 進まない社員の自律 - 社員が自律的に仕事をしない - 第2章 真面目さを越えよう - 低次の自律と高次の自律の違い - 自律レベルを引き上げるための要点 - 第3章 自分に合わせて仕事をクラフトする - 社員の視点から仕事に遊びを取り入れるアプローチ - 第4章 管理者は仕事を面白くできる - 管理者が部下の自律レベルを高めるための施策 - 自律させるではなく、勝手に自律する - 第5章 社員が自律しいく組織へ - 組織全体の自律レベルを高めるための方法 ## 参考にすべきトピック ### 第1章 進まない社員の自律 - ヒアリングによる上司と部下のリアルな事例が記載されており興味深い - リモートワークなどにより結果としてコントロールが強化されると、パフォーマンスが停滞するリスクが高まる - ありがちなマネジメントの逆行 - 健全な問題意識で施策を展開 - 施策がITで管理されコントロールが強化 - 成果の見える化 - 部下の消耗 - 効果測定:数値のみで判断 - 施策を強化・継続 - 楽しい自律 - 仕事を自分で見つけて進める - 自分のため・自分のキャリアにとって今の経験・チャレンジが有用(進む道が見えている) ### 第2章 真面目さを越えよう - 自律をどのように定義するか - 定義によって支援方法やマネジメントは変わる - 5段階の自律レベル - 有機的統合理論による自律レベルは4段階 - 自己決定理論(内発的動機づけへと至るまでの道筋を探求する理論)の5つの小理論の1つ - 自己決定理論は内発的動機づけと外発的動機づけをつなげた理論 - 内発的動機づけ = 自分でやる気になること - 外発的動機づけ = 自分の外にあるものによってやる気になること - 本書ではこれをベースに5段階に分類 |自律レベル|原動力||| |-|-|-|-| |5|遊び|価値体現|仕事の価値を作り出すことに楽しさを感じ、主体的に活動| |4|遊び|価値実感|仕事を進めることの有用性を体感し、興味や関心を強めて意欲的に活動| |3|真面目さ|価値理解|仕事の価値や重要性を理解し、価値を生み出すために自ら取り組む| |2|真面目さ|責任意識|責任感やプライドで自らの役目を果たすために活動| |1|真面目さ|規則意識|規則に従うという義務感で活動| - 低次の自律:責任感や真面目さによって生まれる自律(セルフマネージメント) - レベル1〜3 - 他人事 - 仕事はつらいが、やるべきことをする - 言われたことをやる - 責任を果たす・自分の評判を落としたくない(プロとして・仕事だから・給料をもらっているから) - 重要な仕事だし、自分にとってもプラスだと自己を説得 - ストレスを高めやすくネガティブな影響を及ぼしやすい - 仕事は厳しいもの、困難に耐えて真面目に仕事を進めることが良いことという価値観         - 高次の自律:ポジティブな感情や社員個人の価値確認を伴う自律(セルフリーダーシップ)   - レベル4〜5   - 自分事   - 仕事を理解し、自分を仕事の主体として認識   - 単純に仕事が楽しい(楽しさを経験し、また体験したいと思う)   - ワークスマートへの移行 - 時代の変化とともに仕事への価値観も変化 - ワークハード - 与えられた仕事をこなし他者の評価を獲得しようとする仕事観 - ワークスマート - 働くことに対して自分なりの意味を見出し自分らしく働く仕事観 - 給与やポジションだけでなく、ライフデザインや精神的な豊かさの維持 - 非言語情報 - オフィスとテレワークの最大の違い - 声のトーン、表情、ジェスチャー、周囲の会話 - 近い距離で仕事をしたほうが互いの問題に関心を持ちやすい - 真面目にやっていれば、誰かが見ていてくれて評価された - テレワークでは見えにくい - サポートされにくい - 評価されなければパフォーマンスの源泉にならない - 真面目さ→遊びによる自律へ - 仕事による面白さを燃料にして、一人で突き進む姿勢 ### 第3章 自分に合わせて仕事をクラフトする - 個人視点で自律レベルを高めるポイント色々 - 原則:仕事を自分にあうように変化させる - 認識(認知的クラフト) - 単調なルーティンワークをゲーミフィケーション - 内容 - 業務量や内容を関心や状況に合わせてコントロールする - 関係者 - 毎日同じ顔ぶれでは飽きる。顔ぶれやコミュニケーション方法を変える - 苦手な人物との接触機会を減らす ### 第4章 管理者は仕事を面白くできる - 管理職視点で自律レベルを高めるポイント色々 - 自律させる →この時点で間違い - 勝手に自律する。人は勝手に自律する。 - 邪魔をしない - 支援する - 「指示待ち」系のブレーキを取り除く - 部下を仕事のオーナーにする - 自らの主観で仕事の意義を作る、内容を構成する、アプローチする - 上司はサーバント(使用人)になる - サーバント・リーダーシップ - テレワークでサーバント的な関わりは難しい - どうしてもタスク志向のマネジメントになりやすい - 部下を知る - 仕事をどのような位置付けで捉えているのか?(本音を聞き出す) - どんなことに興味があるのか?チャレンジしたい事があるか? - どのようなサポートが欲しいか? - 相手に合わせたマネジメント - 人それぞれ仕事観、人生観が違うことを受け入れる - 仕事は程々にしてプライベートを重視したいという人もいる - 同じ内容でも面白いと感じる人と詰まらないと感じる人はいる - 能力差、経験の差 - 部下のタイプを整理し、それに合わせた対応をする - 多様性の尊重は大前提 - 自分の価値観を押し付けない ### 第5章 社員が自律していく組織へ - 仮想性を意識したマネジメント - 地理的・空間的に分散 - 異なる時間の流れ - 集合でなく分散を前提 - 仕事をするために集まるのではなく、点在する人に仕事を割り当てる - 自律とは組織の優位性を高めるための戦略 - 自律を促す3つの組織機能 - 拡散 - 担当の役割や専門領域を超えた活動を積極的に進める - 自分の志向・問題意識にフィットする知識やキャリアを見つけやすくなる - 調整 - 拡散で散らからないように、拡散の結果を組織に還元する - 基本的な前提やミッションを常に意識させる - 統合 - 組織が何を求めているか、何を重視しているかを明示 - 共通の価値認識と規範を構築 - アイデンティティがあると働く意義を見出しやすい - 事例 - カヤック - 入社式で退職届を書かされる - 何を目指すのか、何を成し遂げたら卒業するか決める - 会社はそれをどう支援するか考える - ジョブローテーション - 多様なスキル・経験の獲得 - 人間関係の拡充 - イレギュラーへの高い対処能力 - 幹部候補生 - 社内公募 - 職種・ポストの状態を見える化 - 社内副業 - 他部署を副業で手伝う - 部署異動せずに済む - サイバーエージェントやKDDIが採用 - ジョブ型採用 - 職務内容が細かく定義されていると拡散させにくい - タスク型なのかタレント型なのか - タスク型:規定した作業をミスなくこなす - タレント型:ポテンシャルやチームパフォーマンスなど非定型な貢献 - マルチリーダー性 - シェアド・リーダーシップ - リーダーシップの民主化 - メンバーそれぞれが得意分野でリーダシップを発揮 - メンバーが高い視座から自分の役割を考える - 補完し合う - 管理者候補が育つ ## 所感 - 自律のレベルなどあまり考えたことがなかったので、個人的に前半の1章・2章はグッときた - 3章以降は幅広く色々な方策が紹介されているが、なるほどと思わせるのは2章まで - 読みにくかった - 範囲が広めでまとまりがなく、何を言いたいのかわかりにくい - 一歩間違えると暗示による社畜製造プロセス - なぜ仕事をするのか? →単純に楽しいから。 ## お勧め度(☆☆☆☆☆) ☆☆☆ ## 質疑応答